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  • 対象: 全社向け
  • テーマ: 研修/教育
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コンプライアンス研修は意味がない?効果を高める3つのポイント

コンプライアンス研修は意味がない?効果を高める3つのポイント

「コンプライアンス研修を実施しているのに、なぜ効果が出ないのだろう」と悩んでいる人事担当者の方は少なくありません。法令遵守の重要性が高まる中、多くの企業が研修を導入していますが、形式的な実施にとどまり、社員の意識や行動変容につながっていないケースも見られます。本記事では、コンプライアンス研修の基本から実践的な進め方、効果を高めるポイントまでを詳しく解説します。研修担当者として押さえておきたい知識を体系的に学べる内容となっていますので、ぜひ最後までお読みください。

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コンプライアンス研修とは何か

コンプライアンス研修は、企業が健全な事業活動を行うために欠かせない教育プログラムです。まずはその定義と目的について確認していきましょう。

コンプライアンス研修の定義と基本的な考え方

コンプライアンス研修とは、企業が役員や従業員に対して法令遵守、社会規範、社内規程の重要性を伝え、意識向上を図るための教育プログラムを指します。単なる知識の伝達ではなく、日常業務の中で適切な判断ができるようになることが目指されています。

研修で扱うテーマは多岐にわたり、情報セキュリティやハラスメント防止、労働法、知的財産、下請法、インサイダー取引規制など、業種や職種に応じた内容が含まれるのが一般的です。

コンプライアンスを構成する3つのレベル

コンプライアンスは、大きく分けて3つのレベルで構成されています。第一のレベルは法令遵守で、パワハラ防止法や個人情報保護法、下請法、独占禁止法などへの対応が含まれます。

第二のレベルは組織内規範の遵守であり、社内規程や就業規則、業務マニュアルに沿った行動が求められます。第三のレベルは社会規範や企業倫理の遵守で、公正取引や社会通念に基づいた倫理観を持つことが重視されています。

研修が果たす3つの役割

コンプライアンス研修には、主に3つの重要な役割があるとされています。一つ目は従業員の意識向上という基盤づくりの役割です。日々の業務で何が問題になり得るかを理解することで、自発的な行動変容が促されます。

二つ目は違反防止という「守り」の役割であり、法令違反による行政処分や社会的信用の失墜を未然に防ぐ効果があります。三つ目は企業価値向上という「攻め」の役割で、適切なコンプライアンス体制は取引先や投資家からの信頼獲得につながっています。

コンプライアンス研修が重視される背景

近年、コンプライアンス研修の重要性はますます高まっています。その背景にある社会的な変化と法制度の動向を見ていきましょう。

企業不祥事の増加と法規制の強化

コンプライアンス研修が広く実施されるようになった背景には、2000年代に相次いだ企業不祥事の存在があります。粉飾決算や贈収賄事件などを受けて、2006年には会社法による内部統制報告制度が導入され、企業のコンプライアンス体制整備が求められるようになりました。

こうした流れの中で、研修を通じた従業員教育は企業の責任として位置づけられ、多くの組織で定例化が進んでいます。

ハラスメント防止法の施行と対応の義務化

2020年に施行された労働施策総合推進法(パワハラ防止法)は、企業のコンプライアンス研修に大きな影響を与えました。この法律により、すべての企業に対してパワハラ防止措置を講じることが義務化され、研修の実施は有効な措置の一つとして位置づけられています。

ハラスメント関連の研修は、管理職向けと一般社員向けで内容を分けて実施するケースが増えており、階層別のカリキュラム設計が標準的な形となっています。

DX推進に伴う研修形態の変化

デジタル技術の進展により、コンプライアンス研修の実施形態も大きく変化しています。従来の集合研修に加えて、eラーニングを活用したオンライン研修が急速に普及しました。動画コンテンツやクイズ形式のテストを組み合わせることで、社員が自分のペースで学習できる環境が整っています。

SaaS型の研修管理ツールも拡大しており、受講状況の把握や効果測定がしやすくなったことも、研修の定着を後押ししている要因の一つです。

効果的なコンプライアンス研修の進め方

研修を「やっただけ」で終わらせないためには、計画段階から工夫が必要です。ここでは実践的な進め方のポイントを解説していきます。

階層別・部門別のカリキュラム設計

効果的な研修を行うためには、受講者の役職や業務内容に応じたカリキュラムの設計が欠かせません。新入社員にはコンプライアンスの基礎知識を、管理職には部下への指導方法やリスク管理の観点を重点的に伝えることが求められます。

営業部門であれば下請法や独占禁止法、経理部門であればインサイダー取引や不正会計といったように、部門特有のリスクに対応した内容を盛り込むことで、実務に直結する学びを提供できます。

参加型・双方向型の研修手法の導入

一方的な講義形式だけでは、社員の理解や意識定着には限界があります。グループワークやケーススタディを取り入れた参加型の研修手法が、近年注目を集めています。

たとえば、実際の業務で起こりうる「グレーゾーン」の事例を題材にしたディスカッションは、判断力を養う上で効果的とされています。受講者同士で意見を交わすことで、自分事として捉える姿勢が生まれやすくなるからです。

定期的な実施とフォローアップの重要性

コンプライアンス研修は、一度実施すれば終わりというものではありません。法令の改正や社会情勢の変化に合わせて、定期的な更新と継続的な実施が必要です。多くの企業では年1回の全社研修を基本としつつ、新任管理職向けの研修や法改正時の臨時研修を組み合わせています。

研修後のアンケートやテストを通じて理解度を確認し、フィードバックを次回の内容改善に活かすサイクルを構築することが、長期的な効果を生み出す鍵となっています。

コンプライアンス研修でよくある課題と対処法

研修を実施しても期待した効果が得られないケースは少なくありません。よくある課題とその解決策を具体的に見ていきましょう。

データで見るコンプライアンス教育の現状と課題

研修を実施していても、現場のコンプライアンス違反がなくならないと悩む企業は少なくありません。実際、企業のコンプライアンス推進活動に関する調査によると、違反が発生する最大の原因として社員の意識の低さが挙げられています。

コンプライアンス違反が発生する原因については、コンプライアンス意識の欠如・希薄さが圧倒的に多く、次いで「知識不足」が挙げられています。知識を与えるだけでは不十分であり、いかにして「自分ごと」として捉えさせるかという意識改革へのアプローチが、依然として大きな課題となっていることがうかがえます。

引用元:企業不祥事が頻発する今、企業に求められることとは 自社の在るべき姿を実現する自律的なコンプライアンス対策を(Learning Design)
https://jhclub.jmam.co.jp/acv/magazine/content?content_id=22928

このように、単に法令知識を詰め込むだけの研修では、根本的な解決には至りません。知識不足よりも「意識」の問題にどう切り込むかが、教育担当者が直面している最大の課題といえます。

形式的な実施で終わってしまう問題

専門家からは「研修が形式化し、やっただけになりやすい」という指摘が多く聞かれます。受講率100%を達成しても、社員の意識や行動が変わらなければ本来の目的は達成できません

この課題に対しては、研修の冒頭で具体的な違反事例や社会的影響を示し、危機感を共有することが有効です。また、経営層からのメッセージを伝えることで、組織全体としての重要性を認識させる方法も効果的とされています。

実務での応用力が身につかない問題

基礎知識の習得だけでは、実際の業務で適切な判断ができるようにはなりません。社員からは「研修で学んだことが実務に活かせない」という声が上がることもあります。この課題には、グレーゾーン事例を積極的に取り上げることが効果的です。

明確な違反ではないが望ましくない行動や、判断に迷う場面を題材にすることで、現場での応用力を養うことができます。OJTと連動させて、先輩社員が実務の中で補足説明を行う仕組みも有効です。

社員のモチベーション低下への対応

義務的な研修に対して、社員から「退屈」「時間の無駄」といった不満が出ることは珍しくありません。こうしたモチベーション低下を防ぐためには、研修の意義を明確に伝えることが大切です。

違反が起きた場合の具体的な影響を示したり、研修で学んだことが自身のキャリアにどう役立つかを説明したりすることで、受講者の主体的な姿勢を引き出すことができます。eラーニングでは、ゲーミフィケーションの要素を取り入れて学習意欲を高める工夫も行われています。

ゲーミフィケーション(Gamification)とは、ゲームの要素や仕組み(ポイント、バッジ、ランキング、レベルアップなど)を、ゲームではない分野(マーケティング、教育、人材育成など)に応用し、利用者のモチベーション向上、エンゲージメント強化、行動変容を促す手法です。

研修の実施形式とそれぞれの特徴

コンプライアンス研修にはさまざまな実施形式があります。自社に適した形式を選ぶための判断材料を整理していきます。

集合研修とオンライン研修の比較

集合研修は、講師と受講者が同じ場所に集まって行う従来型の形式です。質疑応答がしやすく、双方向のコミュニケーションが取れることが強みといえます。一方で、会場の確保や参加者のスケジュール調整にコストがかかるという課題もあります。

オンライン研修は、場所を選ばず受講できる柔軟性が魅力です。リモートワークの普及に伴い、ライブ配信形式やオンデマンド形式など、多様な実施方法が選べるようになっています。

eラーニングの活用とその効果

eラーニングは、動画コンテンツやクイズを組み合わせた自習形式の研修です。受講者が自分のペースで学習を進められることが最大のメリットであり、受講率90%以上を達成している企業も少なくありません。

一方で、受講者同士のインタラクションが少なく、一方通行になりやすいというデメリットもあります。そのため、eラーニングで基礎知識を習得した後に、集合研修でディスカッションを行うといった組み合わせ型の設計が効果的とされています。

外部講師の活用と社内講師の育成

弁護士や専門家を外部講師として招く方法は、最新の法令知識や実務経験に基づいた専門的な内容を提供できる点で優れています。質問がしやすい雰囲気が生まれ、理解が深まりやすいという効果も報告されています。

一方で、社内講師を育成することで、自社の業務実態に即した研修内容を継続的に提供できるようになります。コストを抑えながら、社内のコンプライアンス意識を高める役割を担う人材を育てることも、長期的な視点では重要な取り組みです。

コンプライアンス研修の効果測定と改善

研修の効果を高めるためには、実施後の振り返りと改善が欠かせません。効果測定の方法と改善サイクルについて説明していきます。

理解度テストとアンケートの活用

研修の効果を測定する基本的な方法として、理解度テストとアンケートがあります。テストでは、研修で扱った内容の定着度を数値化することができ、理解が不十分な領域を特定する材料になります。

アンケートでは、研修内容の分かりやすさや実務への活用可能性に対する受講者の評価を収集できます。自由記述欄を設けることで、具体的な改善点や新たなニーズを把握することも可能です。

行動変容の追跡と指標の設定

研修の最終的な目的は、受講者の行動変容にあります。そのため、研修直後の理解度だけでなく、中長期的な行動の変化を追跡することが重要です。たとえば、内部通報件数の推移や、コンプライアンス関連の問い合わせ内容を分析することで、研修の効果を間接的に測定できます。

部門ごとの目標指標を設定し、定期的にモニタリングする仕組みを構築している企業も増えています。

PDCAサイクルによる継続的な改善

研修の質を高めていくためには、PDCAサイクルを回し続けることが大切です。計画段階で明確な目標を設定し、実施後は効果測定の結果を分析して、次回の改善につなげていきます。

法令改正や社会情勢の変化、自社で発生したヒヤリハット事例なども、研修内容を更新する際の重要な材料となります。継続的な改善を通じて、研修の実効性を高めていくことが求められています。

コンプライアンス研修に関するよくある質問

研修担当者からよく寄せられる疑問について、Q&A形式でお答えしていきます。

研修の頻度はどのくらいが適切ですか

多くの企業では、年1回の全社研修を基本としています。これに加えて、新入社員研修や新任管理職研修など、タイミングに応じた研修を組み合わせることが一般的です。

ただし、法令改正があった場合や、業界で大きな不祥事が発生した場合には、臨時の研修を実施することも検討すべきです。継続的な意識づけのため、月次の朝礼などでミニ講座を行う企業もあります。

どのような内容を優先すべきですか

研修で扱うテーマは業種や企業規模によって異なりますが、ハラスメント防止と情報セキュリティは、どの企業でも優先度の高いテーマといえます。

営業部門が多い企業では下請法や独占禁止法、個人情報を多く扱う企業では個人情報保護法に関する内容を重点的に取り上げることが効果的です。自社の事業内容やリスク状況を分析した上で、優先順位を決めることが大切です。

研修の効果が出ないときはどうすればよいですか

研修を実施しても効果が出ない場合は、まず原因の特定から始めることが重要です。内容が実務に即していない、形式的な参加にとどまっている、経営層のコミットメントが不足しているなど、さまざまな要因が考えられます。

受講者へのヒアリングを通じて課題を明らかにし、参加型の手法を取り入れたり、ケーススタディを充実させたりといった改善を図ることで、効果を高めていくことができます。

コンプライアンス研修の中でも、特にハラスメント防止は多くの企業で重要なテーマとなっています。こうした取り組みは、個別の課題対応にとどまらず、コンプライアンスやリスク管理、組織風土の醸成といったガバナンス全体の取り組みとあわせて考えることが重要です。 企業の課題やフェーズに応じて、体系的なeラーニングプログラムの導入がおすすめです。

コンプライアンス教育・定着の相談は日本能率協会マネジメントセンターへ

日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)では、企業のコンプライアンス課題に応じて、教育設計から実施、定着までを見据えた実践的な学習コンテンツを提供しています。制度理解にとどまらず、現場での判断や行動につながることを重視した設計が特長です。

全社に浸透させるための、体系的な教育設計

JMAMのコンプライアンス教育は、役職や立場に応じた学習設計により、全社で共通認識を醸成しやすい点が特長です。法改正への対応はもちろん、自社の課題やリスクに合わせて段階的に学べる構成により、形式的な受講で終わらせない運用を支援します。

行動変容を促す、実務に即したコンテンツ

ハラスメントを含むコンプライアンス領域では、「知っている」だけでなく「どう判断し、どう行動するか」が問われます。JMAMでは、具体的なケースや設問を通じて、現場での意思決定を想定した学習を行うことで、日常業務に活かせる理解と行動変容を促します。

こうした課題に対応するため、日本能率協会マネジメントセンターでは、コンプライアンスおよびハラスメント対策を体系的に学べるeラーニング教材を提供しています。自社の状況に合わせた教育設計を検討されている方は、ぜひ詳細をご確認ください。

まとめ

コンプライアンス研修は、法令遵守の意識を高め、企業の健全な成長を支える重要な取り組みです。形式的な実施に終わらせず、継続的な改善を通じて実効性を高めていくことが求められています。

  • コンプライアンス研修は法令遵守、組織内規範、社会規範の3つのレベルで構成される
  • 階層別・部門別のカリキュラム設計と参加型の手法が効果を高める
  • eラーニングと集合研修を組み合わせた実施形式が主流になっている
  • 効果測定とPDCAサイクルによる継続的な改善が重要
  • ハラスメント防止と情報セキュリティは優先度の高いテーマ

まずは自社の現状を振り返り、研修の目的と対象者を明確にした上で、改善計画を立てることから始めてみてください。

解説資料|コンプライアンス意識を定着させる全社員教育

コンプライアンス教育の効果的な導入方法と従来の課題解決に向けたポイントを紹介

本資料ではeラーニングを活用したコンプライアンス教育の効果的な導入方法と、課題解決に向けたポイントをご紹介します。

  • 企業に求められるコンプライアンス強化の背景
  • 一般的なコンプライアンス研修の内容と課題
  • eラーニングによる課題解決と期待される効果
  • eラーニングと集合研修の違いと特徴
  • サービス選定時の重要ポイント
コンプライアンス意識を定着させる全社員教育
JMAM HRM事業 編集部

文責:JMAM HRM事業 編集部
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