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プレイングマネジャーとは|増えている背景から抱えている課題まで解説

プレイングマネジャーとは|増えている背景から抱えている課題まで解説

プレイングマネジャーの状態にあるマネジャーの方は多くいます。この記事では、プレイングマネジャーの役割やプレイングマネジャーが求められている背景などについて解説します。プレイングマネジャーの状態を脱したいと考えている人や、プレイングマネジャーに対しての教育を検討している人事担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

プレイングマネジャーとは?

プレイングマネジャーとは、現場の業務を担当するプレーヤーと、部下をまとめるマネジャーの両方の役割を担う人のことです。主に課長層に多く、近年、プレイングマネジャーとして職場に貢献している人が増加しています。

プレイングマネジャーの役割とは?

プレイングマネジャーは、個人とチームの目標の両方を達成するために活動します。1人のプレーヤーとして成果を出しながら、チーム全体をより良い状態に導く役割を果たさなければなりません。そのため、自ら働きかけてほかのメンバーと信頼関係を構築する必要があります。

また、プレイングマネジャーはチームを代表する立場でもあるため、チームと組織との架け橋としての役割を求められる場合もあります。

プレイングマネジャーに必要とされる資質とは?

プレイングマネジャーとして業務を円滑に進めるには、何が必要とされているのでしょうか。具体的に解説します。

成長に対する意欲

プレイングマネジャーは、現場の業務だけでなく、同時にマネジメントも行います。それぞれについて高い能力を身につける必要があるため、成長に対する意欲が必要です。意欲的な人ほど、プレイングマネジャーに求められる役割を果たしやすくなります。

コミュニケーション能力

プレイングマネジャーは、チーム全体に対して自ら働きかけながら業務に取り組みます。コミュニケーション能力がなければうまく意思疎通できず、チームのメンバーをサポートしにくくなる恐れがあるでしょう。

コミュニケーションに長けているプレイングマネジャーはメンバーとスムーズにやり取りでき、方向性や任せる仕事内容を明確に示せます。その結果、メンバーが意欲的に業務を行うようになり、プレイングマネジャー自身の負担も軽減できます。

適切なバランスを維持する力

プレイングマネジャーが業務を進めるうえでは、プレーヤーとマネジャーのバランスをとりながら取り組む必要があります。バランスが崩れた場合、どちらかの業務がおろそかになるため要注意です。プレイングマネジャーとしての役割を着実に果たすためには、常に適切なバランスを実現しなければなりません。

ただし、プレイングマネジャーに求められる役割は、状況によっても変化します。場合によってはプレーヤーの仕事とマネジャーの仕事の比重をそろえるのではなく、どちらかに重きを置くべきケースもあるでしょう。状況に応じてバランスをとる力も必要です。

プレイングマネジャーが増えている背景とは?

プレイングマネジャーという立場が一般的になったきっかけは、1990年代初頭のバブル崩壊だといわれています。バブル崩壊後は世の中が急激に不景気になり、組織を存続させるために企業は様々な試行錯誤を行いました。そのひとつとして人件費削減のための人員整理やリストラがあり、プレーヤーとマネジャーのそれぞれが大幅に削減されています。

その結果、少ない人員で組織を維持するために、プレーヤーとマネジャーを兼ねるプレイングマネジャーが生まれました。プレイングマネジャーという役職は企業が積極的に設けたわけではありません。人手不足により、マネジャーがやむを得ずプレーヤーを兼ねている企業や、優秀なプレーヤーにマネジメントを任せている企業が多くみられます。

プレイングマネジャーの状態ではマネジメントが手薄になりやすいため、課題としてとらえている企業も少なくありません。「プレイングマネジャー」という役割を設けていないにもかかわらず、結果的に「プレイングマネジャー」の状態に陥っているというケースも多いのではないでしょうか。

プレイングマネジャーの状態における課題とは

プレイングマネジャーの状態には、どのような課題があるのでしょうか。具体的に解説します。

プレイングマネジャーの仕事量が増える

プレイングマネジャーは、プレーヤーとマネジャー両方の仕事を行う必要があるため、仕事量が多くなります。行うべき業務が増えすぎた結果、業務過多に陥る恐れがあります。

プレイングマネジャーの負担を減らすには、チーム内で業務を適切に分担するしくみが必要不可欠です。そのためには、それぞれのメンバーの育成にも力を入れる必要があります。

評価基準があいまいになりやすい

プレイングマネジャーには複数の目標があるため、仕事ぶりに対する評価基準があいまいになりがちです。プレーヤーとマネジャーのどちらの仕事を重視するかによっても、評価基準は異なるでしょう。
会社として、プレイングマネジャーの状態を脱してほしいと考えている場合は評価基準の割合の見直しを行うことも効果的です。

マネジメント不足に気づきにくい

プレイングマネジャーのマネジメント力が高くない場合、不足している部分を本人のプレーヤーとしてのスキルで補うケースがよくみられます。
周囲はその状況に気づきにくいため、適切にプレイングマネジャーをサポートできません。その結果、本人のマネジメント力を高めにくくなります。チーム全体のレベルもなかなか上がらない恐れがあります。

プレイングマネジャーを組織に配置する際の注意点とは?

ここまで解説してきたとおり、プレイングマネジャーにはさまざまな問題があるのも事実です。プレイングマネジャーを配置する場合、スムーズかつ適切に業務を進めるためにはどのようなことに気をつければいいのでしょうか。

ここでは、プレイングマネジャーを導入するうえで注意すべきポイントを解説します。

組織的な環境を整備する

プレイングマネジャーに過度な負担をかけないようにするためには、チームのメンバーそれぞれの自立を促す必要があります。メンバーが自立していなければプレイングマネジャーが常に現場を管理しなければならず、マネジメントに取り組みにくくなります。

理想的なのは、プレイングマネジャーが不在でもメンバー同士で協力して、問題なく業務を遂行できる状態です。そのような状態を実現するためには、仕事のルールや進め方を決めるためにマニュアルを用意する、情報共有しやすいシステムを整える、メンバーに権限を与え業務範囲を広げるといった、チームが自律的に動き、育ちやすい環境を整えることが大切です。

OJT、OFF-JTによる支援を行う

自社にプレイングマネジャーを配置するなら、OJTやOFF-JTによるメンバーや本人の育成支援も積極的に行う必要があります。プレイングマネジャーにOJTの遂行を任せる場合でも、部下育成のすべてをプレイングマネジャー1人に任せるのではなく、職場全体で責任をもって取り組めるような体制を整えましょう。

プレイングマネジャーがOJTに取り組んだ経験が少ないなら、上司や同僚によるサポートも必要です。職場から離れて座学による研修を行うOFF-JTも実施し、プレイングマネジャー自身の成長も促しましょう。

プレイングマネジャーの成長支援の方法とは

プレイングマネジャー自身がスムーズに業務遂行できるよう成長を支援するには、どのような方法が有効なのでしょうか。具体的な方法について解説します。

常に情報共有を意識してもらう

プレイングマネジャーには、上司やメンバーに対する情報共有を意識的に行ってもらい、1人で抱え込まないよう支援しましょう。メールのCCに必ず誰かを入れる、社内コミュニケーションツールのオープンなチャットでやり取りを行う、タスク管理ツールを共有するなどです。
組織全体でスムーズに情報共有できるようになることで、プレイングマネジャーとその上司やメンバーが相互にサポートしあうことができます。プレイングマネジャーにはチームと上部組織をつなぐ役割もあるため、それぞれに対して情報共有を適切に行う必要があります。

コミュニケーション能力を向上させる

すでに触れたとおり、プレイングマネジャーにはコミュニケーション能力が必要です。コミュニケーション能力を向上させるためには、チームのメンバーと積極的に関わることを意識させましょう。プレイングマネジャーに求められているのは、メンバーと信頼関係を築くスキルです。積極的に会話を増やすと、意見を交わしやすい雰囲気も生まれやすくなります。

マネジメントの知識・経験を積んでもらう

プレイングマネジャーは現場の業務だけでなくマネジメントも担当するため、知識や経験を積ませる必要があります。会社として、マネジメントについて学ぶための制度を構築しましょう。プレイングマネジャーがチームを無理にまとめるのではなく、適切な方法でマネジメントできるようにサポートしてください。

効率を意識して業務を進めてもらう

プレイングマネジャーになると仕事量が増加する可能性が高いため、従来以上に業務効率を意識しなければなりません。普段から仕事に優先順位をつけて取り組む意識をもたせることが大切です。
上司や組織が仕事の進め方を決めるのではなく、プレイングマネジャー自身が権限をもって自由に仕事をしてもらえる環境を整えるようにしましょう。

ロールモデルを活用する

ロールモデルとは、業務の進め方や行動について手本になる人物のことです。ロールモデルがいると、プレイングマネジャーとしてどのように業務やメンバーと向きあうべきか明確になります。具体的な目標が定まるため、プレイングマネジャーとして適切な取り組みができるようになるでしょう。

まとめ

プレイングマネジャーには様々な課題もあります。適切に組織を運営していくためには、プレイングマネジャーが抱えている課題を解決するための対策が必要不可欠です。

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