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  • 対象: 全社向け
  • テーマ: ビジネススキル
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ネガティブフィードバックとは?効果を高めるコツや注意点を解説

ネガティブフィードバックとは?効果を高めるコツや注意点を解説

ネガティブフィードバックは、従業員の成長や目標達成に効果を発揮します。しかし、方法を誤ると従業員のモチベーション低下につながる可能性があります。

ここでは、企業の人材育成にかかわる人に向け、ネガティブフィードバックの概要から実施目的、効果的なフィードバックのコツなどを解説します。

ネガティブフィードバックとは

相手の行動の問題点を指摘し、立て直しを支援するためのフィードバックを、ネガティブフィードバックと呼びます。相手にとって耳が痛い内容であることが多いため、人格を否定する、やる気を損なうような言い方を避ける必要があります。

ポジティブフィードバックとの違い

ポジティブフィードバックとは、相手のモチベーションを高めて成長につなげるフィードバックで、肯定的な言葉選びが特徴です。受け入れやすい言葉でフィードバックを行いますが、人によっては現状に満足して成長が阻害される場合もあります。

ネガティブフィードバックとポジティブフィードバックのいずれを選ぶかは、相手の性格や状況に合わせて判断してください。

ネガティブフィードバックの例文

「ほぼ情報だけの薄い内容の資料で期待していたものと違い残念だった。どこが足りなかったのか考えて改善してほしい。次回改善されていなければ、チームから抜けてもらうことも考えるぞ」などと伝えます。
厳しい内容でも叱咤激励として受け止めてくれる相手に対して行うことが重要です。期待しているからこその厳しい評価であると相手に示しましょう。

そもそもフィードバックとは

フィードバックとは、相手の行動を改善し、目標を達成させるための指摘です。ビジネスの場で目標達成にかかわる用語は、フィードバックのほかにも多数あります。以下では、用語ごとの意味の違いを解説します。

似た意味の用語との違い

●マネジメント
チームや組織を、目標に向けて管理・運営していくことを指します。マネジメントの手法の1つに、フィードバックが含まれます。

●チェックバック
さかのぼって確認するという意味です。チェックバックという言葉が使われるのは主に映像業界であり、制作された映像をチェックして修正の指示を出すために行われます。

●コーチング
フィードバックの質を高めるテクニックです。フィードバックの際に相手に考えさせる質問を投げかけ、学びを深めさせます。相手が「答え」に気がつくように、誘導的な言い方が求められます。

●フィードフォワード
目的と結果の事前共有です。フィードフォワード、計画実行、フィードバックを繰り返し目的を達成します。

フィードバックを実施する目的

フィードバックを実施する目的を3つ紹介します。人材育成と組織の目標達成に向け適切なフィードバックを実施しましょう。

1.相手の成長を促すため

フィードバックは、相手を叱責するものではありません。相手に改善すべき点を正しく伝えることで、相手の成長を促すものです。正しくフィードバックをすることは、よりよい人材育成につながり、組織力を向上させる一助となるでしょう。
主観的な言い方ではなく、客観的事実を提示して、相手に改善を求めるよう伝えることが、受け入れられやすいフィードバックのポイントです。

2.設定した目標を達成するため

フィードバックにより、目標に到達するための工程を見直せます。結果と目標を比べると、至らない点がわかり、目標達成のための効率的なやり方を検討できます。目標達成に向け相手のモチベーションを保つためにも、フィードバックは有益です。

3.相手のパフォーマンスを向上させるため

フィードバックでは、業務の結果や結果に至る工程に対して、生産性と効率を重んじた話をするため、繰り返すうちに、適切な行動や考え方が染みついていきます。

また、パフォーマンスの数値化が難しい業務では、成果を出せているか自分ではわかりにくいものです。しかし、フィードバックの場において社内で評価される行動を明確にすると、自信をもって仕事に邁進できます。

効果的なフィードバックを実施するためのコツを解説

相手が指摘内容を理解し受け入れやすくするための、効果的なフィードバックのコツを紹介します。

具体的に指摘する

よい部分と改善が必要な部分は、いずれも具体的に伝えましょう。抽象的に指摘されると、相手はどのように行動を修正すればよいかわかりません。ただ褒めるのみでは、慢心により成長する努力を怠る人もいます。

相手に責任を押し付けたり、人格を否定したりしない

部下の仕事がうまくいかない場合は、マネジメント側にも責任があります。一方的に責任を押し付ける、人格を否定するような言葉を使うなどすると、パワハラにつながりかねません。

「望ましくない結果に終わったが、上司である自分にも責任がある」と前置きをすると、相手は前向きな気持ちでフィードバックを聞けます。一緒に解決の方法を検討する姿勢で、フィードバックを進めましょう。

できるだけすぐにフィードバックする

フィードバックが遅れるほど、行動についての記憶は薄れます。行動の直後に指摘すると、相手は「この行動が、業務において評価されるポイントである」と認識しやすくなります。記憶が鮮明なうちにフィードバックを行い、指摘事項を印象づけてください。

相手が自発的に行動しやすい言葉を使う

ネガティブフィードバックの場合は、言葉選びを間違えると自信喪失やモチベーションの低下をもたらす場合があります。相手の行動を否定する言い方は避け、建設的な言葉を用いて改善を促しましょう。

サンドイッチ型フィードバックを活用する

サンドイッチ型フィードバックとは、ポジティブな内容の間に、ネガティブな内容を割り込ませたフィードバックです。たとえば「企画書の提出がいつもスピーディーです。ただし、もう少し具体的な数値を盛り込みましょう。目のつけどころがよいため、今度のミーティングで発表してください」という順番で話します。

サンドイッチ型フィードバックは、フィードバックをする側・される側のいずれの心理的負担を緩和します。一方、ポジティブな内容で締めくくるため、ネガティブな内容が薄れがちな点に気をつけましょう。

部署を気にしない

フィードバックは、同じ部署内で行わなくても問題ありません。直属の上司からのフィードバックよりも、他部署の上司からの指摘のほうが、前向きに捉えやすい場合もあります。積極的にフィードバックを伝え、組織のレベルを高めましょう。
ただし、直属の上司と指導内容が違う場合は混乱を招きます。伝える際は、それが普遍的・客観的なことであるかを考えましょう。「自分はこう感じた」と、敢えて主語を強調した言い方をするなどの工夫も有効です。

日ごろから信頼関係を構築する

信頼できない相手からのフィードバックは、素直な受け止めが困難です。一方、打ち解けた間柄であれば、ネガティブな内容でも受け入れやすくなります。日常的にコミュニケーションを取り、心を開ける関係を構築しましょう。

顔を見ながら挨拶をする、相槌を打ちながら話を聞く、毎日会話をするなどの行動が、信頼関係を築きます。

他にも知っておきたいフィードバックの種類

ネガティブフィードバック、ポジティブフィードバック以外のフィードバック手法を紹介します。

プロセスフィードバック

プロセスフィードバックとは、結果ではなく行動そのものを焦点とする指摘です。

たとえば「提案書のまとめ方が気になりました。提案書の説得性を高めるために、別のアプローチも検討してみましょう」などのフィードバックが該当します。プロセスフィードバックは自身の行動を振り返らせるため、より効果的な学びをもたらします。

ピアフィードバック

ピアフィードバックとは、同僚同士で行うフィードバックです。

「いつも丁寧な報告をしてくれてありがたいが、もう少し報告の頻度を高めてほしい」のように、評価できる部分、改善してほしい部分を話しあいます。ピアフィードバックを導入すると、メンバーの関係性が良化し、チームの一体感が増します。

フィードバックのNG集をチェック

フィードバックの注意点を紹介します。以下で紹介するポイントは避けましょう。

主観的な意見を伝える

本来のフィードバックは、客観的な事実をもとに指摘を行う場です。信用できる数値やデータをもとに、客観的に伝えましょう。主観的な言い方が加わった時点でフィードバックの効力が薄れ、建設的な話ができません。

主観を伝えたい場合は「私としては、よいと思った」「私個人の意見だが、もう少し丁寧さが必要だと思う」など、伝え方に工夫が求められます。

とにかく相手を追い詰める

単なるダメ出しに終わってしまっては、心理的負担を掛けてしまいます。場合によっては相手のメンタルが崩れる、パワハラ問題に発展するといった恐れもあります。感情的にならず、主観的な意見を押さえて的確なフィードバックを行いましょう。

しばらく時間が経過したあとにフィードバックする

しばらく時間が経過したあとにフィードバックを行うと、相手に指摘内容が響きません。相手が「いつからそう考えていたのか、なぜ放置されていたのか」と悩みだすと、信頼関係にひびが入る場合もあります。できる限り、リアルタイムなフィードバックを心がけましょう。

大勢の前で指摘する

大勢の前でフィードバックすると、相手が必要以上に自責の念を抱える可能性があります。また、ミーティングの場で実施すると、責任転嫁が始まり予想外の事態に発展しかねません。

海外では大勢の前でのネガティブフィードバックは、ルール違反とされています。相手の立場を考慮し、フィードバックの環境にも配慮してください。

まとめ

適切なネガティブフィードバックは、従業員の成長を促します。具体性や客観性、フィードバックを行うタイミングなどに注意すると、質の高いフィードバックが可能です。

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