導入事例

社員の能力開発や学ぶ風土づくりに
積極的に取り組む企業を取材しました

大樹生命保険株式会社

人材育成方針を立てるため従業員の能力を公平に、きちんと数値化されるJMAMの「アセスメント研修」を導入

大樹生命保険株式会社は1927年創業の90年を超える歴史を持つ生命保険会社です。2016年4月1日には日本生命保険相互会社と経営統合をし、新経営体制を発足。2019年4月1日より、新社名・新ブランドでさらなる成長を目指すべく、「大樹生命保険株式会社」に社名を変更しました。2021年度より日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)の「アセスメント研修」を導入されました。導入の経緯や導入効果、期待することなどについて大樹生命保険株式会社 人事部 人材開発室長 宮田忠文様にお話を伺いました。

人事部 人材開発室長
宮田忠文 様
大樹生命保険株式会社
会社名
大樹生命保険株式会社
URL
https://www.taiju-life.co.jp/
プロフィール
設立 創業:1927年(昭和2年)3月5日
本社所在地 東京都江東区青海1-1-20 ダイバーシティ東京オフィスタワー
主要事業 生命保険業

1.人材育成の推進のために、「“人の大樹”プロジェクト」をスタート

── 大樹生命保険株式会社について教えてください。
当社は1927年に創業し、90年を超える歴史を持つ生命保険会社です。創業以来、三井グループの生命保険会社として、成長を続けてきました。「いつの時代も、お客さまのためにあれ」という、初代社長・團琢磨の言葉は、全従業員の不変の価値観として脈々と受け継がれています。

2016年4月1日には日本生命保険相互会社と経営統合をし、新経営体制を発足しました。それにより当社は日本生命グループの一員となり、三井グループ各社との強い協力関係に加え、両者の強みを持った生命保険会社として歩みを進めています。

そして、2019年4月1日より、新社名・新ブランドでさらなる成長を目指すべく、「大樹生命保険株式会社」に社名を変更しました。大樹のように大地にしっかりと根を張り、晴れの日も雨の日もお客さまを守り、よりそい、そして多くの人が集まってくる、そのような保険会社になろうという想いが込められています。

また、大樹ブランドのもととなる「大樹シリーズ」は、1970年から始まる当社の主力商品ブランドであり、長らくお客さまに親しまれてきた馴染深い名称でもあります。

当社は社内の風通しがよく、思い切っていろいろなチャレンジができる風土があります。その風土を加速すべく、2020年度より人材育成の推進のために、「“人の大樹”プロジェクト」をスタートさせました。従業員一人ひとりの成長を会社がサポートすることで、従業員の満足度が上がり、結果としてお客さまの満足度も向上し、ひいては企業価値の持続的成長につながるという好循環づくりを目指しています。

そして、2021年度に策定した当社の共通の価値観である「大樹生命バリュー」のもと、一人ひとりの「個性」を最大限に活かし、個々の能力が発揮できるよう“互いに個性を尊重し、助け合い、高めあえる”環境づくり、会社づくりにも努めています。

2. 2021度からJMAMの「アセスメント研修 プログラム」を導入

──宮田様が室長を務める人材開発室について教えてください。
私は2022年4月から人材開発室長を務めており、それまでは営業拠点でマネージャーをしていました。
人材開発室では、総合職、エリア総合職、業務職の2300名に対する教育・研修を担当しています。研修の対象者は入社1年目の新入社員から59歳のシニア研修まで、すべての階層に対する教育・研修を行っています。

人材開発室自体は3チームに分れており、研修の運営関係を行う人材開発チーム、若手総合職といわれる新卒と第2新卒の初期研修から2年目研修までの教官チーム、そして講師チームで構成されています。講師チームは研修プログラムの作成から講師、また、研修のフォローなどを担当しています。

──大樹生命では2021度から日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)の「アセスメントセンター」を導入されました。導入の経緯を教えてください。
JMAMとは長年のおつきあいがあり、当室が教育・研修の対象とする総合職、エリア総合職、業務職に対する通信教育を提供していただいたことがおつきあいの始まりと聞いています。

2020年度からは、通信教育に加えeラーニングを導入しました。このときは多くのeラーニング・ベンダーを比較検討し、当社の業務に一番親和性が高かったJMAM e ラーニングライブラリ®を導入しました。100以上あるコースから50コースに絞り、自由に受講できるようにしています。

アセスメント研修スケジュール例

アセスメント研修は2021年度よりJMAMに依頼しています。
もともと当社ではアセスメント研修(1日)と自社研修を組み合せて、2泊3日の研修として実施しています。

アセスメント研修は、評価される立場の受講者に過度な緊張感を与えやすい面もあり、過去の話ではぎくしゃくした雰囲気になることもあったと聞いています。その雰囲気が2日目以降に実施される自社研修にも持ち越されて、受講者間の横連携(コミュニケーション)に影響が出ることもありました。

JMAMにアセスメント研修を依頼したのは、大樹生命の人材育成戦略にフィットした従業員の能力の可視化ができると評価したこともありますが、受講者に過度にプレッシャーを与えず自社研修を実施できそうだと判断したからです。

JMAMのアセスメント研修は、アセッサーがよい雰囲気づくりをしてくれるため、高度なレベルの研修を実施しているにも関わらず、受講者間の雰囲気が良くなりました。その結果、翌日以降の自社研修にもよい雰囲気が持続され、研修結果にもつながりやすくなりました。

3.従業員の能力の可視化が目的

──大樹生命ではどのような目的でアセスメント研修を実施しているのですか。
社内の同期同士、同じくらいの社歴同士の能力の可視化が目的です。アセスメント研修をすることで一人ひとりの特徴を把握して、長所を伸ばし、一方で短所をできるだけ抑えることができます。
そして社外の人材と比較したとき、当社の人材が今どれくらいの位置にいるのかを把握できることが大事だと考えています。

人的資本経営の観点では、人材育成に資本投下して、会社として従業員に対して何を伸ばしていこうとしているのか、そういう課題が明確になればなるほどいいと思います。納得感のある着地点を見出すためにも、アセスメント研修のデータは非常に意味あるものだと考えています。

──アセスメント研修の対象者について教えてください。
当社では4段階に分けてアセスメント研修を実施しています。

第1段階は入社5年目の従業員全員です。
第2段階は入社11年目でグレードが2に昇格している従業員、課長昇格候補とも言えます。
第3段階はグレード3に昇格してから4年目の従業員、入社15年目前後で、課長、統括部長クラスです。
第4段階はグレード4に昇格した従業員で入社20年前後、グループ長、営業推進部長クラスとなります。

社歴や職位が上っていく中で、従業員の能力の可視化が行われますので、受講者は緊張感あるかたちで研修に臨むことになります。

4.能力が客観的に数値化されることが大切

──宮田様は2022年からアセスメント研修に同席されていますが、研修をご覧いただいた率直な感想をお聞かせください。
例えばコミュニケーションスキル、対人スキルについては、よく知っているメンバーも研修に参加していますので、彼らにどれだけのスキルがあるのだろうかと気になります。知っているメンバーが参加している姿をはたから見ていると、日頃のイメージとは異なる意外な力を知ることがあり、本当の力がさらけだされるというか、本当のコミュニケーションスキル、対人スキルがよくわかる研修だと感じています。

──本当のスキルがわかるのはどのような場面ですか。
出題されたテーマに沿って、限られた時間の中でどういう風に相手に話をしていくのか、どんな引き出しで相手との会話に答えていくのか、といったことを冷静に見る機会はありませんでしたので、私にとっても貴重な体験です。

例えばシステム部門で職歴を積んできた従業員の対人能力が非常に高く、1対1の対話でも非常に高い数値が出るケースがいくつかありました。話し方も論理的でいろいろな答えに行き着く引き出しもたくさんあり、意外な強みがわかるケースもあります。

それだけに能力が客観的に数値化される、浮彫りにされることの大切さを感じています。アセスメント研修で能力が公平に、きちんと数値化されるのは非常に重要だと思います。

──大樹生命ではアセスメント研修の結果は、どのようなかたちで受講者に伝えていますか。
研修終了後10営業日ほどでJMAMから結果をもらえますので、受講者の上司にメールで資料を送り、フィードバックしてもらいます。報告書は非常に細かく書かれた冊子です。

能力開発に向けたアドバイスなども書かれており、フィードバックを行う上司にとっても伝えやすいと思います。受講者にとっても、自分なりに自己分析を行う機会にもつながると思います。

JMAMのアセスメント研修 報告書イメージ

5.それぞれのキャリアビジョンを描ける人材育成が必要

──アセスメント研修は大樹生命の人材育成において、どのような役割を担っているのでしょうか。
従来の人材育成は、均質に資質を引き上げて、汎用性の高い人材、何でもできる人材をたくさん育てることにフォーカスされていました。汎用性の高いメンバーはどこに配置しても、きちんとがんばってくれる、会社に貢献してくれるという考えです。

現在は生成AIなども業務に取り入れられていますから、どのような力を持った人材が必要になるのかは、混とんとしている面もあると思います。今後は多様性や個性を尊重し、個性を活かせるように、それぞれのキャリアビジョンを描ける人材育成が必要になってきます。
そしていろいろなスキルに秀でた人材を戦略的に育成する必要があるでしょう。


新たなものを作り出そうという挑戦心を持った人材やデジタル人材、専門的なスキルを磨く人材の育成など、会社が残っていくためには必要になってくると思います。

そのためにはアセスメント研修における項目の構成なども、変更していく必要があるかもしれません。そこはJMAMの知見やノウハウを教えてもらいながら、一緒に検討できればと思います。

──アセスメント研修、ならびにJMAMへのリクエスト、期待などがありましたらお教えください。
アセスメント研修の結果について、当社の人材と他社の人材を比較できる指標をご提供いただいていますが、もっと多くご提供いただけると助かります。いろいろな角度で当社の人材の立ち位置を立体的に把握できればと考えていますので、ご検討をお願いします。
また、アセスメント研修のさらなる活用方法など、ご提案にも期待しています。


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大樹生命保険株式会社様、
本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

※ 取材 2023年12月

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