事例詳細
株式会社AIRDO
『選ばれるエアライン』を目指し、より安全で、より安定的な低価格運賃、そしてより高いサービスの提供にチャレンジし続けているAIRDO。同社は2011年度から継続して『eラーニングライブラリ®』(以下、ライブラリ)を導入し、総合職、サービスカウンター、パイロット、客室乗務員、整備士など様々な職種の全社員にマネジメントを学ぶ機会を提供しています。今回、同社総務部の辻新一氏・木村尚氏に、なぜ社員にマネジメントを学ばせるのか、ライブラリをどのように活用しているのかについて、お話を伺いました。
自立した個がチームで力を発揮できる環境を作る
貴社が求める人材像について、お教えください。
辻氏:当社は、中期経営戦略の主要施策として人材育成の強化を挙げています。求める人材像としては、自ら課題を設定し、それに積極的に取り組んでいく自立した社員です。また、部門に対しては、そうした社員の個々の力をチームとして発揮できる環境を作ってほしいと伝えています。
その状況を実現するための教育についてお聞かせください。
辻氏:当社が掲げる5つの企業理念の中には「人を活かし育み、活力ある企業風土を創造します 」があり、その実現のために、人材育成プログラムを構築しています。
教育体系は新卒採用か中途採用かによって違うのですが、新卒を例に挙げると、軸となるのは階層別の教育です。入社時の新入社員研修、1年後のフォローアップ研修、3年経過を目途に行う中堅社員研修、中堅リーダー研修、新任管理者研修、そして一昨年からは経営管理者研修も導入しています。同時に、当社にはパイロット、客室乗務員、整備士など、多くの専門職がいますので、専門職研修を通じ、スキルの向上に取り組んでいます。
e ラーニングを導入したきっかけは?
辻氏:階層別研修は、どうしても会社主導になってしまいます。そうではなく、自らの意思で学習する風土を作りたい、そのためにはe ラーニングはよい手法だと考えました。
全員に必要なマネジメントの基本
JMAM のライブラリを導入した理由をお聞かせください。
辻氏:ポイントはいくつかあるのですが、一番の理由はマネジメント系のコースが充実していることです。当社では、総合職はもちろん、パイロット、客室乗務員、整備士など多様な職種の社員にマネジメントを学んでもらいたいと考えています。
なぜ社員にマネジメントを学んで欲しいとお考えなのでしょうか?
辻氏:当社の仕事のほとんどは、チームで行うものです。例えば、客室乗務員はお客様50 人に1人必要と規定されており、B 767 型機の場合は6名乗務することになります。そのうち、チーフパーサーと呼ばれる客室乗務員は管理者ではありませんが、他の5 名の乗務員をまとめていく役割を担います。客室乗務員は、お客様の安全を守る保安要員です。その任務は非常に重要であり、個人の力だけではなく、チームとしての力を発揮させるためにも、マネジメントの基本の習得が大切なのです。これは整備士もサービスカウンターでも同じことです。管理者になったからマネジメントが必要なのではなく、チームとして能力を発揮するためには全員にマネジメントが必要だということです。
それともう一つは労務管理の点からです。当社の仕事は全員が9時~ 18時の勤務ではなく、シフトで動いています。そうした環境では、労務管理やメンタルヘルスケアの知識が必要です。特に管理職に関しては、今年から管理職登用試験の受験要件として、『労務管理基本コース』と『マネジメントの基本コース』を修了していることを義務づけました。
強制的な学習では意味がない
シフト制の中で学習はどこで行っているのでしょうか? また受講状況はいかがでしょうか。
辻氏:基本的には自宅で学習してもらっています。受講状況については、数多くのコースを積極的に受講している人と、受講が進んでいない人と、二極化しています。
木村氏:今は利用率のアップが課題ですね。ただ、強制的に学ばせることはできますが、自立した社員の育成、自ら学ぶ風土づくりという観点から考えると、そうしたやり方は望ましくないと思います。
辻氏:社員にとって、自ら進んで学習することが当たり前という状況にしていきたいですね。
各部署の受講状況をアナウンス
受講率アップの取り組みはどのように行っているのでしょうか?
辻氏:まずライブラリの受講期間が始まるタイミングの7月に、総務部から全社にアナウンスをします。そのうえで各部署の部長に直接「ライブラリを始めるので活用してほしい」という話をします。加えて、3カ月たった時点で各部署の受講者数をまとめ、その資料を部長・店長全員に送りました。あまり受講が進んでいない部署もあえてそのままにして、各部の部長が全部署と自部署を見比べることができるようにしました。
今後、ライブラリの活用方法についてお考えになっていることや、コンテンツについての要望、今後の夢などがあればお聞かせください。
辻氏:他社との競争など経営環境が厳しくなる中で、人材の育成はより一層重要な課題です。そこで、より品質の高い研修を目指しているのですが、単に研修の質を高めるだけではなく、eラーニングを事前に学習したうえで研修に望むよう推奨していきたいと考えています。
私自身、総務部を管轄する立場ということもあり、『部門の仕事シリーズ総務部』を受講しました。改めて総務の仕事について棚卸しができた感があります。そういった業務直結のコースも増えるといいですね。
木村氏:根本的な人間の限界や、なぜミスが起こるのかというエラーの仕組みについて学べるヒューマンファクターに関するコースがあるといいですね。
辻氏:北海道観光マスター検定、北海道フードマイスター検定等のご当地検定に社員が合格した場合、会社が一部費用を負担する仕組みも作っています。社員にもっと北海道を知ってもらい、北海道の翼として地域社会を元気にしていきたいと思います。
ありがとうございました。
プロフィール
会社名 | 株式会社AIRDO |
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URL | http://www.airdo.jp |
主要事業 | 1996年設立。北海道札幌市に本社を置いて定期航空運送事業を展開し、“北海道の翼”として親しまれている。ANAと業務提携しながら事業規模拡大を目指し、さらなる成長へ向かう。売上高431億7,200万円(2012年3月期)、従業員数896名(2012年4月1日現在)。 |
掲載日 2012/11/01
掲載内容やご登場いただく方の役職は取材当時のものです。