コラム
  • 対象: 管理職
  • テーマ: リーダーシップ
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リーダーシップとは?定義や理論、発揮するために必要なスキルを解説

リーダーシップとは?定義や理論、発揮するために必要なスキルを解説

リーダーシップとは、組織の目標を達成するために社員を牽引する能力のことです。経営者や管理者だけでなく、プロジェクトやチームのリーダーにも求められます。リーダーシップは紀元前から提唱されており、現代まで幾度となく変化を遂げてきました。

本記事では、リーダーシップの定義や必要な要素、歴史、理論などについて詳しく解説します。

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リーダーシップとは

リーダーシップはマネジメントと混同されがちなうえに、組織によって考え方が異なる場合があります。まずは、リーダーシップの定義とマネジメントとの違いから詳しく解説します。

リーダーシップの意味

リーダーシップとは、組織を目標に導く統率力や指導力のことです。組織のビジョンを提示して理解を促すほか、メンバーのモチベーションの維持、問題解決などを行います。

リーダーシップとマネジメントとの違い

リーダーシップは主に目標達成においてメンバーの自発的な行動を奨励し、ビジョンを共有し導くことを重視します。

これに対してマネジメントは、組織の効率的な運営や活動促進を重視し、メンバーを管理しつつ目標達成に向けて効果的な手段を見つけ出すことを指します。

企業におけるリーダーの役割

企業において、リーダーはリーダーシップとマネジメントの両方を発揮することが重要です。

具体的には、下記のような役割が求められます。

  • チームの目標を明確にする役割
  • メンバーの成長を促す役割
  • メンバーが能力を発揮しやすい環境を構築する役割
  • 自ら主体となって行動する役割
  • 熱意をメンバーに伝え、チームの士気を高める役割

リーダーシップ理論の変遷

リーダーシップの概念は古代から現代にかけてさまざまな理論によって探求され、そのあり方は歴史的に変遷してきました。

ここでは、リーダーシップ理論の進化と特長について解説します。

特性理論【リーダーには共通する特性がある】

リーダーシップ研究の歴史は紀元前までさかのぼります。初期に提唱された「特性理論」は優れたリーダーの特徴は先天的に決まっており、生まれ持った素質によって成り立っているという理論です。

つまり、優秀なリーダーは後天的に育成によって育てることは難しいとされています。

しかし20世紀に入り、心理学者のピネーやシモンらによって、リーダーシップを発揮できるかどうかには生まれ持った特性だけではなく、状況や組織文化などさまざまな要因が絡むことが提唱されました。こうして、特性理論は過去の考え方と位置づけられました。

行動理論【良きリーダーは行動が優れている】

行動理論は、優れたリーダーシップを発揮する人々に共通してみられる、「仕事」と「対人」においての行動パターンに焦点を当てた理論で、1940~60年代に提唱されました。先天的要素を重視する特性理論に対し、行動理論では、後天的な要素「行動」を重要視します。

「仕事」に関する行動では、組織の業務や目標達成に対する計画的で組織的な取り組みが重視されています。例えば、プロジェクトマネージャーが進捗を監視し、必要な調整を行うことが挙げられます。

「対人」に関する行動では、人間関係の構築やチームの協力を促進する取り組みが重視されています。良きリーダーはコミュニケーション能力や柔軟性を持ち、困難な状況においても部下やメンバーとの協力を欠かさないという考え方です。

この理論はシンプルで理解しやすく、現在でもリーダーシップの理論として論じられています。

状況適合理論【状況によって必要なリーダーシップは変わる】

状況適合理論は、異なる状況に応じて必要なリーダーシップが変わるという理論です。

好ましい状況と厳しい状況、普通の状況の3つにおいて、良い結果を生むリーダーシップが異なるとする考え方が示されました。

好ましい状況下と厳しい状況下では、課題志向型のリーダーシップが適しているとされます。課題を掲げて計画的に解決に向けて部下やメンバーを牽引する人物は、組織のさらなる成長や厳しい状況からの復活を主導できるとの考え方です。

一方、普通の状況では、対人志向型のリーダーシップが有効とされます。メンバーとの良好な人間関係の構築やサポートにより、結果的に組織の成長につながると考えられているからです。

交換理論【リーダーシップは社会的交換に基づくもの】

交換理論は、リーダーシップがリーダーとメンバーの社会的交換に基づくものであるとする考え方です。

リーダーが「指示や提案」を行い、部下やメンバーがそれに対して「服従や貢献」を行った場合、一般にリーダーは何かしらの社会的報酬を提供します。この報酬には金銭的に限らず、称賛や激励といった心理的な報酬も含まれます。

変革型リーダーシップ理論【リーダーシップは組織の変革を推進する】

変革型リーダーシップ理論は、組織が経営危機や変革が不可避な状況に直面した際に、積極的に変革を進め、組織を持続的な成功に導く理論です。

社会情勢や市場の急速な変化、技術革新の進展により、企業は常に変革への対応が求められています。

例えば、日本航空が経営危機に直面した際、稲森和夫氏が「アメーバ経営」と呼ばれる手法を導入し、わずか2年でV字回復させました。組織全体に変革の意識を浸透させ、効果的な経営手法を取り入れることで、企業は危機から脱したのです。

このように、状況に応じて変革するよう部下やメンバーを導く人物が求められています。

近年注目されるリーダーシップの考え方

現在の経営環境では、「部下やメンバー一人ひとりがリーダーシップを発揮できる環境をつくる」というリーダーシップの新しい考え方が注目されています。

これは、上からの指示に頼らず、組織内のあらゆるメンバーが積極的にリーダーシップを発揮できる環境を構築することを目指す考え方です。

そのなかで、近年は下記のような考え方が展開されています。

  • リーダーシップ開発論
  • オーセンティック・リーダーシップ
  • リーダーシップ「DAC」モデル
  • コレクティブ・ジーニアス
  • インフォーマルリーダーシップ
  • PM理論
  • SL理論

そのうち代表的なPM理論とSL理論を簡単に紹介します。

なお、下記資料ではリーダーシップ研究の新潮流についてまとめています。気になる人事担当者の方はぜひご覧ください。

PM理論

リーダーがとるべき行動をP(パフォーマンス)とM(メンテナンス)の2軸でとらえる理論です。

P(パフォーマンス)はチームの目標設定やメンバーへの適切な指示を出す「目標達成能力」を示し、M(メンテナンス)はチームの人間関係を良好に保つ「集団維持機能」を意味します。

PM理論ではリーダーシップを下記の4タイプに分けています。

pm:目標達成能力も集団維持機能も低い
Pm:目標達成能力は高いが集団維持機能が低い
pM:目標達成能力は低いが集団維持機能は高い
PM:目標達成能力も集団維持機能も高い

理想的なリーダーはPM型です。

PM型のリーダーは、チームワークが良好で高い成果を上げる組織へと導きます。

SL理論

リーダーは部下の状況に応じて役割を変えることが重要とする理論です。

部下の成熟度に応じて必要なリーダーシップのスタイルを変えることが望ましいとされます。部下の成熟度は1~4に分けられ、それぞれの特徴は下記の通りです。

成熟度1:新入社員。何をすべきか分からず失敗をするのが怖いと感じている。
成熟度2:若手社員。積極的に学びたいと感じている。
成熟度3:中堅社員。最低限の指示で業務を1人で遂行できる。
成熟度4:ベテラン社員。業務のプロとして責任を負える。

また、リーダーシップのスタイルは下記の通りです。

S1(指示型):成熟度1の部下に対して具体的な指示を与える
S2(説得型):成熟度2の部下に対して業務に対する姿勢や目的を伝え、同意を得ながら説得する
S3(参加型):成熟度3の部下の意見を取り入れながらアプローチしていく
S4(委任型):成熟度4の部下に責任を与えつつ適切なコミュニケーションをとる

現代のリーダーが導く組織に求められる要素

現代のリーダーが導く組織では、「個の発揮」よりも「個が発揮できる環境」が重視されます。

これは、組織内の個々のメンバーが最大限に力を発揮し、組織全体が持続的な成功に向けてともに進むための基盤を築くことを意味します。

現代のリーダーに求められる具体的なスキルは下記の通りです。

  • 行動力:自ら考え行動できる
  • コミュニケーションスキル:コミュニケーションを通してメンバーの強みや弱み、価値観を理解できる
  • 意志決定力:状況に応じて臨機応変に判断できる
  • 人材育成:メンバーの成長を促す働きかけができる

リーダーは部下やメンバーとともに目的を明確化・共有し、組織文化として浸透するように努める必要があります。

部下やメンバー一人ひとりのスキルや才能を最大限に引き出すために、適切なトレーニングや成果を評価する制度の整備、挑戦的なプロジェクトへの参加などに取り組むことも重要です。

また強固な組織にはメンバー間の強い相互信頼があります。

透明性のあるコミュニケーションを奨励し、メンバー同士がアイデアや懸念を自由に共有できる雰囲気を醸成することが求められます。

企業のリーダーシップ教育を強化するには

急速な変化が激しく将来の予測が困難なVUCA時代において、リーダーシップ教育が一層の重要性を増しています。

リーダーシップ教育では、あるべきリーダー像を学ぶだけではなく、実際の経験や体験を通じて学び続けることが不可欠です。

実際に起こり得るシミュレーションを行い、リーダーシップのスキルを発展させることが変化に適応できるリーダーを育てるためのポイントです。

JMAM(日本能率協会マネジメントセンター)では、科学的なアプローチに基づき、効果の高いリーダーシップ教育プログラムを提供しています。これにより、組織内でリーダーとしての資質を向上させ、変化に対応できる指導者を育成することが可能です。

リーダーシップ教育にお悩みの企業様はぜひお気軽にご相談ください。

まとめ

リーダーシップの定義は時代とともに変化してきたものの、行動理論や変革型リーダーシップ理論は現代でも論じられています。

また、現代ではリーダーシップを発揮できるリーダーを育てるだけではなく、メンバーそれぞれがリーダーシップを発揮できる環境を醸成することも求められています。

今回解説した内容を参考に、リーダーシップについて理解を深めつつ、メンバーを牽引して組織の成長に寄与できるリーダーを育てていきましょう。

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