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  • テーマ: ビジネススキル
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ポジティブフィードバックとは?モチベーションを向上させるコツを解説

ポジティブフィードバックとは?モチベーションを向上させるコツを解説

人材育成における従業員のモチベーションを上げる手法として、「ポジティブフィードバック」が注目されています。モチベーションの向上は、組織の活性化において重要です。

そこで、この記事ではポジティブフィードバックの概要や実践するメリット、手順などを解説します。フィードバック文化の醸成にお役立てください。

ポジティブフィードバックとは

フィードバックの一種であるポジティブフィードバックとは、業務中にみられる言動などから良い部分を見つけ出し、ポジティブな言葉で評価を伝える方法をいいます。評価を受けた人のモチベーションを高めたいときに有効な手法です。

ポジティブフィードバックの定義とは

ポジティブフィードバックには2つの定義があります。
1つは、「評価を受ける人がもっている能力や、積極的に仕事に取り組もうとする気持ちを高める」ためのフィードバックで、もう1つは、「評価を受ける人にとって内容が望ましい」フィードバックです。

両者はフィードバックを行う目的に違いがあります。前者は、評価する側が求めている人材像を目指した育成を行うことが目的です。ポジティブに捉えられた言動がなんだったかを明確にすることで、求める人材像に近づけることができます。一方、後者は評価を受ける人自身の満足感や達成感を高めることを目的としています。

ポジティブフィードバックが注目される背景

ポジティブフィードバックは、価値観の多様化や市場の急速な変化にも対応できる、時代に沿った手法であるとして注目されています。もともと「フィードバック」は制御系システムの仕組みを表す用語ですが、その仕組みを活用できる人材育成の場でも使われている用語です。

ネガティブフィードバックとの違いを解説

フィードバックには、ポジティブフィードバックとネガティブフィードバックの2種類があります。ネガティブフィードバックは、相手の行動の問題点を指摘することで、立て直しを支援するフィードバックの方法です。自分の行動を否定されると、社員は自ら改善点を模索するようになります。主に、成長を促す目的で実施されます。

ネガティブフィードバックは社員にストレスを与える可能性があるため、対象者の選定や伝え方には十分な注意が必要です。

フィードバックの種類ごとに例文を紹介

ここでは、実際のフィードバックで評価をどのように伝えればよいのか、参考となる例文を種類別に紹介します。

ポジティブフィードバックの例文

「会議でたくさん発言してくれるおかげで、ほかの人も刺激を受けて発言が多くなり会議の生産性も上がってきたよ。これからも積極的に発言してほしい」などのように評価します。ネガティブな言葉を避け、前向きになれる言葉で伝えることがポイントです。

ネガティブフィードバックの例文

「ほぼ情報だけの薄い内容の資料で期待していたものと違い残念だった。どこが足りなかったのか考えて改善してほしい。次回改善されていなければ、チームから抜けてもらうことも考えるぞ」などと伝えます。厳しい内容でも叱咤激励として受け止めてくれる相手に対して行うことが重要です。期待しているからこその厳しい評価であると相手に示しましょう。

ポジティブフィードバックを導入するメリットとは

ここでは、ポジティブフィードバックを導入すると期待できるメリットを5つ紹介します。

日常的に部下の様子を確認できる

フィードバックでは、評価する相手の行動を日頃から細部まで観察することが基本です。そのため、上司による部下の確認が習慣化します。各部下への理解が深まれば、それぞれの能力や適性にマッチした人材配置も実現しやすくなります。

部下の成長につながる

ポジティブな評価は、部下のやる気を引き起こす動機付けの1つです。やる気が出てくるとさらに成長したいと考えるようになり、業務への関心や探求心も強まります。結果、仕事により一層の熱意を見せる可能性が高くなります。

相手のモチベーション向上につながる

自己評価は自分で判断するものですが、ほかの人とも関わりを持つなかで他者からの評価に影響される場合もあります。高い期待を受けていることを感じるとその期待に応えようとして、仕事に対して意欲的になる人は少なくありません。

戦略に活かしやすい

ポジティブフィードバックで把握した各従業員の長所を活かして、人材配置などの戦略が立てられます。また、仕事への努力や姿勢がしっかり評価される会社は、従業員の満足度が高くエンゲージメントが向上するため、従業員の離職率も抑えられます。

良好な人間関係構築につながる

部下の行動を把握するために上司から部下へと声をかける機会が多くなると、コミュニケーションが増えます。また、フィードバックは相手の努力や成果を認める承認でもあるため、上司と部下の信頼関係を強めて良好な人間関係を構けるようになります。

ポジティブフィードバックを実施する手順を解説

ここでは、ポジティブフィードバックを効果的に実施するための正しい手順を、4つのステップに分けて解説します。

1.場を設けて目標を立ててもらう

まずは、相手に今後の業務に向けた目標を立ててもらいます。目標は、相手が自分の現状にしっかり向き合って立てることが大切です。相手の現時点での考えや心情などを、本音で聞き取れる場所を用意しましょう。

2.成功につながった行動を指摘する

指摘する際には、業務における一連のプロセスのなかでどの行動が成功につながったかをできる限り具体的に伝えることが大切です。具体的な表現で指摘することにより相手が成功体験を実感しやすくなります。

3.行動によって得られた結果を知らせる

結果を知らせるときには、結果につなげた行動も併せて伝えることがポイントです。結果に至るまでに自分が取った行動が、業務にどのような影響を及ぼし貢献できたかを具体的にイメージできれば、達成感も覚えやすくなり、再現性も高まります。

4.今後とってほしい行動を伝える

評価者は相手の成功ポイントや改善点などを踏まえたうえで、今後取ってほしい行動を本人に伝えます。その際には現状を維持すべきか、あらたな行動を取るべきかなど具体的な道筋を示すことがポイントです。

効果的にポジティブフィードバックを実施するコツとは

ここでは、ポジティブフィードバックをより効果的に行うために、押さえておくとよいコツを5つ紹介します。

目標・改善点は共有する

評価は本人にだけ伝えますが、設定した目標や改善点はチームや社内全体で共有することが大切です。目標や課題をチームや会社全体のものとして向き合うことが、組織として成長できるチャンスになります。

適切な目標を設定する

目標は簡単に達成できるものでは意味がありません。また、レベルが高くて達成が不可能な目標も、やる気をなくしてしまう恐れがあるため避ける必要があります。個々の従業員のレベルや性格などに適した目標を設定することが大事です。

相手が出来事を振り返る前に行う

フィードバックを行うベストタイミングは評価対象の行動直後です。タイミングが遅れるほど成長のチャンスを失うことになるため、できる限り時間を空けないようにし、遅くても相手が行動を振り返る前までには声をかけるようにしましょう。

総合的評価も取り入れる

事前準備として、対象行動に対する評価を相手がイメージしやすいように、対象行動を除いた活動全体に対する評価も行っておくとよいでしょう。過度に緊張している相手には、アイスブレイクの時間を取って緊張を和らげるのもおすすめです。

ゴーレム効果・ピグマリオン効果について理解しておく

ゴーレム効果とピグマリオン効果を理解しておくと、心理的現象を相手の成長につなげるための手段として利用でき、ポジティブフィードバックに役立てられます。

ゴーレム効果とは、相手に対する期待値が低いと、実際に相手も低いパフォーマンスを出してしまう現象です。
一方、ピグマリオン効果は、大きな期待をかけると相手の成果が出やすくなる現象をいいます。

期待していることを相手にしっかりと伝えることが相手を成長させるコツです。

サンドイッチ話法を活用する

サンドイッチ話法とは、否定的な話題を肯定的な話題に挟めて話を進める方法です。具体的には、最初に褒めたら、次に指摘や注意を行い、最後に期待の気持ちなども伝えながら再び褒めるという流れで話を進めます。

この方法を行うメリットは、話の切り出しと締めが前向きな内容であるため、相手のモチベーションを下げずに済むことです。一方、ポジティブな話だけが相手の印象に残り効果が出ない場合もある点が、デメリットとなります。

やってはいけないフィードバックとは

ここでは、フィードバックを効果的に実施するために避けたほうがよい行動を、具体的に3つ紹介します。

人前で指摘する

大勢の前で指摘されると、恥をかいたと感じて精神的に大きく傷つく人や自信を失う人もいます。そのため、ほかの人がいるところでフィードバックを行うことは避け、特別な理由がない限りは1対1で行いましょう。

主観的な意見ばかり述べる

フィードバックでは客観的な事実やデータをもとにした意見を伝えるようにし、偏見や独断が混じった主観的な意見を述べることは避けなければなりません。私情が入った意見は評価として信頼性が低く相手に響きにくいため要注意です。

褒めすぎる

ポジティブフィードバックは褒めることが基本です。ただし、「走るのが早くてすごい」「父親が役員をしていて立派だ」など業務や本人に関係ないことまで手あたり次第に褒めることは、評価者として信頼性を欠くため気をつけましょう。

まとめ

ポジティブフィードバックは従業員の人材育成に役立てられるだけではなく、企業の成長にもつなげられる手法です。ただし、効果を出すためには相手に合った対策を取って実践しなければなりません。

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