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マインドフルネスとは?ビジネスにおける効果や導入メリットを紹介!

マインドフルネスとは?ビジネスにおける効果や導入メリットを紹介!

マインドフルネス(mindfulness)とは、いまこの瞬間に意識を集中し、ありのままの状態を受け入れることです。Appleが提供するApple Watchにもマインドフルネスアプリがあるので、知っている方はいらっしゃるのではないでしょうか。
「瞑想」が主な手法となり、宗教的でスピリチュアルなものとして捉えられる場合もありますが、米Googleが採用するなど、ビジネスシーンにおいても多くの効果が見込まれています。

この記事では、企業にマインドフルネスのメソッドが導入されている理由、ビジネスパーソンが行うメリットや効果について解説します。企業の経営者や、人事・人材育成に関わる方は、ぜひ参考にしてください。

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マインドフルネスとは

マインドフルネスとは、意図的に「いまこの瞬間」に起こっている経験に意識を集中し、ありのままを受け入れる心の状態のことです。マインドフルネス実践のための方法として「瞑想」があります。

スピリチュアルなイメージのあるマインドフルネスですが、集中力、内省力の向上やストレスの低減など様々な効果が見込まれるため、ビジネスシーンにおいても注目を集めています。Googleでも導入され、現在、海外のグローバル企業で、研修に瞑想などのマインドフルネスのメソッドを取り入れている企業は、全体の35%にも及ぶといわれています。

ちなみに瞑想は様々な宗教で行われているものの、仏教 禅宗の座禅やインドのヨガが思い浮びます。行為としては似ていますが求めるものが違います。
座禅は集中し心を無にすることです。ヨガは、心を静めるために身体に意識を集中させる瞑想で、マインドフルネスのような、思いつくままを受け入れ、内省力やセルフアウェアネスを向上させることとは違っています。

Googleのマインドフルネス実践事例

マインドフルネスは、医療行為として1979年にジョン・カバット・ジンが臨床的な技法として体系化したことから注目され始めました。その後、米国のGoogleでは、人材開発部門 ビル・ドウェイン氏が中心となり、2007年から独自の研修プログラム「SIY(サーチ・インサイド・ユアセルフ)」を実施。科学的根拠を元にした実践内容で、エンジニアをはじめとする多くの社員がその効果を実感しているといいます。
また、このGoogleのプログラムを参考に、SAPやアメリカン・エキスプレス、Yahoo!などでもマインドフルネスが採用されています。

マインドフルネスが企業で注目される背景

マインドフルネスがなぜいま企業で注目されているのか、その理由について解説します。

マネジャーを中心としたビジネスパーソンの多忙化

日本で最初にマインドフルネスが話題になったのは十数年前ですが、当時と比較し、マネジャー層を中心としたビジネスパーソンは多忙化しています。そこで改めて注目されているのがマインドフルネスです。

働き方改革やコロナ禍によるテレワークの拡大、市場環境の変化や価値観の多様化など、ビジネスパーソンの働く環境は激変し、その課題対応を行うマネジャーの負荷は増えています。そのため、ストレスの低減をはじめとした様々な効果があるマインドフルネスが求められているのです。

健康経営やウェルビーイングへの効果

近年、社員の健康管理を取り入れた戦略的な経営手法である健康経営や、社員の幸福度の向上に目を向けたウェルビーイングが注目されています。
これらは社員のエンゲージメントを高め、企業価値の向上につながることが期待できます。

マインドフルネスは、社員の健康や幸福度にも寄与する効果があるため、社員が活き活きと働くための手法の一つとして注目されています。

マインドフルネスの効果とは

実際に、マインドフルネスを行うことによってどのような効果が得られるのでしょうか。以下で解説します。

集中力の向上

マインドフルネスは、瞑想という手法を取り入れることが一般的です。瞑想は、自分の感情や身体感覚には意識を向けず、呼吸だけに一点集中するところから始まります。
そのため、余計な考えを捨て目の前に集中する力を鍛えることができるのです。継続的に瞑想を実施することで、その効果は高まっていくといわれています。

内省力やセルフアウェアネスの向上

セルフアウェアネスとは「自己認識能力」のことで、自分の強みや弱み、価値観や思考特性など自分の内面を見つめ、理解する力のことをいいます。
マインドフルネスを続けていくことで、いま自分はどんな状態で、それがどんな行動につながっているのか、内面を観察・理解する内省力やセルフアウェアネスがついてきます。また、それによって『自分の本来の意図と行動のギャップ』にも気づくことができるようになれば、本来の目的・目標に合わない無駄な行動を排除でき、その実現により近づけるようになります。

マインドフルネス瞑想の実践方法とは

決められたやり方があるわけではありませんが、姿勢を正し目を軽くつぶり、呼吸を整える(呼吸を意識する)ことから始めます。

何かを考えるのではなく、自然に思いつくもの、考えつくことをそのまま受け入れ自然な呼吸を続けるだけです。
無理に考えたり、何か思い出すようなことはしません。

また終わりの時間を決めることが重要です。5分程度でも十分です。

仕事のスピードアップ

マインドフルネスを行うことで、集中力を鍛えることができます。様々な業務を同時並行しており気が散りやすい状態というビジネスパーソンも多いですが、目の前のことに集中する力があれば、仕事のスピードも速まるでしょう。

他者との関係性の改善、向上

先述の通り、マインドフルネスによって内省力やセルフアウェアネスが高まれば、自分の考えや状態を把握することができます。それにより、一時的な感情に振り回されることなく、他者の意見を受け入れたり話し合う余裕ができ、関係性の改善にもつながるでしょう。部下を持つマネジャーがマインドフルネスを取り入れれば、部下の意見に傾聴し、良い関係性を築くことができるため、マネジメントの改善にも効果的です。

クリエイティビティの向上

マインドフルネスは、創造性を高めることにも寄与します。瞑想を続けることで、先入観やバイアスといった前提なしに、目の前の事象をありのまま見ていくことができるようになるため、創造性に不可欠な洞察力がアップするためです。

マインドフルネスはビジネスにおける緊張と緩和を適度に作り、結果として従業員の生産性を向上させることが期待できる非常に有効な手段です。

またマインドフルネス瞑想はビジネスだけではなく私生活、例えば寝る前に実施することでも効果があります。

マインドフルネスを導入する際の注意点

マインドフルネスを行ううえで、気をつけるべき注意点について解説します。

瞑想に頼り過ぎてしまう

瞑想でリラックスすればいいからと、普段から疲れやストレスを溜めてしまうような働き方をしてしまえば本末転倒です。自分の状態や目的に合わせて、適切に取り入れていくことが重要です。

悪化の可能性がある

一般的に、マインドフルネスは、ほとんどリスクがないと考えられています。しかし、これらを検証した研究はほとんどないため、確実なことはいえません。

厚生労働省のHPによると、2020年の段階で、83件の研究(参加者合計6,703例)を検証し、そのうちの55件の研究で不安や抑うつといったネガティブな体験が報告されていることがわかりました。

参照:海外の情報|瞑想(厚生労働省)
(https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c02/07.html)

マインドフルネス(瞑想)を実際に就業中に実施できるのか

マインドフルネスの効果が理解できたとしても実際に就業時間に実施できるか、というと一般的にはなかなか難しいのではないでしょうか。

タスクに追われ忙しくお昼を取るのも難しい、なかなか一息もつけないことも多いのが実情です。さらには瞑想していると「寝ているのでは」「さぼっているのでは」と周りからの視線を気にしてしまうケースもあります。

そのため従業員にマインドフルネスをきちんと理解し実践してもらうには、会社が「場」を設けることがベストです。

また「自席で、5分でできるマインドフルネス」のような簡単にできる方法を教え、タイミングを指定(10時、15時など)するルールを設定することでマインドフルネスを社内で浸透させることができます。

忙しいときこそ、座席で姿勢を正し、呼吸を整え瞑想する5分のマインドフルネスが威力を発揮します。

まとめ

マインドフルネスには、ビジネスパーソンのパフォーマンス向上に関し多くのメリットがあります。また、健康経営(ウェルビーング経営)という言葉があるように社員の心身の健康を企業が支援していくことは、これからの時代にますます求められることでしょう。
身体の異常はすぐにわかりますが、精神の異常はなかなか表に出ません。予防という意味でもマインドフルネスは会社としても個人としても継続的に行うことをお勧めします。

一方、「精神的」な健康面においてはビジネスだけではなく私生活のことなど、様々な要素が影響しているため、マインドフルネス瞑想を毎日行っているからといって目に見える改善結果がすぐに出づらい現状があります。

会社としては、マインドフルネスで予防を促しつつ、ストレスを抱え精神的に疲労している社員の発見、ケアという面ではまずは専門家の知見を取り入れる形で、メンタルヘルスケアのセルフチェックから始めてみてはいかがでしょうか。

1979年より企業向け研修を実施している歴史ある会社「株式会社日本能率協会マネジメントセンター」が提供している「自分のためのメンタルヘルスケア基本コース」では、メンタルヘルスケアの「セルフチェック」から、「ストレスに関する知識」を習得することにより、自分で自分のストレスの状態に気づくことができるようになるプログラムです。「気づき」から始まり、「自己対応」そして「相談」を行うことで、ストレスのコントロール方法を取得できます。ぜひお気軽にお問い合わせください。

JMAM HRM事業 編集部

文責:JMAM HRM事業 編集部
人事・人材教育に関する情報はもちろん、すべてのビジネスパーソンに向けたお役立ちコラムを発信しています。

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