導入事例

社員の能力開発や学ぶ風土づくりに
積極的に取り組む企業を取材しました

株式会社レゾナック·ホールディングス

「レゾナックが目指す“共創型人材”の実現において従業員一人ひとりのキャリアオーナーシップが重要と考え「キャリア自律支援プログラム」を導入」

機能性化学メーカー「レゾナック」は、2023年1月1日、昭和電工株式会社と昭和電工マテリアルズ株式会社(旧日立化成株式会社)が統合して誕生しました。半導体・電子材料をコアとした世界トップクラスの機能性化学メーカーを目指し、スピード感を持ってさらなる変革を進めています。

統合が進む中で、「キャリアオーナーシップを大事にしよう」というトップメッセージを受け、一から研修施策の構築を進めていく中で、30代向けキャリア研修として、日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)の「キャリア自律支援プログラム」が導入されました。

導入の経緯や導入効果、期待することなどについて株式会社レゾナック·ホールディングス 組織·人材開発部 ラーニング&デベロップメントグループ アシスタントマネージャー 望月美季様にお話を伺いました。

組織·人材開発部 ラーニング&デベロップメントグループ アシスタントマネージャー
望月美季 様
株式会社レゾナック·ホールディングス
会社名
株式会社レゾナック·ホールディングス
URL
https://www.resonac.com/jp
プロフィール
設立 1939年6月
本社所在地 東京都港区東新橋1-9-1 東京汐留ビルディング
主要事業 エレクトロニクス、モビリティ、機能材料、石油化学、基礎化学品、グラファイト、デバイスソリューション

機能性化学メーカー「レゾナック」

── 株式会社レゾナック·ホールディングスについて教えてください。

株式会社レゾナック・ホールディングス Webサイト

レゾナックは、昭和電工株式会社と昭和電工マテリアルズ株式会社(旧日立化成株式会社)が2023年1月に統合して誕生した会社です。当社ではこの新会社誕生を「第2の創業」と位置づけ、半導体・電子材料をコアとした世界トップクラスの機能性化学メーカーを目指し、スピード感を持って変革を続けています。

そんな変革の中でも、一社員として特に強く変化を感じるのは人材育成への本気度です。
会社トップのメッセージとして、レゾナックの価値の源泉は“人”であるという考えが社内外に強く発信されており、こういった流れを受けて様々な施策が検討されました。

もちろん、会社統合前でもしっかりとした研修体系や人材開発施策は整備されていましたが、統合を機に、事業戦略にマッチした“共創型人材”の創出をキーワードとしてほぼ全ての施策を一から見直す、まさにスタートアップであったと感じます。

当社の人材戦略の特徴は、事業戦略と人材戦略が完全に同期しているということです。事業戦略は機能性化学(優れた特性や機能を持つ、付加価値の高い化学製品・素材のこと)です。機能性化学においては、同じ製品を大量に作ればよいわけではなく、お客様のニーズに応える機能を生み出していくことが重要です。
そして、そのためには、営業、開発、製造部門など社内関係者はもちろん、お客様のさらに先の装置メーカーや、原料調達先など社外のステークホルダーとの連携、“すり合わせ”が必要不可欠です。

レゾナックでは、この“すり合わせ”こそが、「共創」だと考えています。こういった考えの下で、会社や部門を超えて自律的に繋がり、共創を通じて創造的に変革と課題解決をしていく“共創型人材”の創出をレゾナックの人材戦略としています。

キャリアオーナーシップを実現するためのキャリア研修

── レゾナックでは2023年度から、30代向けキャリア研修として、日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)の「キャリア自律支援プログラム」を導入しました。導入の経緯を教えてください。

大きなきっかけは、やはり会社統合です。レゾナックが目指す“共創型人材”に必要な素地として、従業員一人ひとりのキャリアオーナーシップの重要性が高まりました。

横のコラボレーション、つまり枠を超えて自ら繋がり、価値を創ることのできる“共創型人材”となるためには、目標に向けて自ら行動し、継続的に学び続ける、自律した人材であることが大切だと考えています。この“自律”のために、キャリアオーナーシップが非常に重要です。

会社統合が進む中でも、髙橋CEO、今井CHRO(最高人事責任者)から、「キャリアのオーナーは従業員一人ひとり」「自分らしいキャリアを楽しんでほしい」といったメッセージが多く発信されました。こういった流れを受けて、全体の人材開発施策を見直す中で、キャリアを一つの柱とした研修体系を整備することとなりました。

今回の「キャリア自律支援プログラム」は、この一環として導入したものです。これから具体的なキャリアを描いていく若手層をターゲットに、自身の軸や将来のキャリアイメージを持ち、その実現のために自ら行動を起こすため施策を検討していたところ、JMAMさんよりご提案いただいたのがプログラムを導入した経緯です。

2023年にスタートした自分主体のキャリア形成に向けた年代別キャリア研修概要

キャリアという言葉は、狭い意味では仕事上の経歴、昇進などを指しますが、それだけではないと考えています。キャリアは、その人の生き方のプロセスそのものであり、一人ひとりの価値観やライフイベント、周囲の環境変化によりアップデートしていくような継続性のあるものだと思います。

こうした考えのもと、従業員が、継続的にキャリアについて考え、対話する機会を設けるべく、30代、40代、50代といった年代別でのキャリア研修を実施することとなりました。

私が担当しているのはこのうち30代向けの研修で、キャリアをメインテーマとした研修としては、入社後初めてのキャリア研修の機会となります。

── キャリア研修の内容については、どのようにして構築されたのですか。

まず各年代で想定されるライフイベントや業務状況を仮定し、私生活と仕事の両面から受講者のペルソナを設定しました。そして、その状況の参加者にどうすればキャリアオーナーシップを持ってもらえるか、キャリアの実現に向けた行動を後押しできるかを考え、研修の内容を具体化していきました。

30代で言えば、仕事では業務の基礎を習得し終えて、新たな付加価値を創出できるような、職場の中心的な役割を担うことが期待されています。また、先輩や上司の指示を受けて実行するだけではなく、自ら考え行動し、自身が望む経験機会をつかみ取るマインドも大切になります。こういった対象者が、今後のキャリアを自ら選んでいくための機会を提供しようと考えました。

正直なところ、キャリアオーナーシップというトップのメッセージが発信されましたが、統合前の会社では、キャリアについて考える機会やそれについて対話する研修機会が多くはありませんでした。そのため、そもそもキャリアとは何かを考えてもらい、自分の大事にしている価値観を言語化して、今後どうしていきたいのかについて、まずはきちんと時間をとって考える機会を作ろうと思いました。

時間をかけて取り組む研修内容

── キャリア研修を依頼する会社はどうやって決めたのですか。

3、4社の研修会社に、キャリア研修の受講対象者と、研修後にどういう状態にしたいのかを話しました。具体的には会社としてキャリアオーナーシップを発信しており、個人で考えて自律的に動ける人材にしていきたいこと、そのためのキャリアを考える機会を与えていきたいという話をしました。そして各社から提案をいただきました。

── それら提案を比較検討して、JMAMのキャリア自律支援プログラムを導入されたのですね。

そうですね。各社の提案内容をみると、基本的にキャリアを考える機会を作り、自己分析をしてキャリアプランを考えるという共通する要素はありましたが、研修自体への力の入れ方は全然違うと感じました。1日とか半日で自己理解を深めてキャリアプランを考える研修もありましたが、それだけでは不十分だと思いました。

JMAMの提案はインプットだけでなくアウトプットの機会を設けてあり、加えて外部の刺激を受けさせて、さらに学び、気づきを深めるという内容で、必要なステップをパッケージ化されている点に魅力を感じました。

キャリア研修の流れ

研修内容には、事前学習があり、ワークショップ1回目(自己分析・気づき:
自己理解)、キャリア面談1回目、そしてワークショップ2回目(プランラング・気づき:自分のありたい姿)、キャリア面談2回目を実施したあと、事後課題として上司との面談を実施します。

そして3ヵ月後にフォローアンケートを実施して、行動変容を促進するとともに効果測定をするものです。約半年間(フォロー期間含む)と研修期間も長めで、時間をかけて取り組む内容に興味をひかれました。

また、JMAMの提案は私が依頼した30代向けのキャリア研修だけでなく、他の世代のキャリア研修など研修の全体観を見た提案がありました。結果的には社内の事情で、私が担当する30代向け研修のみ初年度は導入することとなりましたが、キャリアを継続的なものとして全体感をもって提案いただけたのも納得感がありました。

── JMAMのキャリア自律支援プログラムを導入された決め手は何でしょうか。

プログラムの中で自己理解を深めて、チームメンバーからの刺激を受けながら自分の価値観をしっかりと持ち、将来的にありたい姿に繋げていくという研修の構成に非常に納得感があったことです。

また、外部のキャリアコンサルタントとの面談を組み合わせるなど、本気で自身と向き合うための工夫がある点も決め手の一つです。キャリアに関心をあまり持ってこなかった参加者がいた場合でも、有意義な時間を提供できるのではないかと思い、導入を決めました。

参加者の95%がキャリア実現に向けた行動を起こす

── 30代向けのキャリア研修の対象者について教えてください。

30代向けと言っていますが、正確には20代後半から30代前半です。入社2年目から3年目※くらいのタイミングでいわゆる“主任グレード”に相当する等級に昇格します。これを一人前の証と捉える職場も多く、今回の研修では、この昇格後一年間の実務を経た後の社員を対象としました。2023年の対象者は、合計116名でした。

※大学院卒が多いため入社年数が浅くなるとのことです。

── 30代向けのキャリア研修を実施された効果について教えてください。

研修終了後3か月後に取ったアンケートでは、キャリア実現に向けた行動を起こしたと回答した社員が95%と非常に高い割合でした。各職場でもそれに伴う変化があったのではないかと推察します。

具体的な行動としては、「先輩に話を聞きに行った」「上司に頼んで自分の担当外の打ち合わせに連れていってもらった」「関心の高い領域の情報を収集した」「自己分析、自己理解を深めるために研修後も習慣的に振り返りの時間を設けるようにした」といった声が多くありました。

研修前からキャリア開発が進んでいた参加者からは、内容が一般的なものに感じたといった声もごく一部ではありましたが、一方で多くの参加者にとっては、キャリアについての関心を高め、自分ごととして考えるマインドの醸成につながったと評価しています。

レゾナックというフィールドで自己実現を

── 2024年度も同様に30代向けのキャリア研修としてJMAMのキャリア自律支援プログラムを実施する予定ですか。

一部、既存施策との関係で変える部分はありますが、基本構成は2023年度と同じように実施したいと考えています。

トップのメッセージとして「レゾナックというフィールドを自己実現に使って欲しい」という思いが非常に強く、「レゾナックを社会が欲する人を育てる道場にしたい」とも話しています。その言葉が表すように、このレゾナックという場を使って、ここでしかできないことをして、社員一人ひとりのありたい姿、やりたいことにつながるような経験と挑戦をして欲しいと考えています。その基礎となるのが、30代向けのキャリア研修だと考えています。

── JMAM並びにキャリア自律支援プログラムに対するリクエストや期待がありましたらお教えください。

いつも全体観を持ってご提案いただけるのは非常にありがたいと感じています。

また、実際のキャリア研修でも、四つのバリューにつながる内容を加えて欲しいとリクエストしたところ、ワークショップ2回目にそうした内容にアレンジしていただきました。こちらのリクエストに対して、きちんと対応して研修内容に反映していただける点は高く評価しています。
これからも新しい研修の提案やキャリア研修の実施に向けてのフォローをよろしくお願いします。


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株式会社レゾナック·ホールディングス様、
本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

※ 取材 2024年2月

▼キャリア自律支援プログラム
https://www.jmam.co.jp/hrm/training/special/hybrid_career/

※本事例の社名や内容等は、すべて取材当時のものです。

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