健康経営・健康づくり

社員の健康管理を経営的視点から考える「健康経営」に取り組む企業が急増しています。医療費削減や生産性向上という効果があるだけではなく、企業価値の向上にもつながるため、いまや企業にとって欠かせないテーマといえます。健康経営・健康づくりはどのように進めればよいのか、ポイントをご紹介します。

いま、こんな課題はありませんか?

  • 社員の健康リテラシーの高め、イキイキと働ける職場づくりをめざしたい
  • 在宅勤務やテレワーク中心の働き方において、社員のメンタルヘルス不全を起こさないような職場づくりをしたい
  • 企業戦略として「健康」への取り組みを強化し、健康経営銘柄や健康経営優良法人認定をめざしたい
  • 健康経営銘柄や健康経営優良法人認定を得るための基本手順が知りたい
  • 優良法人認定は受けているが、健康経営の取組み成果を継続的に高めていきたい

取り巻く環境・変化 健康推進で期待される生涯現役社会

新型コロナウイルス感染拡大防止策として、在宅勤務などのテレワークが進みました。集中時間の確保、通勤時間の削減などに伴い心身の健康度が高まったという回答がある一方で、外出制限、働く環境の変化、先行きの不安などからストレスが増大して、メンタルヘルス不調を訴える人も増えており、従業員の健康保持増進などに配慮した職場づくりが企業側にも求められています。

●労働力確保と企業価値向上から始まった「健康経営」
新型コロナ前から企業経営の視点から見て、従業員の健康増進には大いに価値があることが語られていました。その大きな理由として“医療費”と“生産性”の両方に深刻な課題を抱えていることがあげられます。
健康経営の第一人者で健康経営研究会理事長の岡田邦夫氏によれば『生産性について言及すると、相対的に見た場合、日本は他の先進国と比較して単位量あたりの生産性が異様に低い状態。時間あたりの労働生産性は46.8ドルで、先進国7カ国中最下位。米国の6割程度の生産性である。これは複雑に絡みあったいくつもの要因(睡眠不足、長時間労働、働き手の損失など)によるものだが、日本人の健康状態が影響している部分もある』と述べています。
国としても働く人の健康増進は、長期的に見れば労働力確保につながり、結果的に株主の信頼を獲得でき、株価をはじめとする企業価値の向上に結びつくという考えを持っています。こうした考え方の下に経済産業省と東京証券取引所では2015年3月、「健康経営銘柄」の取り組みを開始しました。
企業の持続的成長に欠かせない「人材」がイキイキと働ける状態をつくることは、新たな価値創造を生み続けるためにも重要な課題といえます。その意味で、経営者自らが先頭に立って経営戦略における健康増進の必要性の理解や取り組みを推進する必要があるといえます。

ポイント解説 「健康経営」がめざすものとは

健康経営とは「従業員の健康保持・増進の取組みが、将来的に収益性等を⾼める投資である」という健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践する概念です。企業が経営理念に基づき、従業員の健康保持・増進に取り組むことは、従業員の活⼒向上や⽣産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や組織としての価値向上へ繋がることが期待されます。

「健康経営」がめざすもの

健康経営に係る顕彰制度

経済産業省では、健康経営に係る各種顕彰制度を推進し、優良な健康経営に取り組む法人を「見える化」し、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる企業」として社会的に評価を受けることができる環境を整備しています。具体的には全国規模の取組みとして、大企業を中心とした「健康経営銘柄」や「健康経営優良法人(ホワイト500)」があげられます。また、2021年度から中小企業むけの表彰にも健康経営優良法人(中小規模法人部門)認定法人の中で、「健康経営優良法人の中でも優れた企業」かつ「地域において、健康経営の発信を行っている企業」として優良な上位500法人を「ブライト500」として認定されるようになりました。各地域においても、自治体等による健康経営の顕彰制度が広がっており、全国で社員の健康増進を高めていこうという動きが活発になっています。

健康経営に係る顕彰制度

「健康経営優良法人」認定による変化・効果

経済産業省では、健康経営に係る各種顕彰制度を推進し、優良な健康経営に取り組む法人を「見える化」し、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる企業」として社会的に評価を受けることができる環境を整備しています。具体的には全国規模の取組みとして、大企業を中心とした「健康経営銘柄」や「健康経営優良法人(ホワイト500)」があげられます。また、2021年度から中小企業むけの表彰にも健康経営優良法人(中小規模法人部門)認定法人の中で、「健康経営優良法人の中でも優れた企業」かつ「地域において、健康経営の発信を行っている企業」として優良な上位500法人を「ブライト500」として認定されるようになりました。各地域においても、自治体等による健康経営の顕彰制度が広がっており、全国で社員の健康増進を高めていこうという動きが活発になっています。

健康経営優良法人2017認定以降の変化

成長支援の方向性 健康経営・健康づくり推進にむけた課題と対策

日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)が2020年におこなった健康経営セミナー参加者へのアンケートによると、取り組み目的は「社員の生産性向上」「社員満足度・モチベーション維持」などが上位にくる結果となりました。職場および社員の健康維持・向上は重要な目標となっているものの、イキイキと働く状態をつくりあげることで生産性の向上やモチベーションを高めていきたいという思いが伝わってきます。一方で、健康経営を実践していくにあたっての課題は「社員の健康リテラシーが高まらない」に回答割合が集中しました。新型コロナウイルスの感染防止対策として一人ひとりのリスク対策は高まったと思いますが、人生100年時代を見据え、真に自分ごととして、健康状態の確認や維持・向上に取り組めるようになるための支援は今後も必要であるといえます。

健康リテラシーの向上が最優先課題

社員を巻き込む「健康経営・健康づくり」

健康経営の推進により成果も出始めている先進企業の取り組みに共通するのは、単に会社側が働きかけるのではなく、“社員を巻き込み”ながら、企業と社員が一体となって推進していることです。以下、その取り組みをご紹介します。

(1)会社の“本気”を従業員に見せる
働き方改革と健康経営を両輪で進めている企業は数多くあります。なぜ社員の健康が大切なのか。それにつながる働き方を、どう変えなければならないのか。企業と社員の現状と課題を明確にし、「会社として本気で取り組む」姿勢を従業員に示している点は、各企業の共通点として挙げられます。

(2) 健康の解釈は「仕事へのやりがい」や「イキイキ働くこと」
健康というと「病気でないこと」をイメージしがちですが、それでは健康経営の対象が限定的になり、社員皆が“自分ごと”として向き合うことができません。また、「病気ではないこと」を健康としてしまうと、社員自身が、健康経営を実現した先にある希望を描きづらい面もあります。「健康経営の施策は“守り”ではなく“攻め”の手段」としてとらえ、一人ひとりが「イキイキと働けること」「やりがいをもって働けること」などと定義するのも、社員を巻き込むために大切なポイントといえます。

(3)楽しみながら自主的に取り組める仕掛けづくり
どの企業も健康経営の様々な施策を導入していますが、従業員が自主的に楽しみながらおこなえるような“仕掛けを用意しているのもポイントです。以下3点をご紹介します。

①見える化
健康に関するデータをストックし見える化することで、明確に課題把握することができる、改善にむけた目標が立てやすくなるなど、一人ひとりの意識を高めたり、モチベーションの向上につなげることが可能となります。

②チーム施策
楽しみながら取り組むために、推進部門や担当者以外のメンバーが参画できる手挙げ方式の企画プロジェクトなどを立ち上げ、チームで会社の健康づくりを考えることも有効といえます。

③健康リテラシーを高めやすい環境づくり
社員一人ひとりが自分ごととして、健康づくりに取り組める状態になり、それが組織の風土や文化を形成していくことが望ましい状態です。しかし、健康に対するリテラシーは放っておいたままではバラツキが大きく、望ましい成果は見込めません。その意味では、自走できる状態になるまでは必要最低限の支援が必要といえます。トップメッセージとして必要性を配信することはもちろんのこと、啓発教育として有効なeラーニングの実施などを通じて、活動の理解・浸透を図ることが大切といえます。

まとめ 「社員のための健康経営・健康づくり」が前提

冒頭でも触れましたとおり、健康経営や健康づくりを推進することは様々なメリットが期待できます。業績の向上や、最近では企業価値の向上による採用希望者の増加まで、効果が表れているといえます。しかし、それは健康経営・健康づくりを進めた“結果”であって、“目的”ではありません。めざすのはあくまでも社員の幸せや働きがい、生きがいであり、「社員のための健康経営・健康づくり」という視点がブレないことが重要です。