社内インストラクターむけ
社内インストラクターは、その研修参加者一人ひとりの仕事の幅を広げ、キャリアを拓き、可能性を追求し、組織に対する貢献度を高めていくという使命を担っています。そして大切なのは、「側面から支援する」という点です。コロナ禍の影響で研修のオンライン化も進むなかで、インストラクションデザイナーとして成長していくためのポイントをご紹介します。
いま、こんな課題はありませんか?
- 研修の運営に必要なスキル、テクニックを体系的に学び、講師としてのレベルアップをはかりたい
- 退屈そうにしている参加者を減らし、積極的な発言を増やしたい
- 参加者の学ぶ意欲を高めることで、学習効果をアップさせたい
- 参加者の気づきを最大化し、実務に直結する研修を実施したい
- オンライン研修の効果を最大化するための企画・設計方法を知りたい
取り巻く環境・変化 時代に合わせて変わる研修のスタイル
社内研修は時間とコストをかけておこなうため、参加者の実践的な学びが得られる場でなければなりません。しかし、何が実践的な学びなのかは、時代によって異なるため、社内インストラクターは時流を汲み取りながらカリキュラムを組み立てる必要があります。では、それぞれの時代で社内インストラクターには、何が求められてきたのでしょうか。
1990年代に成果主義人事制度が導入されたことにより、従業員を評価するポイントが変わりました。それまでは保有能力を評価する人事制度が主流でしたが、具体的な成果を創出することが求められるようになったのです。つまり、能力は「保有していること」から「発揮すること」へ重きが変わったことを意味します。その流れに沿って、教育研修のあり方も変わっていきます。具体的には、研修の主流は知識を蓄積するインプット型から、実務の具体的な問題を解決するアウトプット型へと変化し、個人が主体的に気づきを得ることに主眼が置かれるようになりました。その変化を踏まえ、社内インストラクターには現場での現実的な問題を解決するアクションラーニングなどの実践的なスキルが求められるようになったのです。
また、2020年に発生したコロナ禍により、ニューノーマル時代の新たな働き方・学び方が模索されはじめました。その流れに呼応し、研修もオンラインによる実施が主流になりつつあります。当然のことながら求められるインストラクショナルデザイン・スキルも変わり、社内インストラクターには、オンライン研修の知識、技能(ファシリテーション)へとアップデートしていくことが求められています。
ポイント解説 講師・インストラクターに求められる役割
「社内講師として登壇することになったが、なにから手をつければよいかわからない」、「相手にわかりやすく説明できるようになりたい」。こんな悩みを抱える講師・インストラクター(あるいは研修企画者)が多いと思います。まず着手すべきことは、研修の目的を定め、全体のフレームを固めることです。目的がブレてしまうと、めざすべきゴールにたどりつきません。目的を定めたうえで、研修の効果を高めるために何を実践すればよいか、整理してみましょう。
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研修の目的
講師・インストラクターの役割は、研修の限られた時間のなかで、参加者がビジネス上の目的を達成するために必要な知識やスキルを学べるようにすることです。研修の目的は「教える」「説明する」「情報を提供する」ではありません。知識やスキルの習得は途中の成果であり、最終的な目的は、研修で学んだ知識やスキルを活用し、職場で実践することで、ビジネス上の成果を出してもらうことです。さらには、効果的に学べるカリキュラムを組み、学習効果を高めていくことも求められます。
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研修の効果を高めるために
自己啓発としての通信教育、eラーニングの受講、あるいは読書など、さまざまな学び方があるなか、研修だからこそ実現できることは何なのでしょうか。それは、研修を通して参加者同士が対話を重ね、互いに影響し合うことで、深い気づきが得られることです。参加者が主体的に学ぶように導くためには、研修内での講師・インストラクターの発言、振る舞い、ファシリテーション力などが重要になってきます。参加者一人ひとりが納得いくまで咀嚼できる状況をつくり、腹落ちさせ、実践へと導くことで、研修で得られる効果は倍増します。
成長支援の方向性 参加者主体の学びを生み出す心構えとスキル
講師・インストラクターは、参加者が学びを深め、学んだことを実際に活用し、成果へと導くことをサポートする存在です。参加者が「学び実践する」ことに主眼を置いた、参加者主体の研修をデザインし、運営することが求められます。それでは、参加者主体の研修をおこなうために、講師・インストラクターどのような心構えで臨めばよいのでしょうか。また、どのようなスキルが必要なのでしょうか。
【講師・インストラクターに必要な心構え】
(1)会社の代表・職場の代表であると自覚し参加者に接する
(2)研修を通して会社の考え方、方針を参加者に伝える
(3)職場のニーズにマッチした教育(研修)を展開する
(4)会社の風土・文化の肌感覚を参加者に伝える
(5)自分の経験を直接参加者に惜しみなく伝える
(6)態度、振る舞いが参加者の態度、行動を映す鏡だと自覚する
(7)参加者の身近な相談相手である
【参加者主体の研修をおこなうために必要な主なスキル】
【オンラインならではの特性をいかした教育設計をする】
研修のオンライン化の流れを鑑みると、上記に加え、「オンラインの特性を踏まえた研修設計スキル」や「チームでの対話による学び方のスキル」なども重要になってきます。注意したいのはオフラインの集合研修の内容をそのままオンライン化してしまうとうまくいかないケースが多いことです。培ってきた研修ノウハウや実績を見直すことは勇気がいることですが、オンライン研修を検討する際は、その特性を理解しながら教育設計をすることが重要であるといえます。
<オンラインによる対話の特性>
(1)メタ認知性
画面の中に自分がいることで、自分を外において俯瞰的に世界を見ることができ、内省モードで話をしやすくなります。また、相手と目線が合わないので、1対1にフォーカスせずにいられます。
(2)フラット性
等分に括られた画面にフラットに存在している感覚になるため、上司・部下、本社・現場、年上・年下等のランクが生まれにくく、普段は口に出しにくい問題も取り上げやすくなります。
(3)越境性(時空間)
離れた場所の人同士がオンラインで即つながるので、組織や企業間の壁も越えて参加しやすく、多様な価値観や考え方に触れられます。
まとめ
●研修の質の向上が、組織の発展に直結する
研修で学んだことをもとにして、「問題が解決した」「実績が上がった」「業務の効率化につながった」などの具体的な成果に結びつけるのが、講師・インストラクターの役割であり、ゴールです。研修を受けた参加者が、自身のビジネスで成果が得られることで、モチベーションが向上するため、組織力を高めることにも繋がります。
講師・インストラクターの仕事は、人材育成そのものです。従業員を育てることで、会社、組織をけん引する重要な役割を担っています。
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