コラム
  • 対象: 全社向け
  • テーマ: ビジネススキル
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傾聴力を高める5つのトレーニングとスキルを伸ばす育成施策を紹介

傾聴力を高める5つのトレーニングとスキルを伸ばす育成施策を紹介

傾聴力は、ビジネスにおいては、コミュニケーションの質や信頼関係の構築、課題解決などに多くのメリットをもたらすスキルです。今回は、傾聴力を向上させるための5つのトレーニング方法と、スキルを伸ばすための効果的な育成施策を紹介します。

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傾聴力とは?

傾聴力とは、相手の話を「よく聞く」力のことです。ビジネスシーンでは、社員の考え・意見を深く理解するために聞くことや、課題解決のヒントを見出すために仕事の進め方について深く聞くことが求められます。単なる「聞く」こととは異なり、相手の話の背後にある意図や感情を汲み取る能力を含みます。

傾聴力は、アメリカの臨床心理学者カール・ロジャースによって提唱されました。カウンセラーが身につけるべき重要なスキルのひとつとされています。

傾聴力に必要な3要素

傾聴力を活かすためには、カール・ロジャースが提唱した「ロジャースの三原則」を理解し、実践することが重要です。それぞれ詳しくみていきましょう。

共感的理解

共感的理解とは、話し手の立場になって話を聞く態度や姿勢を指します。単なる同意や同情とは異なり、話し手の感情や視点に深く寄り添うことが求められます。

例えば、同僚がプロジェクトの進行について悩みを打ち明けてきた場合、ただ「それは大変だね」というだけでなく、「どれほどのプレッシャーを感じているか理解できるよ」と伝えることで、共感的理解を示すことが可能です。

無条件の肯定的関心

無条件の肯定的関心とは、自身の価値判断や先入観を排除し、常に相手の話に対して肯定的な関心を持って聞く態度を指します。話し手は自分の考えや価値観が尊重されていると感じ、安心して話すことができます。

例えば、部下が新しいアイデアを提案したとき、「そんなの無理だよ」と否定するのではなく、「そのアイデアにはどんな可能性があるか、詳しく教えてくれる?」と問いかけることで、肯定的関心を示すことが可能です。

自己一致

自己一致とは、話し手の意図を理解し、言葉の奥にある真意を把握する態度を指します。理解したふりをするのではなく、わからない点は率直に質問し、誤解を防ぐことが重要です。

例えば、チームメンバーがプロジェクトの方向性について説明しているときに、曖昧な点があれば「その部分についてもう少し詳しく説明してもらえる?」と尋ね、追加の情報を得ることで、自己一致を保つことができます。

傾聴の基本ステップ

傾聴は、「受動的傾聴」「反映的傾聴」「積極的傾聴」の段階を踏んで行う必要があります。それぞれのステップを具体例とともに解説します。

STEP1 | 受動的傾聴

受動的傾聴は、相手を尊重しながら真摯に耳を傾けることを指します。相手の話を受け止め、「自分の話を聴いてもらえている」「自分の話を受け入れてもらえている」という安心感を与える手法です。

具体的な方法としては、同僚が業務の悩みを話しているときに、相手の話すペースに合わせてうなずく、相槌を打つ、アイコンタクトをとる、などにより、「私はあなたの話をしっかり聞いています」という姿勢を示します。また、話し手が言葉に詰まった場合は、急かさずに話し出すまで待つことも重要です。

STEP2 | 反映的傾聴

反映的傾聴は、相手が話している内容を相槌の中に反映させながら聴く方法です。これは、心理学におけるカウンセリングでも用いられているバックトラッキングの基本系であり、相手は「自分の話の内容や心情を理解してもらえている」と感じます。

例えば、部下がプロジェクトの進捗について話しているとき、「そうなんだ、資料の作成が大変だったんだね」というように、相手の言葉を要約して返すことで、理解していることを示します。

相槌を打つときは、下記4つのポイントを意識することが重要です。

  • 明快
  • 短い
  • 要点を掴む
  • 相手の使った言葉で行う

STEP3 | 積極的傾聴

積極的傾聴は、相手の話に言葉を添えたり質問したりすることで、より深く思考できるように促す手法です。相手は価値観や気持ちなどの深層的な内容を進んで話すようになるほか、自身が気づいていない本音や新たな視点に気づけるようになります。

例えば、友人がキャリアの悩みを話しているとき、「その選択肢について、どう感じているの?」と質問することで、相手の思考を深めることができます。ただし、聞き手が意図する方向に話を向かわせるような誘導尋問は避けましょう。

社員の傾聴力を高める具体的なメリット

傾聴力は、特にマネジメントに関わる方にとって重要なスキルです。社員の傾聴力を高めることで得られるメリットを解説します。

顧客との関係づくり

社員の傾聴力を高めることで、顧客からの信頼度が高まります。

例えば、傾聴スキルの高い営業担当者は、顧客の悩みや要望を細かく聞き出し、共感を示すことができます。ニーズの正確な把握や、的確な提案にもつながるため、顧客から信頼を寄せてもらいやすくなります。

メンバーの育成・メンタルケア

傾聴力の高いリーダーは、メンバーが自分の考えやアイデアを言いやすい雰囲気を作り出します。例えば、チームミーティングでリーダーが一人ひとりの意見を尊重し、積極的に聞く姿勢を示すことで、メンバーは安心して発言できます。社員の悩みや困りごとも早期に引き出せるようになるため、ストレス軽減にもつながります。

メンタルは仕事のパフォーマンスに直結するため、早めの気づきが得られるメリットは大きいといえるでしょう。

心理的安全性が高まりパフォーマンスが向上

リーダーが傾聴力を身に付けていると、心理的安全性が高いチームをつくり出すことができます。心理的安全性とは、メンバーが安心して意見を述べ、ミスをおそれずに業務に取り組むことができる環境のことです。

リーダーが常にメンバーの意見に耳を傾け、理解を示すことで、メンバーは自己表現をしやすくなります。これにより、チーム全体のパフォーマンスが向上し、創造的なアイデアや効率的な問題解決が期待できるようになるのです。

心理的安全性について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

傾聴力を高める5つのトレーニング

傾聴力は、効果的なコミュニケーションを実現するための重要なスキルです。日頃から意識してトレーニングを行うことで、傾聴力を高めることができます。

下記に、具体的な傾聴テクニックを5つ紹介します。社員の傾聴力を高める際の参考にしてください。

「相手7:自分3」の割合で会話する

傾聴するときの会話の割合は「相手7:自分3」が理想とされています。社員に自分の会話スタイルを振り返ってもらい、理想の割合とのギャップを認識してもらうと良いでしょう。

自分の話ばかりしてしまう癖がある場合は、意識的に自分の発言を控えるなどのトレーニングが必要です。

バックトラッキング

バックトラッキングは、「傾聴力の種類」で紹介した「反映的傾聴」における相槌の応用版です。相手の話を繰り返すことで、相手に「自分の話を理解してもらえている」と感じさせます。例えば、同僚が「新しいプロジェクトが大変なんだ」と話した場合、「そうなんだ、新しいプロジェクトが大変なんだね」と繰り返すことで、同僚の気持ちに寄り添います。

「事実(相手の話)」を繰り返す、「感情」を繰り返す、「要約」を繰り返す、の3種類を的確に使い分けることが大切です。

ミラーリング

ミラーリングは、相手の仕草や行動、言動を真似る技法です。相手に親近感を与える効果があります。例えば、顧客との商談中に、相手が腕を組んだら自分も同じように腕を組むことで、無意識のうちに相手に安心感を与えます。

ただし、やり過ぎると相手に不快感を与えるおそれがあるため、実践させる際には注意が必要です。

ペーシング

ペーシングは、会話のテンポや声の高さ・明るさ、呼吸のリズムを相手のペースに合わせる技法です。例えば、部下が落ち着いたトーンで話しているときは、自分も同じトーンで話すことで、よりスムーズなコミュニケーションが取れるようになります。

相槌のタイミングを計ることから始め、徐々に相手のペースに合わせるトレーニングが有効です。

パラフレージング

パラフレージングは、話の内容を適宜まとめながら聴く技法です。例えば、同僚が仕事の悩みを3つ打ち明けた場合、「つまり、今の悩みは〇〇と△△、□□の3つなんだね」と答えることで、話の内容を理解していることが伝わります。

ある程度話を聞いたら、その内容を自分の言葉で言い換えるトレーニングが有効です。

社員の傾聴力を高める4つの施策

傾聴力は、さまざまなビジネスシーンで活用できるスキルです。チームのパフォーマンス向上や社員のメンタルケアに直結するため、マネジメントに携わる方にとっては特に重要でしょう。

下記に、社員の傾聴力を高めるための具体的な施策を4つ紹介します。

スキル研修を実施する

傾聴に特化したスキル研修を実施することで、社員の傾聴力を体系的に向上させることができます。コーチング研修やコミュニケーション研修の一環として傾聴スキルを学ぶと良いでしょう。

JMAMでは、傾聴のメリットを理解・実感できる多彩なプログラムを用意しています。これらの研修を通じて、傾聴の基礎から応用までを学ぶとともに、社内に傾聴文化を醸成するきっかけをつくることができます。

●コミュニケーションを良くする3つのスキルコース

●マネジメント・ダイアローグ研修

●部下指導力向上コース

●多様化する部下に対応するマネジメントコース

ロールプレイングで傾聴を体験させる

ロールプレイングを通じて、実際の会話をシミュレーションし、傾聴スキルを実践的に体験させることができます。聴き手、話し手、オブザーバー(観察者)の三役を設定し、営業先との会話を想定したロールプレイングを研修で取り入れると良いでしょう。

聴き手役の社員は顧客の話を真剣に聞き、相槌やアイコンタクトを行いながら対応します。一方、話し手役の社員は顧客役として自分のニーズや要望を伝え、オブザーバー役の社員はそのやり取りを観察してフィードバックを行います。

繰り返し行うことで、社員は自然に傾聴スキルを身につけることが可能です。また、重要なキーワードをそのままくり返す「伝え返し」だけを繰り返すロープレ手法も効果的で、集中して相手の話を聞く能力を習得できます。

1on1での実践を促す

1on1ミーティングは、部下の成長を促すマネジメント手法として多くの企業で取り入れられています。研修やロープレなどで得た傾聴スキルを、1on1ミーティングで実践してもらいましょう。

スキルの習得は、インプットだけでなくアウトプットによって定着させることが重要です。日々の業務やコミュニケーションを通して、実践を促しましょう。

まとめ

傾聴力の強化は、職場の人間関係だけでなく、生産性や人材育成にも直結します。コミュニケーションの質を高めるために傾聴力の有効性に目を向け、傾聴力の向上に積極的に取り組みましょう。

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