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  • テーマ: ビジネススキル
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合意形成を簡単にするポイントとフレームワークを解説!意味・言い換え・使い方も紹介

合意形成を簡単にするポイントとフレームワークを解説!意味・言い換え・使い方も紹介

ビジネスシーンでは、チームやプロジェクトで意見がまとまらず、前に進まない場面も少なくありません。そんな時に重要になるのが合意形成です。合意形成とは、関係者が納得できる結論を導き出すプロセスのことで、現代の多様な価値観を持つ組織運営には欠かせないスキルとなっています。
本記事では、合意形成の基本的な意味から実践的な手法まで、初心者でもすぐに活用できるポイントをわかりやすく解説します。適切な合意形成プロセスを身につけることで、チーム全体の納得感と実行力を高められるでしょう。

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合意形成とは何か

合意形成の基本概念と重要性について理解を深めていきましょう。

合意形成の意味・言い換え・使い方

合意形成とは、関係者全員が納得できる結論や方針を話し合いによって導き出すプロセスです。「合意形成」の言い換えには、「コンセンサス」、「意見の一致」、「総意」、「共通認識」、「根回し」などの表現が使われます。ビジネスシーンにおける使い方の例として、「合意形成を行う」「合意形成が長引く」といった言い回しがよく用いられます。

合意形成は、単なる多数決とは異なり、参加者一人ひとりの意見や立場を尊重しながら、全員が「これなら受け入れられる」と思えるポイントを見つけることが目的となります。

例えばプロジェクトの進め方や予算の使い方、人事に関する決定など、職場のあらゆる場面で必要になり、特に部署をまたぐ案件では共通認識を得ることが成功の鍵となります。

多数決との違い

合意形成と多数決は、意思決定の方法として根本的に異なります。多数決は過半数の支持を得れば決定されますが、合意形成では全員の納得を重視します。

多数決では少数派の意見が切り捨てられがちですが、合意形成では少数派の懸念も丁寧に聞き取り、可能な限り反映させようとします。この違いにより、決定後の実行段階で大きな差が生まれるのです。

なぜ合意形成が重要なのか

現代のビジネス環境では、多様な価値観を持つメンバーが協力して働くことが当たり前になっています。このような状況では、トップダウンの指示だけでは十分な成果を得ることが困難です。

合意形成を通じて決定された事項は、関係者全員が「自分も参加して決めた」という当事者意識を持てるため、実行力が格段に向上します。また、事前に懸念点を洗い出すことで、後からのトラブルも防げるのです。

合意形成のメリットとデメリット

合意形成を取り入れる際の利点と注意点を整理しておきましょう。

合意形成のメリット

合意形成の最大のメリットは、高い実行力を得られることです。参加者が納得して決定した内容は、自然と主体的な取り組みにつながります。

また、多角的な視点から検討するため、見落としがちなリスクや改善点を発見しやすくなります。さらに、話し合いの過程で相互理解が深まり、チーム内の信頼関係も強化されるでしょう。

合意形成のデメリット

一方で、合意形成には時間がかかるというデメリットがあります。全員の意見を聞き、調整を行うプロセスは、迅速な意思決定が求められる場面では不向きかもしれません。

また、参加者のスキルや姿勢によっては、建設的な議論にならず、妥協の産物として中途半端な結論になるリスクもあります。適切なファシリテーションが重要になってくるのです。

適用すべき場面の見極め

合意形成は万能ではありません。緊急性が高い案件や、専門性が必要な技術的判断では、専門家による迅速な決定の方が適している場合もあります。

逆に、長期的な取り組みや組織全体に影響する方針決定、多部署にまたがるプロジェクトでは、合意形成プロセスを経ることで、より良い結果を期待できるでしょう。

合意形成を成功させるポイント

効果的な合意形成を行うための具体的なポイントを解説します。

事前準備の重要性

成功する合意形成は、会議前の事前準備で決まると言っても過言ではありません。まず、議題を明確にし、関係する情報を事前に共有しておくことが重要です。

参加者には論点整理資料を配布し、各自が考える時間を確保しましょう。また、会議のゴールと制約条件(予算や期限など)も明示しておくと、建設的な議論につながります。

適切な議論設計

合意形成の場では、議論の流れを適切に設計することが大切です。最初から結論を求めるのではなく、まずは現状認識の共有から始めましょう。

次に各自の意見を出し合い、それぞれの背景にある価値観制約条件を理解します。そのうえで、共通点を見つけ出し、相違点については妥協案を模索していくという段階的なアプローチが効果的です。

ファシリテーションスキル

合意形成では、中立的な立場で議論を進行するファシリテーターの役割が重要です。発言しやすい雰囲気を作り、全員が平等に発言できるよう配慮しましょう。

また、感情的になりがちな議論では、論点を整理し直したり、休憩を挟んだりして、建設的な話し合いを維持することが求められます。対立が生じた際は、双方の立場を確認するなど、意見調整のテクニックも必要になります。

実践的な合意形成フレームワーク

具体的な手法とその活用方法について詳しく見ていきましょう。

ラウンドロビン方式

ラウンドロビン方式は、参加者全員が順番に発言する手法です。発言の順序を決めて、一人ずつ意見を述べてもらうことで、声の大きな人だけが議論を主導する状況を防げます。

この方式では、普段発言の少ないメンバーからも貴重な意見を引き出せる可能性があります。また、全員が一度は発言することで、当事者意識も高まるでしょう。

KJ法による意見整理

多様な意見が出た際には、KJ法を活用して意見の整理を行いましょう。KJ法とは、付箋に一つずつ意見を書き出し、似た内容をグループ化していくことで、論点が明確にする手法です。

グループ化された意見に見出しを付け、優先順位を検討することで、議論すべきポイントが整理されます。このKJ法により、感情的な議論を避け、客観的な検討が可能になるのです。

コンセンサス型会議運営

コンセンサス型会議では、決定事項について「賛成」「条件付き賛成」「保留」「反対」の4段階で意見を確認します。完全な賛成が得られない場合でも、条件付き賛成の条件を満たすことで合意に近づけます。

また、反対意見については、その理由を詳しく聞き取り、代案があるかどうかも確認します。単に反対するのではなく、建設的な提案につなげることが重要です。

合意形成の流れとステップ

体系的な合意形成プロセスの進め方について解説します。

情報共有と現状認識

まず最初のステップは、関係者全員で情報共有を行うことです。議題に関する背景情報、現在の状況、制約条件などを明確にし、認識のズレを解消しておきましょう。

この段階では質疑応答の時間も十分に確保し、疑問点や不明点を残さないことが大切です。共通の理解基盤ができていないと、その後の議論が噛み合わなくなってしまいます。

論点整理と課題の明確化

次に、解決すべき課題や検討事項を整理します。複雑な問題は、いくつかの論点に分解して考えることで、議論しやすくなります。

優先順位も合わせて検討し、どの順番で議論を進めるかを決めておきましょう。時間的制約がある場合は、特に重要な論点に集中することも必要です。

各自の意見表明と理解

論点が整理できたら、参加者それぞれの意見を聞いていきます。この際、意見の内容だけでなく、その背景にある価値観や制約条件もあわせて確認することが重要です。

異なる立場の人の意見を理解することで、最適な解決策のヒントが見つかることもあります。批判ではなく、理解に努める姿勢が大切になります。

妥協点の模索と合意案の検討

各自の意見が出揃ったら、共通点を見つけ出し、相違点については妥協点を探していきます。完璧な解決策は存在しないことを前提に、「大きな反対が出ない現実的な案」を目指しましょう。

複数の選択肢がある場合は、メリット・デメリットを整理して総合的に判断します。必要に応じて、段階的な実施や試行期間を設けることも検討してください。

最終確認と実行計画

合意案がまとまったら、改めて全員で内容を確認し、理解と納得を得られているかをチェックします。曖昧な表現は避け、具体的な実行計画まで詰めることが重要です。

また、実行過程で問題が生じた場合の対処法や、定期的な見直しのタイミングについても合意しておくと、スムーズな実行につながるでしょう。

場面別の合意形成テクニック

具体的なビジネスシーン別の効果的なアプローチを紹介します。

会議での合意形成

通常の会議で合意形成を行う場合は、時間管理が特に重要になります。議題ごとに時間を区切り、効率的に進行しましょう。

また、会議の最後には必ず決定事項を確認し、次回までのアクションと担当者を明確にします。議事録も参加者全員で確認し、認識の相違がないことを確かめておきましょう。

プロジェクト計画での活用

プロジェクト計画では、ステークホルダーの利害関係が複雑に絡み合うことが多いです。まず、それぞれの立場と期待を整理し、共通の目標を設定することから始めましょう。

スケジュールや予算などの制約条件も明確にし、現実的な計画を立てることが重要です。理想と現実のギャップについては、段階的な改善計画を検討するとよいでしょう。

オンライン環境での工夫

リモートワークが普及した現在では、オンライン会議での合意形成スキルも必要です。対面と比べて非言語コミュニケーションが制限されるため、より明確な言葉での確認が求められます。

チャット機能を活用して意見を並行して収集したり、画面共有で資料を見ながら議論したりと、オンラインツールの特性を活かした進行方法を工夫しましょう。

よくある課題と対処法

合意形成でつまずきやすいポイントとその解決策を解説します。

意見がまとまらない場合

議論が平行線をたどって意見がまとまらない場合は、一度議論を整理し直すことが有効です。対立している論点を明確にし、双方の主張の根拠を再確認しましょう。

また、プロジェクト全体の目的に立ち返って考えることで、新たな解決策が見つかることもあります。時間をかけすぎる場合は、一旦保留にして次回に持ち越すことも選択肢の一つです。

一部の人が発言を独占する

特定の人が発言を独占してしまう場合は、ファシリテーターが積極的に発言機会をコントロールする必要があります。「他の方のご意見もお聞きしたいのですが」といった形で、自然に発言者を変えていきましょう。

また、事前に発言時間の目安を伝えておいたり、ラウンドロビン方式を活用したりすることで、より平等な議論環境を作ることができます。

感情的な対立が生じた場合

議論が感情的になってしまった場合は、まず休憩を取ることをおすすめします。冷静さを取り戻してから、改めて論点を整理し直しましょう。

対立している当事者の意見を第三者的な視点で言い換えて確認することで、誤解が解けることもあります。感情ではなく、事実と論理に基づいた議論に戻すよう導くことが重要です。

合意形成スキルの向上方法

継続的にスキルを高めていくための具体的な方法をお伝えします。

日常的な練習機会の活用

合意形成スキルは、日常的な練習を通じて向上します。チーム内での小さな決定事項から始めて、徐々に複雑な案件にも対応できるようになりましょう。

また、他の人の合意形成プロセスを観察し、効果的だった手法改善点を学ぶことも有効です。成功事例と失敗事例の両方から学びを得ることが重要になります。

フィードバックの活用

合意形成の後は、参加者からフィードバックをもらう習慣をつけましょう。進行方法や議論の質について率直な意見をもらうことで、次回の改善につなげられます。

また、実際に合意された内容が期待通りに実行されたかどうかも振り返り、合意形成プロセスの有効性を検証することが大切です。

継続的な学習と改善

合意形成に関する書籍や研修を活用して、継続的な学習を心がけましょう。新しい手法やフレームワークを学ぶことで、より効果的な合意形成が可能になります。

また、他社や他部署の成功事例を研究し、自分の組織に適用できる要素がないか検討してみることも有効なアプローチの一つといえるでしょう。

まとめ

合意形成は、現代のビジネス環境において欠かせないスキルです。適切なプロセスとテクニックを身につけることで、チーム全体の納得感と実行力を高めることができます。

  • 合意形成は多数決とは異なり、全員の納得を重視するプロセス
  • 事前準備と適切な議論設計が成功の鍵となる
  • ラウンドロビン方式やKJ法などの具体的な手法を活用する
  • 情報共有から最終確認まで段階的に進める
  • よくある課題を理解し、適切な対処法を身につける
  • 日常的な練習とフィードバックでスキルを向上させる

まずは小さな決定事項から合意形成プロセスを試してみて、徐々に複雑な案件にも適用していきましょう。継続的な実践により、必ず効果的な合意形成ができるようになります。

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