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  • 対象: 全社向け
  • テーマ: ビジネススキル
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ITリテラシーとは?リスクや高めるメリット、教育の方法について解説

ITリテラシーとは?リスクや高めるメリット、教育の方法について解説

デジタル化は、業務効率の向上だけではなく、組織やビジネスモデルなどの変革にも関わります。デジタル化に対応するためには、ITリテラシーの向上が欠かせません。

今回は、ITリテラシーとは何か、高めるメリットやリテラシーが低い場合のリスク、教育の方法などについて詳しく解説します。

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ITリテラシーとは?

ITリテラシーについて理解を深めるために、まずは定義や関連用語について詳しくみていきましょう。

ITリテラシーの定義

ITリテラシーとは、ITの種類とそれぞれの機能や仕組み、活用シーンなどを理解しており、企業や業務の課題解決に有用なITを選び、目的に沿った利用ができる能力のことです。また、ITを安全に活用するためのセキュリティやコンプライアンスの知識などもITリテラシーの一部に位置づけられています。

厚生労働省の資料によると、労働におけるITリテラシーの定義は次の通りです。

現在入手・利用可能なITを使いこなして、企業・業務の生産性向上やビジネスチャンスの創出・拡大に結び付けるのに必要な土台となる能力のこと。

引用:厚生労働省「平成29年度ITリテラシーの習得カリキュラムに関する調査研究報告書」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11800000-Shokugyounouryokukaihatsukyoku/0000205051.pdf

また、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)では、企業において効果的なIT技術の活用・投資を進めるために、非IT技術者(主に事業部門やスタッフ部門に勤務するビジネスパーソン)に求められるIT知識や技術、情報活用能力と一連の領域を、ITリテラシースタンダード(ITLS)と名付け、下記のように示しています。

■ITLSにおける「ITリテラシー」の定義
社会におけるIT分野での事象や情報等を正しく理解し、関係者とコミュニケートして、業務等を効率的・効果的に利用・推進できるための知識、技能、活用力

引用:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「ITリテラシースタンダード(ITLS)」
https://www.ipa.go.jp/archive/jinzai/skill-standard/itls.html

ITリテラシーと同時に押さえておきたい「DXリテラシー」

ITリテラシーの習得をめざす上で、DXリテラシーについても理解しておくことが重要です。ITリテラシーがデジタル技術を使いこなす知識や能力を指すのに対し、DXリテラシーはデジタル技術を活用して社会に変革をもたらす知識や能力を表します。

デジタル技術を活用して現場の課題を解決し、企業の競争力を強化させるためにも、最終的にはDXリテラシーを習得することが望ましいとされています。

経済産業省は、ビジネスパーソンに求められる基本的なDXスキル・マインドを「デジタルスキル標準」と定めています。

デジタルスキル標準の構成要素は「DXリテラシー標準」「DX推進スキル標準」の2つです。

「DXリテラシー標準」:すべてのビジネスパーソンが身につけるべき能力・スキルの指針
「DX推進スキル標準」: DXを推進する人材の役割や習得すべきスキルの指針

出典:経済産業省「デジタルスキル標準」
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/skill_standard/main.html

ITリテラシーの種類

ITリテラシーには、3種類あります。それぞれの意味や必要な理由について詳しくみていきましょう。

種類1|情報基礎リテラシー

情報基礎リテラシーは、インターネット上の情報を適切に利用するスキルです。必要な情報をみつけて正確性を評価し、活用する能力を指します。

インターネットの普及により、膨大な情報にアクセスできるようになりましたが、信頼性に疑問が残る情報も多くみられます。誤った情報に基づいた判断や行動は深刻な結果をもたらす可能性があるため、大量の情報の中から正確な情報を見つける能力が必要です。

情報基礎リテラシーの要素には下記があげられます。

  • 情報の収集方法の理解
  • 情報の信頼性や適切さを評価する能力
  • プライバシーやセキュリティに関する基本的な知識
  • 情報を適切に整理し、活用する能力
  • 情報の利用に際しての倫理的な考え方や行動規範の理解

種類2|コンピューターリテラシー

コンピューターリテラシーは、PCやスマートフォン、ディスプレイ、プリンターなどのIT機器と、WordやExcelといった多くの企業で利用されているソフトウェアを活用するスキルです。

現代の企業活動において、IT機器は必須のツールであり、業務効率化やコミュニケーションの円滑化に役立てられています。

コンピューターリテラシーの要素には下記があげられます。

  • PCやスマートフォンなどの基本的な操作方法
  • ソフトウェア(WordやExcelなど)の使用方法
  • ネットワーク機器の設定や接続方法
  • インターネットの利用方法や検索技術
  • ウイルス対策やデータ管理などのセキュリティの知識

種類3|インターネットリテラシー

インターネットリテラシーは、インターネット上で適切な行動や情報発信ができるスキルです。SNSの普及により、個人や企業がインターネット上で情報を発信する機会が増えています。匿名性が高いSNSでは、誹謗中傷や情報漏えいなどのトラブルが発生しやすいため、正しい情報発信のためのスキルが求められます。

また、セキュリティに対する意識やサイバー攻撃を対策する能力もインターネットリテラシーに分類されます。

インターネットリテラシーの要素には下記があげられます。

  • SNSのマナーや個人情報の適切な管理方法の理解
  • サイバーセキュリティに関する基本的な知識(パスワード管理やフィッシング詐欺への対処など)
  • インターネット上の情報の信頼性を判断する能力
  • サイバー攻撃への対処や予防策の実行能力

従業員のITリテラシーを高めるメリット・重要性

ITリテラシーはIT活用の基礎的な考え方です。従業員のITリテラシーを高める具体的なメリットを紹介します。

●IT技術を業務に活用できる

例:社内のデータベースを活用して顧客情報を効率的に管理する。

●DX化の推進

例:ITリテラシーの高い社員が各部署でDX化を進めることで、全社横断的にDX化が実現できる。

●業務効率化やペーパーレス化につながる

例:プロジェクト管理ツールを活用してタスクの進捗状況をリアルタイムで把握し、会議の手間を省く。

●従業員が適切な情報を収集・発信できるようになる

例:インターネット上の情報を検索し、信頼性の高い情報を選別して活用できる。

●あらゆるリスクを防止できる

例:サイバーセキュリティの基本的な知識を身につけることで、フィッシング詐欺やマルウェアから情報を保護できる。

企業のITリテラシーが低いことによるリスク

ITツールを使いこなせない従業員が多い場合、企業のITリテラシーが低いといえます。この場合、次のようなリスクが高まります。

リスク1|情報漏えいの発生

従業員にITリテラシーが不足している場合、情報漏えいのリスクが高まり、下記のような事態につながってしまいます。

  • 社内文書や機密情報の外部への流出
  • 個人情報や顧客データの不正アクセスによる情報漏えい
  • 機密プロジェクトの情報が競合他社に漏れる

流出した情報が積み重ねてきた技術に関するものであれば、市場での優位性を保てなくなり、事業が頓挫するおそれがあります。

情報漏えいは企業にとって深刻なリスクであり、従業員のITリテラシー向上はこれを防ぐための重要な対策のひとつです。

情報漏えいをはじめ、コンプライアンスに関して詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

リスク2|業務効率化の停滞

新たなITツールを導入しても、従業員のITリテラシーが不足している場合、かえって効率が低下することがあります。現場がうまく使いこなせないことで、「業務負担が増した」「高機能なシステムは一部しか使用していない」といった不満の声が出ることにもなりかねません。

ITツールの導入に際しては、従業員のITリテラシー向上だけでなく、現場の状況やニーズを適切に把握することが重要です。従業員のニーズに合わせて適切なトレーニングやサポートを実施することで、ITツールの効果的な活用が可能となります。

リスク3|SNSでの炎上

近年では、従業員が顧客情報や顧客の顔写真などをSNSで発信し、企業の評判が悪くなるケースが増えています。このような問題の要因のひとつがSNSでの情報発信に伴うリスクを認識していないことです。

個人のアカウントでの投稿でも、情報をたどって所属する企業を特定されることは多くあるため、従業員の日ごろの発信にも十分な注意が必要です。

炎上によって企業のイメージが下がると、顧客の信頼を失い、業績にも大きな影響を及ぼす可能性があります。

従業員のITリテラシーを向上させる方法

ITリテラシーを向上させるためには、社内の現状を把握し、一人ひとりのITリテラシーにマッチした教育を実施する必要があります。

企業でITリテラシーを高める方法を紹介します。

社員研修などの教育施策を実施する

従業員のリテラシーレベルに応じた社員研修や教育を実施し、全社的にITリテラシーを身に付けることが重要です。最終的にはDXリテラシーを習得することを目指し、研修を定着させる仕組みをつくりましょう。

なお、JMAM(日本能率協会マネジメントセンター)ではDXリテラシーを育てる従業員教育を提供しています。DX人材定義の策定や、教育体系作りからお手伝いしますので、ITリテラシー・DXリテラシーの向上を目指している人材育成担当の方は、下記から詳細をご覧ください。

資格取得を推進する

IT関連の資格取得を積極的に推進することも、従業員のスキル向上や企業全体のITリテラシーの向上に役立ちます。

おすすめの資格は下記の通りです。

  • ITパスポート試験
  • 基本情報技術者試験(FE)
  • 応用情報技術者試験(AP)
  • マイクロソフト認定資格

受験費用を企業が負担することで、従業員が資格取得に前向きになる効果が期待できます。また、資格を取得した従業員には手当を支給するなど、インセンティブ制度を導入することも検討しましょう。

ICT環境を整備する

ITリテラシーを身に付けるためには、知識をインプットするだけでなく、実際に手を動かして仕事として活用することが大切です。

日常的にパソコンやクラウドなどのITツールを活用できる環境を整えることで、従業員が問題解決や業務効率化の経験を積むことができます。

また、導入後のトレーニングやサポートを提供し、従業員がツールをより効果的に活用できるようにしましょう。

さらに、従業員にとって使いやすいITツールを選ぶことも重要です。使いにくいツールは従業員が受け入れづらく、現場に浸透しないリスクが高まります。

まとめ

今回はITリテラシーの概要や高めるメリット、人材教育の方法について解説しました。ITリテラシーは企業がITを活用するための基礎的な能力であり、高めることで情報漏洩のリスク防止や業務効率化などのメリットが得られます。

従業員のコンプライアンス意識を強化したい、ITツールの効果を最大化したいという企業は、ITリテラシーを向上させるための施策を講じていきましょう。

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