コラム
  • 対象: 全社向け
  • テーマ: ビジネススキル
  • 更新日:

コミュニケーション能力とは?採用面接で見極めるための質問例も紹介

コミュニケーション能力とは?採用面接で見極めるための質問例も紹介

企業の採用活動において、応募者のコミュニケーション能力の評価は重要な課題です。しかし、単に「話が上手い」「外交的」といった表面的な判断では、真のコミュニケーション能力を見極めることは困難でしょう。

今回は、人事担当者の皆様に向けて、コミュニケーション能力の本質的な要素や、面接での具体的な評価方法について、実践的な視点から解説します。

関連資料

KizunaNaviサービス概要資料

関連資料

対話の質を数値化し、組織の成長を加速させる

コミュニケーション能力とは?

コミュニケーション能力とは、他者との意思疎通や協調を円滑に行うための総合的なスキルです。企業の採用活動において、最も重視される能力のひとつといえるでしょう。

コミュニケーション能力は大きく分けて、言語能力と非言語能力の2つの要素で構成されています。採用面接では、応募者のこれらの能力を総合的に評価することが重要です。

まずは、コミュニケーション能力を構成する「言語能力」と「非言語能力」について具体的に説明します。

言語能力

言語能力は、面接時に明確になりやすい要素です。しかし、単に話す・聞くという基本的なスキルだけでなく、より複雑な能力を含んでいます。

具体的には下記のような能力が含まれます。

  • 「伝える力」:自分の意見や考えを論理的に組み立て、相手に分かりやすく説明する力
  • 「語彙力」:専門的な知識や経験を、状況に応じて適切な言葉で表現する能力
  • 「汲み取る力」:相手の質問の意図を正確に理解し、的確な返答をする力
  • 「傾聴力」:会話の文脈を理解し、適切なタイミングで発言する能力

これらの能力は、業務上の報告や提案、チーム内でのコミュニケーションにおいて重要な役割を果たします。

非言語能力

非言語能力は、言葉以外の要素を通じて相手との関係性を構築する力です。

面接官として、応募者の下記のような点に注目することが重要です。

  • 表情の豊かさや視線の使い方
  • 姿勢や身振り手振りの適切さ
  • 声のトーンや話すスピードのコントロール
  • 相手の感情や場の雰囲気への察知力

特に重要なのは、相手の表情や態度から「隠れた感情や本意」を読み取る力です。これは組織内での人間関係を円滑に保つために不可欠な能力となります。

コミュニケーション能力が高い人の特徴

採用面接において、応募者のコミュニケーション能力を正確に評価することは重要な課題です。

しかし、一般的に「外交的な性格の人=コミュニケーション能力が高い」という誤解が存在します。

実際には、積極的に周囲とコニュニケーションが取れる明るい性格でも、相手の話に耳を傾けることができないと、真にコミュニケーション能力が高いとは言えません。

面接官として、下記の特徴を観察することで、応募者のコミュニケーション能力をより正確に評価しやすくなります。

話す順番を工夫している

コミュニケーション能力の高い応募者は、面接での質問に対して、論理的に構成された回答をします。

思いつくままに話すのではなく、相手に理解を促すように情報を整理して伝える力があるのです。

また、重要なポイントを強調し、補足説明を適切なタイミングで加えるなど、情報の優先順位を意識した話し方をします。

対話のバランスが取れている

面接での会話において、理想的な発話比率は4〜6割と言われています。応募者が一方的に話す印象がある場合、相手の意見や反応を軽視している可能性があります。

逆に、質問への返答が極端に短い場合は、コミュニケーションに消極的な性格かもしれません。

面接官は、この発話バランスを観察することで、応募者のコミュニケーション能力を評価できます。

傾聴力が高い

優れたコミュニケーション能力がある応募者は、面接官の説明や(逆質問などでの)回答に対して、単に聞き流すのではなく、深い理解を示します。

会話内容に関連する質問をするなど、相手の言葉の背景にある意図や文脈を理解するための姿勢を表します。

また、面接官の説明に対して適切なタイミングでうなずく・相づちを打つなど、積極的な聞き手としての態度も重要な評価ポイントです。

多様性を受容している

組織では、さまざまな背景や価値観を持つ従業員との協働が求められます。

面接において、応募者が多様な視点や考え方を受け入れる柔軟性を持っているかどうかは、重要な評価ポイントとなるでしょう。

面接官との対話の中では、異なる意見に対する受容性や、自分とは異なる視点への興味・関心として表れます。

好感を与える反応を自然に表現できる

優れたコミュニケーション能力を持つ応募者は、好感の持てる態度や振る舞いを自然に表現できます。

非言語領域となる「表情」「視線」「ジェスチャー」などを効果的に活用できることが、その特徴としてあげられます。

コミュニケーション能力が低い人の特徴

一方で、コミュニケーション能力が低い人では、下記のような特徴がみられます。

  • 他人への興味・関心が欠如している
  • 相手の話を遮る傾向がある
  • 会話の目的や結論が不明確である

このような傾向のある応募者は、業務上での報告や連絡における正確性を損なう可能性があり、チームワークに支障をきたすおそれがあります。

面接時にこれらの傾向が顕著に表れる応募者については、慎重な評価が必要でしょう。

面接でコミュニケーション能力を見極める評価基準の例

採用面接において、コミュニケーション能力を客観的に評価するためには、具体的な評価基準を設定することが重要です。

下記に、コミュニケーション能力に関する評価基準の例を示します。

1.声量と話すスピードに関する基準

(例)
・声の大きさが場面や距離に応じて適切に調整されている
・話すスピードが聞き手に配慮され、重要なポイントで適切に間が取れている

2.傾聴する姿勢に関する基準

(例)
・相手の話に対して適切なタイミングで相づちを打てている
・話の内容に応じて表情が自然に変化している

3.会話のマナーと配慮に関する基準

(例)
・相手の発言を最後まで聞いてから返答を始めている
・質問の途中で遮ることなく、適切なタイミングで発言している

4.伝える力に関する基準

(例)
・複雑な内容を簡潔に整理して説明できる
・経験や実績を具体的かつ簡潔に伝えられる

また、評価基準は面接官同士の認識の違いを避けるため、面接実施前に確認し、共通の理解を持つことが重要です。

面接でコミュニケーション能力を見極める質問例

面接でのコミュニケーション能力の評価には、適切な質問設計が不可欠です。

下記のような質問例を活用することで、応募者のコミュニケーション能力をより正確に見極めることができます。

「簡単に自己紹介をお願いできますか?」

応募者のプレゼンテーション能力を総合的に評価するための重要な質問例です。主に、面接の最初に行う質問です。

評価のポイントとしては、アイコンタクトの取り方、声の抑揚、説明の論理性、初対面の相手への配慮などがあげられます。

特に、経歴や志望動機をどのように構成して伝えるかは、情報整理能力を測る重要な指標となります。

「円滑なコミュニケーションをとるために最も大事だと思うことは何ですか?」

この質問では、応募者のコミュニケーションに対する基本的な考え方や価値観を確認できます。

特に管理職候補の場合、この質問への回答は将来的なマネジメントスタイルを予測する重要な手がかりとなります。

傾聴を重視するのか、積極的な発信を重視するのかなどを観察することで、リーダーシップスタイルの傾向を把握しやすくなります。

「前職であなたはどのように評価されていましたか?」

この質問への回答から、自己理解の深さと他者視点の理解度を評価できます。

具体的なエピソードや評価内容を交えて説明できるかどうかも、重要な判断材料となるでしょう。

また、否定的なフィードバックについての言及の仕方からも、コミュニケーションの成熟度を読み取ることができます。

「どのようなことが好きですか?」

意図的に曖昧な質問をすることで、応募者のコミュニケーションスタイルを観察できます。

質問の意図を確認しようとする姿勢、回答の構造化能力、説明の具体性などが評価ポイントとなります。

特に注目すべきは、質問の意図を明確にしようとする確認行動です。

「仕事に関してですか?」「プライベートも含めてですか?」といった質問ができるかどうかは、コミュニケーション能力の指標となります。

「仕事上で苦手な人はどのようなタイプですか?」

この質問では、応募者の対人関係における課題解決能力を評価できます。単に苦手なタイプを述べるだけでなく、その対処方法まで言及できるかどうかが重要です。

また、回答の仕方から、困難な人間関係に対する柔軟性や対応力も判断できます。建設的な対処方法を持っているか、感情的になりすぎないかなども、重要な評価ポイントとなります。

「仕事に取り組むとき、一人とチームではどちらが好きですか?」

この質問は、応募者のコミュニケーションスタイルと適性を把握するのに効果的です。

回答からは、チーム作業への適性、協調性、リーダーシップの傾向などを読み取ることができます。

単に好みを聞くのではなく、その理由や具体的な経験を引き出すことで、より深い理解が可能となります。

「〇〇と回答されましたが、それはなぜですか?」

この質問は、応募者の論理的思考能力と説明力を評価するのに適しています。特に注目すべきは、回答と理由の整合性、説明の具体性、根拠の明確さです。

また、即興での対応力も評価できます。準備された回答ではなく、その場で考えて説明する能力は、実務でのコミュニケーション能力を予測する重要な指標となります。

まとめ

コミュニケーション能力は、言語能力と非言語能力の2つの要素から構成される総合的なスキルです。採用面接では、応募者の話し方や傾聴力、対話のバランス、多様性の受容性などを多角的に評価することが重要です。

今回の内容を参考に、貴社に最適な人材を見出すための評価基準づくりを始めてみてはいかがでしょうか。

面接官の“判断力”を磨く 面接官実践コース 見極め編<キャリア採用版>

採用競争が激化する昨今、優秀な人材の獲得において面接官の「見極める力」は、これまで以上に重要性を増しています。

単なる職務経験や技術的なスキルだけでなく、応募者の本質的な価値観やキャリア志向性を正確に評価できる面接官の育成が、企業の競争力を大きく左右する時代となっています。

このような背景から、JMAM(日本能率協会マネジメントセンター)では上場企業での人事マネジャー経験を持つ現役のキャリアコンサルタントが開発した「面接官育成オンラインセミナー」を提供しています。

より確かな採用判断を実現したいとお考えの企業様は、ぜひご利用ください。

サービス資料|AI解析で1on1の質を劇的に変える「KizunaNavi」

対話の質を数値化し、組織の成長を加速させる

KizunaNavi(キズナナビ)は、最先端のAI技術を活用し、1on1ミーティングの質を向上させる実践支援サービスです。対話の質を科学的に向上させるだけでなく、利用者の負担を最小限に抑え、効果的なフィードバックを可能にします。

  • AIが対話データを解析
  • 記録不要な簡単操作
  • 視覚的な解析結果
  • 万全なセキュリティ対策
KizunaNaviサービス概要資料
JMAM HRM事業 編集部

文責:JMAM HRM事業 編集部
人事・人材教育に関する情報はもちろん、すべてのビジネスパーソンに向けたお役立ちコラムを発信しています。

関連商品・サービス

あわせて読みたい

Learning Design Members
会員限定コンテンツ

人事のプロになりたい方必見「Learning Design Members」

多様化・複雑化の一途をたどる人材育成や組織開発領域。
情報・交流・相談の「場」を通じて、未来の在り方をともに考え、課題を解決していきたいとの思いから2018年に発足しました。
専門誌『Learning Design』や、会員限定セミナーなど実践に役立つ各種サービスをご提供しています。

  • 人材開発専門誌『Learning Design』の最新号からバックナンバーまで読み放題!
  • 会員限定セミナー&会員交流会を開催!
  • 調査報告書のダウンロード
  • 記事会員制度開始!登録3分ですぐに記事が閲覧できます