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  • 対象: 人事・教育担当者
  • テーマ: 人事制度・評価
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OKRとは?導入事例、KPI・MBOとの違いや運用方法を解説

OKRとは?導入事例、KPI・MBOとの違いや運用方法を解説

目標管理の方法として、OKRに注目が集まっています。Googleやメルカリなどの大手企業も導入しているOKRとは、具体的にどのようなものなのでしょうか。

この記事では、自社にOKRを導入したいと考えている担当者に向けて、OKRの特徴や運用方法について解説します。導入事例についても触れるため、ぜひ参考にしてください。

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目標管理に重要なOKRとは

OKRは、「Objectives and Key Results」を略した表現です。「Objective」は目標、「Key Results」は結果を表しており、OKRは目標を管理するためのワークフレームとなっています。

OKRは、Objectivesとして大きい目標を立て、それを達成するための定量的な指標をKey Resultsとして具体的な目標を設定し、達成状況を明確に測定できるようにする点が大きな特徴です。
組織の目標と個人の目標を連動させることが可能なため、一体感を醸成させやすい目標管理手法だといえます。

OKRを導入する主な目的とは

OKRの導入は、組織と社員が一丸となるのに効果的です。

たとえば、
Objectivesで「業界のトップシェア獲得」と設定したとします。

Key Resultsはその達成のための指標なので、
「売上○○○○円を達成する」
そのために「顧客数を○人増やす」「問い合わせ件数○件にする」「有効商談数を○%向上させる」といったものがそれに当たります。

さらにこれを達成するために、各部門・各個人へと目標をブレイクダウンします。

このようにOKRを設定すると組織と個人の目標が連動するため、ビジネスを進めやすくなります。各企業で組織のあり方や人事評価の改革が行われており、国内でもOKRを導入する企業は着実に増えています。

OKRの特徴・ポイントとは

OKRにはさまざまな特徴があります。ここでは、OKRの特徴や押さえておくべきポイントについて解説します。

短期間で効果測定が行われる

OKRは、短期間でスムーズに効果を測定できます。OKRの一般的なサイクルは1~4カ月程度です。細かい目標を設定してこまめに達成率を見直せるため、成果につながる目標管理を効率的に実現できます。

目標の達成率が具体的

OKRは、具体的な数値で目標を設定する点が特徴的です。そのため、目標の達成状況についても客観的で明確な評価を下せます。

【参考】SMARTとは

OKRを設定するときは、SMARTというフレームを活用すると便利です。SMARTは具体的な目標を設定するために必要な要素を表しています。

・「Specific(明瞭)」
・「Measurable(測定可能)」
・「Attainable(達成可能)」
・「Relevant(関連性)」
・「Time-bound(期限)」

の5つの要素の頭文字をとり、SMARTと表現されています。

組織で目標を共有する

OKRには企業と社員の足並みをそろえるという目的があるため、個人の目標は企業方針にあわせる必要があります。目標設定の際に企業方針を意識させると、それぞれの社員に企業方針が浸透しやすくなります。

給料に影響しない

基本的に、OKRは昇給などの評価に影響を与えないような位置付けにすることが求められます。OKRで設定する目標の難易度は、本人が所属しているチームや具体的な業務内容によってもそれぞれ異なります。OKRが給料に影響する場合、目標を達成するうえでの弊害となる可能性もあります。

混同されやすい用語との違い

OKRと似ている言葉は複数あります。ここでは、混同されがちな用語とOKRの違いについて解説します。

MBO

MBOも、組織と個人の目標を統一的に管理するための方法です。ただし、OKRとは異なり、MBOは人事評価にも活用されるため、個人が設定した目標は周囲と共有せずに管理する点が大きな特徴です。MBOの効果測定は1年ごとに行う企業が多く、目標を決定する際の基準は企業によってそれぞれ異なっています。

KPI

KPIとは、最終的な目標を達成するためのプロセスにおいて定める、具体的数値目標のことです。OKRを達成するために必要なことを洗い出し、それに対して定量的な目標を設定します。KPIを設定すれば、最終的な目標を達成するために必要な行動を意識しやすくなるでしょう。ただし、KPIを設定しすぎると、特に重要なタスクがわかりにくくなる可能性もあります。

KGI

KGIは売上高や成約数など、企業にとっての最終目標のことをいいます。KGIは最終目標、KPIはKGI達成のための具体的な指標です。
OKRとの違いは、KGIは達成100%を目指すのに対し、OKRは定性的な大きな目標を掲げる点です。また、KGIは部門ごとに独立して設定する場合もある一方、OKRは全社的な目標として、企業―部門―個人が連動していくことが違いとして挙げられます。

ノルマ

ノルマとは、達成すべき最低限の基準のことです。ノルマは必ずクリアする必要があるため、社員はノルマを達成したうえでさらに高い結果を残さなければなりません。

一方、OKRでは、本人が達成できそうなレベルよりも少し高いレベルの目標を設定します。これにより、社員は自分のスキルや知識を最大限に発揮して目標達成を目指そうとします。

自社でOKRを導入するメリット

自社にOKRを導入すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、具体的なメリットについて解説します。

業務の優先順位を把握しやすい

OKRを設定すれば、社員は業務の優先順位を把握しやすくなります。目標が共有されているため、特に重要な業務について社員同士の認識をそろえることが可能です。社員は成果を出すために、効率的に業務を進められるようになります。

会社の方針が浸透しやすい

OKRは企業方針をもとに設定するため、OKRを設定する習慣をもてば企業方針を社員に浸透させやすくなります。すべての社員が同じ方向を向いて仕事に取り組めるため、組織全体が一体感のある活動を進められます。

エンゲージメントがアップしやすい

エンゲージメントとは、企業に対する社員の愛着心のことです。OKRを設定すれば社員の組織に対する貢献度を評価しやすくなり、エンゲージメントの上昇につながります。

新型コロナウィルスの感染対策のためにリモートワークを導入する企業が増えており、社員同士が離れた場所で働く機会が増えました。このような状況においても、企業方針を反映したOKRを設定すれば企業の一体感を醸成できます。

OKRを効果的に運用する方法

OKRを効果的に運用するには、どうすればいいのでしょうか。ここでは、具体的な方法について解説します。

適切な目標を設定する

OKRとして、適切な目標を設定しましょう。低い目標を設定しても、社員の仕事に対するモチベーションは向上しません。しかし、明らかに達成が困難な高い目標を設定すると、社員のやる気が下がる恐れもあります。企業や社員の状況を考慮し、最適な目標を設定することが大切です。

適切な目標を設定する方法としては、ルーフショットやムーンショットがあります。ルーフショットのルーフは「屋根」を意味しており、簡単ではないものの努力次第で実現できる目標を示しています。ルーフショットの成功の基準は、100%の目標達成です。

一方、ムーンショットのムーンは「月」のことで、とても高い目標を表しています。ムーンショットは難易度が高いため、目標を60~70%達成できれば成功とみなされます。

計測できる成果を設定する

OKRでは、数値で計測できる成果を目標として設定しましょう。計測できない成果を目標にすると、状況を正しく把握しにくくなります。OKRを達成するための取り組みがスムーズにいかなくなる可能性もあるため、注意が必要です。

組織に内容を共有する

OKRは、組織全体で共有しましょう。社員全員が必要なときにいつでもOKRを確認できるようにしておくのが理想的です。常にOKRを確認できる環境が整っていれば、社員は目標に向かって業務を進めやすくなります。

フィードバックを行う

OKRを設定した後は、定期的に目標の達成率を確認しましょう。目標があっていないと、達成率が低くなる可能性があります。必要があれば、最初に設定した目標を見直して再設定しましょう。

検証・評価を実施する

OKRの達成具合を検証し、全体の取り組みを評価します。達成率だけでなく、プロセスも確認しながら総合的に評価するのがポイントです。状況や対策についても細かく検討すれば、組織内のコミュニケーションも促進できます。

OKRをうまく継続するコツ

OKRを設定して目標達成のための取り組みをスムーズに進めるためには、チェックインミーティングを行うと効果的です。チェックインミーティングは、OKRを設定した後の進捗を確認する目的で実施されます。

開催時点での達成度や各社員の状態をチェックし、OKRを達成するための取り組みについての優先度を再確認します。

OKRを導入した企業事例

OKRはさまざまな企業が導入しています。ここでは、OKRを導入している企業の事例を紹介します。

メルカリ

メルカリでは、シンプルでわかりやすいOKRを設定しています。
進捗を色で表しており、すぐに状況を把握できるようにしている点が特徴的です。会議において定期的にフィードバックを行い、常にOKRを意識して行動できるようにしています。達成率の目標は50%に設定しており、無理なく楽しみながら挑戦できる環境の構築につながっています。

Google

Googleでは、スピーディに成果を出すためにOKRを導入しています。達成率の目標を70%に設定し、優秀な人材が自分のスキルや知識を最大限に発揮してチャレンジできるようにしました。四半期ごとにOKRの結果と次回のOKRを全社員に共有し、組織全体で目標達成を目指せるように工夫しています。

まとめ

OKRを設定すれば、大きな目標達成のために社員が一体となって業務に取り組めるようになります。エンゲージメントも高められるため、OKRを設定する際のポイントを押さえて導入しましょう。

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