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昇進昇格実態調査 ―上司と部下それぞれからみた実態―

ニュースリリース

昇進昇格実態調査 ―上司と部下それぞれからみた実態―
「部下と信頼関係築けた」一方的に思いがちな上司たち
上司と部下の認識に40%以上の差があることも

株式会社日本能率協会マネジメントセンター(代表取締役社長:長谷川隆、東京都中央区、以下JMAM[ジェイマム])は、過去3年間に管理職への昇進昇格審査※1を受けた部下を持つ管理職の会社員270名に対し、審査が人材育成にどのような効果を発揮しているか、上司は部下へどのような支援を行っているか、アンケート調査を実施しました。このたび、取りまとめた調査結果を一部抜粋してお知らせします。

国が進める働き方改革をはじめ経営環境の変化が激しい中、管理職のマネジメントも高度化・複雑化し、昇進昇格のあり方も見直されています。以前より管理職適性が重視され、若手の早期選抜・早期登用を行なう企業が増加しているほか、幹部社員の育成が課題となっています。そこで本調査は、部下の昇進昇格に対する上司の意識を明らかにし、2016年6月に実施した部下への調査※2と比較を行いました。

※1 本調査の「昇進昇格審査」とは、課長相当の等級等に昇格させるために何らかの審査を実施することを意味します。
※2 2016年6月に実施した受験者本人への調査(過去3年間に管理職への昇進昇格審査を受けた会社員254名が対象)の実際の上司にアンケート調査をしたものではありません。

<調査結果概要(一部抜粋)>

■人事評価に対して、上司と部下に認識のギャップ(P2)
特に両者の認識の差がある項目は、「業務の進捗やできばえについて部下に適宜フィードバックしている」「部下の評価を公正に評価しようと努めている」で、上司は部下より40%以上も肯定的に認識。
■上司が「部下との信頼関係が築けた」と感じても、部下は感じず(P5)
昇進昇格審査で得たものとして、上司と部下の最も差が大きい項目に「部下(自分)の将来のキャリアを改めて考えた」で30%弱、次に「信頼関係が強まった」で23.8%の差がある。
特に「信頼関係が強まった」では、「あまりあてはまらない・あてはまらない」が上司で5.9%に対し、部下は31.8%にのぼり、上司が一方的に「部下との信頼関係が築けた」と認識している

<調査概要>

調査対象: インターネット調査
調査地域: 全国
有効回答: 過去3年間に管理職への昇進昇格審査を受けた部下を持つ管理職の会社員270名
調査期間: 2016年8月


日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)について:JMAMは、日本能率協会(JMA)グループの中核企業として1991年に設立されました。通信教育・研修・アセスメント・eラーニングを柱とした人材育成支援事業、能率手帳の新生ブランド『NOLTY』や『PAGEM』を代表とする手帳事業、ビジネス書籍の発行を中心とした出版事業を通じて、「成長したいと願うすべての人」を支援し続けていきます。http://www.jmam.co.jp/

<調査結果(一部抜粋)>

自己満足に陥りがちな上司たち

Q.勤務先の人事制度の運用について、実施状況をお答えください。(単一回答)


ほぼ全ての項目で上司と受験者本人の間に意識の乖離があることがわかりました。特に「業務の進捗やできばえについて部下に適宜フィードバックしている」「部下の評価を公正に評価しようと努めている」で差が大きく、上司は部下よりも40%以上も肯定的に認識していました。上司は部下への人事評価に概ね肯定的ですが、部下は人事評価に満足せず否定的であり、両者には大きな認識のずれがあるようです。

部下への思いは一方通行
~上司「説明した」「信頼関係できた」、部下「説明されてない」「信頼関係できてない」~

Q.(上司に対して)昇進昇格審査の対象者の部下に、審査通知時に何を説明しましたか?(部下に対して)上司から、審査通知時に何を説明されましたか? (単一回答)



上司のほぼ80~90%が、部下に対して「求められる役割・要件」や「その部下の上位職としての期待」など昇進昇格審査前に伝えるべき内容を説明していると回答しています。しかし、部下がそれらの内容の説明を受けたという回答は50~70%にとどまりました。

Q.(上司に対して)昇進昇格審査の対象者の部下に、審査通知時の説明が十分にできましたか?
 (部下に対して)上司から受けた審査通知の説明に満足しましたか? (単一回答)


上司が「(説明を)十分できた・ややできた」と70%近く回答する一方、部下の「(説明に)満足した・やや満足した」は48.6%にとどまりました。また、上司の「(説明を)あまりできなかった・全くできなかった」が4.8%に対し、部下の「(説明に)あまり満足しなかった・満足しなかった」は15%以上にのぼり、両者の認識の差がうかがえます。

Q.(上司に対して)昇進昇格審査の対象者の部下に、結果のフィードバック時に何を説明しましたか?
 (部下に対して)上司から、結果のフィードバック時に何を説明されましたか? (単一回答)


すべての項目で、上司が説明したと回答しているほど、本人は説明があったとは回答していないことがわかりました。特に差が大きい項目は、「部下に対する期待を伝えられる」「部下の気持ちや考えを聞く」で、両者の間で約35%の開きがありました。

Q.(上司に対して)昇進昇格審査の対象者の部下に、結果のフィードバックが十分できましたか?
 (部下に対して)上司から受けた結果のフィードバックの説明に満足しましたか? (単一回答)


上司の66.4%が結果のフィードバックを「十分できた・ややできた」と回答し、「あまりできなかった・全くできなかった」の回答は4%でした。一方、部下は結果のフィードバックを「満足した・やや満足した」が51%、「あまり満足しなかった・全く満足しなかった」が15.3%にのぼりました。部下とお互いに“向き合った”フィードバックが十分に行われていないことが示唆されます。

Q.(上司に対して)部下の昇進昇格審査を通じて、何を得ましたか?
 (上司に対して)部下の昇進昇格審査を通じて、何を得ましたか?


全ての項目で、部下より上司の方が「あてはまる・ややあてはまる」と認識しています。最も差が大きい項目に「部下(自分)の将来のキャリアを改めて考えた」で29.2%、次に「信頼関係が強まった」で23.8%の差がありました。さらに「信頼関係が強まった」では、「あまりあてはまらない・あてはまらない」の上司の回答5.9%に対し、部下は31.8%にのぼり、上司が一方的に「部下との信頼関係が築けた」と感じているようです。

【結果の解説】

今回の調査から、上司が行う支援は必ずしも部下に届いていないという事実が明らかになりました。上司は部下の様子をよく把握した上で、部下に応じた支援を行う必要です。解決に向けたポイントは3つ挙げられます。

(1)受験する部下の準備状態を、上司が部下と話し合いお互いに確認する
 上司が部下の実態を把握できていないことが、認識にギャップが生まれる原因の1つです。上司は、部下に対して画一的に説明、指導するのではなく、部下の管理職としての準備状態に応じて十分に話し合うことが、部下自身が自分の状態に気づき、自立的に準備することを促進します。

(2)人事部門と上司が部下についての情報を共有し、連携して支援する
上司に加えて人事部門や上司の上位者から支援を受けることも、部下の成長に効果的です。上司が部下の状態を人事部門と共有し、組織的に連携し支援を提供することで、本人の成長をより高められます。

(3)上司の部下育成力を向上させる
昇進昇格審査のプロセスでは、上司と部下の間に緊密なやりとりが生まれ、上司の部下育成力を発揮する場です。上司は、傾聴や共感、本人に洞察・気づきを与える等のスキルや、問題を発見し課題を形成する等の問題解決スキルなど、部下に支援が出来るまでレベルアップを図る必要があります。昇進昇格の機会は部下の成長とともに、上司の成長をも実現できる機会です。

※回答者の属性、提言などを盛り込んだ調査全文をご入用の方はお問い合わせください。

本件に関するお問合せ先

【報道関係 お問合せ先】
株式会社日本能率協会マネジメントセンター 広報担当
E-mail: PR@jmam.co.jp