導入事例

社員の能力開発や学ぶ風土づくりに
積極的に取り組む企業を取材しました

イオンディライト株式会社

DX 、ITリテラシー教育に注力するにあたり、「これだけは知っておきたいDXシリーズ」、「DX自分ごと化ワークショップ」を導入

イオンディライト株式会社は50年以上の歴史を持つイオングループに属するファシリティマネジメント企業です。人々が活動する空間を最適化し、建物に関わるすべての人に安全と安心、快適な環境を提供しています。
会社としてDX 、ITリテラシー教育に注力するにあたり、2022年より日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)の「これだけは知っておきたいDXシリーズ」、2023年から「DX自分ごと化ワークショップ研修」を導入されました。
導入の経緯や導入効果、期待することなどについてイオンディライト株式会社 グループ人事総務部 採用教育グループ 石原康子様にお話を伺いました。

グループ人事総務部 採用教育グループ
石原康子 様
イオンディライト株式会社
会社名
イオンディライト株式会社
URL
https://www.aeondelight.co.jp/
プロフィール
設立 創立:1972年11月16日
本社所在地 東京都千代田区神田錦町1-1-1 帝都神田ビル
(本店所在地:大阪市中央区南船場2-3-2 南船場ハートビル)
主要事業 ファシリティマネジメント事業

イオンディライトの事業内容
建物に関わるすべての人に安全と安心、快適な環境を提供

──イオンディライト株式会社について教えてください。

イオンディライト株式会社 Webサイト

イオンディライトはファシリティマネジメント事業を行う会社として、既に50年以上の歴史があります。

当社がモットーとしていることは、人々が活動する空間を最適化し、建物に関わるすべての人に安全と安心、快適な環境を提供することです。安全、安心、使いやすさ、環境への配慮で長持ちさせること、そしてコスト削減をクライアントにご提案しています。

また、当社はイオングループの一員として小売業から派生してきた会社です。商業施設であれば店舗のスタッフの方々がご来館のお客さまへのご対応に集中できるような環境づくりを心がけてまいりました。現在では、イオングループの商業施設のみならず、オフィスや工場、ホテル、病院など、管理を任される施設は多岐に渡りますが、お客さまが本業に専念していただける環境を提供することにより事業を広げてきたことが特徴の一つです。

通常、ファシリティマネジメント事業、ビル管理といえば設備などの法で定められた項目の点検が中心となりますが、施設を保有される当社にとっての直接のお客さまはもちろん、その施設を利用される方々、周辺住民の皆様もすべてお客さまと考え、施設とその周辺によりよい環境を提供していくことを目指しています。

スタッフの教育研修でも、挨拶の徹底やいかに施設の雰囲気をよくしていくか、ということに取り組んでいます。

また、当社にとって経営課題のひとつとなっているのが人手不足です。ファシリティマネジメント業界では人手不足や有資格人材の高齢化がかねてより課題となっており、人口動態から今後、ますます厳しくなっていくことが見込まれます。こうした中、持続的成長を果たしていくためにもDXを通じたビジネスモデル改革が不可欠となっています。採用教育グループでは、DX・ITリテラシー向上への取り組みを進めています。

ファシリティマネジメントにおいて、ITリテラシーの必要性とは?

──ファシリティマネジメント事業において、どのような場面でDX、ITリテラシーが必要になるのでしょうか。

施設内外から得られるさまざまなデータからお客さまにとって価値ある提案をアウトプットする
データ連携基盤「イオンディライトプラットフォーム」の運用や業務プロセスのDXを推進するための人材育成は必須

まずDX推進部(現:企画開発グループ)という専門組織で、全社のDXを推進しています。DX、ITリテラシーが必要となる例としては、例えば施設の遠隔監視が挙げられます。

カスタマーサポートセンターによる遠隔監視と巡回型サービスの強化

2020年からのコロナ下において、外出自粛などの影響でお客さまである商業施設の管理に効率化が求められるようになりました。そこで今までの人による管理を減らして、機械による遠隔監視を導入しました。遠隔監視はシステムによる監視となりますので、そのシステムを使いこなすためにはシステム操作の習得、ITリテラシーが必要となります。

最近では、何か新しい取り組みを行う際は、基本的にシステムを活用します。するとあらゆる場面でITリテラシーが必要となってきます。
こうした現場でのITリテラシー向上の必要性から採用教育グループとしてITリテラシー教育に注力していくことになりました。

──イオンディライトでは2022年に、DX動画学習として日本能率協会マネジメントセンター(以下JMAM)の「これだけは知っておきたいDXシリーズ」、そして2023年に「DXアイデア創出研修」を導入されました。
現在、貴社が取り組まれているITリテラシー教育、そしてこれら研修を導入された背景について教えてください。

グループ人事総務部 採用教育グループ 石原康子様

ITリテラシー教育を実施するにあたり、当社のIT部門やDX推進部と協議しました。ITの専門部署ではない社員に対して何を教えればいいのかを打ち合せる中で、まずDXとは何か、データリテラシーとは何かという基礎教育を行い、底上げをする必要があるという方向になりました。

基礎教育、底上げの成果をどのようにして可視化していくか、いろいろな教育プランを検討していく中で出てきたのが、国家資格である「ITパスポートの取得」の取得です。ITパスポートを取得することにより、IT知識の共通言語化、共通認識にもつながります。また、国家資格ですので取得した社員本人の資産にもなります。

一方、ファシリティマネジメント事業の通常業務において、法定でさまざまな資格取得が必要となり、資格を取得していないとできない業務があります。社員はそれら資格取得に時間を割いているのが現状です。
この通常業務と必要資格の取得を行っている上でのITパスポート取得になりますので、取得へのモチベーションを高めてもらうためにインセンティブ研修を用意しました。

基礎教育、ITパスポートの取得、そしてインセンティブ研修の実施を通じて、IT、DXに関心を持った社員に対して、実務においてDXがどのように使えるのかを学んで欲しいと考えました。

動画学習、ITバスポート取得から、
自身の業務改善のアイデアに落とし込む研修とステップアップ

──するとDX動画学習があり、その後、ITパスポートの取得、取得者に対するインセンティブ研修という流れになりますね。

デジタル・ITリテラシーの底上げに取り組む

そうですね。当社での組み立ては、まずステップ1として2022年7月からDX動画学習の活用による研修で、「なぜDXが重要か」「最低限身に着けるべきリテラシーはどのレベルか」 の共通認識を持ち、社内の共通言語化をめざしました。

研修の対象者は必須学習者:入社2年次以降、30歳未満の社員約490名(内訳、定期採用:420名、中間採用:70名)、任意学習者:他の年代、契約社員・嘱託社員の希望者約80名となります。任意学習者は必須学習者以外の希望する人に参加してもらいました。

次にステップ2として、IT関連知識の向上をめざしITパスポートの取得推進を行いました。対象者はDX動画学習を受けた方全員で、2022年9月に学習テキストを配布し、2023年2月末までの合格をめざしました。受験費用の取り扱いは、1回目の受験料(7,500円)は、合否に関わらず会社負担とし、試験日は業務出張扱いで交通費は会社負担です。2回目以降は自己啓発扱いで、合格者の受験料は会社が支援します。

ステップ3として「DXアイデア創出研修」を実施しました。これがインセンティブ研修になります。ステップ2でITバスポートに合格した方と既に取得している社員の中の、希望者が対象となります。この研修は、DXをポジティブに自分ごととして捉え、業務上のさまざまな課題解決にDXを活用し推進する人材を育成することをねらいとしました。

目的としては、
1.自分の立場や業務に合わせ、顧客課題の解決、新たなサービスの提供、業務改善のアイデアを創出するスキルを習得する。
2.フレームワークで思考を整理し、アイデアを形にできる力を身に付ける。
ことにあります。

導入した研修の選定理由と、実施後の効果

──ステップ1とステップ3においてJMAMの研修を導入されましたが、どのようにして選定されたのですか。

底上げを目的とした基礎教育では、当社でも具体的に何をすればいいのかがまだわかっていませんでしたので、いろいろな研修会社に声をかけて提案していただきました。

JMAM以外のほとんどの研修会社は、ITのプロフェッショナル、エンジニアを育成する研修の提案だったのですが、一方でJMAMからの提案はDXを活用する側、ユーザー視点で、DXのアイデアを考える研修を提案いただきました。

当社ではITのプロフェッショナルを育成するのではなく、社員にDXを主体的に活用していこうとする前向き姿勢を身につけてもらいたいのです。その目的に合致しているJMAMの動画教材の導入を決めました。

更に、DX動画教材の導入、そしてITパスポート取得の次のステップとして、JMAMからは「DX自分ごと化ワークショップ」をご提案いただき、「DXアイデア創出研修」として導入しました。

DXサービスマトリクスに基づくブレスト

この研修を導入する際は、当社のITリテラシー教育を理解された上での提案でしたので、他社には打診をせずに導入を決めました。

システム利用者として、IT部門に改善提案できるように

──実際にステップ1からステップ3までの研修を実施されて、その効果についてはどのようにお考えですか。

DXは会社の方針だけれど、現場の自分たちには関係ないという考えではなく、DXは自分の仕事を楽にするために活用するもので、自分なりに積極的に取り組んでいこうというポジティブなマインドを持ってもらうきっかけになったと思います。

「DXアイデア創出研修」まで受講した社員には、システム利用者として、IT部門に改善提案ができるようになってもらえればと考えています。

先にもお話ししたように現在はどんな業務にもシステムが使われています。システムを開発するIT部門では、きちんと業務をリサーチしてシステムを設計しますが、現場を経験したことがないために、現場サイドから見ると使いにくい点や不自然な点が出ることもあります。

そうした際、単に「使いにくい」と文句をいうのではなく、なぜ使いにくいのか、どこをどう改善してほしいのかを具体的にIT部門に伝えられる人材が出てきてくれればいいと考えています。そうした人材が将来的にシステムの開発側で働くこともありうるかもしれません。

──研修に参加された社員からは、どのような声、感想が寄せられているのか教えてください。

「DXに対する考え方が変わった」という声が寄せられてきています。

「DXアイデア創出研修」受講後の感想としては、「DXを身近に感じた」「DXの進め方がわかった」「自分の業務を楽にするためにDX活用があると理解」などの意見が多数あり、研修のねらいは達成できたと考えます。

事後課題も約8割の受講者は自身の業務に置き換えてDX化のアイデアを提案しており、「自分ゴトとして捉えるマインド」が醸成できました。アイデア出し手法やフレームワークの活用、自分の考えを簡潔にまとめるエレベーターピッチの手法の学習が新鮮で、日常業務でも役立つとの声も多々ありました。
また研修を終えた社員の中には、DXやITスキルを高めてのキャリアアップを考えるものが出てきています。ITパスポートの次のステップとなる、情報処理技術者試験を受けるための支援はありませんか、という要望が寄せられたことはITリテラシー教育の一つの成果と考えています。

今後のITリテラシー教育施策

──このITリテラシー教育は今後も続けられますか?

JMAMのDXプログラムの一部(随時プログラム更新・追加 2024年4月現在)

そうですね。入社2年目にはDX動画研修を受講して、ITパスポートの取得をめざしてもらいます。そして合格者にはインセンティブ研修として、翌年に「DXアイデア創出研修」を受講してもらうという流れは、今後も続けていきます。

さらに、「DXアイデア創出研修」の次の研修ということで、JMAMの「DXアイデア実践研修」を実施する予定です。

こちらは「DXアイデア創出研修」の際に提出した事後課題、つまり自身の業務に役立てるためのDXアイデアを作成し、上司コメントを取得し提出されたものから、具体的なアイデアを抽出して具体化する研修です。

参加者は「DXアイデア創出研修」参加者から選抜する予定です。ただ、研修で取り上げるテーマについては、IT部門との調整も必要になります。JMAMとも密に打ち合わせ、ステップ4として実施に向けて進めていきたいと考えています。

そしてこの一連の研修は当社のITリテラシー教育のベースになるものとして、推進していきたいと思います。



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イオンディライト様、本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

※ 取材日時 2023年12月
※インタビュー内の「DXアイデア創出研修」は弊社サービスの「DX自分ごと化ワークショップ研修」となります。

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