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若手社員は「打たれ弱い」は本当か? 最新調査で読み解く、イマドキ新入社員の8つの特徴

若手社員は「打たれ弱い」は本当か? 最新調査で読み解く、イマドキ新入社員の8つの特徴

※本記事はログミー株式会社が制作した記事の転載です。

「コミュ力が低い」「打たれ弱い」などのネガティブな切り口で語られることも多いZ世代。企業は彼らとどう付き合い、育成していけばよいのでしょうか。日本能率協会マネジメントセンターによるオンラインセッション「新人育成、何が変わる? 最新調査から読み解く Z世代をうまく伸ばすコツ」に、Learning Design編集長・斎木輝之氏が登壇。前編では、最新データや他年代との比較データをもとに、Z世代の真実の姿をあぶり出していきます。

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Z世代をうまく伸ばす新人育成のコツ

斎木輝之氏:本日はお忙しい中お越しいただきまして、ありがとうございます。タイトルにありますように「新人育成、何が変わる? 最新調査から読み解くZ世代をうまく伸ばすコツ」ということで話をしていきたいと思います。

今日の定員はもともとは150名ぐらいを予定していたんですけど、約400名のお客さまからお申し込みがあったということです。非常に関心が高く、ありがたく思っております。

名簿を見ますと、毎年ご参加いただいている方もいらっしゃるようです。同じような表現もあるかもしれませんけども、復習としてお聞きいただければと思います。

さっそくですが、自己紹介です。斎木と申します。日本能率協会マネジメントセンターのラーニングマーケティング本部という人材開発・育成のマーケティング部門の担当をしております。

基本的には、調査よりも商品の開発やプロモーションがメインではあるんですけれども、2016年から実施をしている新人調査にはスタートからずっと携わらせていただいており、2024年も最新動向のご報告をしております。

実績です。日経さんは、ありがたいことに毎年1回取材をいただき、こういったZ世代向けや新人育成系の記事を書いていただいております。

最新では、一番下の読売新聞さまで、新人だけではなく管理職調査のコメントや記事も載せていただいております。

今日のプログラムは、若干の変更があるかもしれませんが、大きく3つお話ししていきます。

まずは、Z世代が歩んできた時代背景と価値観の変化。2点目が最新調査です。2024年版の調査が完成しておりますので、ここから見える新入社員・Z世代のリアルと成長課題をお伝えしていきたいと思います。

最後に今回のタイトルにもありますけれども、今後の新人育成やZ世代、20代の成長支援をどのようにしていくのか。ポイントを絞ってご報告していきたいと思います。

少し駆け足で進む部分もあるかと思います。お時間があれば質問にお答えしたいと思います。

9年間にわたり、新人やZ世代の特徴を調査

初めての方もいらっしゃるかと思いますので簡単に(背景をご説明します)。今日のセミナーのベースは「イマドキ新入社員の仕事に対する意識調査」の最新版からの報告になります。2016年からスタートして、2024年で9年目になります。

主に社員数1,000名以上のお客さまが70パーセントになるようにしています。定期的な採用やローテーション、育成、組織上の課題が大きい1,000名以上(の会社)に属する、Z世代も含めた新入社員および指導者・管理者、つまりビジネスパーソン全般への調査をピックアップしながら、新人やZ世代の特徴を表している報告書です。

質問はすべてこれというわけではないんですけれども、大半が固定の質問に対して6段階で聞いています。いわゆる中間地点、「どちらとも言えない」が入るような5段階や7段階にはせず、「ややA」か「ややB」かをしっかりと選んでいただいております。

この上位3つと下位3つをくるんで、パーセンテージを出しているところが、弊社の特徴かなと思います。なんとなく頭の片隅でご記憶いただけるとありがたいです。

徹底して比較にこだわった調査を実施

もう1つ、他社との違いで申し上げますと、毎年徹底して比較にこだわっています。例えば同じ新入社員でも、入社の年次の比較を3年間、正確には9年間、ちゃんと見ているということ。あとは新入社員と指導者の、差異の中での特徴を見ています。

あとは、メディアの方やみなさまが一番関心がある、世代別です。意図的にZ世代、ミレニアル世代、氷河期世代、バブル世代という切り口で分けておりますけども、だいたい20代、30代、40代、50代ぐらいの方々のデータを見ています。

多くの会社では6月、7月ぐらいに(最新の)新人調査結果を出すと思うんですけども、それはあくまでもセミナーなどに参加した新入社員の定点観測で見ているところがあります。それ自体は別に間違ったデータではないんですが、30代でも40代でも当てはまること、つまり新人の特徴とは言い切れないデータも往々にしてあります。

なので、我々は全世代やいろいろな切り口から見た中で、本当に「これは今年の、20代の特徴だな」と言えるものをピックアップして「新人の特徴」と表現をしている。そこが他社と違う調査の切り口ということでご理解ください。

講義に入っていってもいいかなと思ったんですけども、1つだけクイズを出します。挙手やアンケートの設計にはしておりません。みなさまこのまま頭の中でお考えいただきたいと思います。

このABCは、それぞれある年次に該当する「今年の新入社員のタイプ」なんですが、年代の古い順に並べ替えていただけますでしょうか。お時間も限られているので、30秒くらいでパパッと見ていただいて。

ABCそのまま、CBA、BAC、いろいろあるかと思うんですが、いったん眺めてください。メモでも頭の中でもけっこうですので、古い順に思い描いてください。あと15秒ぐらいで終わりにしたいと思います。

ご協力ありがとうございます。先に結論から申し上げますと、古い順に並べるとBCAの順になっています。「へえー」ぐらいに思っていただければ十分かなと思いますが、もう1つだけスライドを進めます。

はるか昔から言われていた「若者はわからない」

このBCAはいつの時代の新入社員の特徴だったかというと、Bがこの右側に書いてある文章の「パンダ型」。実は1973年のもので、ここから「今年の新入社員」という調査報告が始まりました。

Cが2003年の「カメラ付きケータイ型」。おそらく今の20代には「?」であり、当たり前の感覚かと思います。私も40代半ばになりますけども、40代以降の方は非常に首を縦に大きく振っていただけるかなと思います。携帯にカメラがついた時代ですね。

Aが最新です。「セレクト上手な新NISAタイプ」と書かれています。時間も限られているので、あとでまたあらためて見ていただければと思うんですけども、全体を通して「人に懐かず世話が大変」「中高年者にとって使いこなせない側面もある」とかが書かれていますね。

「Z世代はつかみづらいんだよな」「最近の若い子の状況がよくわからない」とみなさま言われますけども、これって1,000年以上も前から言われていることでして。おそらくバブル世代前の方々も、当時はそう言われていたんですね。

もちろん労働市場や時代の変化があるので、まったく同じではないんですが、新しく入ってくる方々は常に新しい価値観を持っているので、わかりづらいということです。

今日は、時代背景とZ世代、そしてこれからみなさまの中核人材として成長していく若手社員をどう育成するか。そういう切り口でお話しできればと思います。ポイントをしっかりつかんでいただければ、難しいことも苦労することもなく、20代の方々が楽しく成長できる仕掛けは十分できると思っております。

では、ここから本題の「Z世代が歩んできた時代背景と価値観の変化」をご紹介してまいります。

生まれた時からインターネットがあったZ世代

まず、Z世代という言葉はもう聞き慣れているので、あまり注目をされてはいないと思います。マーケティング界隈ではもうすでにZ世代の話題は終わりまして、意図的に次のα世代にいっているところがあります。

Z世代とは1996年から2012年ぐらいの生まれの方々です。もうすでに2010年生まれからはα世代が台頭してきているところがあります。諸説あるのですが、α世代で年次が一番上なのは中学校2年生です。なので、もし中学校2年生のお子さまがいらっしゃれば、その人はα世代になります。

実は世界的な名称がX、Y、Z、αと決まっているんです。ただ日本特有の言い方がありまして、それがこの青色のところ。1965年から1970年ぐらいの人はバブル世代です。

その他、就職氷河期世代、ミレニアル世代。今、圧倒的に多いのはミレニアル世代です。45パーセントぐらいだったと思うんですが、バブル世代が徐々に引退しつつあって、就職氷河期からミレニアルと徐々に企業内の構成も変わってきています。

つまり消費はもちろんのこと、働く中でも彼らの価値観や働き方によって会社の今後が決まっていきます。

2019年入社がZ世代の初期と言われていますので、そういう意味では入社5年目、年齢は20代後半ぐらいです。20代の大半がもうZ世代になってきているとお考えいただければと思っております。

この世代は、言わずもがなのデジタルネイティブ世代です。情報技術の発展とともにコミュニケーションスタイルを変化させながら育ってきた世代です。浪人せず2024年に入社をしていますと2001年生まれになるんですけれども、もう生まれた時にはインターネットはそばにあった。

アップルがiPodを出した頃に生まれた世代

中学生ぐらいに初めて買った携帯がスマホ、というのが普通になってきています。ソーシャルネイティブな学生生活を送って、オンライン採用は当たり前ですし、オンライン化が進む中で入社をしているような世代なんです。

本当はここに絵がもう1つあるとしたら、LINEやインスタに近いところでいうと、今はほとんどTikTokなどの動画コミュニケーションですね。文字のコミュニケーションも一部しますけども、学びのインプットも含めて基本的には動画でいろいろものをインプットしたり、情報収集したりする世代になります。

20代に聞くと、おいしいランチやお店を探す時に、基本的にググらないんです。「ググる」はもはや死語なのかもしれませんけども。基本的にはTikTokなどで町名や「ランチ おすすめ」と入れて、そこに出てくる写真や動画を見ながら探していくのだそうです。情報収集の仕方も本当に変わっているんだなと身近に感じているところです。

ちょっと細かいスライドですけども、もう1つ、このあたりは全体をとらえるのに大事な情報かと思います。

先ほど申し上げたように、2024年の新入社員は2001年生まれが多いと思います。ちょうど生まれた前後に何があったかを書いているのですが、やはりICT、IoTの技術や経済トピックはさま変わりしていると思います。

もう終了していきますが、NTTドコモが「iモード」を始めたのが1999年。移動式の携帯電話が固定電話を上回ったのが2000年。そして、先ほど申し上げたカメラ付き携帯が2000年に生まれました。

Amazonさんの日本語サイトがオープンしたのが2000年。iPodが日本で発売になったのが2001年です。スティーブ・ジョブズが、ジーンズから細いiPodを出した時に生まれた世代だと思っていただければと。

一方で、日本経済はなかなか厳しい状況でした。「失われた10年」「20年」って言われていた頃なんですが、大卒求人は2000年が過去最低。今では考えられないような数字です。

日経平均も、今日は39,000円ぐらいでしたけども、40,000円前後なので、ここも非常に厳しかった。あとはJRのSuicaですね。こういったところで、どんどん便利になっていった時代も同時に始まっていて、やはりテクノロジーの進化は非常にすさまじかったということですね。

Z世代は「コミュニケーションが取りづらい」と思われている

ただ、ここではまだ(Z世代は)0歳で、ここから10年ぐらいで、どんどんIoTも進化しているので、身近にデジタル技術があるのが当たり前というところが見てとれるのではないかなと思います。

今までは経済全体の状況だったんですが、このあたりから新人調査の中身に入っていきます。今回は、新人と上司・先輩に記述式で双方が思うZ世代の印象を聞いてみました。

対面のセミナーであれば「みなさまちょっと横でお話しください」とできるんですけども、今日はオンラインなので一方通行になります。事前アンケートで、約2,500名に記載いただいた内容を照らしながら、みなさまが思っているZ世代の印象とかい離があるかどうか。そんなところを見ていただければと思います。

まず左は、新入社員が思う自分たちの印象です。あえて「Z世代」という言い方をしませんでした。「みなさん新入社員は、先輩などの周囲からどういう印象やイメージを持たれていると思いますか?」という質問をして記述をしてもらいました。

こんな答えが出てきたので、いくつか項目に分けてみました。「Z世代はどういう印象ですか」と伝えたわけではないので、「Z世代」以外にも「ゆとり世代」というようなことを言っておりました。

ただ、ゆとり世代とは1987年の4月2日以降に生まれた人で、本当のゆとり教育を受けた世代はだいたい30代の前半から半ばの人です。なので、彼らはゆとりが普通になった学習指導要領の世代というだけなんです。

あとは、文字が見切れていますけども、「コミュニケーションが取りづらいと思われている」「ハラスメントとすぐに言ってしまう」、そう言っているのではなく、思われているということですね。

あとは「打たれ弱い」「ゆるい」「弱い」「忍耐力がない」。本人たちはそう思っている、というところでした。

「Z世代の真実」とはどういうものか

次は、上司・先輩はどうZ世代を思っているか。ここでははっきり「Z世代」と聞いたんですけども、そうするとこんな感じです。「打たれ弱い」が大きくなっている印象です。ここもちょっと文字が見切れていますが「コミュニケーションを取るのが難しい」とか。

コミュニケーション能力が高いというコメントもあったんですが、総じて7~8割は「低い」という結果でした。あとは「ゆるい」「プライベート重視」などの言葉があったと思います。

テキストマイニングって非常に優れているなと思うんですけれども。新入社員にしかほとんど出てこないワードと、上司・先輩にしか出てこないワード、双方にバランスよく出ているワードを分けられるんですね。

そういう意味で、真ん中を見ると「プライベート重視」「やる気がない」「コミュニケーションが苦手で取りづらい」「デジタルネイティブ」。真実がどうかは別として、印象としてこう思っている。

新入社員は逆に自分でどう思っているのか、というところですが、「甘い」「甘やかされている」「精神面やメンタルが弱いと思われているんじゃないか」「ハラスメントに敏感である」「ハラスメントとすぐに口に出す」。あとは「すぐ辞める、転職する」との言葉が非常に多かった。

逆に右側の上司・先輩は、「打たれ弱い」「素直、真面目」。「自己主張」は「しない」というよりは「しっかりする」。あとは「失敗を恐れる、嫌う」という言葉も多かったですね。

こんな印象を持っていることについて、みなさまどうでしょうか。同じような印象をお持ちなのか、まったく違うのか。実際は、この印象がどれぐらい定量的に、科学的に見られるのか。もっと言うと、そこにある真実はどういうものなのかを、このあと紹介したいと思います。

では、ここからメインです。イマドキ新入社員の特徴を、弊社の調査からご報告したいと思います。

重要なのは「Z世代だから」と決めつけないこと

まず、結論はこちらです。これはZ世代が入社し始めた2019年から大きくは変わっていません。スライドにいろいろな色を入れたのは、やはり多種多様な特徴があるということです。

例えば「新しいことを学ぶ意欲が高い」「多様な働き方を推奨する会社で働きたい」など、8つ書いておりますけども。一言で言うと「自分らしさを大切に、安心できる環境で無理なく、着実に成長したい」となります。

これは2019年からほぼ変わっていないと思うので、やはりZ世代の価値観はコロナが起こったから急に変わったのではなくて、生まれてから社会人になるまでの軌跡の中で育まれたものということです。

逆に言うと実は「プライベート重視」「挑戦よりも失敗しないことが大事である」、コミュニティを大事にするので「チームワーク・対面を重視している」。こういったところが出ています。

みなさんも感じているかもしれませんが、我々が調査を取る中で出てきた内容に関しては、ほかの世代と比べてZ世代が特出して高いか低いかを表しています。なので大枠を言うと、Z世代の傾向をつかむ時にはインプットしたほうがよいポイントだと思っております。

こういう気持ちや考えを持っている裏側の背景を書かせていただいております。例えば3番の「挑戦よりも失敗しないことが大事」に関しては、安定思考なんですね。着実にできることから取り組んでいきたい。

その裏側では、非常に周りの目を気にしたり、みんなで問題や課題を解決していきたい気持ちが強かったりする。なので、人によりますが、あまり目立つのも好きではありません。着実な一歩を踏み出して自信をつけていきたい。そういう特徴があると理解いただければと思います。

ただ、重要なのは「あまり決めつけない」ことです。これは毎年申し上げているんですけども、確かにZ世代の特徴という意味では、申し上げたところで大きなズレはありません。ただ、みなさまが採用された方や身近にいるZ世代が必ずしもこの特徴に当てはまるかというと、そうではない。

65パーセントぐらいの有意性が見られるものを「特徴」と表していますので、100パーセントではないということです。なので、あまり特徴に引っ張られすぎず、目の前の新入社員を知ろうという気持ちを持っていただけるとありがたいです。

Z世代は「打たれ弱い」のか?

参考までに、「打たれ弱い」という特徴があれだけ出ていて気になったかなと思うので。我々は別件で、年間40万人ぐらいに採用で受けていただく、意図的にストレスをかけるテストを持っているんですね。

1988年からの定点観測でそのテストを見ていくと、結論から言うと右上にあるように打たれ弱くはなっています。そういう意味では適応しづらかったり、この仕事、先輩、チームであれば仕事はできるけども、そうでなければ厳しかったりという人が過半数と出ています。

誤解がないように言いますと、今に始まったことではないんです。この10年ぐらい、同じような傾向を行ったり来たりしています。

ただ、ここ数年で見ると、この仕事ならできるというふうに、若干適応の幅が狭くなってきている「適材極所」な人の割合が増えている。なので打たれ弱いと感じられる割合が増えてきている、というのは事実なのかなと。

いずれにせよ、相手に合わせた柔軟な指導が必要になっている。画一的な成長支援はもうないと思っていただければと思います。

ここまで、時代背景やZ世代の価値観などをお伝えしました。ここからは、9年間の強みも活かしながら、これからのZ世代の成長の実態や壁についての最新データを紹介してまいります。

経年比較を中心に、Z世代の課題というものを深掘りしていきます。これは、2023年でも一部話したんですけども、やはり2019年に入社したZ世代は、たまたまとはいえ、コロナ禍に直面してしまっているところがある。

なので、コロナが始まって、オンライン採用にみなさまがシフトチェンジした2020年頃に入社したZ世代の価値観や回答結果と、オフィスへの出社に回帰する傾向がありつつも、働き方が多様になったりしたこの2024年。同じZ世代なんですけれども、この5年間でどんな変化があったのかを深掘りしたいと思います。

「自律的キャリア志向」が減少している

意識したい3つのキーワード。これが最後の結論になりますが、1つ目は、一過性のものではない、継続的なキャリア形成支援が必要になってきていると思います。2つ目は成長意欲や、今日のキーワードでもある自己効力感を引き出していく支援が必要。自己効力感をわかりやすく言うと、「できた」という自信であり、小さい成功体験と思っていただければ十分です。

3番目は、メリハリある指導育成による自律支援が重要。ここは意図的に「メリハリある」と書いたので、この後に紹介してまいりたいと思います。

先に結論をお話しましたが、キャッチのところを文字とデータで分解しながら紹介します。

まず働き方やキャリアに関する、この5年での変化です。出社率はだいたい今70パーセントぐらいになってきています。コロナなので出社できなかったということもありますが、2020年と比べると32パーセント増えている。

この後にお伝えしますけども、やはり出社が増えることが、職場の人間関係の良好さと相関するところがある。出社が増えることによって職場関係の重要性を強調する人が増えているということです。

あとは、就社志向が上がっているんですね。ちょっと意外かもしれませんが、「今の会社で成長したい」との回答が、2020年比で12パーセントぐらい増加しています。

一方でここが重要なんですけども、就社、すなわち「この会社で成長していこう」と思っているわりには、「キャリアは自ら切りひらく必要がある」との回答が20パーセントぐらい減っているんですね。

つまり、(セミナー参加者の)みなさんは自律的キャリアを促そうとしているんですが、入社した頃の潜在的なマインドではその志向は弱まっている。ここが非常にユニークであり、注目しないといけない実態でございます。

働く場所によって大きく異なる「課題格差」

これをデータでひもといているのがこちらになります。まずは2020年から2024年の5年間で見ていますが、1番左と右を見ていただければと思います。先ほど申し上げたように、在宅がグンと減って出社が増えている。

ここ2年ぐらいを見ると7:3ぐらいですね。「1年間どこで勤務することが多かったか?」という質問に対して答えていただいているので、1日、2日ちょろっと在宅をするというより、週3日以上在宅を中心に仕事をしている人が減っているということです。

あと、オフィスの割合が増えていることと関連して、「この1年間で上司・先輩・同僚などとの関係性や精神的な距離は近づいたと思いますか?」との質問では、「はい」が大きく伸びている。この割合が高いものとパーセンテージは比例しているんですね。

これで「出社が良い」と結論を出したいわけではないんですけども。やはり学生から社会人へのトランジションが起こる中で、仕事もわからなければ、どういう人がどういうノウハウを持っていて、誰に相談していいかがわからない。その中で在宅を中心にしてしまうと、自分1人の仕事になってしまいます。

そのため、最初のオンボーディングに関しては少なくともオフィスに来てもらうとか、別に出社でなくても多くの人と接して、不安や仕事の深みをちゃんと出せるようなケアをしていくのが重要だと思っています。

なぜ先にここを申し上げたかというと、ここ数年で私の中で確信に変わったんですけど、働く場所によって課題格差が広がっているんです。

オフィス中心で働いた人と、在宅中心で働いた人で、同じように4月1日に入社した新入社員でも、配属から6ヶ月から12ヶ月が経った時の課題を聞くと、もうまったく違う内容になってくるんです。

すいません、初めての方に補足をしなければいけなかったのですが、我々は「新入社員」と言っているんですけども、毎年6月末に調査を取っています。新入社員は4月から6月の3ヶ月だと、配属されていなかったり、まだ仕事や社会のことがほとんどわかっていないことも多かったりします。なので、入社15ヶ月、つまり2年目の3ヶ月経った社員のデータも一緒に入れて「新入社員」としています。

つまり入社して1年の間に、ちゃんと仕事や会社と向き合った中で感じている働き方、仕事、悩み。そういったところを可視化したいので、今ここに出ているものは、2023年に入社した方々の結果だと思ってください。

先ほど申し上げたように、出社割合はだいたい70パーセントが出社、30パーセントぐらいが在宅の割合なんですけども、例えばオフィスの上位4つは、右側の上位4つとほぼ違うとわかっていただけると思います。

在宅と出社で大きな差が出る「経験の量と質」

オフィス中心の人は、「仕事の経験をするとそういう悩みって増えるよね」というものが中心に上がってくるんですね。

一方の在宅では、「わからないことを聞けない」「萎縮してばかりで自分を出せない」「上司・先輩と良い関係が築けない」「大勢の前でうまく話せない」。つまり人間関係が希薄になることによる悩みが多くなっているんです。

なので、指示された仕事はできるんでしょうけども、目の前で困っていることを先輩が見てくれたり、もっと言うと同期、先輩の仕事の仕方や、いろいろな量、質、頻度が変わってくる。仕事経験を通じて得られるものと、その一歩手前の課題で止まってしまうことがあるのではないかなと。

なぜこんな言い方をしているかというと、先ほど申し上げたように、内定時期と配属後すぐ、3ヶ月以降で、いくつかに分解して同じ質問をしているんですよ。

在宅の人たちの課題は、オフィス中心の人たちであっても実は上位に必ず来ているんです。ただ、配属後すぐから半年になる前に、「あっ、思ったより仕事できないな」「成果が出ないな」と。良いことじゃないかもしれませんが、「理不尽なことって多いんだな」「そこにうまく対応できないな」と通過してしまう。

組織社会化と言うんですけども、経験の量と質は圧倒的に出社の方々が積んでしまっている。在宅では6ヶ月から12ヶ月で、まだオフィス出社の3ヶ月ぐらいで気づくところの手前にいる。やはり格差が出てしまうと。

これも繰り返しますけれども、だからみなさん出社させてください、ということではありません。それだけケアが足りない。難しいところもあるかと思うんですけども、このあたりは元に戻ってきますが、入社時点でのオンボーディングはしっかりと設計するのが良いと思います。

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提供元:ログミー株式会社

JMAM HRM事業 編集部

文責:JMAM HRM事業 編集部
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