- 対象: 人事・教育担当者
- テーマ: 採用
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中小企業の採用戦略を徹底解説|苦戦する理由と具体的な解決策
中小企業の採用担当者や経営者の多くが、人材確保の困難さに直面しています。大企業と比べて知名度が低く、条件面でも不利な中で、どのように優秀な人材を獲得すればよいのでしょうか。本記事では、中小企業が採用に苦戦する構造的な理由を明らかにし、限られたリソースの中でも実践可能な採用戦略を具体的に解説していきます。統計データや成功事例を交えながら、すぐに着手できる施策から中長期的な改善策まで、実用的な情報を提供します。
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中小企業が直面する採用市場の現状
日本の採用市場では、中小企業の人材確保が年々難しくなっています。まずは、データから見える採用環境の実態を把握していきましょう。
深刻化する人手不足の実態
労働政策研究・研修機構の調査によると、人手不足を感じている企業のうち、約6割が「募集しても応募がこない」と回答しています。これは採用市場全体が応募者優位の売り手市場であることを示しています。
さらに注目すべきは、企業規模による求人倍率の格差です。リクルートワークス研究所の調査では、従業員数5,000人以上の企業の求人倍率が0.34倍であるのに対し、300人未満の企業は8.98倍となっています。つまり、中小企業では1人の候補者を8〜9社が争う状況が常態化しているのです。
中核人材の不足が経営を圧迫
2024年版「中小企業白書」では、中核人材については7割超の企業が「不足」と回答しており、単なる人数不足だけでなく、企業の中核を担う質の高い人材の確保が重要な課題となっています。
業種別では建設業や宿泊業・飲食サービス業において、中核人材と業務人材いずれについても約8割の企業が「不足」と回答しており、特に深刻な状況です。卸売業、製造業、情報通信業では、業務人材と比べて中核人材の不足感が10%以上大きく、業種によって求める人材の質に違いが生じています。
採用活動における具体的な障壁
特に新卒採用では、単に採用できるかどうかだけでなく、採用後の育成をどのように行うかが中小企業にとって大きなハードルとなっています。新卒人材はポテンシャル採用であるため、採用時点では即戦力として業務を任せることが難しく、一定期間の研修・OJT・フォローが欠かせません。しかし、中小企業では現場で日々の業務を担うメンバーが指導を兼任するケースが多く、育成に割けるマンパワーが不足しているという声が多く聞かれます。
中小企業が採用に苦戦する5つの理由
中小企業の採用難には、複数の構造的な要因が絡み合っています。ここでは本質的な理由を5つに分けて詳しく見ていきましょう。
理由1:知名度と企業ブランドの不足
中小企業と大企業を比較した際、特に不利な点が知名度不足です。応募者は、テレビコマーシャルやネット広告、大規模なPRイベントなどを通じて目にしたことのある企業を「大企業」と認識しています。
求人サイトに掲載しても、ブランド力がないため候補者の目に留まりにくいという問題があります。大企業の中でさえ、BtoB企業はBtoC企業と比べて知名度が低い傾向があり、中小企業での知名度向上はより一層困難な状況です。
理由2:給与・福利厚生面での競争力不足
給与・福利厚生や教育・研修の充実度において、中小企業は大手企業と比較して構造的に不利な立場にあります。複数の内定を獲得するような優秀な応募者ほど、こうした条件面を重視する傾向があるため、比較されて辞退となるケースが多発しています。
採用費総額の平均でも、上場企業が917.6万円であるのに対し、非上場企業は233.1万円と大きな差があり、採用環境の改善に投入できる資源に制限があるという根本的な問題が存在します。
理由3:応募数の不足による母集団形成の困難
知名度の低さから、コストをかけて求人広告を掲載しても応募が集まりにくいという問題があります。従来の求人サイトに掲載するだけという受動的な採用手法では、期待する応募数に達しない事態が起こりがちです。
応募がない状況が続くと、採用活動そのものが停滞し、採用業務が後回しになるという悪循環に陥る企業も少なくありません。
理由4:採用リソースと予算の制約
多くの中小企業では専任の採用担当者が配置されておらず、営業や管理職が兼務で採用業務に当たる場合が多いです。そのため、採用に特化した人員配置が難しいという制約があります。
予算の規模が小さいと活用できる採用手法や媒体も限られます。さらに採用実績のデータが残っていないなど、採用ノウハウがストックされていないと改善点が発見しにくく、採用活動が長期的に難航する原因となります。
理由5:採用体制と育成体制の整備不足
人事部がない、専任の採用担当者がいないケースが多く、効率化のために現場の管理職が1回だけ面接を行って内定を判断していることもあります。このような体制では、長く働いてくれる人材、活躍してくれる人材を採用することは困難であり、採用体制の強化が必要とされています。
中小企業の採用課題を解決する4つの実践的方法
中小企業の制約条件の中でも、戦略的なアプローチにより採用は改善できます。ここでは具体的に実行可能な4つの方法を紹介します。
方法1:独自の魅力を発掘し言語化する
知名度の不足を補うために重要なのは、独自の魅力の発掘とその明確な言語化です。多くの中小企業では、会社として大事にしている想いや経営理念が明文化されていません。
まずは、経営者の起業時の想いや企業が今後目指す方向性を言語化しましょう。次に、その想いが顧客価値や社会価値の創造にどうつながっているのかを具体的に示します。さらに、企業の中核価値観を明確にし、「どのような価値観や行動パターンを大切にしてほしいのか」を言語化することで、求人票が単なる職務記述書から採用ブランディングツールへと変わります。
方法2:採用チャネルを多元化する
従来の求人サイト掲載だけでは、知名度の低さから埋もれてしまいます。そのため、採用チャネルの多元化が必須となります。
リファラル採用では、社員に友人や知人を紹介してもらうことで、コストを抑えつつマッチ度の高い人材を採用できます。ダイレクトリクルーティングでは、データベースから自社にマッチする人材を検索してスカウトメールを送る攻めのスタイルが可能です。SNSやオウンドメディアで企業情報を発信すれば、自社の認知度を高められます。
方法3:採用体制を構造的に強化する
採用を戦略的かつ組織的に推進するには、採用体制の整備が不可欠です。可能な限り専任の採用担当者を配置することが、必要最低限の組織強化となります。
人事・現場・経営陣それぞれの立場で人材を評価する複層的な体制を作りましょう。人事は人柄や組織とのマッチング確認、現場はスキル確認、経営陣は入社意欲の向上という役割分担が効果的です。さらに、内定後はチームのチャットグループに参加してもらったり、オフィスでメンバーと会う機会を設けたりと、内定後フォローの強化も重要です。
方法4:採用ノウハウを蓄積しデータ活用する
採用実績のデータが体系的に管理されていないと、長期的な改善が困難です。データドリブンな採用管理を実施しましょう。
求人公開から採用決定までの各段階における候補者数、合格率、辞退率などを定量的に把握することで、改善の余地がある段階が明確になります。入社後に活躍している人材と早期離職した人材の特性を比較すれば、採用時の評価基準をより適切に改善できるでしょう。また、採用チャネル別のコスト、採用単価、採用品質を把握することで、限定的な予算をより効果的に配分できるようになります。
中小企業の採用戦略が成功した事例
実際に採用課題を克服した企業の事例から、実装のヒントを学びましょう。ここでは3つの成功事例を紹介します。
面白法人カヤック:選考プロセス自体をブランディング化
面白法人カヤックは、企業成長に伴う企業文化の維持と、クリエイティブなエンジニアやデザイナーなど専門性を持った人材の獲得という課題に直面していました。
同社は選考プロセス自体を採用ブランディングに活用するユニークなアプローチを採用しました。2023年10月から実施している「推しプレゼン採用」では、堅苦しい自己アピールではなく、推しへの愛を伝える投稿をXで行うことが最初の選考となります。その結果、内定承諾率が1年間で30%から80%に大幅に向上し、特にゲーム事業部では内定承諾率100%かつ短期離職者ゼロという成果を実現しています。
出典:面白法人カヤック採用サイト
https://www.kayac.com/recruit/fresh
株式会社TBM:採用ブランド戦略で応募数を最大化
素材メーカーである株式会社TBMは、事業拡大に向けた工場採用の強化と、労働市場における自社ブランドの形成という課題に直面していました。
同社は採用ブランドの策定と、メディア露出のタイミングに合わせたコンテンツ制作やホームページリニューアルを通じた採用広報を実施しました。さらに面接官のスキルやオペレーション品質を向上させました。その結果、応募数と求人媒体のページビュー数ともにTBM史上最高の数値を記録し、新卒採用において3か月で10名以上の採用(内定承諾率9割以上)を実現しています。
出典:株式会社TBM採用サイト
https://tb-m.com/recruit
採用戦略を実装するための優先順位付け
記事を読んで「では、何から始めるべきか」という疑問に答えるため、課題別の優先アクションを整理します。自社の状況と照らし合わせて、その課題に沿ったアクションを取り入れましょう。
応募が来ない企業が最初に取り組むべきこと
応募数の不足が最大の課題である場合、採用チャネルの多元化から始めましょう。特に低コストで始められるリファラル採用の制度化や、SNSでの情報発信は即座に着手できます。
既存社員に自社の魅力を言語化してもらい、その内容をSNSやブログで発信することで、求職者の目に触れる機会が増えます。並行して、自社の独自の魅力を発掘し、採用ページや求人票に反映させることで、応募率の向上が期待できます。
内定辞退が多い企業が改善すべきポイント
内定後の辞退が多い場合、内定後フォローアップの強化と採用体制の見直しが必要です。内定後できるだけ早く、チームメンバーとの接点を作りましょう。
チャットグループへの参加、オフィス訪問の機会提供、現場社員との食事会など、入社前に企業の雰囲気を体感できる機会を増やすことが効果的です。また、選考プロセスで複数の社員が関わり、それぞれの立場から候補者を評価・フォローする体制を整えることも重要です。
採用コストが高騰している企業の対策
採用単価の高さが課題の場合、費用対効果の測定とチャネルの見直しが必要です。採用チャネル別のコスト、採用人数、定着率を可視化し、効果の低いチャネルから効果の高いチャネルへと予算を移行させましょう。
特にリファラル採用やダイレクトリクルーティングは、求人広告よりもコスト効率が高い傾向があります。また、ミッション・ビジョン共感型プラットフォームの活用により、成果報酬をゼロにすることも可能です。
よくある質問(FAQ)
中小企業が大企業と同じ土俵で戦う必要はありますか
いいえ、大企業と同じ土俵で戦う必要はありません。むしろ、中小企業ならではの独自の魅力を前面に出すことが重要です。
経営者との距離の近さ、裁量権の大きさ、事業への直接的な貢献実感など、中小企業だからこそ提供できる価値があります。こうした価値観を重視する候補者をターゲットにすることで、大企業との競合を避けた採用が可能になります。
採用予算が限られている場合、どこから手をつけるべきですか
まずは低コストで始められる施策から着手しましょう。リファラル採用の制度化、SNSでの情報発信、自社Webサイトの採用ページ充実などは、大きな予算をかけずに始められます。
既存社員のネットワークを活用するリファラル採用は、採用単価を大幅に抑えながら、マッチ度の高い人材を獲得できる有効な手法です。制度設計とインセンティブの設定により、すぐに運用を開始できます。
専任の採用担当者を配置できない場合はどうすればよいですか
専任担当者の配置が難しい場合でも、採用業務の明確な役割分担と外部リソースの活用で対応できます。人事部門が全体統括、現場がスキル評価、経営層が最終判断とフォローという役割分担を明確にしましょう。
また、採用代行サービスや採用コンサルティングなど、外部の専門家を部分的に活用することで、社内リソースの不足を補うことができます。採用ノウハウの蓄積という観点でも、外部の知見を取り入れることは有効です。
AI録画面接「QAmatch™」が中小企業の採用力強化を支援
中小企業の採用難は、知名度やリソースの不足、採用ノウハウの欠如といった構造的な課題から生じています。日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)が提供する「QAmatch™」は、AIと録画面接の技術を活用し、こうした中小企業特有の課題を解決するために設計されたサービスです。限られたリソースでも採用の質と効率を両立させ、企業の成長を担う人材確保を支援します。
限られたリソースでも選考を効率化
多くの中小企業では、採用担当者が他業務と兼務しているのが実情です。QAmatch™は録画面接形式のため、日程調整の工数を大幅に削減できます。面接官は空いた時間に、場所を選ばず応募者の録画を確認するだけで済みます。限られた人的リソースの中でも、効率的な選考プロセスを構築することが可能です。応募者にとっても、多忙な合間に受検できるため利便性が高まります。
採用ノウハウ不足をAI評価が補完
専任担当者が不在だと、面接官の主観や経験則で評価がぶれがちです。QAmatch™は、JMAMが30年以上培ってきたアセスメントの知見を搭載したAIが評価します。これにより、社内に採用ノウハウが蓄積されていなくても客観的な基準で判断できます。感覚的な評価を脱し、データに基づいた選考を実現することで、採用体制の強化に繋がります。
応募の機会損失を防ぎ、母集団を拡大
中小企業は、大企業に比べて応募が集まりにくいという課題を抱えています。QAmatch™は、応募者が都合の良いタイミングで受検できる点が大きな強みです。現職が多忙で面接日程が合わない優秀な候補者の応募ハードルを下げられます。スケジュールが合わずに発生していた選考辞退や機会損失を防ぎ、効率的に母集団を形成する一助となります。
ミスマッチを防ぎ、定着する人材を見極める
中小企業にとって、入社後のミスマッチや早期離職は採用コストや現場負担に直結する重大な課題です。QAmatch™では、AIが候補者の回答内容や話し方のニュアンスから人物特性を多角的に分析し、可視化することができます。表面的なスキルや経歴だけでなく、企業文化との相性や価値観の傾向まで把握できるため、選考段階での見極め精度が大きく向上します。その結果、入社後のギャップを未然に防ぎ、育成にかかる負担を抑えながら定着率向上につなげることができます。
まとめ
中小企業の採用課題は、知名度の不足、条件面での競争力不足、採用リソースの制約など複数の要因が絡み合っていますが、戦略的なアプローチにより改善が可能です。成功事例が示すように、独自の魅力の言語化、採用チャネルの多元化、採用体制の強化により、限られたリソースの中でも効果的な採用活動を展開できます。
- 中小企業の求人倍率は8.98倍と大企業の約26倍に達しており、採用環境は厳しい
- 知名度不足や条件面での不利、採用リソースの制約が主な苦戦理由
- 独自の魅力の発掘と言語化により、知名度の不足を補える
- リファラル採用やダイレクトリクルーティングなど多様なチャネルを活用
- 採用体制の強化と内定後フォローが定着率向上の鍵
- データドリブンな改善により長期的な採用力向上が可能
まずは自社の採用課題を正確に診断し、優先順位の高い施策から着手してみましょう。小さな一歩の積み重ねが、採用力の向上につながります。
サービス資料|AI録画面接評価システム「QAmatch™」
採用を劇的に効率化し、候補者の人物特性をAIで見極める
「QAmatch™」は、録画面接時の話す内容、話し方、表情や声のトーン等から、ベーシックスキルを6つの軸で評価し、面接選考の「迷い」「思い込み」「評価のばらつき」を防ぎ、自社に合った人材を、効率よく見つけ出すことができます。
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