導入事例

社員の能力開発や学ぶ風土づくりに
積極的に取り組む企業を取材しました

都築電気株式会社

2032年の創業100周年に向け、2023年度よりJMAMの「越境プログラム」を導入

都築電気株式会社は、2032年の創業100周年に向け、パーパス「人と知と技術で、可能性に満ちた“余白”を、ともに。」や、長期ビジョン「Growth Navigator」の策定を行い、組織と人材の変革に取り組んでいます。その一環として、2023年度より日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)の「越境プログラム」を導入されました。
導入の経緯や導入効果、期待することなどについて、都築電気株式会社 人事戦略室 室長 渡辺剛史様にお話を伺いました。

人事戦略室 室長
渡辺剛史 様
都築電気株式会社
会社名
都築電気株式会社
URL
https://www.tsuzuki.co.jp/
プロフィール
設立 創業:1932年5月1日
設立:1941年3月26日
本社所在地 東京都港区新橋6丁目19番15号(東京美術倶楽部ビル)
主要事業 ネットワークシステムおよび情報システムの設計、開発、施工、保守

情報ネットワークソリューションサービス事業に注力。

── 都築電気株式会社について教えてください。
都築電気は1932年に名古屋で電気通信設備工事業として創業しました。1941年に株式会社に改組しましたが、1945年に空襲で本社を焼失し、東京に移転(大田区田園調布)。
以来、通信ネットワーク技術で90年、情報システム技術で60年以上、お客さまの経営課題解決に取り組み、高い課題解決力を柱に、幅広いSI(システムインテグレーション)事業を展開し、多くの業界のお客さまから高い評価と確かな信頼を獲得しています。

創業の電気通信設備工事業をベースとした事業内容から、現在では情報ネットワークソリューションサービス事業に注力しています。

90周年を迎えた2022年に制定したパーパス「人と知と技術で、可能性に満ちた“余白”を、ともに。」が掲載された都築電気のWebサイト。

多様な人材が自ら挑戦・活躍できる文化醸成を図る。

──都築電気では2032年の創業100周年に向け、2023年5月に長期ビジョンを発表されました。その内容について教えてください。
2022年のパーパス「人と知と技術で、可能性に満ちた“余白”を、ともに。」の制定に続き、2023年には長期ビジョン「Growth Navigator 〜成長をナビゲートし、ともに創りあげる集団〜」を、10年後のありたい姿として掲げました。

このビジョンを実現するための第1ステップとして、中期経営計画「Transformation 2026」を策定し、ビジョン実現へのロードマップを作成しています。今までとは企業としての立ち位置を変える取り組みですので、人材と組織を大きく変えていく必要があると考えています。

── 「Growth Navigator」の実現のために、人事戦略室ではどのような取り組みをされていますか。
これまでとは一線を画すスピードで変化を続ける事業環境のもと、お客さまの成長を先導するパートナーとなる「Growth Navigator」の実現には、組織と人材の変革が必要です。中期経営計画では、人的資本を高める取り組みとして「人材育成」と「社内環境整備」の両面からのアプローチを挙げています。

まずこれまでの営業・技術・管理といった機能別に動いていた体制から、営業、技術といった垣根を取り払い、「ワンチーム」でお客さまの価値創造に注力できる人材を育成し、バリュークリエイター化を図っていきます。
事業スタンスとしても新領域へのアプローチのために、社会課題起点の追求、ESG視点でのビジネスの展開を行います。

そして、企業体質変革のため、「多様な人材が自ら挑戦・活躍できる文化醸成を図る」ことを目的に、人材育成と社内環境整備を通して、市場ニーズに応える仕組み、リーダー人材、多様なプロ人材、自律性の高い文化を作っていく考えです。

重点施策である人材育成では、3つの柱(1.リーダー人材育成、2.多様なプロ人材育成、3.自律的に社内外に働きかけるチームづくり)と、 成長戦略に必要なプロ人材の育成と組織能力の強化、幅広いニーズに応えられる能力を組織・個人の両面から高めること、社内環境整備では、2つの柱(1.自ら挑戦できる土台づくり、2.多様な人材の活躍支援を行える環境整備)と前中計期間中に確立した仕組みのさらなる整備・改善、多様な人材が自ら挑戦・活躍できる文化醸成を図ること、を基本方針としています。

「人的資本を高める取り組みとして、人材育成と社内環境整備を進めています」と、渡辺剛史様

── 具体的にはどのような研修を行っているのですか。
あくまでも一例ですが、約100名いる統括部長、部長クラス以上でリーダー合宿を行い、職場の改善、風土などに目を向ける取り組みや、職場のサーベイのフィードバックなどを毎年行っています。当初は部署ごとの縦割で実施しましたが、現在では部門をミックスしてワンチームとして実施しています。このワークショップは課長クラスでもやってほしいという声が上がり、ラインマネージャーワークショップを始めました。

こうした取り組みを通じて、ワークショップの参加者が起点となり、少しずつでも自律の風土が醸成され、職場の雰囲気も良い方向に変わっていくことを期待しています。

価値観のバラつきや多様性がある中で、刺激を与える。

── 都築電気では2023年から日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)の「越境プログラム」を導入されました。導入の経緯を教えてください。
「Growth Navigator」を実現するために、新しい価値を創造し続ける人材として、当社ではバリュークリエイターを育成しようとしています。その実現には価値観の多様性、更なるダイバーシティの推進が必要になると考えました。自分の価値観だけでなく、外側の多様な価値観にふれ、人材の流動性を高めることが、バリュークリエイターを育成する第一歩になります。

私ごとですが、前職で出向を経験しましたし、異業種交流型のプログラムに参加したこともあり、比較的社外の友人や人脈は広い方だと思います。社外の人たちとの交わることによって、社内だけでは得られない気づきを得ることができます。バリュークリエイターの育成にはいろいろな会社の人と交わりながら、ある程度の期間、プロジェクト型のプログラムへの参加は必要だと考えていました。

そんなときにJMAMから「越境プログラム」の提案を受けました。実際のところ、都築電気自身には古い体質の企業文化が残っている面があります。よい文化は残しつつ、変えるべきところは変えていくことが必要になる。そのきっかけ作りにもつながるのではないかと思い、すぐに導入の方向を決めました。

──他の研修会社にも越境をテーマにした研修プログラムがあります。比較検討はされましたか。
「越境プログラム」自体が、一般的に“新しい研修プログラム”であり、比較検討しにくい状況だと思います。バリュークリエイターの育成には何よりもスピードが大事だと思い、他の研修との比較検討に時間をかけたくないと考えました。

前職でもJMAMには研修などを依頼していましたし、当社でも前任者の時代から長く研修などを依頼しており、信頼できる研修会社と捉えていました。信頼感に加え、プログラムの充実度、安定感、安心感を持っていたこともあり、「越境プログラム」の導入を決めました。

「越境プログラムは、価値観の多様性のために必要という思いがあり、導入を決めました」と
渡辺剛史様

──「越境プログラム」のどのような点に惹かれたのですか。
私は地域に行くというよりも、会社という枠を越えることによる影響で十分ではないかと当初は考えていました。「越境プログラム」について詳しく聞いてみると、地域に行くことはもちろんですが、そこには他の会社の方も参加しますので、2つの要素があります。地域に行くこと自体が非日常ですし、いい刺激になる。そして会社の中に閉じこもっているのではなく、地域で現地の方や他社の人たちのいろいろな空気や価値観に触れることができます。

価値観のバラつきや多様性がある中で、刺激を与えるという意味では、私がイメージしていた社外の人との異業種交流会以上の刺激になることを期待しました。

参加目的をまとめると、社会課題起点ビジネスの創出人材を開発していくこと、自社内のインキュベーション制度の設計に対するインプット、他社企業とのネットワーキングの三つになります。

──「越境プログラム」ではどのようなコースに参加されましたか。
JMAMが提供している短期型4コースと長期型3コースに参加しました。

短期型(3泊4日+前後2時間学習)の「here there」は、高知市土佐山:4名、福井県永平寺町:5名、和歌山県太地町:4名、岩手県釜石市:4名が参加しました。

長期型(4か月~半年・7回程度のセッション)の「ことこらぼ」には岩手県釜石市:2名、山梨県笛吹市芦川:2名、鳥取市鹿野町:3名が参加しています。

実施時期はプログラムにより異なりますが、「ことこらぼ」は2023年7月から始まり、2024年3月まで続きます。

JMAMの「越境プログラム」が提供する短期と長期のプラン

越境学習について詳しくはこちら>>>

──「越境プログラム」の参加者の決め方を教えてください。
社内のポータルサイトに掲示して、完全「手挙げ式」で募集をしました。蓋を開けてみたらすぐに募集定員に達してしまい、びっくりしました。若手社員を中心に、「越境プログラム」に参加したい社員がこれほどいるんだ、とわかりました。

「越境プログラム」はボトムアップ型の施策。

──まだすべてのプログラムは終了していませんが、「越境プログラム」の効果についてはどのようにお考えですか。
「越境プログラム」に今期は25名が参加しました。来年度以降も継続的に進めていきたいと考えています。来年度、再来年度とさらに参加者が増えていけば、社内に50名、100名という社員が「越境プログラム」の経験者になります。するとある時期に来ると社風などが変わるんだろうなと楽しみにしています。

「越境プログラム」はボトムアップ型の施策で、自分で手を挙げて参加することが大切なプログラムだと思います。決して指名型で参加するものではありません。

まだ初年度のプログラムが終了していませんし、効果は長期で見ていきたいと思います。ただ意識の変化は感じますね。「こんなことをやってもいいですか」とプログラム参加者から声をかけられる機会が増えています。

参加したメンバーの意識の変化の現れだと思い、うれしく感じています。例えば「ことこらぼ」に参加したメンバーでもう1度越境先の地域に行きたいとか、「here there」の参加者から思うところがあるのでコミュニティを作って、そこでみんなと話して何かをやっていきたいといった声が出てきています。

こうして声が出てくることはいいことだと思います。まだ件数は少ないですが、思っている人はまだまだいると思いますので、何かやってみたいなという人は潜在的に生まれてきています。わずかかもしれませんが、意識に変化が現れつつあると思います。

越境プログラム参加者の様子(イメージ)

定番的なプログラムとして粛々と続けていきたい。

──「越境プログラム」への参加は、今後も続けられるのですね。
そうですね。私の期待値に届くには、まだまたこれからだと思っています。効果はすぐに表出はしないと思うので、「越境プログラム」を何年も続けていくうちに、じわじわと変わっていくのではないかとか考えています。

そういう意味では一つの定番メニューにしていいと思います。
外へ行くのは健康的ですし、何よりも社外の人、地域の人と触れあう機会はなかなか持てない社員もいます。社員にとってはいい機会になると思います。

営業は結構外に行きますが、会う人は意外と固定的だったりします。もっと違うところに触れてみたい、違う会社の同世代の人と話してみたい、という機会を自分で作り出すのは結構大変です。

やろうと思えばできないことはないのですが、こういうプログラムに参加してしまえば、他の会社や地域の人と触れ合える。そんな定番的なプログラムとして粛々と続けていくことで、時間をかけながら社内に変化を起こせると考えています。

──「越境プログラム」並びにJMAMへのリクエストがありましたら教えてください。
「越境プログラム」のブラッシュアップについても情報をいただいているので、来年度も期待しています。また着眼点がいいプログラムなので、当社も「越境プログラム」を作り上げていく一員になりたいと思います。


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都築電気株式会社様、
本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

※「越境学習」サービスをインタビュー内では「越境プログラム」と表記しております。

◎都築電気株式会社
https://www.tsuzuki.co.jp
※ 取材日時 2023年11月

※本事例の社名や内容等は、すべて取材当時のものです。

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