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  • テーマ: オンライン
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オンライン研修の教育効果を高めるためには?導入方法やメリット・デメリットを解説

オンライン研修の教育効果を高めるためには?導入方法やメリット・デメリットを解説

オンライン研修とは、パソコンやタブレットなどの端末とインターネット環境さえあれば、どこからでも開催や受講ができる研修のことです。この記事では、人材育成の方法を検討している皆様に向けて、オンライン研修の導入方法や受講方法の種類について解説します。オンライン研修のメリット・デメリットとともに、導入時にチェックしたいポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

オンライン研修とは?

オンライン研修とは、端末とインターネット環境を使用し、Web会議システムなどを通して行う研修です。複数の受講者を集めてグループワークを実施したり、講義に対する質疑応答を行ったりすることも可能です。従来の研修にはないさまざまなメリットがあるため、導入する企業が増えています。

働き方改革の実現としての取り組みや、感染症対策としてテレワークを実施する企業が増えており、約半数の企業が導入をしているという調査結果も出ています。

eラーニングやオフライン研修との違い

オンライン研修は、eラーニングやオフライン研修(集合研修)と比較してどのような違いがあるのでしょうか。ここでは、eラーニングやオフライン研修との違いについて解説します。

オフライン研修(集合研修)との違い

オフライン研修(集合研修)とは、1つの会場に複数の受講者と講師が集まって実施する研修のことです。会場費だけではなく、人件費や交通費などのコストがかかります。また、受講者や講師のスケジュール調整も必要です。一方、オンライン研修はWeb上で実施するため同じ日時に1つの会場に集まる必要がなく、スケジュール調整も容易となり、かかるコストや手間はそれほど多くありません。

eラーニングとの違い

eラーニングは動画を視聴して学習を進める学習形式で、オンライン研修と同様、パソコンやタブレットとインターネット環境があればどこでも受講できます。オンライン研修との違いは、自分の都合に合わせて学習できる点にあります。eラーニングは自己学習のため、知識付与に関する内容に向いています。一方、オンライン研修には、グループ討議などの受講者同士の交流を含む内容が向いています。両方の併用することで、より教育効果が期待できます。

オンライン研修の種類

オンライン研修にはさまざまな種類があります。ここでは、オンライン研修の実施方法と受講方法の種類をそれぞれ解説します。

実施方法の種類

●リアルタイム配信による研修

Web会議システムを使用し、講師・受講者ともにオンラインでリアルタイムの研修を実施する方法です。時間や場所の制約はありませんが、研修を実施する時間は決めておく必要があります。

●オフラインとオンラインを融合した研修

事前にeラーニングなどのオンライン教材でインプットをし、オフライン研修(集合研修)でディスカッションや演習を通してアウトプットを行う方法です。反転学習型ともよばれます。
最近では、オンライン教材でインプット→オンライン研修でアウトプットといった形式も主流です。

●収録ライブ配信による研修

集合研修と同じ内容の講義を録画し、受講者に向けて配信する方法です。受講者は自分の好きなタイミングで場所を選ばず何度でも視聴できます。オンデマンド研修とも呼ばれます。専門的な内容やオリジナルの内容に向いている研修方法です。

受講方法の種類

●個別参加型

それぞれの受講者が個別に研修を受けます。インターネット環境とデバイスが整っていれば、受講者は自宅や拠点オフィスなどの受講場所を選ぶことができます。回線の問題で受講環境にばらつきが出る場合もあります。

●サテライト型

特定の会場に複数の受講者が集まり、講師と各拠点をインターネットを介して繋ぐことで、複数拠点で同一の研修をする方法です。研修を行う場所は、拠点オフィスの会議室などです。

オンライン研修が主流になりつつある背景

ここでは、なぜオンライン研修が主流になりつつあるのか、その背景について解説します。

With・Afterコロナに求められる研修実施方法

感染症流行により出社や集合を制限せざるを得ない中で、今後オンライン研修の需要がさらに高まる可能性があります。アフターコロナでは、オンライン研修を従来の研修の代替手段として実施するのではなく、必要に応じてさまざまな学習手法(書籍、eラーニング-、集合研修など)と組み合わせながら、より高い学習効果を目指したオンライン研修を実施する企業が増えると予想されます。

働き方改革の推進による勤務形態の変化

テレワークを導入にともない、オンライン研修を実施する企業が多くなりました。また、働き方改革により長時間労働の是正もすすみ、企業の人材育成においても効果と効率を見直す動きが強まっています。オンライン研修は、従来の集合研修に比べて場所や時間の制約が少ないため、ニューノーマルの研修方法として主流になりつつあります。

ICTツールの普及

noテレワークに対応するため、企業ではWEB会議システムなどのICTツール導入が進んでおり、オンライン研修を実施しやすい環境が整っています。今日ではスマートフォンやタブレットなどの端末も普及しているため、誰でも時間や場所にとらわれずにオンライン学習がしやすい環境になりました。

オンライン研修の導入が向くケース

オンライン研修はどのようなケースに向いているのでしょうか。ここでは、オンライン研修の導入が向くケースについて解説します。

オンライン研修が向く企業

テレワークを導入、検討している企業であれば、インターネット環境やパソコン、ICTツールなどのオンライン研修に必要な環境が整っている場合も多く、スムーズにオンライン研修を実施できる可能性が高いです。また、オンライン研修は時間と場所の制約が少ないため、より参加のハードルが低く効率な研修をしたいと考える企業に向いています。

講座型の研修が行いやすい

オンライン研修では講義をメインとした講座型の幅広い研修を実施できます。実習を伴うプログラムは不向きですが、ワークショップやロールプレイングを取り入れる工夫も生まれており、事例も増えています。

オンライン研修を導入するメリット

オンライン研修にはさまざまなメリットがあります。ここでは、オンライン研修を導入するメリットについて解説します。

時間や場所を問わず開催できる

オンライン研修なら、受講者同士が離れた場所にいても、移動の手間や時間や場所を気にすることなく開催できます。また受講者や講師が1つの部屋に集まる必要がないため、感染症防止策としても有効です。

コスト削減が可能になる

集合研修を実施する場合、会場費、人件費、交通費といったさまざまな費用がかかります。しかし、オンライン研修ならこれらのコストを削減しつつ、集合研修と同様の内容で研修を実施できます。

双方向の学びが可能

集合研修と同様、受講者同士がグループ討議を行ったり、わからない点を即座に講師に質問できたりと、双方向の学びが可能です。また講師は受講者の様子や理解度にあわせ、講義の内容や、問いかけの内容をリアルタイムで調整できます。研修の内容を録画でき、チャットのログも残せるため、事後に復習や振り返りのために配信したり、欠席者フォローも容易に行えます。

受講状況の管理がしやすい

すべての人がインターネットを介して研修を受講するため、受講状況や履歴を可視化できます。そのことで、受講していない相手に対して個別に受講を促すアプローチをとることが可能になります。

オンライン研修のデメリット

オンライン研修には課題もあります。ここでは、オンライン研修のデメリットについて解説します。

受講者間での交流がしにくい

オフラインでの集合研修とは違い、参加者同士の交流が生まれにくいという課題があります。この課題の改善には、オンライン研修のプログラム内にでグループワークの時間を設けるなどの工夫が有効です。

実習を要する研修にはハードルが高い

オンライン研修の課題としては、実習やワークショップを行いにくい点もあげられます。工夫して実施も可能ですが、ロールプレイングのように受講者同士のやり取りが発生する取り組みにはオフライン研修が向いているでしょう。

オンライン研修の準備でチェックしたい4つのポイント

ここでは、オンライン研修の準備段階でチェックしたいポイントを解説します。

事前に準備するべきことを把握する

オンライン研修ではパソコンやマイクなどの機材を使用するため、講師・受講者ともにあらかじめデバイスや機材、インターネット環境、Web会議ツールなどを用意する必要があります。動作確認まで済ませておけば、トラブルも未然に防げます。ネットワーク接続についてもしっかり確認してください。

機材のトラブルに対応できる担当者を用意する

事前に確認しても、本番でトラブルが発生する可能性はゼロではありません。万が一の事態に備え、即座に機材のトラブルに対応できる担当者に待機しておいてもらいましょう。関連機器に詳しく、Web会議システムの操作に慣れている人を選ぶと安心です。

ストレスなく受講できる環境を整える

スムーズにオンライン研修を実施し、受講者がストレスなく受講できる環境を整えましょう。具体的には、運営側(講師側)のネットワーク回線の強度や予備回線の準備、カメラ、マイクなどの周辺デバイスのチェック、充電状況の確認、会場の明るさや騒音など、万全な状態にしておく必要があります。

コミュニケーションを取りやすい体制を構築しておく

オンライン研修の効果を高めるためには、受講者が気兼ねなく質問できる体制にすることが重要なポイントです。たとえば、開始前からチャットツールでやり取りするなど、コミュニケーションを取りやすい状況を作っておくと効果的です。

オンライン研修の実施に利活用できるサービスやツール

ここでは、オンライン研修の実施に利活用できるサービスやツールについて解説します。

オンライン研修サービス

オンライン研修サービスは、教育会社が提供している研修です。ライブ研修の対応や、動画配信サービスなど、さまざまなプログラムが用意されているケースが多いです。高いスキルをもつプロフェッショナルが講師を務めています。

配信ツール

自社で独自の研修を実施する場合に利用できるツールです。配信ツールとしては、「Zoom」「Teams」「Google Meet」などがありますが、Web会議システムを活用することも可能です。教育ベンダーに依頼せず配信ツールを利用して研修を実施する場合、自社で講師や研修のコンテンツを用意する必要があります。

オンライン研修の実施を成功させる5つのポイント

ここでは、オンライン研修の実施を成功させるポイントを解説します。

適切な配信方法やサービスの選定を行う

研修の目的や内容にあわせ、配信方法を選定しましょう。たとえば、リアルタイム配信と収録配信のどちらにするか決める必要があります。配信方法を決定したら、使用する具体的なサービスも選定してください。

事前にオリエンテーションや説明会を開く

新たにオンライン研修を始めるときは、社員に対して事前に説明する機会を設ける必要があります。システムの操作方法やマイク・カメラの切り替えなど、基本的な内容について丁寧に周知しましょう。マニュアルやQ&A資料の配布も効果的です。これにより、オンライン研修に対応できない受講者を発生させないようにします。

参加者にリアクションを意識してもらう

オンライン研修では受講者の様子が画面越しでしかわからないため、あらかじめ受講者に対して積極的なリアクションを求め、活発な意見交換や質疑応答ができるように工夫しましょう。

チャットを有効活用する

なかでもチャットは、気軽に利用できるツールですので、受講者にも積極的に利用してもらいましょう。チャットの利用を促進できれば、講師と受講者の間でさまざまなやり取りが生まれ、研修の効果も高めやすくなります。

オンラインの実績のある講師をアサインする

オンライン研修の講師には、すでに実績のある講師をアサインすることが大切です。講師にオンラインファシリテーションについてのプログラムを受講させ、運用に関するスキルを身につけてもらうことも重要です。オンラインファシリテーションとは、オンライン研修をスムーズかつ効果的に進行させるためのスキルで、成果を出すために全体をサポートします。

オンライン研修を行う際の注意点

オンライン研修では注意したいこともあります。ここでは、実施の際の注意点について解説します。

無理のないタイムスケジュールを立てる

パソコンの画面を見ながら長時間研修を受けると、疲れやすいものです。受講者を疲れさせないためには、無理のないタイムスケジュールを組むことが大切です。たとえば、1時間ごとに休憩をとる、チャットに意見を書き出してもらうといった、聞いているだけの時間を少なくする方法を取るなど、さまざまな工夫を実施してみてください。

参加者のカメラをONにしてもらう

カメラがオフになっていると、参加者のリアクションがわかりません。通信環境にもよりますが、コミュニケーションを取りやすくするには、参加者にもカメラをオンにしてもらうことをおすすめします。参加者自身に当事者意識をしっかりもってもらいましょう。

まとめ

オンライン研修を実施する企業が増えており、今後はますますその傾向が高まると予想されます。オンライン研修を成功させるには、事前にしっかりと準備を整えることが大切です。

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