中堅・リーダークラス

中堅社員は、管理職の補佐をしながら後輩を指導し、現場のプレーヤーとしても高い実績を上げるなど、職場の中核としての活躍が期待されています。中堅社員の能力を高め、将来のリーダーに成長させるためには何が必要なのでしょうか。中堅社員を取り巻く環境や育成課題から、そのポイントを紹介します。

いま、こんな課題はありませんか?

  • 職種や職場ごとに成長にばらつきがある中堅社員に、横串を刺す教育施策をしたい
  • 目前の仕事や役割に留まらず、部門視点・全社視点でものごとを捉え、課題解決に挑んでほしい
  • リーダーシップを発揮して、成果の上がるチーム作りに挑んでほしい
  • 自身の成長のために、積極的に新しい仕事・役割を担うような向上心・主体性を育てたい
  • 将来のリーダーや管理職候補を増やしたい

取り巻く環境・変化 「教育のエアポケット」となりやすい世代

中堅社員とは一般的に、入社3年目以降で、係長や主任などの役付きになる前の人のことを指します。いわば「若手以上管理者未満」なのが中堅社員ですが、企業の第一線を支える非常に重要な存在です。しかし、「長期的視点でキャリアを考えていない」「目前の仕事や役割にこもりがち」「主体性に欠ける」といった辛口の評価が多く聞かれるのも中堅社員層の特徴です。その背景には、マネジャーポストの減少でステップアップの道筋が見えにくいことや、異動や新しい仕事にチャレンジする機会が減っていることなどが挙げられます。
さらに中堅社員層は、年次や求められる役割が多岐にわたることから、一律の育成施策を行いづらく、「教育のエアポケット」となりがちなことも指摘されています。結果として、職種や職場ごとに成長のばらつきが大きくなっていることが大きな課題になっています。企業として、意識的に中堅社員の育成に取り組んでいくことが求められています。

中堅社員を取り巻く環境と育成課題

ポイント解説 中堅社員の役割と求められる能力

まずは、中堅社員と新人・若手の違いを考えてみましょう。新人・若手時代に求められていたのは、与えられた業務を着実にこなしていくことです。勉強に力を注ぐことも許容されていました。このことから、新人・若手は、企業にとって扶養家族的な存在と言えるかもしれません。
それに対して中堅社員は、企業に利益を生み出す大黒柱になることが期待されています。つまり中堅社員は、自己の能力によって直接組織に貢献するという重要な役割を担っているのです。そのために中堅社員には「仕事のプロフェッショナル」であることが求められます。仕事のプロになるためには、下記の5つの条件を満たしている必要があります。

(1)専門分野が明確である
専門分野を明確に持ち、専門知識やスキル向上に励んでいることが求められます。

(2)専門知識を習得している
専門知識を習得し、それらを駆使して貢献することが期待されます。

(3)実務を熟知している
経験を積むことで実務を熟知し、現場の中心となって働く役割を担います。

(4)経験が豊富である
様々な経験を積むだけでなく、経験を生かして周囲のメンバーに主体的に働きかけることが期待されます。

(5)自己修練を継続している
外部セミナーの参加や関心のあるテーマの研究など、計画的に勉強し、能力をメンテナンスしていることが望まれます。

成長支援の方向性 中堅社員教育の2つのアプローチ

体力・活力にも十分恵まれている中堅社員の時期に、仕事のプロとしての自覚を促し、期待される行動や成果を発揮できるように周囲がサポートすることが重要です。将来を見据えた計画的なローテーションや権限委譲などの施策に加えて、中堅社員教育においては次の2つのアプローチが効果的です。

(1) 役割意識を高め、自分の「枠」から脱皮する

役割を自覚できないまま仕事に取り組み続けることは、成長を阻害する要因になります。実務経験は豊富になる一方で、自己流のやり方に慣れてしまい、仕事への取り組み方や能力開発に偏りが出てしまうことが多いからです。そのような状態では、自分の「枠」に気づくことも難しくなります。まずは、「中堅社員としての役割」を自覚させ、役割意識を高める機会を作りましょう。研修や面談などを通じて、中堅社員としてどのような役割を果たすことを期待しているのかを伝えることが効果的です。
中堅社員の役割とは、自ら進んで業務の改善を行ったり、後輩の手本となり指導を行ったりすることなどが挙げられます。特に指導経験は、「枠」から脱皮し、将来リーダーや管理者になる際に不可欠な指導能力の開発にもつながります。
中堅社員に求められる役割と自らの仕事ぶりを照らし合わせることで、自分の「枠」をいったん壊し、新しい仕事や役割を積極的に担おうとする意識を引き出します。

(2) 仕事のやり方を変え、成長実感を喚起する

昇進やローテーションといった大きな役割変化が少ない中堅社員だからこそ、自ら仕事のやり方を変え、小さな変化や成長を感じる機会が必要になります。変化や成長を実感するためには学習が欠かせませんが、その過程では様々な壁が立ちはだかります。よくぶつかる壁が、仕事の基本の不足です。「教えられるレベル」まで基本を身につけておくことが望ましいですが、定着できていないまま中堅社員になった場合は、あらためて基本を習得し直す必要があります。周囲もあらかじめ壁の存在を想定し、壁を乗り越えられるようなフィードバックやサポートを行うといいでしょう。このように、中堅社員に継続的な工夫・改善・挑戦を促し、成長実感を喚起するような教育施策が重要になります。

中堅社員の成長を促す施策例

まとめ 中堅社員に横串を刺す教育施策を

企業が持続的な成長を続けるためには、第一線を支えている中堅社員の育成が鍵になります。しかし、新入社員教育などに比べて、中堅社員に対する教育は不十分な場合も多いのが現状です。企業の人事・教育担当者は、長期的な視点を持って、成長にばらつきがある中堅社員に横串を刺す教育施策を企画したいものです。その際には、ご紹介したように「役割意識」と「成長実感」の2つのアプローチから支援すると効果的でしょう。中堅社員が能力を最大限発揮し、イキイキと現場の中核として活躍することは、企業の業績や全体の活力向上にもつながるはずです。