人事・教育担当者むけ

人事・教育担当者が期待される役割と能力とはどのようなものでしょうか。企業での人材の活躍は業績に直結するため、人材育成は経営上の「最重要戦略」といえます。ここでは方法論(ツールの導入や研修など)の検討に留まらず「人が育つ」組織づくりを推進していく担当者として身につけたいポイントを紹介します。

いま、こんな課題はありませんか?

  • 人材開発部門へ異動してきたばかりなので、人事・教育担当者として基本的な役割や知識を身につけたい
  • オンライン含む研修の企画・設計をおこなうにあたってどのような観点を注意すればよいのかを知りたい
  • ルーティン業務に忙殺されている状況から脱却するため、人材開発部門の業務効率化をはかりたい

取り巻く環境・変化 仕組み化が求められる人材育成の活動

人材育成の活動とは、企業に籍を置く「人間」と企業活動=「事業」の相互発展の過程で成り立っています。「人間」の能力開発がおこなわれ、人材が成長すると、その企業の「事業」が発展します。そして事業が発展すると、人間の成長も加速していく…。そうしたサイクルの形成が望ましいといえるでしょう。
では、人材開発部門が、対象となる従業員に対しておこなう主な活動とは、具体的に何をさすのでしょうか。それは①OJT(On the Job Training:仕事の遂行を通じた訓練 、日常指導)、②Off-JT(Off-the-Job Training:集合研修、講習会など職場外での教育訓練)、③自己啓発、④環境づくり、という4つの要素で表すことができます。この4要素はどれも人材の能力開発には不可欠で、人材開発を担当する部門で仕組み化されている必要があります。

人材育成活動とは

ポイント解説 人事・教育担当者のマインドセットと具体的な仕事

人を「育て」ようとすると、どうしてもツールの導入や研修といった方法論に目がいってしまうものですが、ツールの導入や研修などは、あくまでも手段にすぎません。目指すべきは、人材が自律的に「育つ」組織づくりです。また、人事・教育担当者は、対象となる従業員の能力開発だけに注力すればいいというものではなく、経営層や各部門に働きかけ、人が育つための環境整備につとめ、社内横断的に多様な人を巻き込んでいく力も必要になります。人事・教育担当者は、経営機能の一端を担っているという自覚をもち、社内の意識や行動を変革するキーパーソンとしての行動が求められるのです。
人材開発部門としての主な業務は、以下のように区分できます。
①人材開発計画の策定……人材開発のビジョンや方針の策定、年度計画や予算の策定など
②人材開発施策の実施・評価……OJT、Off-JT、自己啓発支援など各種教育施策のカリキュラム設計・準備・実施、人材開発施策の評価など
③人材開発の付帯業務……人材開発にかかわる情報の収集や提供、人材開発担当者やインストラクター育成など

成長支援の方向性 人事・教育担当者に求められるもの(役割、能力)

繰り返しになりますが、人事戦略は経営機能の一端を担っています。よって、人事・教育担当者は、人事機能のみならず、経営企画機能、事業戦略・経営戦略とも連携して、企業の成長に貢献するプロフェッショナルであるという姿勢のもと、つぎのような役割を果たすことが期待されます。
・経営・事業部門のニーズを把握し、組織能力を向上させるためのビジョンを構想する
・組織構成における人材の現状と課題を把握し、組織の構造と人材配置状況に応じて、めざすターゲットとなる人材開発領域を設定する
・人材開発施策を実施した結果を検証するための効果測定指標やビジネスニーズへの影響を検証するためのモニタリング指標を設計する
・採用時に有効な面接技術や人材アセスメントの方法・範囲などを理解する
・教育技法を理解し実践する
いずれにしても、従業員を教育するためのツールや研修といった方法論からの出発は厳禁です。もっと高い視座から取り組むという意識をもつことが大切になります。

まとめ

●これからの人づくりにむけて
労働人口の減少に加えて、多様な働き方への対応やニューノーマルの世の中では、企業を取り巻く人材の環境はますます厳しくなることが予想されます。こうしたなか、企業は成長とともに人材を適切に育成する使命を持っており、人が育ち続ける場所や機会を発展的に創造しなくてはなりません。「企業は人なり」「最大の経営資源は“人材”」というキーワードは永遠に続く企業経営の命題ともいえます。これらの命題に取り組むためには、つぎのようなフレームで思考することが求められます。
①社会的使命を実現する企業価値観を人材育成の基礎とすること
②お客様第一の志向で経営活動が展開されるような人材育成を実践すること
③そこで働く従業員同士が成長し合い、語り合い、価値観を共有でき、なおかつ相互尊重できる職場環境と人材育成環境が整備されていること
④これらのことを実現し続けられる経営プロセスを確立すること。また「成長のための投資」という目的で、利益を生み続けることができる人材育成を基盤にすること
誰からも認められる「人づくり」を実践できる企業こそが、これからも生き残れるのです。