インタビュー事例

阪急阪神ビルマネジメント株式会社 冨田 聖二氏 阪急阪神ビルマネジメント株式会社 次長 首都圏事業部(PMグループ) 兼 オフィス営業部 兼 阪急阪神不動産株式会社 課長 賃貸事業部 兼 首都圏開発事業部
Interview

多様なメンバーが
活躍できる環境を創る

阪急阪神ビルマネジメント株式会社 冨田 聖二

阪急阪神ビルマネジメント株式会社 次長
首都圏事業部(PMグループ) 兼 オフィス営業部
兼 阪急阪神不動産株式会社 課長
賃貸事業部 兼 首都圏開発事業部

インタビュイーの所属・役職名および以下概要は、インタビュー当時のものです。
(本調査のインタビュー実施期間:2020年12月~2021年2月)
内容は掲載をご許可いただいた範囲で、記事の形式とするため、見出しを追加し、⼀部順序や表現が再構成されています。

鉄道事業をベースとして多岐にわたる事業を展開する阪急阪神ホールディングスグループで、商業施設やオフィスビルの管理・運営を手掛ける阪急阪神ビルマネジメント。マーケットの移り変わりが激しい業界のため、常に業界情報を収集し、提供するサービスをアップデートしていくことが求められる。

冨田聖二さんは、阪急電鉄に入社(その後、組織再編で阪急阪神ホールディングスに転籍)後、一貫して不動産業務に携わってきた。大型商業施設の管理運営部門での管理職就任を経て、本社のある大阪から東京へ異動。大阪本社とは異なる組織文化のなかで様々な役割を担いながら、大阪の本社と東京事務所の間の調整役も務めている。現在は、首都圏エリアでの事業拡大に向け、顧客の新規開拓等精力的に活動。

様々なバックグラウンドを持つメンバーそれぞれが、働きやすく、能力を発揮しやすい職場環境を整備している。人とチームの成長を後押しする管理職の真髄を聞いた。

シェアド・リーダーシップを重視するようになるまでの経緯

「できるメンバー」か「できないメンバー」かの
一律基準からメンバーの多様な強みに気づくように

管理職就任前

管理職になる前は、どのようなリーダーになりたい、あるいはなりたくないと思っていましたか?

私が入社した当時は、まだ社会全体としても会社としても長時間労働が当たり前で、コミュニケーションは飲み会で…という雰囲気も少なからずありました。ただ、私の場合は、新入社員時代の上司が子育て中の女性管理職で、その上司の下で5年間働きました。その方がメリハリのある仕事の進め方をする方で、自分もワークライフバランスを大事にし、業務効率を意識できるリーダーになりたいと思っていました。

初めての管理職就任時

管理職に就任することが決まったときは、どのような気持ちでしたか?

鉄道事業を母体とする当社では、若いうちから運輸現業職をマネジメントする上位職に就く伝統があります。鉄道以外の事業でも、出向先等で若いうちからリーダーになるのが幹部候補生たる総合職の役割であるということを意識させられる社風があるため、「自分もそういう時期がきたのだな」と割とすんなりと受け止めました。

管理職に就任し、プレイヤーのときとの違いをどのようなところで感じましたか?

管理職というのは、各メンバーの異動や配置を考えたり、人事評価を行うなど、自分の関わり方が、一人ひとりのメンバーのキャリアに大きな影響を及ぼします。自分のことだけではなく、これからは、人の人生を背負う役割を担うのだな、と改めて責任の大きさを感じました。

管理職に就任後、現在のようにチームメンバー全体のリーダーシップを醸成できるようになるまでには、どのような紆余曲折がありましたか?

管理職に就任したばかりのころは、メンバーのことを、仕事が「できる人」か「できない人」かで二分して見てしまっているところがありました。私は性格が短気なところもあり、自分基準で見て、仕事の進め方がよくないように映るメンバーに対しては、「なぜできないのだろう…」と苛立ちを覚え、強い口調で接してしまうこともありました。上司には、「組織としてのパフォーマンスを高めるためにメンバーを変えてください」と相談したこともありました。

しかし、当然のことですが、会社の人材の総数は決まっており、私の理想どおりのメンバーを自分のチームに配属してもらうわけにはいきません。上司からは、「今のメンバーでやれることが、もっとあるのではないか。今のチームで最大限できることをもう少し考えてみたらどうか」と言われました。

最初はその真意をよく理解できませんでしたが、わからないながらも、メンバーの方向性を合わせるために会議体や報連相の手段の整備、メンバーの特性に応じた業務分担等、環境整備をし、メンバーの能力発揮を妨げている障壁をなるべく減らすようにと動いていきました。すると、こちらが予想していたよりも高いパフォーマンスを出してくれるメンバーが徐々に出てきたのです。そういう体験から、少しずつ自分の考え方が変わっていきました。

ちょうどそのころ、自身の子育てのタイミングと重なったことも考え方の変化を後押ししました。子どもは自分の意のままには動いてくれません。いろいろなことに対して、寛容さが持てるようになりました。そのころから、メンバーのことを、以前よりもよく理解できるようになり、人によって個性や成長の段階、強みが異なるということが見えるようになりました。成長途上のメンバーについては、その時点で本人の能力の限界値を出し切っているのならば、成長を待つことが必要で、メンバーがチャレンジできる環境をつくるのが自分の役割だと思うようになったんです。できて当たり前ではなく、うまくいかないことがあって当たり前というぐらいの心持ちで今はいます。

その後の東京への異動経験も見方が変わるきっかけになりました。それまでは、同じ職場で管理職に昇格したこともあり、自分の方が業務のことをよく知っていることも多く、メンバーの仕事ぶりが十分でないときは自分でやってしまうようなこともありました。しかし、異動後は、メンバーの方が業務について詳しいことも多いため、各メンバーの強みを引き出して、活かしていく方がうまくいくという実感が深まっていったんです。そこから、メンバーの多様な強みを尊重したチーム運営に徐々に移行していきました。

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