事例詳細
サントリーホールディングス株式会社
『人と自然と響き合う』をグループの企業理念として掲げ、「やってみなはれ」を合言葉に、総合酒類食品企業として世界の市場へ展開を図るサントリーグループ。サントリーホールディングス株式会社では、チャレンジ精神を常に意識する人材の育成に、eラーニングライブラリ®(以下、ライブラリ)を活用しています。同社のライブラリ活用法について、キャリア開発部の田端昌史氏、高橋亜由美氏にお話を伺いました。
3つのバリューを実践できる人材を育成
貴社が求める人材像について教えてください。
田端氏:当社には、会社としてのビジョンやミッションとは別に、社員一人ひとりが大切にするべきバリューがあります。それは“やってみなはれ”の「チャレンジ精神」、利益の3分の1はお客さまへ、そしてもう3分の1は社会に還元すべきという「利益三分主義」、そして企業理念の根底に流れる「自然との共生」です。このバリューを理解し、行動に落とし込める社員を求めています。
そうした社員の教育はどのように行っていますか。
田端氏:2012年1月に、考え方や体系をまとめて、社員に教育の在り方を示しました。教育に関する活動ドメインは、新人から課長を対象に基盤人材を育成する「グローイング」、選抜型教育やグローバル人材教育を行う「ストレッチング」、自己啓発による「セルフリライアンス」の3つです。
そこにeラーニングはどのように関連してくるのでしょうか。
田端氏:「セルフリライアンス」の部分です。集合研修は時間もコストもかかります。そのため、研修の場で基本的なレクチャーをしていてはもったいないと考えています。その点、eラーニングは場所と時間を選ばず、また比較的安価に学習ができますから、まず基本はeラーニングで学んでもらいたいと考えています。
グループ全体でライブラリを受講
JMAMのライブラリを選んでいただいた理由を教えてください。
田端氏:2011年までは別な教育会社のeラーニングを利用していたのですが、修了率の低さに悩んでいました。その時にライブラリをご案内いただき、各コンテンツが魅力的で学習しやすいこと、全コースライブラリであればビジネススキルから技術系のテーマまでグループ各社が必要とするものが全て揃うこと、金額的にもお得感があったことから、導入を決めました。実は、以前からグループ会社間での教育施策のバラつきをなくしたいと考えていて、国内各社の教育関係者約40名と打合せを行ったのです。その時にも、eラーニングなら受講しやすいという声があり、グループ会社へのサポートの一つとして、eラーニングを強化してみようかと考えていたところでした。
では、対象は全てのグループ会社ということですか。
田端氏:はい。国内全グループの社員は契約社員、嘱託社員も含めて対象となっています。また、ホールディングスから海外に出向している社員も対象です。
社員の皆様に身に付けて欲しい知識やスキルについて教えてください。
高橋氏:あくまで自己啓発なので特に必修コースや推奨コースは設けていません。ガイドラインは示していますので、自分の将来のキャリアを考えて、自分に何が必要かを考えて受講してほしいと思います。
受講を促進するための施策について教えてください。
高橋氏:まず、金額的にもお安くなったので、自己負担金も以前に比べ低くしました。次に、自己負担金を下げたことを、自己啓発のおススメプログラムであることと合わせて社内イントラネットで告知し、メルマガも発信しました。その結果、ライブラリ導入後、以前に比べて受講者数が倍増し、修了率もアップしました。受講環境については、自宅以外に会社のPCも就業時間外であれば使用を許可しています。昼休みや就業後に学習している人が多いようですね。
口コミで広がるライブラリの良さ
グループ会社の特徴的な活用法などはありますか?
高橋氏:あるグループ会社では、新入社員研修の一環として活用しています。また、当社の白州蒸溜所では、あるマネジャーが自分で受講してみたところ「これはいい」と感じたそうで、安全衛生に関する4コースを工場の全員に受けさせたということです。白州蒸溜所のこうした動きは工場同士の安全衛生会議などで他の工場にも広まってきているようで、eラーニングが口コミで定着してきている状況です。
受講者の反応は?
高橋氏:「アニメーションが多く楽しんで学習できる」、「業務に役立つコンテンツが多い」などの声が多いです。研修に参加できない産休・育休取得中の方々からも「会社とのつながりが感じられる」「復帰がスムーズになる」と非常に喜ばれています。また、海外勤務の社員にも利用が広がっています。
受講者の上長の巻き込みなどはどのように行っていますか。
田端氏:当社では年5回、上長と部下の面接があります。その1回目が目標設定面接で、能力開発について話し合います。例えば、英語力やロジカルシンキングを伸ばしたいといった内容を自身の1年間の業務計画とともに記入してもらいます。eラーニングの案内は上長・部下の双方に行っていますから、上長からeラーニングの受講を勧めることもあるようです。
その他、運営上の工夫や課題について教えてください。
高橋氏:eラーニングの開講は大きく分けて年2回(2月と8月)としました。毎月申し込みは可能ですが、年2回、大々的に募集を告知することで、認知度アップを目指しています。また、開講の情報は、毎回グループ全体にも発信しています。さらに、社内イントラネット上でeラーニングの告知を目立つように変更したり、積極的にメールで案内するなど、宣伝をよりしっかり行うようにしています。今後もeラーニングの取り組みやすさや充実したプログラム内容を伝えて、活用を促していきたいと思います。
田端氏:課題としては、通信教育や集合研修とeラーニングをより効果的に連動させていくことです。また、これからはダイバーシティの促進、65歳定年制の導入、人事制度の見直しなどにより、働き方が一層多様化してくると思います。そこで、いつでもどこでも勉強できるeラーニングの重要性は増していくと考えています。
ありがとうございました。
プロフィール
会社名 | サントリーホールディングス株式会社 |
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URL | http://www.suntory.co.jp/ |
主要事業 | 創業1899年。2009年に株式移行で持ち株会社サントリーホールディングスを設立。サントリーグループ全体の経営戦略の策定・推進、およびコーポレート機能を司るグループの中枢として機能している。本社(大阪オフィス)と、サントリーワールドヘッドクォーターズの2拠点を中心に、グループ会社200社を束ねる。連結売上高1兆8,025億円、グループ会社従業員数28,532名(共に2011年12月末現在)。 |
掲載日 2013/02/12
掲載内容やご登場いただく方の役職は取材当時のものです。