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  • 対象: 人事・教育担当者
  • テーマ: 人事制度・評価
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目標管理とは?MBO、OKR、KPIの違いや導入方法、注意点など

目標管理とは?MBO、OKR、KPIの違いや導入方法、注意点など

目標管理はどの企業においても必要となるものでしょう。この記事は、目標管理を適切に行うために、目標管理の概要、目標管理を企業に導入するための手順などを、詳しく解説します。業務の効率を上げ、業績向上につなげるために、適切に目標管理を導入・運用しましょう。

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目標管理制度とはどのような制度か

目標管理とは、業務における目標を設定したのち、目標を達成できているのか、達成できていないときにはなぜ達成できないのかなどを、分析・管理することです。目標管理で達成度を測定し、人事評価に活用している企業も多くあるでしょう。社員それぞれが目標達成を目指し、適切な行動をとることにより、企業自体の目標達成につながります。

目標管理の種類

目標管理にはいくつかの種類があります。それぞれ目標の設定方法や評価方法が異なるため、企業にあった方法を選んでください。

MBO

目標を企業や部署単位ではなく、社員個別に設定する方法です。目標の具体的数値や期日を細かく設定するため、あいまいな差が少なく、社員の判断にゆだねることはありません。目標の達成度合いにより評価が決まります。業績を評価しやすい目標管理方法でしょう。

OKR

OKRも目標管理のなかの1つです。個人と企業の目標をリンクさせ、高い目標に対してシンプルかつ短期間で達成できるような目標を設定します。定量的で客観的に測れる数値を目標として設定し、6~7割ほど達成できれば目標を達成したと判断します。

OKRでは、目標設定・進捗管理・評価を短期間で見直すため、現代のような変化が激しい時代にあっている方法といえます。Googleやメルカリなどの有名企業でもOKRを採用しています。

KPI

KPIは目標設定のために使用される指標です。最終目標を設定し、それまでにどのようなプロセスをたどればよいのか、具体的数値として設定します。企業としての最終目標達成のために、何をすべきかを把握できます。

KGI

KGIは売上高や成約数など、企業にとっての最終目標のことをいいます。KGIは最終目標、KPIはKGI達成のための具体的な指標です。

目標管理のための代表的手法

目標管理を設定するためには、いくつかの手法があります。そのなかから代表的なものを紹介します。

ベーシック法

2×2の表を作成し、そこに書き込むかたちで目標設定を行います。それぞれのマスには、目標、達成基準、計画、期間を書き入れ、目標やどのように達成するのかを可視化しましょう。

マンダラチャート

マンダラチャートは、最終目標を行うためには何をすべきか、細かく細分化するためのチャートです。3×3の小マスを3×3に並べたものを用意します。マスの数は合計9×9=81個です。

マスの中央に最終的な目標を記載します。そして、その周囲8マスに最終目標達成するための、細かい目標を8個記述しましょう。その細かい目標は中心の3×3マスの周囲にある8つの3×3マスの中心に転記します。

周囲の3×3マスは、中心に転記された細かな目標を達成するために、何をすべきか具体的に記述します。

SMARTの法則

SMARTの法則は、以下の単語の頭文字を略した法則です。

・Specific:具体的
・Measurable:計測可能
・Agreed upon:達成できる範囲内
・Realistic:現実的
・Timely:期限あり

目標管理のためには、上記のように実際に達成可能で、いつまでにどのくらい達成すべきか客観的に判断できる目標を設定すべき、という法則です。SMARTの法則で目標管理を行うと、メンバー同士で共有しやすくなるでしょう。

HARDゴール

HARDゴールは以下のような単語で構成され、SMARTの法則よりも感情に即したものとなっています。

・Heartfelt:どうしても達成したいもの
・Animated:目標達成後の活き活きとした状態が想像できる
・Required:何が必要とされているのか明確にする
・Difficult:困難でやりがいのあるもの

社員個人のやる気を引き出し、今後のキャリアの目標を設定するのに最適でしょう。

目標管理の歴史と今後の流れ

目標管理はどのようにして生まれ、企業に取り入れられてきたのでしょうか。目標管理の歴史と今後の予測について解説します。

起源については諸説あり

目標管理がいつ、どこで、どのようして始まったのかについては諸説あり、研究者の間では今でもよく論じられているテーマです。旧約聖書が起源ではないか、という説もあります。

1950年頃ドラッカーが提唱

ビジネスの場に目標管理が使用されたのは、1950年頃ドラッカーにより提唱されたことが始めとされています。当時、実際に様々な企業で経営手法の一つとして扱われていた手法を、ドラッカーがまとめ、目標管理として発表しました。

1960年頃に日本に渡る

日本では、ドラッカーが提唱したのち、1960年頃に取り入れられたとされています。ただ、日本では年功序列型で、個人がどの程度目標を達成しているのかどうかは、あまり重要視されていませんでした。そのため、一部の企業が人材育成などのためだけに導入したといわれています。

バブル崩壊を期に日本でも浸透しはじめた

日本で目標管理が注目され始めたのは、バブル崩壊後です。バブル崩壊後は年功序列で雇用を保証することが難しくなり、成果主義へと転換されました。成果主義で正しく人事評価を行うため、目標管理の考え方や手法を導入する企業が増えてきた、といわれています。目標管理は、その人がどの程度企業に貢献したのかを把握しやすくします。

予測される目標管理の今後の流れ

現代では、働き方改革による多様な働き方の推奨や、新型コロナウイルス感染症により、今までどおりの働き方や評価方法は難しくなりつつあります。それと同時にも目標管理についても、見直しが必要になってくるでしょう。実際に、ジョブ型雇用への移行を検討する企業も増えつつあります。目標管理などで、正しく成果を評価できる体制の必要性が高まっています。

目標管理のメリット

企業が目標管理を導入すると、以下のようなメリットを得られます。

透明な評価が可能となる

目標管理はどのような目標を達成すべきか明確にします。そのため、目指すべきものが上司と部下で共有可能です。結果として、評価される側も納得できる透明な評価ができるようになるでしょう。評価のブラックボックス化を防げます。

上司にとって評価がしやすい

何か明確な指標がないと、部下をどのようにして評価すべきか判断が難しくなるでしょう。評価に時間や手間がかかると、精神的に負担も重くなります。目標管理により達成すべきものを明確にできれば、それに即した評価が可能です。

社員のモチベーションアップ

評価の基準が明確化すれば、現在行っていることが評価につながると意識できます。そのため、努力しても評価されないという気持ちや、意味のないことをしているのではないかという疑念を持ちにくくなるでしょう。

社員の自律的行動を促す

目指すべきものが明確化されていれば、社員は自分が何をすべきかわかるようになります。あいまいな目標では、業務の都度指示を待つ状態になりかねません。目標管理を導入し、目指すべき方向性を示すことで、社員が自律的に行動しやすくなります。

目標管理のデメリット

目標管理にはメリットだけではなくデメリットもあります。どのようなデメリットか解説します。

部署によっては目標設定しにくい

目標設定では、定量的なわかりやすい目標を設定すると、進捗管理を行いやすいです。ですが部署によっては目標を明確化できないところもあります。目標が適切でない場合、目標管理が形骸化してしまうケースもあるでしょう。

簡単な目標を設定してしまう

目標を達成し評価を受けるために、誰でも簡単に達成できる目標を設定してしまう場合もあります。目標管理を目標にするのではなく、最終的に何を果たすべきかを意識しましょう。

目標管理の設定手順

目標管理を業務に活かすためには、以下のような手順を行ってください。

目標を設定する

まずは、企業全体、もしくは部署ごとに目標を設定します。その後その部署内で、最終目標を達成するためにメンバーそれぞれが何をすべきか、細かく目標を設定していきます。企業の最終目標を、部署、メンバーにブレイクダウンしていくイメージです。

実行・確認

目標を設定した後は、その目標を達成するための方法を考え、業務を行います。目標に向かっているのか、達成度はどの程度か、その都度確認も忘れないようにしましょう。

フィードバックやフォロー

自己評価と上司による評価により、目標をどの程度達成できているのか、フィードバックを行います。目標管理を正しく行うために、この工程は重要です。上司は部下に対してアドバイスを行いますが、目標達成度合いという結果だけではなく、その結果に至った工程や行動に目を向け、評価改善をしましょう。

目標管理の注意点

目標管理を効果的に行うためには、以下のような注意点に留意してください。

全体の目標と個人の目標を関連づける

全体の目標とは、最終的に企業が何を果たすかの目標です。企業活動は、社員それぞれの行動の結果です。社員個人の目標を設定するときは、全体の目標につながる目標を設定するとよいでしょう。
自分が企業のためにすべきことが明確になり、モチベーションアップにつながります。また、全体の目標を目指すことにより、目標のブレや矛盾などが起きにくくなります。

上司や管理側の教育が必要となる

目標管理は、社員それぞれが行えばよいというものではありません。正しく目標を設定できているのか、達成できているのかは、客観的で適切なフィードバックが必要です。上司など目標管理する側が、目標管理に関する正しい知識を身につけなければなりません。社内研修やセミナー等で、上司や管理側の教育を行いましょう。

人事評価のためだけに使用しない

目標管理を、人事評価に使用している企業も多くあるでしょう。ただ、目標管理の結果をすべて人事評価のためだけに使用すると、目標達成ではなく人事評価のために行動する社員が増えることが懸念されます。あくまで、評価の1つとして、目標管理の最終目標は企業全体の目標であることを忘れないようにしましょう。

まとめ

目標管理は、企業全体の目標を達成するために必要なものです。社員それぞれが、自分が何をすべきかを把握し、自律的な行動を促すためにも導入してみてはどうでしょうか。

株式会社日本能率協会マネジメントセンターでは、目標管理のための講座をはじめ、さまざまな教育プログラムを実施しています。そして働き方が多様化している現在において、さまざまな角度から調査した目標管理制度の運用実態をまとめました。目標管理、人事評価制度の運用について他社の運用状況と自社を比較したい方は、ぜひお気軽にお申し込みください。

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文責:JMAM HRM事業 編集部
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