
自社に適した人材を選ぶために採用プロセスを改善する中で、適性検査の見直しや新たな導入を検討している企業は多いのではないでしょうか。
適性検査と一口にいっても、さまざまな種類があります。今回は、適性検査の見直しや導入を検討している採用担当者に向けて、適性検査とは何か、実施するメリットや活用方法などを詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。
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適性検査とは?
適性検査とは、人材を客観的に見極める方法のひとつとして行われる検査のことです。組織や職務に適した能力・資質を備えているか、持ち味を発揮できるかを測るために活用されています。
採用プロセスのなかで、面接も一部オンラインで行う企業が増えています。対面の面接と比較してオンライン面接で不足する傾向にあるのが、人材の特性を把握するために必要な非言語の情報です。
それを適性検査で補うことにより採用のミスマッチを防いだり、採用担当者の業務負荷を軽減させたりすることができます。
また、データによる人材管理を進める上では、採用場面だけではなく、適材適所の人員配置を検討するための材料に用いられているほか、配属後の人材育成にも活用されはじめています。
適性検査の種類
適性検査には大きく分けると、基礎力を見極める「能力検査」と、性格などの側面から適性を見極める「性格検査」があります。
(1) 能力検査
個人の知的能力や論理的思考力、学力を確認し、採用後に働く現場で必要となる基礎的な能力を備えているかを測定するための検査です。具体的には、「言語分野」と「非言語分野」にわけられます。
・言語分野
指示された内容や新しい概念を言語で理解できる能力
・非言語分野
数値を正しく理解し、計算・分析する能力
図形・図画・記号などを正確に知覚し、位置関係を理解する能力
また、一般常識テストで基礎的な学力や社会性を測り、論文で考察の深さなどを確認します。
(2) 性格検査
個人の性格や行動傾向について測定し、仕事の進め方、対人関係、責任感、意欲などの側面や、ストレス耐性、特定の職務に対する適性を診断する検査です。
性格は短期で変わりにくい要素と考えられており、採用時に自社に適した人材であるかを見極めるために重要な要素のひとつとされています。性格検査の結果は、面接や採用の合否判定だけでなく、配属・配置の検討材料や入社後の育成の仕方など、自社との相性を測るために幅広く利用されます。
性格検査にはさまざまなものがありますが、手法で分けると大きく3つに分類されます。
検査方法 | 特徴(メリット・デメリット) |
---|---|
質問紙法 | 質問項目に対して「はい」「いいえ」などで回答を求めて、その回答傾向から性格・価値観を分類する方法です。 結果の解釈・判断が比較的容易で、一斉に実施できることがメリットである一方、受検者が意図的に回答を変えやすいといったデメリットもあります。 |
作業検査法 | 作業検査法とは、計算などの一定の単純作業を連続的に課し、その作業過程の特徴から性格やストレス耐性などを測定する検査手法です。 受検者が意図的に操作しづらいため素質がわかりやすいというメリットがある一方、作業負荷が高かったり、診断には専門的な知識が必要であったりするなどのデメリットがあります。(代表例:クレペリン検査) |
投影法 | 曖昧な図形や人物の行為や感情を表す絵、未完成の文章などを被験者にみせ、それに対する反応から性格特性や深層心理を専門家が分析するものです。 投影法は受検者の反応を観察するため実施時間や採点時間が長く、専門知識も必要です。(代表例:ロールシャッハテスト) |
適性検査の実施形式の種類
適性検査の実施形式は、大きく3つの種類に分けられます。次に、各実施形式について解説します。
(1) Webテスト
Webテストとは、自宅のパソコンから適性検査を実施する方法です。企業側で検査会場を用意する必要がないため、検査にかかる時間やコストなどを大幅に削減できるという点が大きなメリットでしょう。
ただし、自宅で実施するため誰が受けているか企業側での把握が難しくなり、なりすまし受検などの不正防止が課題です。
(2) 筆記試験(紙筆式)
筆記試験とは、指定された会場で適性検査を実施する方法です。解答様式は、マークシート式や記入式などがあります。
筆記試験の場合は、受検者が一同に集まり、試験中は試験官が同席しているため、不正がおこりにくいことがメリットです。一方で、企業側が会場を用意して時間を指定する必要があるため、その分の手間やコストがかかります。
(3) テストセンター受検
テストセンター受検とは、テストセンターと呼ばれる会場で、用意されたPCを使って受検する方法です。
テストセンターは全国の主要都市に設置されており、企業側で新しく会場を用意する必要がないので、その分のコストを削減できる点や、専用の会場であることから不正を防止できる点がメリットです。しかし、適性検査を委託する形になるため、委託費がかかります。
適性検査の目的と活用方法
適性検査は実施するだけでなく、結果を活用することが重要です。下記では、適性検査の活用方法を解説します。
(1) 人材の見極めとして利用する
適性検査の結果を、自社で活躍できる人材の見極めに利用する場合には、ボーダーラインを決めておくことが重要です。具体的には、適性検査のどの項目に着目するのか、どの数値を重視するのかなど、自社が求める人材像に合わせて基準を明確にしましょう。
(2) 集客施策として利用する
適性検査は、集客として活用することも可能です。適性検査への関心は高まっており、検査結果を知りたいと思っている応募者も多くいます。
そのため、「適性検査の結果をフィードバックする」という形で、集客を促進する施策として利用するのもよいでしょう。利用時期・対象としては、インターンシップや新卒採用初期などが適しています。
また、適性検査の結果にフィードバックシートを設けているサービスもあります。そのサービスを活用すれば、キャリア面談やフィードバック面談などの実施につながり、応募者との接触機会を作り出すことが可能です。
応募者と結果のすり合わせを行うことで、相手への理解を深められます。
オンライン化する採用活動での適性検査の役割
新型コロナウイルス感染症の流行により、採用活動もオンライン化が進んでいます。採用前に実際に対面する機会が少ないオンライン中心の採用活動においては、適性検査を効果的に活用しましょう。
例えば、オンライン面接の場合は、対面で面接を行うよりも非言語の部分に関する情報量が少なく、従来は把握できていた特徴も把握しづらい場合があります。
適性検査を活用し、オンライン面接ではわかりにくい性格特性について、不足した情報を補完するといった使い方が考えられるでしょう。
日本能率協会マネジメントセンターでは、採用の新しい在り方や、オンラインと対面の違いについて、専門家の知見をもとにまとめた資料を無料でご提供しています。
適性検査のサービス10選
適性検査は、それぞれの検査内容や特徴を理解した上で、自社に適したサービスを選ぶことが大切です。次に、代表的な適性検査を10種類紹介します。
(1) SPI3
中小企業から大手企業まで、幅広い業種で最も利用されている適性検査です。人材の見極めだけでなく、内定者フォローや初期配属にも役立てられるのが特徴です。不正受験の防止についても徹底した管理が行われています。
提供企業 | 株式会社リクルートマネジメントソリューションズ |
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所要時間 | ✔ テストセンター: 大卒採用向け:65、85、105分 中途採用向け:65、85分 高卒採用向け:65分 ✔ インハウスCBT 大卒採用向け:35、65分 中途採用向け:35、65分 高卒採用向け:35、65分 性格検査のみ(全対象者受検可能):30分 ✔ Webテスティング 大卒採用向け:65分 中途採用向け:65分 高卒採用向け:65分 性格検査のみ(全対象者受検可能):30分 ✔ ペーパーテスト 大卒採用向け:30、70、110分 中途採用向け:70、110分 高卒採用向け:70、110分 事務職採用向け:31分、57分、71分、97分 性格検査のみ(全対象者受検可能): 40分 |
費用 | ✔ 例)大卒採用 :1名あたり5,500円 10名で55,000円 ✔ 例)高卒採用 :1名あたり4,000円 5名で20,000円 ✔ 例)中途採用 :1名あたり5,000円 3名で15,000円 ※すべて税別。オプションサービスあり。 |
用途 | 大卒、高卒、中途採用 |
測定内容 | ✔ 性格 ✔ 基礎 ※テストによって、英語能力、構造的把握力、事務能力、事務基礎能力も選択可能。 |
テスト形式 | Web受検、筆記試験(紙筆式)、テストセンター受検 |
(2) 玉手箱Ⅲ
知的能力とパーソナリティの両面から、受検者の能力や素質を測る大卒採用向けの総合適性診断システムです。自宅受検型サービスでトップシェアを誇り、多くの大手企業で導入されています。
提供企業 | 日本エス・エイチ・エル株式会社 |
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所要時間 | 49分 |
費用 | ✔ 受検料:600円、1,100円 ✔ 年間利用料:120万円、250万円 ※すべて税別 |
用途 | 大卒採用 |
測定内容 | ✔ 知的能力:計数、言語、英語 ✔ パーソナリティ: ヴァイタリティ、チームワークなどの9特性 |
テスト形式 | Web受検 |
(3) 総合適性テストWebGABグローバル対応版
玉手箱Ⅲを提供する日本エス・エイチ・エル株式会社が、新卒総合職向けに開発した適性検査です。知的能力、パーソナリティなどの測定項目があり、総合商社や総合研究所といった知的能力が求められる業界への適性が評価されます。
提供企業 | 日本エス・エイチ・エル株式会社 |
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所要時間 | 80分 |
費用 | ✔ 受検料:600円、1,100円 ✔ 年間利用料:120万円、250万円 ※すべて税別 |
用途 | 大卒採用 |
測定内容 | ✔ 知的能力:計数、言語 ✔ パーソナリティ: ヴァイタリティ、チームワークなどの9特性 ✔ 将来のマネジメント適性 ✔ 営業、研究開発などの7つの職務適性 |
テスト形式 | Web受検 |
(4) Compass
信頼性が担保された科学的な評価基準により、受検者の対人コミュニケーションやストレス耐性、抑うつ傾向などを可視化できる適性検査です。採用プロセスで役立つ面接サポートシートやフィードバックレポートなども利用できます。
提供企業 | 株式会社 イング |
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所要時間 | 20分 |
費用 | ✔ 適性検査 ■通常プラン(年間100名以下): 1人あたり2,200円 ■半額プラン(年間100名超): 年間基本料 11万円 1人あたり1,100円 ✔ オプション基礎能力検査 ■通常プラン(年間計400科目以下): 1科目1人あたり275円 ■半額プラン(年間計400科目超): 年間基本料 5万5,000円 1科目1人あたり138円 ※すべて税込み。初期契約料・システム利用料不要。 |
用途 | 新卒・中途採用、外国人採用(英語、中国語、ベトナム語での受験が可能) |
測定内容 | ✔ ストレス耐性 ✔ 職業適性 ✔ 対人関係スタイル ✔ 基礎能力 ・言語、数理、英語、図形認知、論理類推 |
テスト形式 | Web受検、筆記試験(紙筆式) |
(5) tanΘ(タンジェント)
組織風土や社員の分析に基づいて採用基準を可視化し、即戦力になり得る人材を見極める適性検査です。国内導入実績5,000社超の適性検査「CUBIC」をベースに共同開発されました。所要時間は約15分と短めで、スマートフォン受検にも対応しています。
提供企業 | 株式会社シンカ |
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所要時間 | 約15分(能力検査3科目を追加すると60分) |
費用 | ✔ 従量課金プラン 基本料金:1万円 ・適性検査:1件あたり2,000円 ・能力検査:1件あたり1,000円 ✔ 定額プラン 基本料金:10万円 例)4,000件まで ・適性検査:年間200万円 ・能力検査:年間100万円 ※すべて税別。各種オプションプランあり。 |
用途 | 新卒・中途採用、社員の適性分析 |
測定内容 | ✔ オフェンス適性 ✔ ディフェンス適性 ✔ マネジメント適性 ✔ ストレス診断 ✔ 欲求診断 ✔ 思考タイプ |
テスト形式 | Web受検、筆記試験(紙筆式) |
(6) 基礎能力診断 DBIT
効率性や正確性などの作業傾向を診断する適性検査です。簡単な国語・算数の問題への解答を通じて基礎能力を測定し、ビジネスに必要な問題解決力や分析力の基礎が身に付いているかを判定します。
提供企業 | 株式会社ダイヤモンド社 |
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所要時間 | 約30分(検査時間は20分) |
費用 | ✔ Web診断:1人あたり1,430円 ✔ 自社診断:1部990円(紙受験、10部より注文可) ✔ 採点センター診断:1,430円(紙受験) ✔ 大量受検者向けプラン: ・導入費用:55万円 ・1人あたり1,100円 ※すべて税込み。 |
用途 | 新卒・中途採用 |
測定内容 | ✔ 基礎言語能力:文意把握、言語推論 ✔ 基礎数的理解能力:四則演算、数列 |
テスト形式 | Web受検、筆記試験(紙筆式) |
(7) 職場適応性 DPI
職場で求められる態度をどの程度発揮できるか測定する適性検査です。基本的な行動特性に加え、仕事、対人関係、組織それぞれへの向き合い方などを判定します。総務・人事系、営業系、サービス系、企画系、経理系、管理職などの採用で活用されています。
提供企業 | 株式会社ダイヤモンド社 |
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所要時間 | 約20分 |
費用 | ✔ Web診断:1人あたり2,750円 ✔ Web診断(英語):1人あたり3,300円 ✔ 自社診断:1部990円(紙受験、10部より注文可。中国語版もあり) ✔ 採点センター診断:1人あたり2,750円(紙受験) ✔ 大量受検者向けプラン ・導入費用:55万円 ・1人あたり1,650円 ※すべて税込み。 |
用途 | 新卒・中途採用 |
測定内容 | ✔ 検査の信頼性 ✔ 基礎診断項目 :積極性、協調性、慎重性、責任感 ✔ 個別診断項目 ・仕事に対する態度 ・対人関係 ・組織への順応 |
テスト形式 | Web受検(日本語/英語)、筆記試験(紙筆式、日本語/中国語) |
ダイヤモンド社からは、DBITやDPI以外に10種類以上の適性検査が提供されています。
- 営業・販売職適性 DSI:営業や販売職に特化した適性検査
- 情報技術者適性診断 DATA-OA:態度能力と知的能力から情報技術者の適性を診断する適性検査
- ストレス耐性 DIST:ストレスに強い人材の採用に適した適性検査
(8) 3Eテスト
導入企業8,000社以上、累計受検者数240万人以上の適性検査です。知的能力と性格・価値観の両面から分析し、自社で活躍できる人材を見極めます。採用や人員配置のほか、社員のストレスチェックにも活用可能です。
提供企業 | エン・ジャパン株式会社 |
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所要時間 | 約35分 |
費用 | ✔ ベーシックプラン(100件以上向け):年間33万円 ✔ ライトプラン:年間7万円 ✔ カスタムプラン:要相談 ※すべて税別。オプションプランあり。 |
用途 | 新卒・中途採用、人員配置、社員の目標設定・ストレスケア |
測定内容 | ✔ 知的能力分析 ✔ 記憶力、言語力、計算力、計算応用力、直観力、言語応用力、推理力 ✔ 性格・価値観分析 性格特性、創造的思考性、コミュニケーション力、エネルギー量、ストレス耐性、キャリアタイプ指向性、職務適性、総合特徴、虚偽性・一貫性 |
テスト形式 | Web受検 |
(9) 内田クレベリン
90年近くの歴史がある日本で最初の心理テストで、年間70万人が受検します。作業検査法を採用した紙筆記式の試験で、隣り合う1桁の数字を足していき、作業量や計算量の変化の仕方、誤答から能力や性格、行動の特徴を判断します。
提供企業 | 株式会社日本・精神技術研究所 |
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所要時間 | 約1時間 |
費用 | ✔ 判定センター ■検査用紙:1セット(10枚)1,320円 ■個別診断的判定:2,750円 ■個別診断的判定(曲線類型判定のみ):880円 ■数量的評価(PF判定) ・名簿+集計一覧:30名まで18,249円 (31名以上は1人あたり608円) ・個票+集計一覧:30名まで31,449円 (31名以上は1名あたり1,048円) ■オンライン判定(入力代行パック) :10名まで24,200円 (11名以上は1人あたり2,420円) ■ガイダンス判定:2,200円 ※オプションサービスあり。 ✔ オンライン判定 ■検査用紙:1セット(10枚)1,320円 ■誤答調べ尺:1セット1,210円 ■オンライン判定:1,980円 ✔ UKリモートパック ■個別申込 オンライン検査パッケージ:1名5,852円 ■団体申込(20人の場合) ・オンライン検査パッケージ:1式66,000円 ・検査資材・判定料:51,040円 ※すべて税込み。 |
用途 | 新卒・中途採用、外国人採用、社員のメンタルヘルスの判断資料 |
測定内容 | ✔ 能力面の特徴 ✔ 性格・行動面の特徴 :発動性、可変性、亢進性 |
テスト形式 | 筆記試験(紙筆式) |
(10) V-CAT
60年以上の歴史があり、延べ1,500万人以上が利用してきた紙筆記式の適性検査です。持ち味とメンタルヘルスの両面から、ストレス状況下で能力を発揮できる人材か見極めます。
熟練の専門家が測定用紙を直接確認するため、受験者の作為やなりすましなど、コンピューターでは判定不能な部分まで解析できる点が特長です。
詳しくはこちらをご覧ください。
V-CAT(ブイ・キャット)の詳細をみる
提供企業 | 株式会社日本能率協会マネジメントセンター (株式会社エスケイケイとの提携商品) |
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所要時間 | 50分 |
費用 | 要問い合わせ |
用途 | 新卒・中途採用、新入社員~管理者の育成、人員配置、昇格など |
測定内容 | ✔ メンタルヘルス ✔持ち味 |
テスト形式 | 筆記試験(紙筆式) |
日本能率協会マネジメントセンターでは、ストレスに強い人材を見極めるWeb適性試験「Q-DOG」も提供しています。
詳しい検査内容はこちらをご覧ください。
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企業が適性検査を実施するメリット
企業が適性検査を実施する主なメリットを2つ解説します。
(1) 受検者の能力を数値化し、客観的に判断できる
適性検査を実施することで、受検者の能力を数値化できます。
能力をわかりやすく可視化できるため、採用の判断基準として利用しやすくなります。また、能力が数値化されることで、客観的な判断が可能です。継続的に同一の検査を行っていけば、今後の採用活動にデータを活かせるなど、採用活動の効率化につながります。
(2) 見えづらい特性を把握できる
面接でも、ある程度は応募者の性格や価値観を把握することは可能です。しかし、面接時には少しでも自分をよく見せようとするため、実際の考えや性格と乖離する場合があります。
適性検査では、応募者の性格や価値観、考え方などの、面接ではわかりにくい特性や傾向を簡単に把握できます。
企業が適性検査を実施するデメリット
適性検査の実施には、下記のようなデメリットもあります。
(1) 適性検査の測定には限界がある
能力を可視化できるという点で便利ではあるものの、適性検査を絶対的な尺度として使用することはできません。
創造性や企画力、洞察力などの能力は定量化が難しく、客観的な評価が難しいからです。面接やグループディスカッションなどの採用選考で評価する必要があります。
適性検査の結果はあくまでも人材を見極める指標のひとつであると理解した上で、活用することが大切です。
(2) 受検者に不安やプレッシャーを与えることもある
採用や人事評価の結果を意識しすぎるあまり、不安やプレッシャーを感じる受検者は少なくありません。過度な不安やプレッシャーは、時間管理の失敗やケアレスミスなども引き起こします。
採用側は、受検者が置かれている状況や心理状態を理解し、適性検査で本来のパフォーマンスが発揮されていない可能性も考慮に入れて選考する必要があるでしょう。
(3) なりすまし受検のリスクがある
適性検査の監視体制が脆弱だと、本人以外の第三者による「なりすまし受検」のリスクが高くなります。特に、場所を選ばないWebテストは注意が必要です。対策としては、下記のような例が考えられます。
- テスト形式や監視体制の見直し
- 使用デバイスの制限
- 監視体制の事前通知による抑止力の強化
(4) 実施にはコストがかかる
適性検査は、サービスによって初期費用やオプション費用のほか、会場費、人件費などがかかる場合もあります。また、採用の初期段階で実施するほど受検者が多くなり、コストは増加する傾向にあります。
とはいえ、コストばかりにとらわれ、必要な適性検査が行えなければ採用のミスマッチが起こりかねません。その結果、早期退職を招き、会社にとってマイナスになる可能性も考えられます。
適性検査は料金体系が多種多様です。予算を勘案しつつ、自社に適した検査内容か否かを十分に検討しましょう。
適性検査を選ぶ際のチェックポイント
適性検査サービスを選ぶ際の判断軸となるチェックポイントを3つ紹介します。
(1) 検査内容・評価項目
まずは、適性検査の検査内容や評価項目が導入目的に合っているかを判断しましょう。
設定した導入目的次第で、マッチする適性検査も異なります。事前に導入目的を明確化した上で、適性検査の比較をすることが大切です。
(2) 適性検査の予算
予算との兼ね合いも重要な検討事項です。適性検査の費用相場は幅広く、1回あたり数百円から7,000円程度までさまざまです。基本的な検査代金以外に、下記のような費用が必要になる場合もあります。
- 初期費用
- システム利用料
- オプション費用
- 試験用紙代
過去のデータから受検者数を予測できる場合は、年間定額制や大量受検者向けプランなどがあるサービスも検討してみると良いでしょう。
(3) テスト形式と所要時間
テスト形式は、メリットだけでなくデメリットも理解した上で決めることが重要です。
Webテストは、手間やコストを抑えられますが、不正のリスクは高まります。筆記試験(紙筆式)は不正のリスクが減るものの、結果が出るまでに時間を要します。テストセンター受検は、会場設営の手間はかかりませんが、コストは高くなるのが難点です。
また、所要時間は15分~1時間程度が多く、長いもので100分を超す適性検査もあります。検討の際には、受検者の負担に配慮する視点も必要となるでしょう。
コロナの影響以降で注目が集まっている適性検査項目とは?
テレワークは今後も継続されていくと予測されます。そのため、性格検査の一部に含まれる“環境変化への対応力(柔軟に適応できる人材か)"や"メンタルヘルス"、"ストレス耐性"といった項目への関心がさらに向上していくと考えられています。
また、慣れない働き方へのストレス、早期離職やメンタル不調の防止だけでなく、新しい環境に早く適応できるかといった観点から適性を確認したり、適応を促進するための育成方法を把握する目的でも注目を集めているようです。
採用以外で適性検査を活用する方法
適性検査は採用以外でも活用可能です。次に、採用活動以外で適性検査を活用する方法について解説します。
(1) 管理職候補の選抜
管理職候補の選抜でよく利用されるのは、アセスメントセンター方式の検査です。
アセスメントセンター方式とは、対象者に実際の業務に近い状況を演習でシミュレーションさせて、アセッサーが評価する方法です。昇進や昇格した後に求められている役割を遂行できるかどうか、見極めることができます。
また、結果を対象者にフィードバックし、課題の把握や改善に活かすことも可能です。
(2) 育成計画
適性検査では、価値観や対人関係、チームワークの傾向など、さまざまな観点からデータを得られます。データによるキャリア面談や育成計画の決定などにも活用可能です。
また、タレントマネジメントのデータベースに適性検査の結果を活用する企業も増加しています。
(3) 退職者分析
適性検査の結果を分析して、退職者分析に活用するケースもあります。せっかく採用しても、数年で退職してしまう場合もあるでしょう。適性検査の結果をもとにして分析を行うことで、退職者の傾向を発見する場合もあります。また、離職リスクの把握も可能です。
これらのデータを活用して、自社の離職防止施策につなげましょう。
まとめ
適性検査とは、学力や知能だけでなく、個人の性格や価値観、考え方などのパーソナリティから、適性を見極める検査です。採用シーンだけでなく、管理職候補の選抜や育成計画などにも活用でき、注目が高まっています。
採用担当者の直感で採用することは、ある意味ギャンブルです。また、上司との関係性が人事評価に影響してしまうと、周りの社員からの不満が噴出し組織内のモチベーション低下を招きます。
根拠のある採用、根拠のある評価のために適性検査の活用を検討しましょう。
日本能率協会マネジメントセンターでは、採用試験で「ストレス耐性等」を測定する適性検査として、「V-CAT」と「Q-DOG」を提供しています。詳細についてはお問い合わせくださいませ。
ストレスに強い人材を見極めるWeb適性試験「Q-DOG」はこちら
自身の持ち味を長所として発揮できるか把握する「V-CAT」はこちら
また、昇進昇格、採用、研修で使用される適性検査を紹介した「JMAMアセスメントカタログ」もご用意しております。マネジメント力の可視化、人的資本経営の実現にも役立つ内容です。下記にてご請求できますので、ぜひこの機会にご活用ください。
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本資料では、企業が人材採用活動の質と効率を向上させるために、採用アセスメントを活用する効果的な方法について解説しています。
- 採用活動の現状と課題
- 採用の質・効率アップにむけた打ち手
- 採用アセスメントツールの活用方法
- アセスメントツールのご紹介

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