事例詳細
総合情報サービスA社 人事・教育担当者S氏
■「新入社員基本行動トレーニング」を導入されたときの経緯を教えてください。
新入社員研修を大きく見直そうという動きがありました。社内検討会で、今の新人に足りないものは何かを調べてみると、強み、弱みも含めて、自分をよく知らずに来ている人が多いということと、報・連・相などのコミュニケーションスキルが足りないよね、という結果が出ました。
それまでの研修では、どちらかというと社内制度や自社の商品説明など、知識の詰め込みばかりしていたんですが、あまり詰め込んでも結果的に活かせていないとか、それよりも行動の基本ができていないということが年々問題となっていて。そこで行動の部分を研修内容に加えていこうということになりました。
■なぜ「新入社員基本行動トレーニング」を選ばれたのでしょうか?
体験型の研修というか、正にリアルな職場体験だったということです。正直叱るっていうところに多少抵抗はあったんですが、確かに現実の世界は厳しいよね、だったらやってみようかと。
また、最近の新人は打たれ弱いということも言われていて、どうやったらそこが鍛えられるかというのも課題でした。自分の強みは就職活動で探してきていますが、弱みは気づいていないから、そこがもろい。納得感のある研修の場で、時にはガツンと言われることの経験をさせておきたいということもありました。
■実際に研修を実施された感想はいかがでしたか?
入社からこの研修までの教育期間中、学生気分がどうしても抜けなかったというのがあったんですが、この研修で学生意識からの本当の意味での切り換えができたんじゃないかと。仕事をするということがどういうことか身をもって実感できて、顔つきも変わってきたなというのが一番の印象です。
もう1つは、名刺交換なり挨拶なり、「知っている」と思っていたことが結局できていない、そこに気づいたということです。挨拶とか本当に基本的な、会社の一員としての振る舞い、その大切さに気づいたみたいで。全体的に「受け身」だった態度から、「自発的」な行動が見られるようになり、社内でもすすんで挨拶をしたり、誰かがイスを片付けていたら率先して手伝うようになったりと、意識が大きく変わりました。
■受講者の感想はいかがでしたか?
研修中は、それまでの座学とはまったく違うから、どうして挨拶を何回もやらされるんだとか、ちょっと不満なところはあったようでしたが、終わってみればあの研修はよかった、もっと厳しくてもよかったと好意的な感想でした。3カ月の研修期間のなかでも、この研修が一番印象に残っているようです。現場の上司なら気分で怒ることもあるかもしれませんが、講師はできていないことを叱るというのがあったから納得できた、そこが一番よかったみたいですね。叱られても自分ができていないからしょうがないんだっていうので、むしろ叱られてよかったなんて言ってましたね。
■研修後の新人の行動に、変化はありましたか?
チーム分けして課題を一緒にやっていくことで、最初はバラバラな状態だったのが、研修を3日間やっただけで、一致団結というか、厳しさを共有したからか、同期というつながりができたのが目に見えてわかりましたね。今年の新人は、すごく仲がいいように感じます。
それに、あの3日間で人に呼ばれたらノートとペンを持っていく、要件を確認するっていうのが、しっかり身につきました。私の部署にも1人新人がいるんですが、いつまでですか、何でしょうかって全部メモをとったりして。メモをとるとか、席を立つときにイスをしまうとか、挨拶もそうなんですが、続いているんですよ。他の部署からも、今年の新人はちょっと違うね、名刺交換や挨拶はもうできているね、なんていう声も聞いています。
■今後に向けての課題を教えてください。
OJTが課題だと思っています。当社では1年間トレーナーをつけ、新人の育成をしていますが、現状はトレーナーの資質に依存してしまっている傾向があります。モチベーションを高めるコミュニケーションの取り方や接し方、1年間で何をどう身につけさせるか等、トレーナーの教育が必要と考えています。また、トレーナー任せでなく、部署全体でフォローして育成していくような意識づけも必要だと思っています。
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掲載日 2012/01/27
掲載内容やご登場いただく方の役職は取材当時のものです。