用語辞典

さ行

熟達化の10年ルール 熟達化の10年ルール

 認知心理学や認知科学においては、ある領域の専門的なトレーニングや実践的な経験を積み、特別な技能や知識を獲得した人を「熟達者」と呼ぶ。熟達者は特定分野の上位5%の人材とされ、①自分の領域においてのみ優れている、②経験や訓練に基づく「構造化された知識」を持つ、③問題を深く理解し、正確に素早く問題を解決する、④優れた自己モニタリングスキルを持つ、という特徴を備えている(『経験からの学習』松尾睦/著)。  このようなスキルを獲得し、素人から熟達者にまで成長するためには、最低10年間の準備期間が必要であることを、エリクソン(K. Anders Ericsson)はチェスやテニス、音楽等の芸術やスポーツ分野での研究を通じて明らかにした。これを「熟達化の10年ルール」と呼ぶ。  また熟達における知識・スキルの獲得プロセスを示したのが、アンダーソン(John R. Anderson)である。アンダーソンは知識やスキルを、まずひな形通りに受け入れ(宣言的段階)、次に知識を噛み砕いて自分のものとし(知識の翻訳段階)、最後にそうした知識やスキルを繰り返し活用することで、よりスムーズな処理が可能になる(手続的段階)という3段階の学習モデルを提唱した。  エリクソンの熟達化10年ルールやアンダーソンの学習モデルは、人材開発等の分野に影響を与えつつある。そして、国内外の多数の研究により、芸術やスポーツ分野同様、コンサルタント、IT技術者、上級管理職などさまざまな業種・業態において、この10年ルールが適用可能であることが示されている。

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