社員教育に力は入れてはいるものの、「若手社員に響かない」「なかなか思うように育たない」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
Z世代は、X世代やY世代とは異なる価値観をもつ世代です。Z世代を育てていくには、どのような特徴をもつのかを把握した上で、育成方法を考える必要があります。
今回はZ世代の特徴と育成のポイントをご紹介します。Z世代の育成にお悩みの方は、ぜひご覧ください。
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Z世代の特徴8つ
Z世代とは、1990年代半ばごろ~2000年代前半ごろに生まれた世代を指す言葉です。生まれたときからインターネット環境が整っている、デジタルネイティブ世代に当たります。
そんなZ世代は、X世代やY世代とは大きく異なる特徴をもっているといわれている世代です。
- X世代:バブル期に働き盛りだった1965年ごろ~1980年ごろに生まれた世代
- Y世代:バブル崩壊や就職氷河期を経験した1980年ごろ~1990年ごろ生まれの世代
X世代やY世代には効果的だった育成方法が、Z世代には通用しないことが多々あります。Z世代に合った育成方法を考えるためにも、特徴を把握しておきましょう。
特徴1. キャリアに保守的な考えをもつ
長期的な不況が続くなかで成長したZ世代は、保守的で安定志向な傾向にあります。何かに挑戦して失敗するよりも、失敗回避を目指す人が多いのが特徴です。「失敗したくない」「無理のない範囲で働きたい」との理由から、出世を望まない人も増加しています。
また、出世意欲がある人でも、終身雇用に期待しておらず帰属意識が低めです。同じ会社に長く勤めて出世を目指す意識が低い傾向にあり、キャリアアップのためにあっさりと転職することがあります。
特徴2. 認め合い、助け合う関係性を好む
子どものころからインターネットを活用し、世界中の情報に触れているZ世代は、多様な価値観を尊重します。自分自身の価値観も大切にしているため、お互いに認め合い、助け合う関係性を好む傾向にあります。
男女平等の意識も根付いているので、性別によって評価が変わる、理不尽なルールを押しつけられるといった状況も受け入れられにくいでしょう。
特徴3. 価値観が合わない仕事や組織とは距離を置く
上記のとおり、Z世代は自分の価値観を大切にする人が多いのが特徴です。「価値観が合わない」「居心地が悪い」と感じた仕事や組織とは、そっと距離を置きます。
内面が繊細なうえ、SNSでの炎上トラブルなどを多く目にしてきていることから、争いごと・衝突を避ける傾向にあるためです。
組織が合わないと感じると、無理に馴染もう・改善しようとはせず、契約範囲内の最低限の仕事のみこなしながら「静かな退職」を目指します。
特徴4. スペシャリストを目指す志向が強い
X世代やY世代には、出世のために幅広い業務をこなす、ゼネラリストを目指す人が多くいました。しかし、Z世代はさまざまな仕事に手を出すより、専門性を磨きたいという意識が強い人が多いのも特徴です。
長い不況のなか育ってきたZ世代は、もしものときに備え、どこでも通用する人材になるために、資格取得やスキルアップを重視する傾向にあります。
特徴5. 丁寧な指導を求める
Z世代はネットを活用してさまざまな情報を集め、「正しいか正しくないか」を判断する能力が長けています。
そのため、根拠のない指示や公平性を欠く評価を嫌うことが多く、「とにかく会社の指示・命令には従うべき」という考えは通用しません。指示・命令を出すときには目的や根拠を示すなど、丁寧な指導を求める人が多い傾向にあります。
特徴6. 承認欲求が強い
Z世代は子どものころからSNSを活用してきた世代で、自分が属するコミュニティを大切にしているのが特徴です。
そして、「コミュニティのなかで認められたい」「共感してほしい」という欲求が強い人が多くいます。SNSで「いいねを多く集めたい」というような気持ちと同じと考えるとわかりやすいでしょう。
特徴7. コスパ・タイパを求める
あらゆる情報が溢れる環境で育ったZ世代は、安くておいしい飲食店を求める、動画の閲覧は1分未満のショート動画をメインで視聴するなど、自分が使ったお金・時間に対するパフォーマンスの高さを重視します。
仕事においても同様に「無駄」を嫌うため、非効率と感じた作業を倦厭しがちです。最低限の労力で、高いパフォーマンスを発揮することを考えます。
特徴8. エンゲージメントが高い層はキャリアビジョンが明確
Z世代はひとつの会社に固執しておらず、柔軟に働きたいと考える人が多いのが特徴です。副業や複業(複数の仕事を本業として同時進行すること)、転職などによって、スキルアップ・キャリアアップを図る人が多く見られます。
とくにエンゲージメントが高い層は自分のキャリアビジョンが明確で、積極的に人脈や経験を増やす活動を行っています。
Z世代の特徴を活かして育てるポイント
ここまでご紹介したとおり、Z世代は保守的で助け合いができる環境を好む、コスパ・タイパを重視するなどの特徴があります。
Z世代の育成方法を考えるときには、こうした特徴を踏まえたうえで対応方法を考えることが大切です。ここでは、Z世代の特徴を生かして育てるポイントについて解説します。
目標をもとに自身の「ありたい姿」を設定させる
Z世代は多様な価値観を尊重する柔軟性がありますが、その反面主体性が欠けるともいわれています。上から指示を出すばかりでは主体性が育たないため、自分で考え動く機会を設けることが重要です。
まずは、今後の目標をもとに自分自身の「ありたい姿」を設定させてみましょう。そして、ありたい姿を実現するには何が必要かをたずねるなど、質問をうまく活用して、主体的にキャリアを考える志向を育てていきます。
目的を伝える
丁寧な指導を求めるZ世代には、指示を出すときに目的を明確に伝えることが重要です。
なぜこの作業が必要なのか、この仕事が何の役に立つのかなど、目的(メリット・効果)をしっかり伝えると、モチベーションが上がりやすくなります。
一人ひとりにメンターをつける
幼いころからインターネットを活用してきたZ世代は、自分の素をさらけ出すことにリスクを感じています。
悩みや自分なりの意見があっても、なかなか自分からアクションを起こせないため、一人ひとりにメンターをつけ、安心して相談できる状況を作ることも大切です。
また、繊細で自分の価値観を大事にしているZ世代から信用を得られるように、メンターはじっくりと話を聴ける傾聴力を身につける必要があります。傾聴スキル研修を実施するなど、メンターとなる社員のスキルアップを図りましょう。
継続的に成長できる機会を与える
Z世代はスキルアップに意欲的な人が多く、「この会社では成長できない」と感じるとモチベーションが下がったり、退職してしまったりすることがあります。
今割り振っている業務以外へのチャレンジを認める、学習環境を整えるなど、継続的に成長できる機会を与えていきましょう。
定期的に振り返りフィードバックする
承認欲求が強く「認められたい」と感じているZ世代は、職場で自分がどう評価されているのか不安を感じています。そのため、小さな成功体験を重ねる機会を与え、自己肯定感を高めることも大切です。
成長や評価が目に見えてわかるように、成長計画を立てて定期的に結果や目標達成率を振り返ると良いでしょう。必要に応じてフィードバックを行い、より成長できるようサポートすることが重要です。
企業におけるフィードバックのポイントについては、以下の記事で解説しています。
まとめ
子どものころからインターネットを活用し、多様な価値観に触れてきたZ世代には、これまでのやり方が通用しません。まずは、Z世代の特徴を把握して、彼らの価値観にあったアプローチを考えることが必要です。
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