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入社3年以内の新入社員の離職率|将来性がある人材の離職を防ぐ方法とは

入社3年以内の新入社員の離職率|将来性がある人材の離職を防ぐ方法とは

新入社員の離職は、会社に大きな損失をもたらします。ここでは、新入社員の離職を防ぎたい人事担当者に向けて、離職率の状況や離職率を低下させる対策などを解説します。新入社員が離職する理由を理解し、職場環境の改善と新入社員のフォローに役立ててください。

そもそも離職率とは

離職率とは、一定期間に組織を離職した労働者の割合です。
計算式は「離職率=(一定期間内の離職者数)÷(期初または前期末の常用従業員数)×100」です。

離職率を求める際は、計測するタイミングやスパンで数値が大きく変わるため、「一定期間」の設定に注意しなければいけません。

2019年の新入社員の離職率は約3割

厚生労働省が2020年に報告したデータによると、2019年における入社3年以内の離職者は約3割です。大学卒の離職率が32.8%、短大卒は43.0%、高校卒は39.5%、中学校卒は59.8%となっています。高校卒以上になると、離職率に目立った差はみられないことが分かります。

【参考】近年は3割程度で推移

新入社員の離職率は、ここ数年で急激に上昇したわけではありません。就職氷河期とされた1999~2005年においては、離職率が悪化して35%前後で推移しました。しかし、景気の回復とともに離職率もやや良化し、2010年以降は32%程度で安定しています。

新入社員が離職する主な理由とは

新入社員の離職理由は、さまざまです。代表的な理由を学び、適切な対策を打ちましょう。

業務に対する給与に満足できない

人事評価の対象になったり、昇給したりするタイミングで、業務に対する給与に不満を抱いたことで退職を考える新入社員がいます。

なかには、社会保険料の控除額に驚く新入社員も少なくありません。この場合は、事前に昇給により報酬が上がるしくみ、給与から控除される項目や控除の理由などを説明しておくと、離職を食い止められる可能性があるでしょう。

企業への期待と現実とのギャップ

懇親会やインターンシップなどの雰囲気と、入社後の様子にギャップを感じる新入社員もいます。会社に対する疑問を解決しないまま入社し、働きだしてから悩むケースもあるため注意が必要です。

内定時と入社時の会社の印象が大きく違うと退職につながる恐れがあります。採用段階から、厳しい面や現実的な面も正しく伝える、働くイメージをもたせる、入社時の研修などで働く意識を醸成させるといった、採用から新人教育までの適切なステップが必要です。

ストレス過多

納期の遵守、目標の達成など、さまざまなプレッシャーに対してストレスを抱えやすい新入社員もいます。学生時代は実力に疑問を感じなかった人でも、職場では先輩社員や上司を見て、焦燥感を抱くケースが少なくありません。

業務が忙しすぎる、人手が少なく新入社員をフォローする余裕がないなどの環境も、新入社員を追い詰め、退職につながる可能性を高めます。

ノルマがきつい

ノルマに関する退職理由は、営業職で多くみられます。明確かつ厳しいノルマが課される部門に配属されたとはいえ、早くからノルマを設定するのは得策と言えません。早く活躍してほしい気持ちは分かりますが、新入社員に求めすぎるのはやめましょう。

即戦力としての期待が新入社員の退職を早める恐れもあるため、適切な状況判断が必要不可欠です。

仕事に面白さを感じない・合わない

内閣府の調査によると、仕事内容のミスマッチが原因で離職する人は、離職者の約半数にものぼることが分かっています。自分の適正と配属部署・与えられた役割が合っていないと感じて、会社を退職する新入社員は非常に多いということです。

会社に対して愛着があれば、新入社員は「自分の気持ち・方向性を会社に合わせよう」と考えるかもしれません。しかし、入社してからあまり日が経っていなければ、なかなか難しいでしょう。

人間関係がつらい

上司や先輩、同僚などとうまくコミュニケーションが取れず、退職を選ぶ新入社員もいます。厚生労働省の調査によると、就労から1年未満の離職に関しては、人間関係が理由で辞める人がもっとも多いことが分かっています。
新入社員に限ったことではありませんが、風通しが悪い職場は敬遠されるでしょう。

社風になじめない

会社の方向性、または経営者の考えに納得できない場合もあります。多少の不満はあったとしても、勤めたい理由があれば職場に留まるかもしれません。ただし、そこまで魅力的な職場でなければ、新入社員は退職してしまいます。

上司・同僚に相談できない

入社したての新入社員は、職場での振る舞い方も、仕事の進め方もわかりません。周囲に不安を相談できなければ、辞めてしまう可能性が高まります。上司や同僚が身近にいる場合でも、新入社員が孤立してしまうケースも珍しくありません。

キャリアアップ・将来のため

先輩の昇進の遅さを見て、自分の転職・キャリアアップを考える新入社員も多くいます。また、ライフプランと照らし合わせ、結婚・子育てのタイミングで退職を選ぶ人もいます。
多様な生き方・働き方に対応できなければ「この会社は将来性がない」と判断される場合もあります。

こうした退職を防ぐためには、労働条件を見直し、ライフスタイルに合わせ柔軟に対応できるしくみづくりが大切です。

業界によって離職率はまったく違う

離職率は、業界ごとに大きく異なります。離職率の高い業界、低い業界の特徴を紹介します。

特に離職率が高いのは「サービス業」

厚生労働省が2016年に発表したデータによると、サービス業の早期離職率は4割以上になっています。また、サービス業のなかでも企業規模が大きくなると、離職率が下がることも分かっています。

こうしたデータから、サービス業で働く新入社員は、労働条件や給与、福利厚生に対する不満を抱えているケースが多いと予想できるでしょう。

「インフラ系」は離職率が低め

電気・水道・ガス事業に代表される、生活を支えるインフラ系では離職率が低めです。厚生労働省が2016年に報告したデータによると、インフラ系の入社3年以内の離職率は、1割を切ります。

この理由としては、インフラ系の会社は業務のオートメーション化が進んでおり、良好な労働条件が整っている場合が多いことが挙げられます。また、インフラは生活基盤となっているため一定の企業収入が見込まれ、給与もある程度保障されていることが多いというのも、理由として考えられます。

離職率が高い場合のデメリットとは

離職率の悪化が企業にもたらすデメリットを紹介します。人材育成・経営面への影響を確認しましょう。

採用・教育のコストが無駄になってしまう

マイナビの「2017年卒マイナビ企業新卒内定状況調査」によると、新入社員1人あたりに対する採用・教育費用は、約46万円です。つまり、新入社員が離職すると、多額の採用費用に加え、上司や先輩が教育に費やした時間までもが無駄になります。

会社のイメージが悪くなる

離職率が高い企業は、「きつい」「環境が悪い」などの印象をもたれ、世間からブラック企業と認定されかねません。特に、就職活動中の人や入社から日の浅い新入社員への影響は深刻です。悪いイメージの払しょくは難しいため、早急に離職率の回復に向けた対応が必要です。

新しい人材の確保に時間がかかる

近年は売り手市場であるため、離職した分の人材を補おうとしても、なかなか新しい人材を確保できません。応募者が集まらなければ採用費用が無駄になったり、マンパワーが不足してしまい事業が進まなくなるなどの事態に発展します。

【会社としてできること】新入社員の離職防止に有効な方法とは

新入社員の離職を食い止めるために、企業ができる離職率改善策を紹介します。

上司のマネジメントスキルを向上させる

新入社員が1人で仕事を行えるようになるまでは、周囲のサポートが必要です。
そのため、企業は上司のフォローアップ力を鍛えねばなりません。適切な業務指示や割り当てができる、新入社員の育成環境を部門内に構築できる、円滑なコミュニケーションを取れるなどのスキルが求められます。

労働時間管理を行う

労働条件が良好な業界や職場は、離職率が低い傾向です。長時間労働や休日出勤の是正などの働き方を見直しましょう。マンパワーの不足から無理が生じているのであれば、チーム編成から検討しなければなりません。
単に労働時間短縮を現場に呼びかけるだけではなく、どういった原因で長時間労働が発生しているかを正しく分析したうえで、労働環境を改めてください。

ストレスケアを実施する

新入社員は、人間関係、新しい環境への不安、厳しいノルマなど、多くのストレスを抱えがちです。周囲の人は新入社員の様子に気を配り、普通と異なる気配があれば声をかけましょう。周囲が気にかけてくれているとわかると、新入社員も心強く感じるはずです。

メンター制度を活用する

メンター制度とは、新入社員1人に対して比較的入社年が近い先輩が「相談役」になる制度です。年齢が近い先輩が相手であれば、上司よりも気軽に悩みを相談しやすく、新入社員が1人で悩まずにすむと期待できるでしょう。
メンターには、傾聴力にすぐれた人、コミュニケーション能力が高い人が適しています。なお、新入社員のフォローをメンターに任せきりにすると、メンターの負担が増えるため気をつけてください。

また、企業によってはメンターを他部門から選出する場合もあります。他部門の場合、普段の業務から離れたところで相談ができるため、新入社員の様々な不安に対応することができます。業務に関する指導役としてはOJT担当も配置するなど、あらゆる面からサポートできると効果的でしょう。

キャリア支援を行う

新入社員のキャリア形成について、スキルマップや評価シートなどを用いて、本人と一緒に考えましょう。目標設定時の面談で上司が部下に対してキャリア面談も行う、新入社員へのフォロー研修の際にキャリアを考える機会を設けるといった方法が効果的です。将来をイメージしながら身に着けるべきスキル、短期的な目標を決めてください。新入社員の仕事へのモチベーションがアップし、離職を防止できます。

相談窓口を設置する

コンプライアンス通報窓口とは、社員が不正行為やハラスメント行為などを通報するしくみです。企業内での適切な運営が難しければ、法律事務所のような外部機関に相談しましょう。

評価制度を見直す

人事評価制度を見直すのも1つの方法です。納得できる評価制度は、優秀な人材の流出を防ぎ、社員の成長をもたらします。特に近年では、年功序列を廃止し、若手でも優秀な人材を評価し適切な報酬設定をする企業も増えています。

また、自発的に行動できる社員を育てるべく、評価の理由をフィードバックで本人に伝え、企業が求める行動について擦り合わせてください。

社内コミュニケーションを活性化させる

新入社員が馴染み、意見を言いやすいように、職場の雰囲気を整えます。特別なイベントを開催せずとも、上司や先輩の心がけにより、コミュニケーションを取りやすい環境は作れます。

ミスマッチが起こらないように工夫する

給与や労働時間、仕事の内容などがミスマッチの原因となります。ミスマッチを防ぐために、選考セミナーなどで就業条件について詳しく説明すると良いでしょう。ネガティブな情報は隠したいかもしれませんが、入社後のミスマッチを防ぐには、ある程度は伝えるべきです。

また、ストレス耐性や仕事への対応力をチェックする、適正検査を導入する企業もあります。

まとめ

新入社員の離職は、採用・教育コストが無駄になり、企業イメージの低下にもつながります。人材の流出を止めるには、職場環境を整え、新入社員をフォローするしくみを整えましょう。新入社員の離職理由を知ると、対策の糸口が見えてきます。

株式会社日本能率協会マネジメントセンターでは、75年以上の歴史をもつ日本能率協会グループの一員として、5000社を超える企業や公共機関に研修・通信教育等を提供してまいりました。
新入社員から経営幹部まで、立場や役割に応じた教育プログラムに加え、SDGsや働き方改革など経営環境に即したテーマにも対応しています。

採用時に「自社で活躍する人材を選抜すること」の見極めることは離職率を低下させるために有効な対策のひとつです。 JMAMでは、採用試験で「ストレス耐性等」を測定する適性試験「Q-DOG(インターネット受検可能)」を提供しています。
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JMAM HRM事業 編集部

文責:JMAM HRM事業 編集部
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