インタビュー事例

サントリー株式会社 新宅 恭兵氏 ビールカンパニー マーケティング本部 ブランド戦略部 課長
Interview

力を結集し
強いチームへ

サントリー株式会社 新宅 恭兵

ビールカンパニー マーケティング本部 ブランド戦略部 課長

※取材当時の社名・役職は以下の通りです。
(本調査のインタビュー実施期間:2020年12月~2021年2月)
サントリー酒類 株式会社
近畿営業本部 営業企画部 経営・ビールグループ 課長

内容は掲載をご許可いただいた範囲で、記事の形式とするため、見出しを追加し、⼀部順序や表現が再構成されています。

「やってみなはれ」の合い言葉とともに、新しい価値を創造し続け、現在では世界有数の総合酒類食品企業として認知されているサントリー。新宅恭兵さんは、同社に入社後、スーパーや酒専門店などのチェーン店へ営業をする名古屋支社広域営業部で経験を積み、その後、近畿営業本部営業企画部へ異動。同部では、売り上げ・販促・損益管理を担当し、経営・スピリッツ・ワイングループの課長に昇進。その後、経営・ビールグループの企画を任され、スピリッツ・ワインを除くほぼ全商品を統括するようになる。

担当エリアにおける戦略立案、営業活動の組み立て、売り上げの進捗管理、商品供給体制の調整に加えて、全体の損益管理とビール全体のブランドグループの統括など高度な仕事をこなしている。

社内からもっとも信頼される部署となることを目標に掲げ、自らリーダーシップを発揮する部分と、権限委譲によってメンバーの主体性やリーダーシップを引き出すバランスの妙は、社内でも評価が高い。

シェアド・リーダーシップを重視するようになるまでの経緯

管理職昇進後、不安を抱えながらも
経験を重ね自信を深めていった新人マネジャー時代

管理職就任前

管理職になる前は、どのようなリーダーになりたい、あるいはなりたくないと思っていましたか?

私のロールモデルは、優しさと厳しさの両方を兼ね備えていたかつての上司です。その上司のもとで仕事をしていたころは、かなりしんどかったのですが、一人ひとりのメンバーを本当によく見て、気にかけてくれる上司でした。成果が出たときには、「こういう思いから、あなたにこれをチャレンジしてもらっていた」と背景や期待をしっかりと言葉と書面にして伝えてくれ、私の強み、成長したところ、今後に向けた課題などを折に触れてフィードバックしてもらいました。飲み会などの場でも「ほんまにおつかれさん!」と心から労いの言葉をかけてくれ、自分もリーダーになるなら、こういう人を目指したいと思っていました。

初めての管理職就任時

管理職に就任し、プレイヤーのときとの違いをどのようなところで感じましたか?

管理職に就任すると、年上のメンバーにも数字や目標、必要な行動をはっきり伝えなければならない場面が多くなりました。自分がメンバーに間違った指示を出していないか、最初のころは、常に不安を抱きながら仕事をしていました。

プレイヤー時代は、周囲からの期待に応えるために御用聞き的に対応していた部分もあったのですが、管理職になると、自らが明確に意思表示をし、メンバーがどう動いていくかを考えなければならない点で、立ち位置の大きな違いを感じました。

管理職に就任後、現在のようにチームメンバー全体のリーダーシップを醸成できるようになるまでには、どのような紆余曲折がありましたか?

上述のように、最初は不安を覚えながらの管理職スタートでした。そこで、自分の不安を払拭するためにも、最初に「新宅の約束」としてメンバーに3つのことを宣言しました。

1つは、「すべての行動に責任をもって対応し、逃げない」ということです。自分が発信することに最初は自信が持てない部分もありましたが、責任をもって向き合い、逃げない、と自分を鼓舞するメッセージでもありました。

2つめは、「メンバーのスキルアップに向けて正しくサポートする」ということです。人は自分で考えて動くからこそ成長します。管理者が指示を出し、メンバーは従うだけ、という関係は私は間違っていると思っています。そこで、一人ひとりが最終責任者の意識を持ち取り組んでいく。その支援を私がしっかりとする、というスタンスで臨みました。

3つめは、「メンバーに一番近い立場にいる」ということです。活動のなかで大変なことはいろいろありますが、チームで相互に支え合えるようになろうという思いを込めました。

宣言はしたものの、いざ活動をスタートすると宣言どおりにできないこともありました。特に2つめの宣言。メンバーをサポートすると言ったのに、数字の責任への焦りから、納期が迫ってくると、メンバーを差し置いて自分がどんどん動いてしまっていました。

あるとき、年上のメンバーから「課長、最初に皆さんをサポートしますって言うてはりましたよね。でも結局自分で全部受けてしまっていませんか。もっとメンバーに任せてください」と、はっきり言われました。その言葉を受けて、自分がプレイヤーの感覚から脱しきれていなかったことを反省しました。

そんな折、ある商品で全国トップの売り上げを目指すという目標にチームで挑戦する機会がありました。このとき、思い切って売り方や進捗をメンバーに任せ、私は表に立たずに進捗の背景を検証したり、数字が出たときにしっかりほめるなど、PDCAのCとAの立場に徹するようにしました。結果は、全国で1位にこそ届かなかったものの、大きな成果を残すことができました。この経験で手応えを得、自分のなかで考え方や行動のステージが一段上がったと感じました。

実は、管理職に就任するときに、年上のメンバーとは敵対的な関係になってしまうのではないかと1人で勝手に危惧していました。しかし、心配とは裏腹に、年上のメンバーの方たちが、チームを支えてくれる本当に心強い存在であるということにもこの活動をとおして気づきました。この2つの経験は、自分の管理職としての在り方を変える大きなきっかけになりました。

その後は、今度はメンバーに任せすぎて苦労したこともありました。いろいろな経験を積むなかで、メンバーのスキルや個性に合わせて進捗の確認をすることができるようになり、徐々に任せることと、きちんと確認をして方向合わせをしていくことのバランスがとれるようになっていきました。

担当エリアのビール全体のブランドグループを統括

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