「α世代(アルファ世代)」という言葉を最近よく耳にするようになった方も多いのではないでしょうか。2010年頃から2024年頃に生まれたこの世代は、生まれたときからスマートフォンやAIが身近にある環境で育っています。一つ上のZ世代とは似ているようで、実は価値観や行動パターンに大きな違いがあり、次世代の組織づくりに不可欠な存在となりつつあります。
こうした背景から、α世代の特徴や価値観を正しく理解し、Z世代との違いを踏まえた関わり方を整理しておくことが、今後の採用や人材育成において重要になっていきます。
この記事でわかること
- α世代の定義と、Z世代・ミレニアル世代との世代区分の違い
- Z世代とα世代の価値観や消費行動における具体的な差異
- α世代に見られるデジタル活用やタイムパフォーマンス志向の実態
- 人事・育成担当者が今から備えておくべき接し方と対応のコツ
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α世代の定義と背景|なぜ今注目されているのか
α世代を理解するには、まずこの世代がどのような時代背景のもとで育ってきたかを押さえておくことが大切です。ここでは、α世代の基本的な定義と、注目を集める理由を見ていきましょう。
α世代の生まれた年代と名前の由来
α世代とは、一般的に2010年から2024年頃に生まれた世代を指す呼び方です。この名前は、オーストラリアの世代研究者マーク・マクリンドル氏が提唱したもので、Z世代の「Z」がアルファベットの最後にあたるため、次の世代にはギリシャ文字の最初である「α(アルファ)」が採用されました。
ちょうどα世代が生まれ始めた2010年は、iPadが発売され、Instagramが誕生した年でもあります。つまり、α世代はスマートフォンやタブレット、SNSが当たり前にある環境で生まれた最初の世代なのです。
親世代であるミレニアル世代からの影響
α世代の親の多くは、1980年代から1990年代生まれのミレニアル世代にあたります。ミレニアル世代はインターネットや携帯電話の普及期を経験し、ワークライフバランスを大切にする傾向が強い世代です。
そのため、個人差はありますが、α世代の家庭教育には「デジタルを活用しつつ、子ども自身の興味ややりたいことを尊重する」という方針が色濃く反映されています。親が一方的に決めるのではなく、子どもの意思を尊重する姿勢が、α世代の自主性の高さにもつながっていると考えられています。
2030年代に社会の中心へ|今から理解しておく意味
α世代が本格的に社会に出るのは2030年代以降と予測されています。2029年にはすべての高校生がα世代となり、そこから1〜2年後には消費や労働の主役になっていくでしょう。
人事や採用の現場において、α世代の価値観や行動を「まだ先の話」と捉えるか、今のうちに準備を進めるかで、将来の人材戦略に大きな差が生まれるはずです。次のセクションでは、Z世代との具体的な違いを見ていきましょう。
| 項目 | Z世代 (1996〜2010年頃生まれ) |
α世代 (2010〜2024年頃生まれ) |
|---|---|---|
| デジタル環境 | ネット普及後に成長 | AI・スマホが生まれた時から存在 |
| 親世代 | X世代が中心 | ミレニアル世代が中心 |
| 社会進出の時期 | 2010年代後半〜 | 2030年代〜 |
α世代とZ世代の価値観はここが違う|3つのポイントで比較
「デジタルネイティブ」という共通点はあるものの、α世代とZ世代の間には価値観のはっきりとした違いが見られます。ここでは、3つの観点から両者を比較していきます。
重視するものが違う|「自己表現」から「体験・好奇心」へ
Z世代において特徴的だったのは、SNS等を活用した「自己表現」や「個性の確立」を大切にする姿勢でした。自分らしさを発信し、周囲と共有する文化は、Z世代を象徴する価値観の一つです。一方、現在成長過程にあるα世代は、「実体験を通じた発見」や「知的好奇心を満たす学び」に強い関心を示す傾向があると言われています。
この背景の一つとして、親世代であるミレニアル世代が「子どもの主体的な体験」を尊重する教育方針を持つケースが多いことが指摘されています。α世代はまだ幼少期から成長期にあるため、確定的なデータは不足していますが、デジタルとリアルの垣根を越えて「体験から何を得るか」を重視する新たな価値観が育まれつつあると考えられています。
お金の使い方が変わる|コスパ重視からタイパ重視へ
Z世代は、価格に対する価値の最大化を狙う「コスパ(コストパフォーマンス)」を強く意識する世代として注目されてきました。限られた予算の中で、より機能的で長く使えるものを賢く選択する傾向は、Z世代の代表的な消費スタイルと言えます。
一方で、よりデジタル環境が深化してからの成長期にあるα世代は、電子マネーやポイント、二次流通(リセール)が当たり前にある環境で育っています。「お年玉をキャッシュレスで受け取る」といった体験も広がりつつあり、お金の形が物理的な現金から「デジタルデータ」へとシフトしている世代です。彼らが今後どのような金銭感覚を持つかは、まだ大規模な調査での裏付けを待つ段階ですが、従来のような「現金の所有」にこだわらない、より柔軟でデジタルな感覚が根づいていく可能性が予測されています。
社会課題への関心度合い|「無理のない範囲」から「当たり前」へ
Z世代も環境問題やSDGsに関心を持っていますが、「できる範囲で」取り組む姿勢が目立ちました。α世代はそこからさらに一歩進み、エシカル(倫理的)な選択を自然な価値観として受け入れる傾向があります。
学校の授業でSDGsに触れる機会が多く、親のミレニアル世代も「意味のある消費」を重視しているため、環境や社会への配慮が特別な行動ではなく日常の一部になりつつあります。ただし、環境配慮だけが購入の決め手になるわけではなく、デザインや価格といった自分のニーズとの合致が必要という点も押さえておきたいポイントです。
| 比較軸 | Z世代 | α世代 |
|---|---|---|
| 重視する価値 | 自己表現・個性 | 体験価値・学習価値 |
| お金との向き合い方 | コスパを重視 | デジタル決済や二次流通が日常的 |
| 社会課題への姿勢 | 無理のない範囲で取り組む | エシカルな選択に自然と共感 |
| 情報収集のスタイル | SNSでの自己発信が中心 | 友人の口コミとネット検索を併用 |
α世代ならではの特徴|デジタル活用・効率志向・自主性の高さ
Z世代との違いを踏まえたうえで、α世代に特有の行動や考え方の特徴を掘り下げていきます。人材育成や採用戦略のヒントになるポイントが見えてくるはずです。
生まれながらのデジタル前提世代
α世代はスマートフォンの所有が低年齢化しており、小学校高学年では大多数が自分専用の端末を所持し、タブレットも日常的な学習・娯楽ツールとして定着しています。SNSの利用ではYouTubeとLINEが圧倒的に多く、次いでTikTokやInstagramが続きます。注目すべきは、スマホでの動画編集が「特別なスキル」ではなく標準的な能力として認識されている点です。
また、オンライン上でのコミュニケーションにも積極的で、SNSを通じて共通の趣味を持つ面識のないユーザーと交流することへの抵抗感も、従来の世代より低い傾向にあります。物理的な距離を越えたつながりを自然に受け入れる彼らにとって、デジタル空間は生活圏の一部となっているのです。
タイムパフォーマンスを重視する効率志向
α世代は「タイパ(タイムパフォーマンス)」、つまり時間あたりの満足度を最大化することに強いこだわりを持っています。動画の倍速視聴やショート動画の活用、ネットショップの利用など、限られた時間を有効に使おうとする行動が日常に溶け込んでいるのです。一方で、SNS常時利用による脳疲労で集中力が短時間しか維持できないため、「補償的に」タイパを意識するようになった、という指摘もあります。
この効率志向は、仕事や学習のスタイルにも影響を与えると考えられます。「長時間かけてじっくり取り組む」よりも「短時間で要点をつかむ」ことを好む傾向があるため、研修や教育の設計にも工夫が求められるでしょう。
自分で考え、動ける自主性の高さ
教育現場からは、α世代の主体的な姿勢がポジティブな特徴として注目されています。かつての世代の親が「偏差値や評価」を重視しがちだったのに対し、現在の親世代は「本人の適性や、やりたいことができる環境」を尊重する傾向にあると分析されています。
その一方で、容易に情報が手に入る環境ゆえに、未知の事柄に対する執着心や、対面で質問しに行く貪欲さが控えめに見える、といった指摘もあります。また、膨大な情報に触れるため興味の対象が移り変わりやすいという側面もあります。しかし、高い検索能力を背景に「自ら調べる力」が備わっており、主体的に動こうとする姿勢は、将来の職場においても大きな強みになると期待されています。
- 小学校高学年でのスマホ・タブレット活用が定着し、動画制作も身近な表現に
- 効率(タイパ)を意識し、動画の倍速視聴や短尺コンテンツを日常的に活用
- 本人の意思や個性を尊重する教育環境・家庭環境で育つ傾向
- 高いデジタル利活用能力を背景とした、自ら情報を探る素養を備えている
α世代への接し方と対応のコツ|人材育成・採用の現場で活かすには
α世代が社会に出始める2030年代に向けて、人事担当者や育成担当者はどのような備えをすればよいのでしょうか。ここでは、今から実践できる接し方と対応のポイントを紹介します。
「なぜそうするのか」を丁寧に伝える
α世代は教育環境やデジタルネイティブとしての特性から、物事の理由や背景を理解したうえで納得して行動することを好む傾向があります。感情的に叱るのではなく、「なぜそれが必要なのか」「どうすればもっとよくなるのか」を具体的に伝えることが信頼関係の土台になると予測されています。
これは職場においても同じです。業務の指示を出す際に「何のためにやるのか」という目的を添えるだけで、α世代のモチベーションと理解度にポジティブな影響を与えるでしょう。一方的な指示ではなく、対話を通じた共感型のコミュニケーションが注目されています。
プロセスを認めるポジティブなフィードバック
α世代にとって、結果だけでなく努力やプロセスへの承認が重要な要素の一つと考えられています。たとえ完璧な成果でなくても、「ここまでの取り組みがよかったね」「この部分は前より成長しているよ」という言葉が、次の挑戦への意欲を支える一助となります。
失敗した直後はまず気持ちに寄り添い、本人が落ち着いてから、共に改善策を検討するのが効果的です。即座にダメ出しをするのではなく、「振り返りの時間」を意識的に設けることで、α世代は建設的にフィードバックを受け取れるようになると期待されています。
デジタルツールを活かした学びの場を設計する
α世代は小学校入学時からタブレットに触れ、デジタルツールを使った学習に慣れています。研修やOJTにおいても、動画教材やeラーニング、オンラインでの双方向コミュニケーションを取り入れることで、彼らの慣れ親しんだ学習スタイルに近い学習環境を提供できる可能性があります。
長時間の座学よりも、短時間で要点がつかめるコンテンツや、実践的なワークショップ形式などを状況に応じて選択する視点も有効です。タイパを重視するα世代の特性を活かした育成プログラムの設計が、今後ますます重要になると考えられています。
長期的な視点で「自走できる人材」を育てる
α世代の自主性の高さは、長期的な人材育成にとって大きなチャンスです。目標設定やキャリアの方向性を本人と対話しながら一緒に考えるスタイルが、この世代が育んできた個性を尊重する文化に馴染みやすいと考えられています。
「上から与えられた目標」よりも「自分で選んだ目標」に対して高いモチベーションを発揮するのがα世代の傾向です。1on1ミーティングの定期実施やメンター制度の導入など、個人の価値観に寄り添う仕組みづくりが有効なアプローチにつながるでしょう。
- 指示の際には必ず「理由」と「目的」をセットで伝える
- 結果だけでなくプロセスや努力を言葉で認める
- 短時間で学べる動画教材やeラーニングを選択肢に含める
- 目標設定は一方的に与えず、本人との対話を通じて決める
JMAMの次世代人材育成支援で、α世代の受け入れ準備を始めよう
α世代はデジタルネイティブであるだけでなく、「自分らしさ」や「納得感」を重視する傾向がより強まっていると言われています。そのため、従来の画一的な育成や一方通行の指導では、主体性を引き出すことが難しくなっています。「どう関われば成長につながるのか」「早期離職を防ぐには何が必要か」と悩む方も多いのではないでしょうか。
イマドキ新入社員の成長を左右する「最初の3年間」
実際に、新入社員の約3割が入社3年以内に離職すると言われており、この期間の過ごし方がその後の成長に大きく影響します。特にα世代に近い価値観を持つ若手社員は、「成長実感」や「自分の意見が尊重される環境」を重視するため、適切な育成設計が欠かせません。日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)の「イマドキ新入社員が3年で主体的に活躍できるようになるまでの育成ヒント」資料では、なぜ早期離職が起こるのかという背景から、3年目に直面しやすい悩み、そして成長を後押しする具体的な教育のヒントまでを体系的に整理しています。
主体性を引き出す育成のヒントを具体的に学ぶ
本資料では、単なる理論ではなく、現場で実践しやすい育成の考え方とアプローチを紹介しています。人事・育成担当者はもちろん、新卒採用や現場で新人を受け入れる立場の方にも役立つ内容です。α世代を含むこれからの若手人材と向き合ううえでのヒントを得たい方は、ぜひ資料をご覧ください。
よくある質問
Q: α世代とZ世代の一番大きな違いは何ですか
Z世代が「自己表現」や「個性の確立」を重視するのに対し、α世代は「体験から得られる価値」や「学びの質」をより大切にする傾向があります。また、お金の使い方にも差があり、Z世代がコスパを重視するのに対し、α世代はポイントやリセールなどお金以外の手段を優先的に活用する特徴が見られます。
Q: α世代の社員を育成するうえで最も大切なことは何ですか
「なぜこの仕事をするのか」という目的や理由を丁寧に伝えることです。α世代は納得したうえで動くことを好む傾向があるため、一方的な指示ではなく対話を通じた共感型のコミュニケーションが効果的です。加えて、結果だけでなくプロセスや努力を認めるフィードバックが、モチベーションの維持につながります。
Q: α世代向けの研修はどのように設計すればよいですか
α世代はタイムパフォーマンスを重視し、デジタルツールを使った学習に慣れています。長時間の座学よりも、短時間で要点がつかめる動画教材やeラーニング、実践的なワークショップ形式が効果的です。1on1ミーティングやメンター制度など、個人に寄り添う仕組みを組み合わせることで、自走できる人材の育成につながるでしょう。
まとめ|α世代の価値観を理解し、長期的な人材育成に活かそう
α世代は、Z世代と同じデジタルネイティブでありながら、価値観や行動パターンには明確な違いがあります。「体験価値」と「学びの質」を重視し、タイパ志向で効率を大切にしながらも、社会課題への関心を自然に持ち合わせている世代です。お金よりも体験やコトに価値を見出す姿勢は、これまでの世代とは異なるアプローチが必要であることを示しています。
人事や育成の現場では、α世代の自主性や効率志向をプラスに活かす仕組みづくりが求められます。「理由を伝える」「プロセスを認める」「デジタルを活用する」「対話で目標を設定する」という4つのポイントを意識するだけでも、この世代との信頼関係は大きく変わるでしょう。2030年代を見据えた長期的な人材戦略を、今から始めてみてはいかがでしょうか。
- α世代はZ世代と異なり「体験価値」「学びの質」「タイパ」を重視する世代である
- お金への感覚が希薄で、ポイントやリセールなど代替手段を自然に使いこなす
- 育成では「理由の提示」「プロセスの承認」「デジタル活用」「対話型の目標設定」を意識する
- 2030年代に備え、今から世代特性を踏まえた人材育成体制の整備を始める
解説資料|イマドキ新入社員が3年で主体的に活躍できるようになるまでの育成ヒント
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