- 対象: 全社向け
- テーマ: 研修/教育
- 更新日:
教育体系構築のポイントと最新トレンド
企業の持続的な成長と競争力強化には、戦略的な人材育成が不可欠です。単なる研修メニューの設定やOJT担当の決定だけでなく、体系的かつ戦略的な教育体系の構築が求められています。本コラムでは、教育体系構築の重要性と最新トレンドについて詳しく解説します。
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教育体系トレンドの変遷
1990年代から現在に至るまで、教育体系のトレンドは大きく変化してきました。
1990年代
バブル崩壊後、人事制度は成果主義へと移行し、研修も目標管理や評価者研修が中心となりました。景気低迷により教育費用が削減される中、全体の底上げから選抜型ビジネスリーダー研修やグローバル化対応の英語教育、異文化研修へとシフトしていきました。
2000年代
成果主義人事制度の見直しにより、コンピテンシー評価と業績評価の2軸評価が主流となりました。これに伴い、コンピテンシーラーニングやアクションラーニングが導入されました。また、eラーニングの普及により学習形態も大きく変化し、コンプライアンス教育や管理職向けのハラスメント研修も増加しました。
2010年代
アクションラーニングがさらに活発化し、管理職教育が充実しました。新人・若手研修の強化やコーチング、上司部下間での経験学習支援にも注力されるようになりました。
2020年代(現在)
経営課題と人材戦略課題の密接な関連性が認識され、人的資本経営の実践が重要視されています。「人材版伊藤レポート2.0」で提唱された3つの視点(経営戦略と人材戦略の連動、As is-To beギャップの定量把握、企業文化への定着)と5つの共通要素(動的なポートフォリオ、知・経験のD&I、リスキル・学び直し、従業員エンゲージメント、時間や場所にとらわれない働き方)を踏まえた教育体系の構築が求められています。
これらのトレンドを踏まえた教育体系の構築方法や見直し方については、「能力開発・教育体系ハンドブック」で詳しく解説されています。
現代の教育体系構築におけるポイント
現在の状況下で教育体系を構築または見直す際に押さえるべきポイントは以下の通りです。
1.経営戦略との連動
自社の経営における優先課題や目指すべき姿を明確にし、それに基づいた人材戦略を構築することが重要です。
2.As is-To beギャップの定量把握
現状と目標のギャップを数値化し、具体的な育成目標を設定します。
3.企業文化への定着
教育体系が企業文化と整合性を持ち、組織全体に浸透するよう設計します。
4.動的なポートフォリオの構築
環境変化に応じて柔軟に対応できる教育体系を構築します。
5.知・経験のD&Iの推進
多様な知識や経験を活かせる教育プログラムを設計します。
6.リスキル・学び直しの支援
デジタルスキルや創造性など、時代に即したスキル習得を支援します。
7.従業員エンゲージメントの向上
教育を通じて従業員の帰属意識や満足度を高めます。
8.時間や場所にとらわれない働き方への対応
テレワークなど、新しい働き方に適した学習環境を整備します。
これらのポイントを踏まえた人事制度構築や教育・研修プログラムの設計については、株式会社日本能率協会マネジメントセンターが提供する各種サービスをご活用いただけます。
教育体系構築の具体的ステップ
効果的な教育体系を構築するための具体的なステップは以下の通りです。
1.現状確認
- 外部環境・内部環境の変化から課題を確認
- 経営からの課題を確認
- 人事、組織からの課題を確認
2.教育調査
- 人材育成の問題点や課題、教育ニーズを把握
- 今後の教育の方向性や育成テーマを特定
3.教育体系構想
- 人材育成方針の策定
- 期待する人材像の明確化
- 教育体系図の作成
- 教育体系内容の設計
4.教育体系詳細設計
- 個々の研修プログラムの設計
- 教育計画の作成
これらのステップを効果的に進めるためには、人事・教育担当者向けの専門的な知識やスキルが必要です。株式会社日本能率協会マネジメントセンターでは、教育体系構築に関する各種研修プログラムを提供しています。
教育体系見直しのタイミング
教育体系は以下のようなタイミングで見直すことが推奨されます。
- 経営者の交代時
- 経営戦略や事業戦略の変更時(中長期計画策定時)
- 組織体制の大幅な変更時
- 企業の統廃合や合併時
- 人事制度や仕組みの変更時
- 現行の教育体系策定から3年以上経過時
ビジネス環境の変化が速い現代では、一部分でも毎年確認し見直すことが望ましいでしょう。
ニューノーマル時代の教育体系構築
新型コロナウイルスの影響により、働き方や学び方も大きく変化しています。ニューノーマル時代に適した教育体系を構築するためには、以下のポイントに注目する必要があります。
1.デジタルとアナログの融合
オンラインとオフラインの学習を効果的に組み合わせます。
2.個人学習と集合学習の効果的な組み合わせ
自己学習と集団での学びのバランスを取ります。
3.時間や場所にとらわれない学習環境の整備
いつでもどこでも学べる環境を提供します。
4.自律的な成長を促す仕組みづくり
従業員の主体的な学習意欲を引き出す仕組みを構築します。
これらの要素を考慮し、ハイブリッド型の教育設計で学習効果を高めていくことが重要です。
まとめ
教育体系の構築は、企業の持続的な成長と競争力強化に不可欠な要素です。本コラムでは、1990年代から現在に至る教育体系トレンドの変遷、現代の教育体系構築におけるポイント、具体的な構築ステップ、見直しのタイミング、そしてニューノーマル時代における教育体系の在り方について解説しました。
効果的な教育体系を構築するためには、経営戦略との連動、As is-To beギャップの定量把握、企業文化への定着など、多角的な視点が必要です。また、デジタル化やテレワークの普及など、急速に変化する環境に対応するため、柔軟かつ動的な教育体系の設計が求められています。
株式会社日本能率協会マネジメントセンターでは、このような最新トレンドを踏まえた教育体系構築のサポートや各種研修プログラムを提供しています。
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