コラム
  • 対象: 全社向け
  • テーマ: DX/HRTech
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DX人材の不足を解消できる3つの手段とは?現状から対応策まで解説

DX人材の不足を解消できる3つの手段とは?現状から対応策まで解説

ビジネス競争においてDXの重要性が増している一方、DXを推進する「DX人材」の不足が加速していることが課題となっています。
この記事ではDX人材とはどういうスキルを持った人材なのか、今後どれだけ不足していくと予想されているのか、といった基礎知識から、DX人材が不足する未来に対して、企業が行うべき対策を解説します。企業の人材育成に関わる方、経営者、マネジメント層の方はしっかりと対策を学び、人材不足を乗り越えてDX化を成功させましょう。

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DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

はじめに、DXの定義を正しく理解しましょう。DXとは2004年にウメオ大学(スウェーデン)のエリック・ストルターマン教授が提唱した「進化し続けるテクノロジーが人々の生活を豊かにしていく」という概念です。

2018年に経済産業省が公表した、よりビジネス向けの具体的な定義では「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」とされています。SNSやインターネットが浸透して情報の多様化が進んだ昨今では、DXの必要性、重要性が増しています。

DX化の遅れによる経済損失「2025年の崖」とは?

DXの必要性が高まるなか、仮に企業がDXを推進することに失敗して、既存のビジネスモデルを変革できなかった場合にはどうなるのでしょうか。経済産業省のレポートでは、DX化が遅れたまま2025年を迎えた場合、2025年以降に最大で年間12兆円の経済損失が発生する可能性があると予想しています。

損失の主な要因の1つは「老朽化や複雑化、ブラックボックス化している既存の基幹システム(レガシーシステム)」です。年間10兆円を超える損失はもはや一企業の問題には収まりまらず、日本経済全体の損失になりかねません。早急な対応が求められていますが、DXを推進するために必要な「DX人材」すら不足している状況です。

不足する「DX人材」とは?

「DX人材」には厳密な単一の定義はありません。経済産業省の「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」では下記の通り定義されています。

・DX 推進部門におけるデジタル技術やデータ活用に精通した人材
・各事業部門において、業務内容に精通しつつ、デジタルで何ができるかを理解し、DXの取り組みをリードする人材、その実行を担っていく人材

DX化を進めるには、デジタルに関する知識を持つ人材だけでは不十分です。事業部門側にもDXに対する正しい理解があり、DXプロジェクトを統括できる人材が必要とされています。DX化を成功させるには、両者の連携が必要不可欠なのです。

出典|経済産業省「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」
https://www.meti.go.jp/press/2018/12/20181212004/20181212004-1.pdf

DX人材に必要なスキル

DX人材に必要とされる具体的なスキルを解説します。

必要なスキル5種

●IT関連の基礎知識

技術職に限らず、基礎知識は共通言語として皆が持っておくべきです。

●AI、IoTなど先進技術に対する興味と知識

DXは一度取り組み、完了したら終わりではありません。進化の速いデジタルの先端技術を常に取り入れ、ビジネスを変革し続ける必要があります。

●UI/UX思考

どれだけ最先端のデジタル技術を取り入れたとしても、利用ユーザーによって使いやすいシステム、サービスでなければ継続して利用されることはありません。

●データサイエンスの知識

機械学習によるデータ分析や、ビッグデータの活用が年々重要になっています。

●プロジェクトマネジメント能力

DXは新しいITツールの導入といった部分的な取り組みでは終わりません。ビジネスモデル、社内文化にも変化を及ぼす全体的な取り組みです。大規模なプロジェクトとなり、関わる人数も多くなりますので、高いプロジェクトマネジメントスキルが問われます。

DX人材に適した職種

DX人材が担う職種を紹介します。必要なスキルを備えたDX人材を、適切な職種に配置していく必要があります。その際に重要なことは、1人のDX人材に全ての職種(役割)を任せないことです。役割を明確にして、各職種に1名以上の人材を配置していきましょう。最適なチームを構成して、一丸となって進めていくことが重要です。

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が定めた6つの職種は下記のとおりです。

IPAが定めた6つの職種

●プロデューサー

DX化の全体戦略を描き、実現を先導するリーダー的な役割

●ビジネスデザイナー

プロデューサーが描いた戦略を具体的な企画に落し込み、推進する役割

●データサイエンティスト/AIエンジニア

データ分析、AIに精通しており、ビジネスモデルへ活用する役割

●アーキテクト

企画のシステムを設計する役割

●エンジニア/プログラマ

アーキテクトが設計したシステムを実際に実装、構築する役割

●UXデザイナー

システムやサービスのユーザー向けデザインを担当する役割

DX人材は最大79万人も不足する?

これらのスキルが求められるDX人材ですが、みずほ情報総研株式会社が発行する「IT人材需給に関する調査」によると、2030年には最大79万人のDX人材が不足する可能性があると報告されています。

要因の一つは、1997年以降続く少子高齢化により、国内の労働人口自体が減少していることです。しかしそれ以上に大きな要因は、DX人材の供給自体は徐々に増えている一方、需要がそれ以上に伸び、差が広がっている(不足が大きくなっている)ことです。

そのなかでも、AIやIoTを活用した「先端IT市場」に従事するDX人材の不足が深刻化しています。不足を解消するには「従来型IT市場」に従事する人材が、「先端IT市場」への人材としてスキル転換を図ることが求められています。スキル転換が上手くいかず、人材の流動が起きない場合には、2030年時点の需要の半分程度しか満たせない試算になります。

不足するDX人材への対応策とは?

それでは、DX人材の不足に対してどのような対応策があるのか解説してきます。

自動化・効率化による対応人員の削減

まずは、そもそも人が対応しなくても済むようにサービス、システムの自動化・効率化を進めることが重要です。たとえば、顧客サポート、社内WikiやFAQポータルにおいては、AIチャットボットを導入することで、カスタマーサポートや情報システム部門の人員を削減することができます。
その他にもRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の活用により事務作業、事務員の削減が可能です。さらに、人員削減には副次的な効果として、削減により浮いた予算をDX人材の採用・育成に充てることもできます。

アウトソーシングの活用

DX人材の不足に対して、社内の人材だけで対応する必要はありません。社外の高い専門性、経験を持っているプロのDX人材へアウトソーシングすることも対応策の一つです。社内にDX人材がいない、DXの知見がない状況でも、早急にDX化に取り掛かることができます。

依頼する場合、プロジェクト全体を一括で任せるだけでなく、たとえば保守業務の運用アウトソーシングからスタートするなど、狭い範囲からアウトソーシングを行い、徐々に範囲を広げていくことも可能です。スケジュール、予算、社内の状況に応じて上手く活用していきましょう。

DX人材の不足を解消できる3つの手段

これまでは自動化やアウトソーシングによる対応策をお伝えしましたが、最も必要かつ、根本的な解消策は「DX人材」を自社でしっかりと確保することです。そのための手段を3つ紹介します。

外部パートナーを活用する

1つめの手段は、コンサルタントやSIベンダーなどの外部パートナーを活用することです。
DX化の企画立案から社内データの現状分析などの実務、さらには事業プロセスの再設計まで、用途に応じて依頼できます。
実態として、2017年にForrester Consultingが実施した調査「日本におけるデジタルトランスフォーメーションおよびデジタルマーケティングに関する実態調査:2017年度」では、実に53%の企業が「外部パートナーを活用していた」と回答しています。

DX人材を採用する

2つめの手段は、DX人材の採用です。DX人材は企業側の視点では不足していますが、立場を逆にしてDX人材本人の視点から見ると多くの就職先(転職先)候補がある状況といえます。引く手数多のDX人材は、今よりも良い労働環境を求めて流動的になっているともいわれています。

採用する企業側は、選ばれるために厳しい競争に晒されます。一般的な採用市場だけでは難しいので、ヘッドハンティングやDX人材に特化した転職サービスなどを活用して採用を進めましょう。

DX人材を育成する

最後の手段は、社内人材をDX人材として育成することです。リスキリング(新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること)ともよばれ、DX人材不足を解消する手段として今注目を集めています。

これまでお伝えしてきた対策、手段と比較すると時間・労力はかかります。しかしながら安定的・継続的にDX人材を確保して、企業の競争力を高めるには必要不可欠な手段とされています。育成方法としては、座学でのスキル学習や、OJT、社外でのDX研修などの方法があります。また育成だけでなく、育成することを見越した中長期的な採用戦略も求められます。

DX人材の育成に積極的な企業の一例としてダイキン工業株式会社の事例を紹介します。デジタル化によるビジネス構造の大きな変革に対応することを目的として、社員向けに「ダイキン情報技術大学(DICT)」を開講しています。2021年度末までに1,000人、2023年度末までに1,500人のDX人材を育成することを目標として取り組んでいます。

まとめ

DX化に必要不可欠なDX人材の不足が深刻化しており、最大79万人の人材不足や、年間12兆円の経済損失といったショッキングな未来が予測されています。DX化はビジネスに競争力、新しい価値を付与します。DX人材をいかに確保することができるかはビジネスの成否を握るともいえるでしょう。DX人材の確保には、社内人材からの育成が最も重要な手段となります。

日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)では、全社員、DXリーダー、経営層それぞれの役割に合わせた知識・スキルを身に着けるための研修プログラムを提供しています。

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