インタビュー事例

株式会社村田製作所 林田 直樹氏 生産本部 調達統括部 資材調達1部 調達2課 マネージャー
Interview

情報・知見を共有したくなるチームづくり

株式会社村田製作所 林田 直樹

生産本部 調達統括部 資材調達1部 調達2課
マネージャー

インタビュイーの所属・役職名および以下概要は、インタビュー当時のものです。
(本調査のインタビュー実施期間:2020年12月~2021年2月)
内容は掲載をご許可いただいた範囲で、記事の形式とするため、見出しを追加し、⼀部順序や表現が再構成されています。

電子部品メーカーとしてグローバルに事業を展開し、世界トップクラスの売り上げを誇る村田製作所。その村田製作所において野洲事業所は、研究開発、生産設備設計製作の中核的な事業所として、同社のモノづくりを支えている。主力製品のひとつであるMLCC(積層セラミックコンデンサ)は、携帯電話などには欠かせない部品であるが、林田さんのチームは、野洲事業所で MLCCの原料となるセラミック粉末など、各種資材の調達業務を担う。

林田さんは、前職の大手食品メーカーで製造の現場監督や調達業務でキャリアを積んだ後、村田製作所へ転職。本社でのコンデンサ関連の資材調達統括を経て、資材調達1部調達2課でマネージャーに就任。

「失敗をオープンにできる雰囲気づくり」や、メンバーに寄り添いつつも自律を促す「硬軟自在な指導」に邁進する林田さんに、これまでの来し方や現在のチームづくりのポイントを聞いた。

シェアド・リーダーシップを重視するようになるまでの経緯

何でも知っている優れたマネージャーで
なければならないという思い込みからの転換

管理職就任前

管理職になる前は、どのようなリーダーになりたい、あるいはなりたくないと思っていましたか?

なりたいリーダー像として真っ先に浮かんだのは、社会人生活の序盤で出会ったかつての上司です。私がミスを起こし、関係部署からの問い合わせやクレームを受けたときに、率先して「楯」になってくれる方でした。その後ろ姿を見て、「こういう人が、リーダーなんだ」と当時強く感じました。

初めての管理職就任時

管理職に就任することが決まったときは、どのような気持ちでしたか?

比較的若くマネージャーになった方だと思いますが、プレッシャーについては、それほど感じませんでした。

ただ、マネージャーになると自分は実務から離れることになり、「何かが変わる」という感覚は強くありました。まだまだ自分で動く方が好きでしたから、仕事のやり方が変わることが最初はストレスでした。

管理職に就任し、プレイヤーのときとの違いをどのようなところで感じましたか?

プレイヤーとして、自分で仕事を前に進めていくことには自信がありました。しかしマネージャーになると、自分のアウトプットではなく、メンバーのアウトプットが成果となります。その点が全然違いました。取り組み方や発想の転換がなかなかできず、すごく戸惑いました。

管理職に就任後、現在のようにチームメンバー全体のリーダーシップを醸成できるようになるまでには、どのような紆余曲折がありましたか?

今のようなスタイルに至るまでには、プレイヤー時代に若手メンバーのOJTを担当した経験が、まず影響を及ぼしています。プレイヤー時代はバリバリ働いていたので、後輩に対しても自分基準のレベルを求めていました。後輩が自分の期待するレベルに達しないと、「もっとできるだろう!」と強く言って、それでもできないと自分がバーっとやってしまうようなこともありました。その後、当時担当していたメンバーの1人が異動となり、別の部署で活躍することになったのですが、そのメンバーが「林田さんの下は、本当にきつかった…」と吐露していたと、まわりまわって上司から聞いたことがありました。そこで、ハッとしました。自分は、前職のときに、強い口調で上から指示を出すタイプの上司に、「こういう接し方は嫌だな。自分はするまい」と思っていたのに、いつの間にか自分が同じことをしていた。自分でも驚きました。今思えば、それが考え方を変える最初の転換点だったと思います。

次の転換点は、現在の野洲事業所でマネージャーになったときです。私は本社からの異動で、事業所では新参者でした。その私が、古くから在籍しているメンバーばかりのチームにマネージャーとして着任しました。最初はプライドがあり、メンバーに知らないことを教わるのが気持ちのうえでかなり抵抗がありました。「自分はマネージャーで偉いのだから、何でも知っていなければ」と、勝手に“鎧”を着て、周囲に壁をつくっているような感じでした。でも、チームの状態が全然良くなっていかない。

それから、どうしたらうまくチームをまとめていけるかと、いろいろな本を読んだりして、トライアンドエラーの手探りの日々が続きました。あるとき、チームでたまたま自分の失敗談を話したことがありました。すると、チームの雰囲気がとても和んだのです。そのとき、「自分はマネージャーだから」という気負いがとれ、わからないことは素直に「教えてほしい」「実はこういう失敗をしたことがある」と、オープンに自分を見せる方がチームがうまく進んでいく感覚を得て、アプローチが徐々に変わっていきました。

メンバーを頼ったり、メンバーに任せるということがだんだんできるようになっていったのですが、最初はどこまで任せて、かつ任せきらないか、という見極めが難しく、個々のメンバーに適した期待値や任せるレベルを判断できるようになるまでには時間を要しました。任せすぎたり、任せられなかったりの間を行ったり来たりしていました。そうこうしながら、各メンバーの年次や能力に応じたちょうどよい塩梅を徐々につかんでいったという感じです。

村田製作所で手がけるコンデンサ
表面波フィルタ

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本ページ掲載の内容は、「調査1」部分のインタにビュー結果のごくごく一部です。

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