- 対象: 全社向け
- テーマ: ビジネススキル
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ブレインストーミングとは?やり方・意味・4原則と一人ブレストの方法をわかりやすく紹介
チームでアイデアを出し合う場面で、なかなかよいアイデアが浮かばない経験はありませんか。ブレインストーミングは、創造的なアイデアを効率的に生み出すための手法として、多くの企業で活用されています。しかし、正しいやり方や原則を理解していなければ、期待する成果を得ることは難しいでしょう。
本記事では、ブレインストーミングの基本的な意味から具体的な進め方、成功させるコツまでを分かりやすく解説します。初心者の方でも今日からすぐに実践できるよう、具体例や注意点も交えてお伝えしていきます。
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ブレインストーミングとは何か
ブレインストーミングの基本概念と目的について理解を深めていきましょう。
ブレインストーミングの意味と定義
ブレインストーミングとは、複数人でアイデアを自由に出し合い、創造的な解決策を見つける思考法です。1953年にアメリカの広告代理店経営者アレックス・オズボーンによって体系化された手法で、現在では世界中のビジネスシーンで活用されています。
この手法では、参加者が批判を恐れることなく自由にアイデアを発言し、量を重視して多くのアイデアを生み出すことに重点を置いています。最終的に、出されたアイデアを組み合わせたり改良したりして、革新的な解決策を導き出すことが目的です。
ブレインストーミングの目的
ブレインストーミングの主な目的は、集合知を活用して個人では思いつかないようなアイデアを生み出すことです。一人で考えているだけでは限界がありますが、複数の視点が組み合わされることで、思わぬ発見や斬新なアイデアが生まれやすくなります。
また、チームメンバー同士のコミュニケーション活性化や、創造的な思考力の向上も重要な目的の一つです。定期的にブレインストーミングを実施することで、組織全体の創造性を高めることができるでしょう。
ブレインストーミングの4原則
効果的なブレインストーミングを実施するための基本ルールを詳しく見ていきます。
批判禁止の原則
ブレインストーミングで最も重要な原則が批判禁止です。アイデア出しの段階では、どんなアイデアに対しても否定的な意見や批判的なコメントを一切行いません。「それは無理だ」「現実的ではない」といった発言は厳禁です。
批判を恐れる環境では、参加者はありふれたなアイデアしか出さなくなってしまいます。自由で創造的な発想を促すためには、心理的安全性が確保された環境づくりが不可欠です。
自由奔放な発想の推奨
どんなに突拍子もないアイデアでも受容するのがブレインストーミングです。奇抜なアイデアや一見実現不可能に思えるアイデアこそ、後に革新的な解決策の種となる可能性があります。
常識にとらわれず、制約を取り払って自由に発想することを参加者に促しましょう。特に、ファシリテーターは、多様な視点でのアイデア出しを積極的にサポートする役割を担います。
この『自由奔放な発想』を実践する具体的なテクニックとして、思考が行き詰まった際に、あえてテーマとは全く関係のない単語を挙げてみるという方法があります。
創造性を働かせて解決策を考えるには、ブレインストーミングも有効な手段である。とにかく数多くのアイデアを出すことが肝心で、浮かばなくなったら、一見関係のない「ラーメン」などでも出すと良い。例えば地震時にビルに閉じ込められた人の避難法を考える時など、地上に“縮れ麺状”のクッションプールを用意すれば、上から飛び降りる場合でも着地時の衝撃を吸収できるかも……などと、思わぬところから発想が浮かぶこともあるからだ。萎縮している脳に対し、飛躍したアイデアが揺さぶりをかけるのである。
引用元:OPINION2 転んでもタダでは起きない 失敗学に学ぶ
経験を力に変える仕組みづくり
https://jhclub.jmam.co.jp/acv/magazine/content?content_id=7998
量を重視する姿勢
ブレインストーミングでは質よりも量を重視します。多くのアイデアが出れば出るほど、その中に優れたアイデアが含まれる確率が高くなるためです。制限時間内に数多くのアイデアを出すことを目標とします。
一つのアイデアにこだわって時間をかけるよりも、思いついたことを次々と発言していくスピード感が大切です。完璧でないアイデアでも、とりあえず出してみることが重要になります。
アイデアの結合と改良
他の人が出したアイデアに便乗して、さらに発展させることを積極的に行いましょう。アイデアの組み合わせや改良により、元のアイデアよりもさらに優れた解決策が生まれることがよくあります。
「それに加えて」「それを応用すると」といった形で、既存のアイデアを発展させていく姿勢が、ブレインストーミングの効果を最大化します。
効果的なブレインストーミングのやり方
実際にブレインストーミングを進める際の具体的な手順とポイントを解説します。
事前準備の重要性
成功するブレインストーミングには事前準備が欠かせません。事前に解決したい課題や目標を共有することで、参加者は課題について事前に考える時間を持てるため、より具体的なアイデアを持ち寄れるでしょう。
また、適切な会議室の確保や必要な道具(ホワイトボード、付箋、ペンなど)の準備も大切です。リラックスできる環境づくりが、創造的な発想を促進します。
参加者の選定と役割分担
ブレインストーミングの参加者は、多様な背景を持つ5〜8名程度が理想的です。同じ部署のメンバーだけでなく、異なる職種や経験を持つ人を含めることで、さまざまな視点からのアイデアが期待できます。
ファシリテーターは議事進行と4原則の徹底、記録係はアイデアの書き取りという明確な役割分担を設定しましょう。参加者全員がアイデア出しに集中できる環境を整えることが重要です。また、特定の人に発言が偏らないよう調整することも必要です。
アイスブレイクとウォーミングアップ
本題に入る前に、軽いアイスブレイクやウォーミングアップを行うことをおすすめします。簡単なゲームや雑談を通じて場の雰囲気を和ませ、参加者の緊張をほぐしましょう。
また、簡単なテーマでブレインストーミングのテストプレイを行うことで、4原則の確認と思考の発想モードへの切り替えができます。このウォーミングアップの時間が、実際のセッションの質を大きく左右するでしょう。
ブレインストーミングの基本フロー
実際のセッションでは、まずファシリテーターが課題を改めて明確に提示します。その後、個人で考える時間を5分程度設けて、その間に各自でアイデアを考えてもらいましょう。
アイデア出しの時間は通常20〜30分程度が適切です。発言が途切れても、すぐに終了せずに沈黙の時間を大切にしてください。沈黙の後に、より深いアイデアが出ることがよくあります。
ブレインストーミングのメリットとデメリット
ブレインストーミングの利点と注意すべき点を理解して、適切に活用していきましょう。
主要なメリット
ブレインストーミングの最大のメリットは、多様なアイデアを短時間で大量に生み出せることです。一人では思いつかないような視点やアプローチが、他の参加者との相互作用によって生まれます。
また、チームメンバー間のコミュニケーションが促進される効果も見逃せません。普段あまり話さないメンバー同士が活発に意見交換することで、チーム全体の結束力が高まることがよくあります。さらに、参加者の創造的思考力の向上や、問題解決能力の発達にも寄与します。
考慮すべきデメリット
一方で、ブレインストーミングにはいくつかのデメリットも存在します。まず、グループダイナミクスの影響で、声の大きな人や役職が上の人の意見に偏ってしまう可能性があります。
また、アイデアの質よりも量を重視するため、実現可能性の低いアイデアが多数出ることもあります。さらに、時間とコストがかかるため、簡単な問題解決には向かない場合もあるでしょう。これらの特性を理解したうえで、適切な場面で活用することが大切です。
成功させるためのコツと注意点
ブレインストーミングの効果を最大化するための実践的なポイントをお伝えします。
ファシリテーターの重要な役割
ファシリテーターは、ブレインストーミングの成否を決める重要な役割を担います。4原則の徹底はもちろん、参加者全員が平等に発言できる環境づくりが求められます。発言の少ない人には積極的に声をかけ、特定の人に発言が偏らないよう調整します。
また、議論が脱線しそうになった際には、軌道修正を行います。アイデアが出にくい場合は、異なる角度からの質問を投げかけて、新たな発想を促すことも重要です。
環境設定のポイント
物理的な環境も創造性に大きく影響します。明るく開放的な空間を選び、参加者がリラックスできるよう配慮しましょう。円形やU字型の座席配置にすることで、全員が平等な立場でコミュニケーションを取りやすくなります。
また、スマートフォンやノートパソコンなどの気を散らす要素は一時的に使用を控えてもらい、ブレインストーミングに集中できる環境を整えることも大切です。
記録と整理の方法
出されたアイデアは、全員が見えるようにリアルタイムで記録していきます。ホワイトボードや大きな付箋を使って、アイデアを視覚的に整理することで、参加者の思考が刺激され、さらなるアイデアの創出につながります。
セッション後は、出されたアイデアを分類・整理して、次のステップである評価や選択の段階に進みます。デジタルツールを活用して、アイデアの管理を効率化することも検討してみてください。
一人ブレストと効果的なツール活用
個人でもできるブレインストーミングの手法と、活用できるツールについて詳しく解説します。
一人ブレストの特徴と実践方法
一人ブレストは、個人で行うブレインストーミングの手法です。他人の意見に左右されることなく、自分のペースで深く考えることができるのが特徴です。まず、解決したい課題を明確にし、制限時間を設定してアイデアを書き出していきます。
実践する際は、マインドマップや付箋を活用して、思いついたアイデアを次々に記録していきましょう。批判的思考を一時的に停止し、とにかく量を重視することがポイントです。時間を置いて再度見直すことで、新たな発想や改善点を見つけることができます。
デジタルツールの活用方法
現代では、さまざまなデジタルツールがブレインストーミングをサポートしています。MiroやMindMeisterなどのオンラインマインドマップツールを使えば、リモートでも効果的なセッションが可能です。
また、StickerやPadletといった付箋アプリを活用することで、アイデアの整理や分類が簡単に行えます。これらのツールは、アイデアの保存や共有も容易で、後の検討段階でも重宝するでしょう。チームの作業スタイルに合わせて、最適なツールを選択することが重要です。
ビジネスシーンでの実践事例
実際の企業でのブレインストーミング活用事例を通じて、具体的な実践方法を学んでいきます。
商品開発における活用
多くの企業では、新商品開発の初期段階でブレインストーミングを活用しています。顧客のニーズや市場の課題を明確にしたうえで、解決策となる商品アイデアを幅広く募ります。異なる部署のメンバーが参加することで、技術面、マーケティング面、コスト面など多角的な視点からのアイデアが生まれます。
成功のポイントは、実現可能性にとらわれすぎず、まずは自由な発想でアイデアを出し切ることです。その後の評価段階で現実的な検討を行い、最終的な商品コンセプトに落とし込んでいきます。
問題解決とプロセス改善
組織が直面している課題の解決にも、ブレインストーミングは威力を発揮します。業務効率化やコスト削減、顧客満足度向上といったテーマで定期的にセッションを開催している企業が多数あります。
現場の作業員から管理職まで、役職を超えたメンバーが参加することで、実務に即した実用的なアイデアが生まれやすくなります。小さな改善提案も積極的に取り上げることで、組織全体の改善文化を醸成できるでしょう。
ブレインストーミングを効果的に活用するフレームワーク
より構造化されたアプローチで、ブレインストーミングの効果を高める方法をご紹介します。
6-3-5法の活用
6-3-5法は、6人の参加者が3つのアイデアを5分で書き、それを隣の人に回していく手法です。他の人のアイデアを見ることで新たな発想が刺激され、短時間で多くのアイデアを効率的に生み出すことができます。
この手法では、書面でのアイデア出しのため、発言が苦手な人でも平等に参加できるのが特徴です。また、時間制限があることで集中力が高まり、質の高いアイデアが生まれやすくなります。
SCAMPER法との組み合わせ
SCAMPER法は、既存のアイデアや製品を7つの観点(代用・結合・適応・修正・転用・削除・逆転)で見直す思考法です。ブレインストーミングで出されたアイデアをSCAMPER法で発展させることで、より具体的で実用的な解決策を導き出せます。
たとえば、「代用」の観点では「他の材料や方法に置き換えられないか」、「結合」では「他のアイデアと組み合わせられないか」といった発展的思考を促進できます。
まとめ
ブレインストーミングは、適切な原則と手順に従って実施することで、組織の創造力を大幅に向上させる効果的な手法です。本記事でご紹介した基本原則や実践方法を参考に、ぜひチームでの問題解決や新しいアイデア創出に活用してください。
- ブレインストーミングの4原則(批判禁止、自由奔放、量重視、結合改良)を徹底する
- 事前準備と適切な環境設定が成功の鍵となる
- ファシリテーターの役割が結果に大きく影響する
- 一人ブレストやデジタルツールの活用で効率化を図る
- フレームワークとの組み合わせでより深いアイデア創出が可能
まずは小さなテーマからブレインストーミングを始めて、チーム内でブレインストーミングの文化を根付かせていきましょう。継続的な実践により、組織全体の創造性と問題解決力の向上が期待できます。
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