コラム
  • 対象: 新人/若手
  • テーマ: ニューノーマル
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実は「安定・就社志向」が高く、勤務時間や在籍年数を認めてほしい Z世代の意外な一面と効果的なマネジメントのコツ

実は「安定・就社志向」が高く、勤務時間や在籍年数を認めてほしい Z世代の意外な一面と効果的なマネジメントのコツ

※本記事はログミー株式会社が制作した記事の転載です。

「行動や言動に自信が持てない」「前向きな一歩を踏み出せない」傾向を持つZ世代。必要なのは、小さな成功体験を積み重ね、“自己効力感”を高められる継続的な支援かもしれません。日本能率協会マネジメントセンターによるオンラインセッション「新人育成、何が変わる? 最新調査から読み解く Z世代をうまく伸ばすコツ」に、Learning Design編集長・斎木輝之氏が登壇。後編では、メリハリのある指導でZ世代を「伴走」から「自走」に導く育成アプローチを提案します。

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「キャリアは自ら切りひらく必要がある」志向の低下

斎木輝之氏:Z世代の自律的なキャリア志向が弱まっているという結果がこのあたりです。「現在の会社でずっと働き続けたい」との志向が、2000年から5年間で12.5パーセント増えています。ここはずっと微増しているんですね。

2016年から見ているのですが、たまたま2020年が低くて2024年が高かったわけではなく、上がってきている傾向があります。

実は類似の質問も入れています。今後の働き方について「今の会社で成長したい」のか、それとも自分が専門性を持って「副業などの社外経験もしながら成長したい」のかでいうと、今の会社で成長したい割合が65パーセントに増えている結果となっています。

入社した会社でしっかりと専門性を高めたい、という志向はあります。かといって辞めないというわけではないんですが。おそらくみなさんが想定しているよりも就社志向は高いのではないかと。

ただ一方で、先ほど申し上げた「キャリアは自ら切りひらく必要があると認識している」というのがずっと下がっているんですね。

これも一過性で下がっているのであればそこまで言わないんですけども。毎年下がっているというのは、そこそこ就職したいところに入れているんでしょうね。

今日は飛ばしてしまいますけれども、Z世代の特徴として、プライベート重視で、仕事とはある程度の距離感を置きたいところがあります。かつ「10年、20年先のことはわからないので、具体的には描かない」との価値観があるんです。

なので、もしかしたらですけども、あまり後先を考えるよりも、今言われていることを着実に実行したいという志向が、この数字を押し下げてしまっている要因にもなっているんじゃないかなと。このキャリア開発志向は、ほうっておいても勝手に高まっていくことはないので、気をつけなければいけない。

次に「働くこと」に関しては、そこまで毎年変わらないのかなとは思うのですが、みなさまにお伝えしたいことを3つ書いております。

やはり、働く環境はとても大事にしているんですね。例えば左で言うと、これは配属ガチャに近い話かもしれませんが、採用段階で「自分が希望する部署や職種で働けるかどうかは、入社の意向に影響した」については、65パーセントでけっこう高いですよね。

実際に入社して配属先が希望している部署だった人は、半分ぐらいになります。これが配属ガチャだと言われる部分なのかなと。

人間関係や評価への不安が顕著になっている

なお、出社が多いとしても「テレワークを推進しているかどうかは、今後その企業で働くかどうかに影響を与える」の回答割合は半数を超えます。とはいえ、調査結果を見る限り新入社員は、実は出社志向であることがわかっています。

Z世代やここ最近の新入社員は「出社しなさい」と言われて嫌々来ているわけではなく、自分の意思で出社している。でも、出社か在宅かのどちらかに振れるのが嫌なんですね。つまり、ハイブリッドな勤務を好むといえます。

多様性世代でもあるので、複数の選択肢から自分が選べることを大事にする価値観がある。ですので、出社中心である意図や理由をしっかり伝えずに進んでしまうとリスクもあると思います。

そういう意味では、働き方やキャリアに関して、これからの新人育成で大切にしたいことは、安定・就社志向が高まる中で、その会社がどうありたいのか。どういう方向に行くのか。それと併せて自分がどういう将来を描きたいのか。ここを常に結びつけていくことが重要です。

安定就社の志向があり、かつ、自分の将来が見えていないのであれば、そこをマッチングしてあげる。すると「この会社でこの仕事を続けることにメリットがある」と思えるようになりますので、継続的にケアしていく必要があります。

次の2つ目は、成長動機につながるマインドが弱くなっているのではないか、ということを書いています。「能力は高められる」「自分はより良くなれる」などの気持ちを持っているかどうかについて、5年前に比べると10パーセントぐらい下がっています。

つまり、成長意欲や学びの姿勢が弱まっているんですね。これを「グロースマインドセット」と言います。

それ以上に気になるのが、「他人の評価が気になる」「周囲と関わらないようにする」などが10パーセント以上増えているので、評価や人間関係の不安が顕著になってきているところも同時に見えております。

ネガティブなマインドが行動に与える影響

このページは、Z世代の成長支援をしていくみなさまにとっては、認識いただきたいことを並べたものになります。

一番上に書いていますが、Z世代やここ最近の新入社員は、自分の行動や言動に自信が持てず、前向きな一歩を踏み出しきれないんです。要領もいいですし、仕事もこなしていけば解消していく部分もありますが、とにかく初動が重い。なぜかというと、能力ではなくて意識。自信がないところが阻害しています。

左上の「自分自身に満足している」の項目がいわゆる自己肯定感と言われるところで、真ん中の「自分自身の行動や言動に自信がある」の項目が自己効力感です。特に、自分自身の行動、言動に自信があるかどうかが、圧倒的にほかの世代と比べて低いんですね。

仕事の経験を積んで高まっていくことは当然あるかもしれませんが、やはりここまで低いと、なかなか一歩を踏み出せないところがあります。

「自分はより良くなれる」という気持ちや、「恥をかきたくない」「他人からの評価が気になる」ところもあって、自分からなかなか「コト」を起こさない。そういう意識と行動の分離が読み取れると思います。この傾向が年々悪くなっているのが気になるところです。

マインドがどれだけ行動に大きな影響を与えるかは、スタンフォード大学の研究などでも明らかになっています。右に書いてあるような気持ちを持ってしまうと、どうしても脳がネガティブなほうに働いてしまうんですね。

ネガティブな気持ちを持ってしまうと、指示されたことだけをしたり、目立たないようにしたり、自分のやり方や考え方に固執してしまう。自然と行動に出てきてしまう。

行動を変えていけば意識は変わる。それももちろん表裏であるんですが、なるべくこういう気持ちを持たないようにしなければいけない。ただ先ほど申し上げたように、Z世代の多くは、どうしても最初はこういう気持ちを持ってしまう人が増えているんです。

自己効力感を上げる4つのキーワード

先ほど、グロースマインドセットが重要と申し上げました。例えば、ストレッチな目標に挑戦したいとか、失敗を恐れないとか、自分は能力を高められるんだとか、より良くなれるんだとか。

こういう気持ちを持って臨んでいくと、どんどん前向きに活動できる領域ができてきます。いろいろと科学的に見えるようになってきた中では、やはりマインドをどれだけポジティブにしていけるかが重要かなと思います。

みなさまは、スキルアップ支援としてeラーニングなどの学習環境を整えておられると思うんですが、知識・スキルに偏らず「マインドを高めることにも寄与しているか?」については考えないといけない。

もう1つ、キーワードで挙げている「自己効力感」。とにかくこれを上げる仕組みがあるかないかが、これからの新人育成では重要になってきます。

諸説ありますが、自己効力感を高めるには4つのキーワードがあると言われています。一番重要でインパクトがあるのが、やはり「直接経験」。何かを達成したり成功したりする経験。これは自分なりの成功体験で十分と言われています。

ただこの右側の「代理経験」も有効です。誰かが何かを達成したり成功したりするのを観察するだけでも、実は自己効力感は上がると言われているんですね。

例えばグループ演習でほかの人の模範を見てみるとか。プロスポーツでは大谷翔平選手もそうですけど、ああなりたいという憧れが、「自分もできるんじゃないか?」「世界でこんなにも戦えるのか」という奮起につながる。なんとなく想像がついたと思いますけども、直接経験のほうが圧倒的にウェイトは高いものの、代理経験も有効であることもご理解いただければと思います。

あとは他者からの励ましやフィードバックなどの「言語的説得」ですね。心理学の言葉は難しいかもしれませんが、「生理的・情動的状態の解釈」。つまり「怒っているな」「うれしいんだな」ということを認識するだけでも自己効力感は上がると言われています。

約42パーセントが「認めて育ててほしい」タイプ

いずれにしても、こういう経験は、配属前研修や教育だけではすべて賄えるものではありません。上司、先輩の伴走も通じながら徐々に自分自身でできたなとか、もっとやりたいとか、気持ちを持てるような節目を作ってあげるのが重要かなと。

2番目に伝えたいことは、失敗を許容する環境や自己効力感を高める仕組み作りです。小さな成功体験を積み上げていく。これが重要になってくると思います。

3つ目は、指導者との関わり方。もっと言えば自分の成長にどう関わってほしいかも含めてです。承認欲求に該当する「褒める育成を好む」割合は、65パーセントぐらいで調査以来あまり変わらないです。

一方でここが注目なんですが、状況によっては「厳しく叱ってもよい」「叱ってほしい」という意見も、2020年に比べると上がってきています。今までの数値がちょっと低かったこともあるんですけども、二極化ぐらいまで上がってきている。

とはいえ、相手から褒められたい意識は強いので、仕事が行き詰まっている時は、自分から相談するよりは相手がそれを察して話しかけてほしいと思っている。また、「指導の意図が不明確だと、やるかどうかを迷う」も10パーセント上がってきているので、主体的な行動が自然とできているわけではありません。

もう1つ。この評価に関して驚いたんですけども、成果や生産性よりも何時間働いたか、何年勤続したかを考慮してほしいという意見が2020年に比べて10パーセントぐらい上がっているんですね。つまり、昔の日本的雇用で良い制度と言われていたことを望んでいる。このあたりは後でお伝えしていこうと思います。

ちなみに、先ほどの採用テストのストレス耐性のデータでは、承認欲求も測ることができるんです。よく言われる「Z世代の多くは承認欲求が高い」という噂は本当なのか。その1つの回答として、臨床検査のエビデンスで見ると承認欲求は高いと言えます。

数字でいえば、42パーセントぐらいが、できれば認めて育ててほしいタイプとなります。

叱り方次第では退職につながる恐れもある

ほかには、価値観を大切にしたい、体験から学ぶ、というタイプもあるんですが、体験から学び成長する人のウェイトは低いかなと思います。ここで注目なのが、バブル崩壊直後に入社した方と現在入社した方とで「認めて育てて欲しいタイプ」の逆転現象が起こっているんですね。

伸張率でいえば15パーセント程度なんですけども、今の40代後半から50代の方々は、自分を認めて育ててほしいタイプではなかった。接し方もわからなければ、「なんでそこまで褒めてほしいの?」と疑念に思っているところはあるかなと。

つまり、みなさんの価値観で見てしまうとギャップが生まれやすい部分があると思います。ただ、「認めて育てて欲しいタイプ」も2016年がピークで少し減少しておりますので、(調査期間)全体で見ると特出しているわけではなく、(2023年のデータ)全体で見て42パーセント程度と捉えてください。

また、先ほども申し上げましたが、承認欲求は高いんですが、厳しい指導を前向きに受け止める意欲も上がっていることは、私個人としてはとても良いことなのかなと思っています。

具体的にグラフで解説します。「自分はどのように指導されると成長していけると考えているか」の質問に対し、過半数が「できている点に目を向けて褒めてもらう」と回答。調査以来、この「A」が高い結果はほとんど変わりません。

一方で、「仕事の不具合を改めるためにはどちらの指導が効果的と思うか」の質問に対して、「厳しく叱ってもらうほうが行動改善につながる」の回答割合が上昇傾向にあります。つまり、状況に応じてしっかり行動改善につながるような指摘をしてほしいと思っている人が増えているということです。ここはここ数年の特徴だと思います。

ただし、この結果は留意いただきたいことがありまして、この「厳しく叱ってもらう」については、みなさまが思っている「叱る」よりはもっとライトです。50代ぐらいの方々が受けた「叱り」とは基準が違います。(同じように叱ると)辞めてしまうかもしれませんので、そこは気をつけてください。

あと、挑戦に対する意識や行動の乖離は変わらず高いです。つまり、自分にとって効果的な育成方法は「うまくいかない経験を通じて学ぶ」と回答し、挑戦や修羅場をくぐったほうが良いと過半数が言っています。

一方で、「失敗したくないので、責任ある仕事は任せないでくれ」という回答も60パーセントぐらい。また、自分自身の成長のために一時的に業務の負荷、労働時間が増えても挑戦したい人も半数割れをしているという実態があります。

Z世代の教育は成長の仕掛け作りが重要

学生時代はうまくいかない経験を通じて成長しているという実感があっても、社会人としての仕事は周囲の目も気になるので、失敗しないようにしたい。また、あまり残業や負荷が増えてまで挑戦したいとは思わず「そこそこでいい」と思ってしまっている。

繰り返しますが、考え方や行動は変えられるんですけども、自力で変えていくマインドでない人も多いので、成長の仕掛けづくりが重要になってきます。

これが最後です。何時間働いたか、何年勤務したかを考慮してほしいという意見が44.5パーセントとここ数年と比較して増加傾向にあります。数値としては、「成果と生産性で評価されたい」と回答している人のほうが多いです。

少し整理して話しますと、就社志向が高くて、失敗をしないように積み上げていくことを好む。また、成果が出ないかもしれないけどがんばっている自分をちゃんと評価して欲しいと思っている。

いろいろとこの結果に関して感じることはあるかと思いますけども、いったんみなさまの胸にとめていただければと思います。大手の電機会社でもジョブ型にして初任給を変えていくという話が出始めています。これからはリスキリングも含めて学習環境を整えるけども、どうやって成果や業績にコミットするかは自分次第。この考え方について、私は間違っていないと思います。

ただそれは、プロセスを軽視しているという意味ではなく、プロセスも評価するが、成果や生産性にもコミットすることが大事という指導や、コメントを若手社員に言い続けられるかが重要だと思います。

指導者の「成長実感」が6年連続で低下している

最後のポイント解説です。状況に応じた柔軟さで、かつ意図を明確にしたメリハリある指導で最初は伴走していくんですけども、最終的には自走できるような支援をしていくことも重要です。

メリハリと書いたのは、褒めるだけを求めていませんという意味です。あと、最初は伴走するけども、最終的には自分で考えて一歩踏み出していってもらうという意味での自走支援につなげることが大切ということです。最初から放り出してしまうと、成長できる人とできない人の差は大きくなっているというところを、認識いただければと思います。

まとめに入っていく前にスライドを2枚共有します。問いかけになりますが、みなさまは指導者側をどれぐらいケアできていますか? 我々の調査結果を見る限り、指導者は今、育成疲労に陥っているといえます。つまり、新人指導を通じて、指導者側も自身の成長実感を得ていくというのはもはや過去の話になっていくんじゃないかと、不安を感じています。

どういう意味かというと、「新入社員の指導・育成を指導者が行って、自分自身が成長した実感があるか?」という質問に対して、肯定的な回答結果が、6年連続で下がっているという事実があります。

2018年から減少傾向なのですが、これは働き方改革などのいろいろな問題があって、結局しわ寄せが来ていると言えます。

左はポジティブに「新人指導を通じて、自分が成長している」と思っている人の理由です。今回の注目は右側で、成長実感していない人に「なぜなのか」についてその理由を聞いてみたんです。

その結果、「通常業務が減らないから負担が大きい」「インセンティブがない」「時間が取れない」「周囲のサポートが足りていない」「自分の成長が実感できるフィードバックがない」などが上位にあがりました。

もちろん、人事のみなさんも指導者側の苦労と気持ちに寄り添ったケアをされていると思うんですけども、ここが下がってしまうと、(新人指導自体に)やらされている感が出ますし、ネガティブな雰囲気の先輩を新入社員がロールモデルとして見られるのかというところには、やはり気をつけないといけません。

今まで解説した課題を踏まえて、最初にお伝えしたキーワードに戻っていきます。これからの新人育成で意識したいキーワードは、会社のパーパスと個人のありたい姿を結びつけるための継続的なキャリア形成支援、小さな成功体験で自己効力感を高めていくための支援、指導にメリハリを持たせながら自律に向けていく支援の3つです。

実施されていることも多いかと思いますけれども、これからの新人育成を長期的なスパンで捉え、面としての成長支援を考えていただければありがたいです。

現場はZ世代の特性を理解しているか?

大枠の方向性はお伝えしたので、最後のまとめをしたいと思います。Z世代を活かす成長支援ということで、スライドには3つのキーワードを実践していく中での問いかけを文章で書いています。失礼な表現があったら先にご了承いただきたいと思うんですが、人事のみなさんは、新人・若手社員に対してキャリア研修などさまざまな施策を実施されていると思います。

ただ、このスライドに書いた問いなんですけども、その実施しているキャリア研修は新人・若手の発達段階に応じて継続的に実施できていますか? また、本人はその機会を踏まえて、会社や仕事への愛着、自己理解やメタ認知などを上げて、自ら次の一歩を前向きに踏み出せていますか?

また、配属前の導入研修は、新入社員が代理経験を積むことで「これならできるかも」と小さな自信を実感できるプログラム設計になっていますか?

「導入研修でやらないといけないことが多すぎるのでそこまではできない」とお感じの方はその気持ちもわかります。ただ、こういう状態にしていかないと、これからの新人は自走していくのは難しくなってきています。

逆に成長支援は、配属後、現場に任せるのであれば、それでもかまわないと思います。ただ、配属後に自ら経験したことを内省したり、意味づけしたり、周囲の協力を得ながら小さい成功体験を自ら実感できる仕組みはできてますでしょうか? また、みなさまは、それができているかの確認はできていますか?

今日はすべての問いかけをお話しできませんが、こういったところをあらためて確認いただければと思います。もし、どう設計したらいいかをお悩みなのであれば、弊社のラーニングデザイナーが一緒に対話をしながら、みなさまの成長支援に伴走していければと思っています。遠慮なくお声掛けください。

調査報告書の最後に書いてあるものですが、3つのキーワードの具体例を書いております。文字が多いので全部は読みませんが、もう少しポイントをお伝えしていきます。

継続的なキャリア形成支援とは、自己理解を上げていったり、パーパスとキャリアを融合させていくことです。相談できる環境を充実させていったり、多様な意見に触れていくとか、段階的な成長支援をしていくなど、言葉で言えば当たり前なんですが、補足で書いております。

仕事を「疑似的」にでも体験してみることが重要

お客さまから「では、どういう施策をしたらいいんだ?」とのご質問をいただくので、2024年の調査報告書で初めて、例えば「人事・人材開発領域の施策例」ということで書かせていただきました。これは弊社でももちろん対応させていただきますが、みなさまがこのような側面をできているかどうかを見ていただければと思います。

私が思うのは、キャリア研修はもちろんなんですが、多くの人に触れたり、仕事を見たりすることを早期に経験しておくと、彼らの仕事や会社への価値観がポジティブになるとわかっております。「自社を知る」はもちろんのこと、仕事を疑似的に体験してみることが大切です。

もう少し申し上げますと、先輩とちょっとでも話してみるだけでもよいです。先輩の経験談を通じて「こういうふうに切りひらいていけばいいんだ」と自分のキャリアが見えてくることもあります。このあたりは3ヶ月、6ヶ月、1年後ぐらいの広いスパンでけっこうですので、考えていただければと思います。

以下、同じように書いております。とにかく周りの評価が気になって一歩踏み出すのが難しい新人が増えているので、通常のMBOの目標設定以外に、成長支援におけるスモールステップの目標設定も実施いただければと思います。

あとは経験を通じて学んでいくために、振り返る機会や伴走支援をしていくことが必要です。1on1ミーティングや定期的なフォローアップ研修はされていると思いますが(「経験からの学び方、考え方」は意外に教わることが少ないので、そのようなインプットもいただきながら)この質をどれだけ上げられるかも重要になってきます。

最後、メリハリある指導育成はもう言わずもがなですね。新入社員向けというよりは指導者向けに、メンター制度はもちろんのこと、彼らが相互信頼や、悩みを意見交換したり、浄化したりするような場があるかどうか。そういうスキルアップの提供をしているか。このあたりをあらためて表裏の成長支援ということで検討いただけるとありがたいです。

大枠のテーマなどは細かく書かせていただいています。今大きく3つの観点で申し上げたんですが、もっと俯瞰すると、マナー研修や会社理解以外にやることがいろいろとあります、と書いているのが次のページです。

自己効力感が高まる行動促進トレーニング

(自己効力感を)高めるテーマとして、土台を前提に、働くことへの適応、自社・組織への適応、社会の変化に対応し、社会に貢献できる人材に成長していくステップをご紹介します。

みなさまが導入研修で関われるのは、どうしてもこの青字の部分である「働くことへの適応」が中心になってしまうと思います。特にこの、土台のキャリアデザイン、マインドセット、レジリエンスや多くの支援者を獲得していくことなど、「働くことへの適応」の上下の部分の厚みを長期的なスパンで整えていただくのがありがたいです。

概念的なところも含めてお話ししたのは以上です。終わりに、ここ数年の調査結果を踏まえて、JMAMではZ世代の育成支援コンテンツをたくさん開発してきました。時間も限られていますので、本日は2つだけピックアップしました。ご関心ある方は、後日、弊社営業にご相談いただければと思います。

弊社の支援実績としては、「まずは基本行動をしっかり定着させたい」という入り口部分を強化するパターンが多いです。みなさんも、おそらく基本的な研修はされていると思います。しかし、私が長年調査報告書を分析している中で、(研修などの施策を通じて)自己効力感を上げきれていないことや、Z世代が学びたい学び方や気づきを高め切れていない部分もあると感じておりました。

そのような課題を踏まえ、今年、開発がすべてのコンテンツを一新してくれまして、新人が「これならできる」と自信や成長を実感できて、自己効力感が高まる新しい行動促進トレーニングが開発されました。このプログラムは2025年の導入研修の見直しも含めて間に合うと思います。

あとは、導入ではなく、一人前に成長していくための出口部分に該当する、現在の仕事を、よりやりがいのある仕事に意味づけしていくためのジョブ・クラフティング研修などを用意しています。

数時間の研修でもZ世代が成長の実感を得られる

あと、指導者向けに、AIの解説で1on1の質を高めていく「KizunaNavi(キズナナビ)」というツールの開発などをしています。(新人自身のマインドやスキルアップを強化しつつ、同時に日常の経験から学び、成長するためには指導者側のスキルアップや支援しやすい環境づくりも重要となるため、このような科学的アプローチで指導者のスキルアップを支援することも同時に検討いただければと思います)。

具体的なカリキュラムなどは、より詳細情報がありますので、関心がある方はぜひ最後のアンケートにコメントください。

先ほど申し上げた、新入社員の導入研修カリキュラムの何を変えたかだけ紹介させてください。今回の新開発プログラムと、よくある実践型の新人研修プログラムとの違いをまとめました。

左の実践型プログラムは、我々も提供している重要な新入社員研修プログラムの1つであり他社でも実施していると思います。また、しっかりと新入社員に考えさせるために、厳しめの実践トレーニングを行うこともあると思います。

我々も従来の実践プログラムは引き続き提供していくんですが、Z世代の成長課題である「自己効力感を上げる」ためのプログラム開発は重要と捉え、具体的にはプログラムの始まりと終わりに目標と振り返りを入れるなど、徹底したポジティブフィードバックが得られる構成になっています。

先ほど申し上げたように、イマドキの新入社員は指導者の意図や理由、背景がわからないと一歩を踏み出せないので、ここをしっかりと伝えるようになっています。あとは経験から学んだり、できた部分とできなかった部分に一人ひとりが目を向けられるような、内省の機会を組み込んでいます。

カリキュラム内容だけを見ると遜色なく、どの企業でも同じように見えるんですけども、研修を通じた成長実感を着実に得られるストーリーになっていることは特長であるとご理解ください。

また、フィードバックの仕方でこだわっているところもありますので、数時間の研修だけでも、Z世代が受けたいストロークや成長の実感がスムーズにできるという設計になっているとお考えてください。

最後はAI解析の1on1ツール「KizunaNavi(キズナナビ)」です。ニューラル社、ソニー、弊社が共同で進めているプロジェクトで、マネジャーの入力などは不要で、AIがしゃべった内容を自動的に解析してくれて、管理職の1on1などの対応の質を上げるツールになっております。

しゃべるだけで課題を可視化できるツール

類似のサービスを導入されているお客さまもいらっしゃると思いますが、そのようなお客さまからのお声として、1on1の質が上がっている実感が少ない、管理職の記入要領が多すぎて現場には負荷をかけているとか、そんなお悩みをお聞きしており、そのような方には解消につながるサービスといえます。

こちらは、月額の利用が可能です。ご希望のあるお客さまはトライアルも受付中ですので、まずは体感いただくのがよいかなと。

私も拝見しておりますが、しゃべっているだけで、本当に包み隠さずポジティブとネガティブの課題を可視化してくれる、精度が高いツールです。限られた時間で、指導者の課題や質を上げていくことに取り組んでいただけるとありがたいです。

駆け足でございましたけれども、Z世代の特徴、みなさまと共有したい課題、これからどのように成長支援の設計をしてもらいたいかをご紹介させていただきました。本日のセミナーはこれで終了にしたいと思います。ありがとうございました。

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提供元:ログミー株式会社

JMAM HRM事業 編集部

文責:JMAM HRM事業 編集部
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