コラム
  • 対象: 人事・教育担当者
  • テーマ: 採用
  • 更新日:

適性検査の種類とは?企業が実施するメリット・活用方法を解説

適性検査の種類とは?企業が実施するメリット・活用方法を解説

自社に適した人材を選ぶために採用プロセスを改善する中で、改めて適性検査を見直したり、新たに導入を検討している企業は多いのではないでしょうか。
適性検査と一口にいっても、様々な種類があります。この記事では、適性検査の見直しや導入を検討している採用担当者に向けて、適性検査とは何か、実施するメリットや活用方法などを詳しく解説します。ぜひ、参考にしてください。

適性検査とは?

適性検査とは、人材を客観的に見極める方法の1つとして行われる検査のことです。組織や職務に適した能力・資質を備えているか、持ち味を発揮できるかを測るために活用されています。

採用プロセスのなかで、面接も一部オンラインで行う企業が増えていますが、オンライン面接は対面の面接よりも、非言語の部分で人材の特性を把握する情報量が落ちがちです。それを適性検査を用いて補ったりすることで採用のミスマッチを防いだり、採用担当者の業務負荷を軽減させることができます。

また、データによる人材管理を進めるうえでは、採用場面だけではなく、適材適所の人員配置を検討するための材料に使ったり、配属後の人材育成にも活用されはじめています。

適性検査の種類

適性検査には大きく分けると、基礎力を見極める「能力検査」と性格等の側面から適性を見極める「性格検査」があります。

(1)能力検査

個人の知的能力、論理的思考力や学力、一般常識を問うことで、採用後に働く現場で必要となる基礎的な能力を備えているかを測定するための検査です。検査には下記のようなものが挙げられます。

●知的能力検査

・言語能力
…指示された内容や新しい概念を言語で理解できる能力

・数理能力
…数値を正しく理解し、計算・分析する能力

・空間知覚能力
…図形・図画・記号などを正確に知覚し、位置関係を理解する能力

●筆記テスト(一般常識テスト、論文)

・一般常識テスト
…企業がその会社で働くために最低限必要としている知識を問う

・論文
…受検者が考えていることや出題されたテーマへの考察の深さなどを確認する

(2)性格検査

個人の性格や行動傾向について測定し、仕事の進め方、対人関係、責任感、意欲などの側面や、ストレス耐性、特定の職務に対する適性を診断する検査です。
性格は短期で変わりにくい要素と考えられており、採用時に自社に適した人材であるかを見極めるために重要な要素の1つとされています。性格検査の結果は、面接や採用の合否判定だけでなく、配属・配置の検討材料や入社後の育成の仕方など幅広く利用されます。

性格検査には様々なものがありますが、手法で分けると大きく3つに分けられます。

検査方法 特徴(メリット・デメリット)
質問紙法 質問項目に対して「はい」「いいえ」などで回答を求めて、その回答傾向から性格・価値観を分類する方法です。
結果の解釈・判断が比較的容易で、一斉に実施できることがメリットである一方、受検者が意図的に回答を変えやすいといったデメリットもあります。
作業検査法 作業検査法とは、計算などの一定の単純作業を連続的に課し、その作業過程の特徴から性格やストレス耐性等を測定する検査手法です。
受検者が意図的に操作しづらいため素質がわかりやすいというメリットがある一方、作業負荷が高かったり、診断には専門的な知識が必要であるなどのデメリットがあります。(代表例.クレペリン検査)
投影法 曖昧な図形や人物の行為や感情を表す絵、未完成の文章などを被験者に見せ、それに対する反応から性格特性や深層心理を専門家が分析するものです。
投影法は受検者の反応を観察するため実施時間や採点時間が長く、専門知識も必要です。(代表例.ロールシャッハテスト)

●ストレスに強い人材を見極める作業検査:Web版「Q-DOG」はこちら

●自身の持ち味を長所として発揮できるか把握する作業検査:「V-CAT」はこちら

適性検査の実施形式の種類

適性検査の実施形式は、大きく3つの種類に分けられます。ここでは、各実施形式について解説します。

Web受検

Web受検とは、自宅のパソコンから適性検査を実施する方法です。企業側で検査会場を用意する必要がないため、検査にかかる時間やコストなどを大幅に削減できるという点が大きなメリットでしょう。ただし、自宅で実施するため誰が受けているか企業側での把握が難しくなり、身代わり受検などの不正防止が課題です。

筆記試験(紙筆式)

筆記試験とは、指定された会場で適性検査を実施する方法です。解答様式は、マークシート式や記入式などがあります。筆記試験の場合は、受検者が一同に集まり、試験中は試験官が同席しているため、不正がおこりにくいことがメリットです。一方で、企業側が会場を用意して時間を指定する必要があるため、その分の手間やコストがかかります。

テストセンター受検

テストセンター受検とは、テストセンターと呼ばれる会場で、用意されたパソコンを使って受検する方法です。テストセンターは全国の主要都市に設置されており、企業側で新しく会場を用意する必要がないため、その分のコストを削減できる点や、専用の会場であるため不正を防止できる点がメリットです。しかし、適性検査を委託する形になるため、委託費がかかります。

企業が適性検査を実施するメリット

企業が適性検査を実施するメリットは何でしょうか。ここでは、適性検査のメリットを2つ解説します。

受検者の能力を数値化し、客観的に判断できる

適性検査を実施することで、受検者の能力を数値化できます。
能力をわかりやすく可視化できるため、採用の判断基準として利用しやすくなります。また、能力が数値化されることで、客観的な判断が可能です。継続的に同一の検査を行っていけば、今後の採用活動にデータを活かせるなど、採用活動の効率化につながります。

見えづらい特性を把握できる

面接でも、ある程度は応募者の性格や価値観を把握することは可能です。しかし、面接時には少しでも自分をよく見せようとするため、実際の考えや性格と乖離する場合があります。適性検査では、応募者の性格や価値観、考え方などの、面接ではわかりにくい特性や傾向を簡単に把握できます。

適性検査の活用方法

適性検査は実施するだけでなく、結果を活用することが重要です。ここでは、適性検査の活用方法を解説します。

人材の見極めとして利用する

適性検査の結果を、自社で活躍できる人材の見極めに利用する場合には、ボーダーラインを決めておくことが重要です。具体的には、適性検査のどの項目に着目するのか、どの数値を重視するのかなど、自社が求める人材像に合わせてボーダーラインを明確にしましょう。

集客施策として利用する

適性検査は、集客として活用することも可能です。適性検査への関心は高まっており、検査結果を知りたいと思っている応募者も多くいます。そのため、「適性検査の結果をフィードバックする」という形で、集客を促進する施策として利用するのもよいでしょう。利用時期・対象としては、インターンシップや新卒採用初期などが適しています。

また、適性検査の結果にフィードバックシートを設けているサービスもあります。そのサービスを活用すれば、キャリア面談やフィードバック面談などの実施につながり、応募者との接触機会を作り出すことが可能です。応募者と結果のすり合わせを行うことで、相手への理解を深めることもできます。

オンライン化する採用活動での適性検査の役割

新型コロナウイルス感染症の流行により、採用活動もオンライン化が進んでいます。
採用前に実際に対面する機会が少ないオンライン中心の採用活動においては、適性検査を効果的に活用しましょう。
たとえば、オンライン面接の場合は、対面で面接を行うよりも非言語の部分に関する情報量が少なくなり、従来は把握できていた特徴も把握しづらい場合があります。適性検査を活用し、オンライン面接ではわかりにくい性格特性について、不足した情報を補完するといった使い方が考えられるでしょう。

日本能率協会マネジメントセンターでは、採用の新しい在り方や、オンラインと対面の違いについて、専門家の知見をもとにまとめた資料を無料でご提供しています。

コロナの影響以降で注目が集まっている適性検査項目とは?

テレワークは今後も継続されていくと予測されます。そのため、性格検査の一部に含まれる“環境変化への対応力(柔軟に適応できる人材か)"や"メンタルヘルス"、"ストレス耐性"といった項目への関心がさらに向上していくと考えられています。
また、慣れない働き方へのストレス、早期離職やメンタル不調の防止だけでなく、新しい環境に早く適応できるかといった観点から適性を確認したり、適応を促進するための育成方法を把握する目的でも注目を集めているようです。

採用以外で適性検査を活用する方法

適性検査は採用以外でも活用可能です。ここでは、採用活動以外で適性検査を活用する方法について解説します。

管理職候補の選抜

管理職候補の選抜でよく利用されるのは、アセスメントセンター方式の検査です。アセスメントセンター方式とは、対象者に実際の業務に近い状況を演習でシミュレーションさせて、アセッサーが評価する方法です。昇進や昇格した後に求められている役割を遂行できるかどうか、見極めることができます。また、結果を対象者にフィードバックし、課題の把握や改善に活かすことも可能です。

育成計画

適性検査では、価値観や対人関係、チームワークの傾向など、様々な観点からデータを得られます。データによるキャリア面談や育成計画の決定などにも活用可能です。また、タレントマネジメントのデータベースに適性検査の結果を活用する企業も増加しています。

退職者分析

適性検査の結果を分析して、退職者分析に活用するケースもあります。せっかく採用しても、数年で退職してしまう場合もあるでしょう。適性検査の結果をもとにして退職者の分析を行うことで、退職者の傾向を発見する場合もあります。また、離職リスクの把握も可能です。これらのデータを活用して、自社の離職防止施策につなげましょう。

適性検査を行うときの注意点

適性検査を行う際には、注意してほしいポイントがあります。
それは、1つの適性検査の結果だけですべてを判断しないことです。

適性検査は、面接や試験だけではわかりにくい、その人の価値観や考え方、特性などをデータとして把握できる検査です。しかし、適性検査は絶対的な基準ではなく、あくまでも判断材料の1つに過ぎません。1つの適性検査の結果だけをうのみにせずに、自社が求める人材像に照らし合わせて多面的に人材の特徴を捉え、総合的に判断しましょう。

適性検査を選ぶ際のポイント

適性検査を何のために活用したいのか、目的を明確化しましょう。
たとえば、応募者の見極めに使いたいのか、それとも惹きつけるためか、育成などに使いたいのかによって、適した検査は異なります。また、適性検査によって検査内容や方法も異なるため、検査項目なども確認しましょう。時間やコストが自社の選考にマッチするかどうか考慮することも重要です。

まとめ

適性検査とは、学力や知能だけでなく、個人の性格や価値観、考え方などのパーソナリティから、適性を見極める検査です。採用シーンだけでなく、管理職候補の選抜や育成計画などにも活用でき、注目が高まっています。

日本能率協会マネジメントセンターでは、採用試験で「ストレス耐性等」を測定する適性検査として、「V-CAT」と「Q-DOG」を提供しています。詳細についてはお問い合わせくださいませ。

JMAM HRM事業 編集部

文責:JMAM HRM事業 編集部
人事・人材教育に関する情報はもちろん、すべてのビジネスパーソンに向けたお役立ちコラムを発信しています。

関連商品・サービス

あわせて読みたい

J.H.倶楽部・会員限定コンテンツ

人事のプロになりたい方必見「J.H.倶楽部」

多様化・複雑化の一途をたどる人材育成や組織開発領域。
情報・交流・相談の「場」を通じて、未来の在り方をともに考え、課題を解決していきたいとの思いから2018年に発足しました。
専門誌『Learning Design』や、会員限定セミナーなど実践に役立つ各種サービスをご提供しています。

  • 人材開発専門誌『Learning Design』の最新号からバックナンバーまで読み放題!
  • 会員限定セミナー&会員交流会を開催!
  • 調査報告書のダウンロード
  • 記事会員制度開始!登録3分ですぐに記事が閲覧できます