昇進昇格審査に「アセスメントセンター®」を導入する企業が、年々増えています。経営環境が大きく変化し、優秀な人材を発掘したり、早期選抜・育成するための方法がますます求められている今、アセスメントセンター®はどのように活用されているのでしょうか。JMAMアセッサーに聞きました。
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アセスメントセンター®を導入する企業が増えているのはなぜでしょうか?
アセッサー
経営環境が大きく変化する中、管理職は即戦力として活躍することを求められています。コンプライアンスやメンタルヘルスの問題、ビジネスの革新から部下育成まで、管理職に求められる役割は格段に複雑になり、それを担えるマネジメント力のある人材を見極める必要性が高まっているのです。
既任の管理職のマネジメント力にばらつきが目立つ、という問題意識もあります。
そこで、管理職登用の段階で適性がある人を見極めようという動きが高まっているのです。社内の評価だけではなく、アセスメントセンター®を入れて管理職適性を客観的に確認しようという企業が増えています。
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コラム「アセスメントセンター®とは何ですか?」
日頃の様子からは、管理職適性をみるのは難しいのですか?
アセッサー
アセスメントを受ける管理職候補の方々は、みなさん会社から期待されている人材です。ただ、管理職としての適性を備えているかどうかは、意外とわからないこともあるんですね。
プレイヤーとして優秀で、かつマネジメント力も備えているような方も、もちろんいます。ですが、プレイヤーとして優秀でも部下のマネジメントができない人や、逆に普段目立たなくても、メンバーへの細やかなサポートが得意でうまくマネジメントできる人もいます。
こういった適性は、管理職になる前の社内の評価だけで見極めるのは難しいこともあるので、外部の客観的な指標を取り入れる企業が増えているのだと思います。
管理職経験のない一般職の方がアセスメントセンター®を受けるのは、ハードルが高そうですが…。
アセッサー
最近は、昇進昇格試験としていきなりアセスメントセンター®を実施するのではなく、事前に能力開発の期間を設ける企業が増えています。
人によって職場での経験はマチマチで、日頃の業務だけでは管理職適性は育ちにくいこともあります。昇進昇格試験を受ける前に、例えば通信教育や課題図書、研修などで、管理職として必要な知識・スキルを身につける機会を一定期間設けている企業が多くなっています。
基本をおさえてからアセスメントセンター®を受けてもらうということもありますが、一般職から、管理職として即戦力になれる準備状態をつくることも重視しているのですね。
アセスメントセンター®を導入した企業からよく聞かれる悩みや課題はありますか?
アセッサー
アセスメントセンター®の導入企業が増えてきて、「スキルレベルが把握できたのは良かったが、審査に落ちてしまった社員のフォローが難しい」「本人や上司に結果を受け止めてもらうにはどうしたらいいか」という相談も多くなってきました。
JMAMでは、スキルアップガイドやアセスメントセンター®を活用した研修などをすでに用意していますが、より良く結果を活用したり、受検の機会自体を成長につなげられるように、各種ツール・プログラムの開発をすすめています。
どのようなツールやプログラムがあるのでしょうか?
アセッサー
例えば、アセスメント実施当日に行う「振り返りセッション」や、後日アセスメント結果をふまえてトレーニングをする「フィードバック研修」があります。
それから、「上司向けフィードバック」も要望があります。
マネジメントスキルは日常業務のなかで伸びていくので、上司の関わりは重要です。
とはいえ、上司もどう関わったらいいかわからない。そこで、候補者の上司に対して、スキル開発に向けた部下育成のポイントを説明してほしいという要望が実はけっこうあるのです。多くは結果が出た後に行いますが、ユニークなところでは、アセスメントセンター®実施前に上司向け説明会を行う企業があります。候補者に求められるスキルがあらかじめ説明されるので、上司も育成ポイントがわかると評判です。
また、最近とくに要望が増えてきているのが「個人別フィードバック」です。
アセッサーから1対1で個別にフィードバックを受けられるので、満足度が高いようですね。
試験だけではなく、昇進昇格の前後にどんなしくみやフォローをつくるかに関心が高まっているのですね。
アセッサー
昇進昇格は、実は候補者自身も成長の機会だったと認識していて、育成効果の高いタイミングといえます。昇進昇格に関する調査をしたところ、昇進昇格審査を受けた人たちの多くが「成長の機会になった」「自分の強み弱みを確認できた」と回答していました。
アセッサーとして、これまで多くの管理職候補者の方々を評価してきましたが、昇進昇格の時期は、管理職候補者にとって“一番熱い時期”なのだと思います。昇進昇格と能力開発をうまく組み合わせることで、高い育成効果が期待できます。
ありがとうございました。