インタビュー事例

LINEヤフー株式会社 荒谷 英延氏 マーケティングソリューションズ統括本部 営業推進本部 マーケティングコミュニケーション部 部長
Interview

対話の量が
チームをつくる

LINEヤフー株式会社 荒谷 英延

マーケティングソリューションズ統括本部 営業推進本部
マーケティングコミュニケーション部 部長

インタビュイーの所属・役職名および以下概要は、インタビュー当時のものです。
(本調査のインタビュー実施期間:2020年12月~2021年2月)
内容は掲載をご許可いただいた範囲で、記事の形式とするため、見出しを追加し、⼀部順序や表現が再構成されています。

インターネットの検索エンジンをはじめ、ネット上の広告事業、イーコマース事業、会員サービス事業などを展開するLINEヤフー(2023年にヤフーとLINEは1つの会社に統合)。同社では現在、自社の横断的なマーケティング施策を強化している。こうしたなかで、事業成長やプロジェクトを成功に導くためのマーケティングコミュニケーション戦略を立て、デジタル・コミュニケーションのプラン策定、施策推進をプロデュースしているのが、マーケティングソリューションズ統括本部である。

同統括本部の営業推進本部マーケティングコミュニケーション部で部長を務める荒谷英延さんは、出版社の広告営業などを経てヤフーに転職。営業担当として約1年半の勤務の後、営業企画、営業戦略といった営業のバックアップ業務を担ってきた。まもなく管理職となり、その後、マーケティング部門に異動。マーケティングコミュニケーション部の部長に就任した。

LINEヤフーというと、トップ以下約7,000名の社員が、上司と部下との定例的な対話の機会である1on1ミーティングを展開していることで有名であるが、荒谷さんもこの1on1を活用し、細やかな配慮でメンバー各人が自律する組織運営を推進している。

シェアド・リーダーシップを重視するようになるまでの経緯

自分の考えを押し付けるスタイルから
メンバーと対等なパートナー関係を築くスタイルへと転換

管理職就任前

管理職になる前は、どのようなリーダーになりたい、あるいはなりたくないと思っていましたか?

プレイヤーのときは、管理職になりたいという強いこだわりはありませんでした。もし自分が管理職になるなら、現場感覚のある率先垂範型のプレイングマネジャーになりたいと思っていました。私自身が手を動かすことが好きだということもありますが、現場感覚を持ち合わせていないと、メンバーに対して的確なアドバイスを出して成果を出していくことが難しいと思います。ですから、管理職という地位にあぐらをかいて、指示だけをする管理職にはなりたくないと思っていました。

初めての管理職就任時

管理職に就任することが決まったときは、どのような気持ちでしたか?

自社では、年次を重ねるとマネジャー職とプロフェッショナル職にキャリアが枝分かれします。どちらを目指すかは各社員が判断しますが、会社から指名がある場合もあります。私は会社からの指名で管理職になりました。前述のとおり、私は自分で手を動かすことが好きだったので管理職になりたいという気持ちはそれほど強くなく、プロフェッショナル職もいいなと思っていました。ただ、会社からせっかく指名を受けたので、自身のキャリアも考え、「挑戦してみよう」という気持ちでした。

管理職に就任し、プレイヤーのときとの違いをどのようなところで感じましたか?

プレイヤーのときは、自分の考えややり方で割と好きに動けましたが、管理職になるとメンバーのことも考えなければならない。難易度の高い相談や判断を求められるシーンが格段に増えました。仕事の「量」が増えるとともに、「質」という点でも難易度がグンと上がったと感じました。

管理職に就任後、現在のようにチームメンバー全体のリーダーシップを醸成できるようになるまでには、どのような紆余曲折がありましたか?

管理職になったばかりのころは、一生懸命になりすぎていたというか、「自分がやらなきゃいけないんだ」という変な責任感があって、「ここはこうした方がいい」「ああした方がいい」と自分の考えをメンバーに押し付けてしまっていました。そんなやり方に対して、当時のメンバーから「それは荒谷さんの考えの押し付けじゃないですか」と言われることもありました。

そうした失敗経験が私にとっては大きな気づきとなりました。管理職になって最初のころは、自分の視点から正しい、正しくないを一方的に判断したり、メンバーを一様に見て、自分の求める一定水準に達する仕事をすることを求めたりしていました。しかしメンバーは、それぞれが皆、仕事に対する価値観や向き合う姿勢が違う。正しい、正しくないという判断や、適正な水準というのは、自分の考え方だけが絶対ではないと、徐々に見方が変わっていきました。そこからは、「自分は役職者だから」という意識をなるべく持たないようにして、もっとメンバーと対話しながらいろいろなことを決めていこうとスタンスを変えました。メンバーを、「自分のもとで業務をする人」と捉えると、自分は偉いとか自分の考え方こそが正しいという発想になりがちです。ですので、今は、メンバーを「自分のもとで業務をする人」ではなく「対等な1人のパートナー」として見ています。接し方も含めて気をつけることでメンバーとの関係性も大きく変わりました。

それからもう1つ気づいたことは、コミュニケーションのとり方も、人によって変える必要があるということです。経験の浅い若手メンバーに対しては細やかにフォローしながら支えてあげることが必要です。中堅やベテランのメンバーは、本人と話し、どのぐらいストレッチした目標を追っていくかを握り合えることが必要だったりします。

こうしたことに気づいてからは、コミュニケーションの量をとにかく、もう本当に増やしました。それもface to faceでの対話の時間を増やすようにしています。今は、自分の手応えとしても、チームがうまく回るというのは、コミュニケーションの量にものすごく比例すると感じているので、日々コミュニケーションを欠かさないようにしています。

マーケティングソリューションズ統括本部では、ヤフーのマーケティングコミュ ニケーション戦略全般を担っている

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本ページ掲載の内容は、「調査1」部分のインタにビュー結果のごくごく一部です。

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