導入事例

社員の能力開発や学ぶ風土づくりに
積極的に取り組む企業を取材しました

日本シイエムケイ株式会社

アセスメント+反復トレーニングで管理職のマネジメント力を向上

自動車やスマートフォンなどで使われるプリント配線板の専業メーカー、日本シイエムケイ。同社は、管理職教育に日本能率協会マネジメントセンター(以下、JMAM)が提供する研修プログラム「GR-72」を導入し、アセスメントによる内省と反復トレーニングによるマネジメント力の向上を図っている。今回、日本シイエムケイの河島正紀氏、田中典宏氏に同社の管理者教育について、お話を伺った。

執行役員 人事総務部長
河島 正紀 氏
人事総務部 人材開発課 課長
田中 典宏 氏
日本シイエムケイ株式会社
会社名
日本シイエムケイ株式会社
URL
http://www.cmk-corp.com/
プロフィール
設立 1961年2月
本社所在地 東京都新宿区西新宿6-5-1 新宿アイランドタワー
代表者 高井 建郎
資本金 223億620万円
主要事業 民生用・産業用各種プリント配線板及び電子デバイスの開発・製造・販売

管理職層の育成が課題

プリント配線板のリーディングカンパニー、日本シイエムケイ。高い技術力と徹底した品質の追求で優位性を保っているが、グローバル市場での競争は激化する一方だ。同社の執行役員で人事総務部長の河島正紀氏は、グローバル競争を勝ち進むための源泉は「人材」であり、経営人材の育成が重要な経営課題だと言う。
同社では、自ら考え、行動し、成果を出す人材「自考自走社員」の育成に力を入れてきた。その中で、次世代の経営人材候補となる管理職層の教育にも工夫を重ねてきたが、実は課長研修についてはもうひと工夫ほしいとかねてから考えていたという。人材開発課課長の田中典宏氏は、次のように述べる。
「以前から実施していた課長研修では、役割認識やリーダーシップに関しての知識は学べても、習得した知識を実践化できないことに悩んでいました。もっと“本当に残る”研修はないか、探していたのです」
そこで田中氏が出会ったのが、JMAMのGR-72だった。

強み・弱みを定量的に分析

GR-72〔考え抜く力〕は、管理者のマネジメント力のばらつきを定量的に把握し、高い水準でレベルをそろえるトレーニング・プログラム。管理者の現状のマネジメントレベルをアセスメントで認識したうえで、繰り返し演習を行うことで良質の経験を積み、短期間でマネジメント力を向上させるプログラムだ。
GR-72を体験受講したという田中氏に、感想を伺った。
「とにかく内容が濃く、良い意味で非常に疲れました。ひたすら考えて、述べての繰り返しです。受け身ではいられない状態で課題に取り組み、教訓を抽出してまた次の課題に取り組むことを繰り返しました。一方的に話を聞くような研修ではないので、当社が求める『自考自走社員』の育成には最適だと考えました」
これをきっかけに同社はGR-72の導入を決め、課長職20名に対して研修を実施。以来3年間、継続して実施している。

同社がGR-72を導入し、その後も継続して活用している理由として、このプログラムに「アセスメントセンター」が組み込まれている点も大きいという。アセスメントセンターとは、シミュレーション演習を通じてマネジメントスキルのレベルや強み・弱みを評価する技法のことで、JMAMアセスメントセンターでは、職場マネジメントや事業戦略など複数のシミュレーション演習をそろえている。同社では、研修の事前課題として職場マネジメントと人への影響力を測るアセスメントを実施。GR-72では、このアセスメント結果を研修当日にフィードバックし、それを踏まえてスキル向上トレーニングの演習を繰り返すことで研修の効果を高めている。
「課長層には事前に自分の強み・弱みをしっかりと認識してもらい、そのうえで研修に臨んでほしいという思いがありました」(河島氏)
「アセスメントの結果は、自分では気づかないところや、分かっていながら改善できていないところが定量的に分析されるので、非常に納得感があります。実際、アセスメント結果には自社の特徴がよく出ていました。問題には気づいているのに本質までとらえきれない、部下育成や周囲との連携が弱い、相手の話を引き出すのが弱いといったことが定量的に示され、インパクトがあります」(田中氏)
また、JMAMアセスメントセンターでは、他社の一般的な管理職との比較もできるため、より客観的に強み・弱みを分析できる点も評価されているところだ。

このアセスメントを含むGR-72を導入したことで、“管理職自身がおぼろげに分かっていた問題点を理解し、実際にどうすればよいのか見え始めてきているのではないか”というのが両氏の感想だ。
「GR-72の良さは、アセスメントで改善すべき点を指摘しっぱなしにするのではなく、これからどうやっていけばよいかという手法も身につけられることだと思います」と田中氏。受講者からも「職場の問題を“4つの窓のフレームワーク”を使って把握できるようになった」「他者受容、他者活用ができるようになった」という感想が上がっているという。
「会社としても、アセスメント結果の全体傾向から問題解決力やファシリテーション力が自社の課題であることが明確になり、教育プログラムを見直すなど次の施策につながっています」(河島氏)

各階層に「自考自走社員」を

3年目からは、新任課長もGR-72を受講している。
「新任課長はマネジメント経験が浅いので、その点に関してはアセスメントでも改善すべき結果が出てきてしまうのは仕方がありません。しかし、演習の中で既任課長に混ざってグループ・ディスカッションをするなどの良い経験ができていることに、大きな意義があると思います」(河島氏)
「研修を受けて、それですぐに課長が変わるかといえばそれは難しいかもしれません。しかし研修の場で経験を積んでおくことで、職場で問題に直面した時に対応が変わってくるのではないでしょうか」(田中氏)
今後は、課長職層だけではなく、課長職の上の層と、現場により近いチームリーダー層の教育も課題だという。GR-72を継続して課長層を育成しつつ、その上下の階層にも適切な教育施策を展開することで、各階層の「自考自走社員」を育成していく狙いだ。今後の同社の人材育成の取り組みに、引き続き注目していきたい。
(2016年2月作成)
※掲載内容やご登場いただいた方の役職は取材当時のものです

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