コラム
  • 対象: 管理職
  • テーマ: マネジメント
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中間管理職とは?ストレス対策や育成のポイントとは

中間管理職とは?ストレス対策や育成のポイントとは

中間管理職は、現場で働く社員と企業の経営層の中間に位置する役職を指します。上司と部下との調整役を果たすため、高いスキルが求められるとともに、悩みやストレスを抱えやすい立場といえます。

中間管理職になりたくないと感じる人材が多い、中間管理職にふさわしい人材がいないなど、人材配置や育成に課題を感じている人事担当者の方もいるのではないでしょうか。

今回は、中間管理職の役割や抱えている課題、メンタルケアの方法、育成時のポイントについて解説します。

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中間管理職(ミドルマネジメント)の主な役割

中間管理職とは、一般的に組織内の中間に位置する役職を指し、その名の通り、上下に挟まれた立場であることが特長です。

下記の役職が当てはまり、ミドルマネジメントと呼ばれることもあります。

  • 部長
  • 課長
  • 係長
  • 主任

管理職には、中間管理職のほかに、経営に対して責任を持つ立場である最高経営者層(トップマネジメント)や、中間管理職よりさらに現場に近い監督者層(ロワーマネジメント)があります。

ここからは中間管理職の主な役割について詳しくみていきましょう。

業務管理

中間管理職は部下に仕事を振り分けて、職場が円滑に回るように調整します。その後に効率が悪いなどの問題が見つかれば、再度適切な割り振りを考えたり、フォローに入ったりします。

経営層と比べて、中間管理職は現場の社員の強みを理解しているはずです。また、現場の社員と比べて、経営課題や自部署の数値的な課題を把握しています。

リソースや経営方針などの全体像を捉えた上で、上層部からの意向を汲み取り、現場の社員が対応しやすい形でマネジメントすることが必要です。

労務管理

中間管理職は、部下の健康状態を把握して、負担が偏らないようにする役割もあります。例えば、労働時間が長くなっている社員に対して、残業を減らすためのフォローをしたり、職場環境を整えたりすることも業務のひとつです。

勤怠の管理ができておらず、部下が長時間労働により体調を崩した場合は、中間管理職の立場にも責任が問われます。

また、近年はリモートワークの導入により正確に社員の労働時間を把握するのが難しくなっています。グループチャットなどのツール導入や、情報共有の方法など、状況に応じたマネジメントが求められるようにもなりました。

リスク管理

中間管理職は、上層部の方針も含めて現場の状況や業務にリスクがないかを考える必要があります。

例えば、下記のようなリスクに備える必要があります。

  • 部下がミスをして大きなクレームが発生する
  • 無理な計画を進めてしまう
  • データの管理方法が甘いために顧客情報や取引先情報を流出させる

今後起こる可能性のあるリスクをいち早く察知して、未然に防止しなければなりません。

部署間連携

中間管理職は、ほかの部署との連携を図り、業務改善を目指すことも業務のひとつです。

業務の課題を共有したり情報交換を行ったりすることで、新たな視点を取り入れられます。自部署の課題を解決するヒントを得るために、横の連携も強化していきます。

上長の補佐

中間管理職は上長の補佐を務める役割もあります。上長の方針や目標決定のサポートのほか、意見を求められることもあるでしょう。

また経営判断をするために、現場から意見や情報を吸い上げて欲しいと相談された場合は、意図を正確に現場へ伝達する能力が求められます。

人材育成

中間管理職は部下の育成も担います。

このとき、上層部の決めた経営方針や目標を現場の社員にも理解させることが重要です。組織目標を伝えた上で部下の目標を設定したり、働き方改革などの取り組みに応じて残業を抑制したりと、現場の社員がより広い視野で業務を遂行できるように働きかけます。

また、部下が伸び悩んでいる場合は相談に乗る、的確なアドバイスをするといったサポートも行い、部下が成長するように意識しなければなりません。

中間管理職が抱える課題・ストレス

中間管理職は、目の前の業務だけでなく、上司と部下の調整役も果たさなければなりません。そのため現場の社員や経営層にはないストレスを抱えることが多くあります。

特に、下記のような悩みが出てきます。

  • 業務量が大幅に増えて手が回らない
  • 自分の能力以上の責任を負わされてプレッシャーを感じる
  • 上司と部下の板挟みになって、ストレスを感じる
  • 相談できる人がいない
  • 部下を指導してもなかなか成果が上がらない

中間管理職になる社員は一般的に、現場でも優秀だった方が大半です。その分、弱みを見せることや他人を頼ることに慣れておらず、1人で負担を抱え込んでしまいやすいことが課題です。

また一般社員のころと比べ、褒められる機会が減ったり、共感してくれる人がいなかったりと、孤独を感じやすいこともストレスの原因になります。

中間管理職としての責任の重さや精神的なストレスから、休職・離職を選ぶ方も少なくありません。

人事担当者は、中間管理職が抱える課題やストレスの重さを十分に理解し、対処する必要があります。

中間管理職が心身の健康を保つために必要なメンタルケア

中間管理職は組織の中核であり、会社の未来を背負う立場です。ストレスや悩みを1人で抱え込んでしまわないよう、人事担当者はメンタルケアの仕組みを整える必要があります。

中間管理職が心身の健康を維持するためのメンタルケアについて詳しくみていきましょう。

現状を把握する仕組みをつくる

中間管理職が業務を抱え込みすぎている場合は、会社全体の問題としてとらえて対処する必要があります。

特定の人物に業務が偏ることは、個人の資質の問題だけでなく、組織の構造上の問題が潜んでいる可能性があります。上位の管理者と人事部とで連携したり、ITツールを導入したりして、中間管理職の働き方を把握しましょう。

加えて、定期的なストレスチェックを実施することも重要です。中間管理職の健康状態が好ましくないときに、迅速に対処できる仕組みを整えておきましょう。

ストレスチェックは現在、従業員50人以上の事業所のみ義務化されていますが、従業員数にかかわらず制度化することをおすすめします。

出典:「ストレスチェック制度関係法令等」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000181838.html

相談窓口を設置して周知する

産業医や産業保健スタッフにつなぐ相談窓口を設置して周知することも必要です。産業医や産業保健スタッフは専門家からの観点で、メンタルケアや休職・復職時のアドバイスをしてくれます。

精神的な問題の解決だけでなく離職防止にもつながります。

中間管理職同士の交流を強化する

中間管理職同士の交流を強化し、孤独を感じさせないようにすることが重要です。具体的には、ミーティングやランチ会などを定期的に開催するのがおすすめです。

同じ立場の人同士なら悩みを打ち明けやすく、お互いに共感しあうことができます。相談できる相手がいると安心感にもつながるため、1人で問題やストレスを抱え込むリスクが減るでしょう。

中間管理職育成のポイント

中間管理職が組織で力を発揮するためにも、メンタルケアとあわせて育成のポイントを押さえておきましょう。

中間管理職は、プレイヤーから昇進した段階で求められる役割が変わります。

例えば、下記のような考え方が求められるようになります。

  • 部下を信用して仕事を任せることが重要である
  • コミュニケーションは組織活性化につながることを理解する
  • 悩みがあれば、上司へ早めに相談する

プレイヤーの意識のままでは、組織の中枢として機能しません。そのため、マインドチェンジを促すことが育成の重要なポイントです。

自分の価値観を改めて認識し、望ましくない考え方や行動に気づく必要があります。研修やセミナーなどを通して、社員の態度変容を促しましょう。

自社に社員教育のリソースがない場合は、体系的なプログラムを提供している外部研修などを利用するのもおすすめです。

下記の資料では、マインドチェンジに必要な知識や考え方をまとめています。興味のある方はぜひ無料ダウンロードをお試しください。

まとめ

中間管理職は業務量が多くなりがちで、一般社員のころと比べて責任も増えます。経営層と現場の社員をつなぐ重要な役割も担っているため、ストレスが多くメンタルを崩しやすい傾向にあります。

ストレスを発散する方法や中間管理職としてのマインドが身に付いていないと、1人で抱え込んでしまい、離職するおそれがあります。

人事担当者は、中間管理職の健康状態やストレスの状況などを把握し、早期に対処できるような仕組みを整えましょう。一般社員から中間管理職へ昇進させる際には、マインドチェンジを促すことも重要です。

下記の資料では、管理職に必要なスキルや育成方法についてまとめています。中間管理職も含め、管理職の育成について悩んでいる方はチェックしてみてください。

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