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イマドキ若手社員の仕事に対する意識調査

ニュースリリース

イマドキ若手社員の仕事に対する意識調査
新入社員半数以上「仕事は7割できれば合格」
上司・先輩のミス指摘も「説明しなかった方が悪い」64.8%

株式会社日本能率協会マネジメントセンター(代表取締役社長:長谷川隆、東京都中央区、以下JMAM[ジェイマム])は、2015年~2016年に入社した若手社員179名、上司・先輩258名に対し、新人の「働き方」と指導者の「接し方」に関するアンケート調査を実施しました。このたび調査結果を取りまとめましたので、その内容を一部抜粋してお知らせします。

10月、多くの企業で2017年度入社の内定式を迎えます。最近の若手たちは「さとり世代」と称され、安定志向が強くモチベーションも高くないと言われます。社会環境、職場環境はスピーディーに変化し、若手の働き方、価値観も多様化する時代背景も影響してか、若手社員教育の現場でも変化が出始めています。年間1,500社を超える若手育成に携わるJMAMでは、新人や上司・先輩の仕事に対する意識や企業における若手教育の実態を明らかにするため、本調査を実施しました。

<調査結果概要(一部抜粋)>

■新入社員は「失敗は重要」という認識でも「責任ある仕事や失敗はしたくない」
 失敗から学びは重要であると8割以上が認識する一方、「失敗はしたくないので、責任ある大きな仕事は任されたくない」が62.4%、自分から取り組もうとは思わない」が71.0%。
■新入社員の半数以上 「仕事は7割できていればOK」
 初めて大きな仕事を取り組む際、「7割程度できていれば良い」が56.2%、「100%を目指す」は43.8%に留まる。
■上司・先輩社員は「新入社員のレベルは下がり、打たれ弱いと感じる」
 上司・先輩の新入社員に対する印象は、ここ数年で新入社員のレベルが「下がっている」は64.0%、「打たれ弱いと感じる」が76.5%にのぼる。
■期待していること(されていること)にギャップ
 新入社員側は自身に期待されていることとして、身だしなみや挨拶など社会人としての基本が上位。
 上司・先輩側の新人へ期待していることは、「素直に指導を受け入れる姿勢がある」「指示を正確に受け、仕事を安心して任せられる」が上位。

<調査概要>

調査対象: インターネット調査
調査地域: 全国
有効回答: 437名(内2015年~2016年に入社した新入社員:179名、先輩・上司:258名)
調査期間: 2016年6月

<調査結果詳細(抜粋)> 新入社員へのアンケート (n=179)

責任や失敗を回避して、“7割合格主義”の傾向強く

Q.「失敗すること」について、どのように考えますか。

Q.経験すれば自分の成長につながるが、負担が大きく面倒くさそうな仕事について、どのように向き合いますか。

Q.これまでに経験したことのない大きな仕事に取り組む際、どのように考えますか。

 社会人の意識や行動を問う質問では、失敗から学ぶ重要性に対する肯定的な意見が8割以上を占めました。しかし、「失敗したくないので、責任ある大きな仕事は任されたくない」が62.4%、「(経験すれば自分の成長につながるが、負担が大きく面倒くさそうな仕事を)自分から取り組もうとは思わない」が71.0%でした。失敗の学びや恐れず取り組むことが重要という認識と、実際の行動が一体化していないことがうかがえます。また、大きな仕事に取り組む際、半数以上が7割程度できれば合格だと認識していることも明らかになりました。

主体的な考えや行動に課題、感情の交流は苦手

(2) 上司・先輩との接し方
Q.依頼された仕事について、その仕事をする意図が不明確な時、どのように対応しますか。

Q.最初に十分な説明のなかった依頼事項について、あとで間違いを指摘された時、どのように感じますか。

上司・先輩からの指導・育成について、依頼された仕事をする意図が不明確なときでも7割以上が、特に自身で考えたり確認を求めたりはせずに、「とりあえず言われた通りに行う」と回答。一方、後で間違いを指摘されたとき、「やり方を確認しておかなかった自分に責任がある」は35.2%に留まりました。新入社員が仕事の目的や意味を自ら考え、行動することに課題があることが推察されます。

Q.上司・先輩との報告・連絡・相談は、どのようにおこないたいと思いますか。

Q.上司・先輩から叱られたら、その後、どのような関係を持とうと思いますか。

 上司・先輩との報告・連絡・相談は、「極力メールで済ませたい」「直接会って行いたい」がどちらもほぼ半数で拮抗する結果となりました。また、叱られた後は「一定の距離を置きながら、あまり関わらないようにしようと思う」は66.7%が回答。対面を要する感情の交流を苦手とする新人が多いことがうかがえます。

上司・先輩へのアンケート (n=258)

新入社員のレベル・打たれ弱さ課題

Q.ここ数年を見ていて、新入社員のレベルをどのように感じますか。

Q.最近の新入社員について、どのように感じますか。

上司・先輩にあたる社員へ新入社員の印象を聞いたところ、ここ数年で新入社員のレベルは「下がっている」が64.0%、最近の新入社員は「打たれ弱いと感じる」が76.5%にのぼりました。上司・先輩は、新入社員のレベル低下や打たれ弱さを課題に感じているようです。

新入社員、上司・先輩へのアンケート (n=437)

期待していること/されていることにギャップあり

新入社員と上司・先輩にそれぞれ、新入社員に期待していることを(新入社員へは自身に期待されていること)を聞いたところ、両者の認識の違いが明確になりました。
新入社員側は、身だしなみや挨拶など社会人としての基本姿勢が上位にあがりました。十分でないことでは打たれ弱さが最多で、上司・先輩の印象と同様に、新人自身も精神的に弱い認識はあるようです。
上司・先輩側は、期待していること、十分でないことと共に、「素直に指導を受け入れる姿勢がある」「指示を正確に受け、仕事を安心して任せられる」が上位となりました。十分でないこと単体では、「指示していなくても、自らできることを考え、取り組める主体性がある」が最多となり、新入社員に主体性が不足しているとも感じているようです。

【総括】

調査結果から、新入社員の失敗や責任を回避する傾向や、上司・先輩との認識のギャップが明らかになりました。女性やシニア世代の活用など、中長期的な人材不足の深刻化が懸念される中、優秀な人材の採用と自社にとって必要な人材を引き付け、引き留めること(=リテンションマネジメント)が企業に求められています。今ミドルマネジャーとして活躍する人材はバブル崩壊直後に入社し、「教わる」「教える」経験が少なく、部下育成に悩みを抱えていることが多いと言われ、多くの企業で人事制度、指導・育成方針、働き方が見直されています。しかし、そのスタート地点として重要な「若手社員の育成」については多くの企業が課題を抱え、満足のいく対策を講じているとは言い難い現状です。以下、新入社員の育成についてポイントを抜粋してお伝えします。

1.めざすゴールの設定
新入社員は指示された業務を着実に実行していくことを好む一方、「見えない(=未経験)仕事」は失敗したくない、叱られたくないという思いで踏み出せないことがあります。この状態を克服するにも内定・新入社員教育段階で「意識改革」を行うことが重要です。ただし、本人が主体的に意識を変えていくことは難しいため、①到達状態を見せること、②早期にロールモデルが見つけられるように誘導することがお勧めです。

2.職場ぐるみの育成
従来は新入社員側にも適応力、ストレス耐性の高い人材が多く、画一的な指導・育成で十分でした。しかし、現在は適応力の低下や働く価値観が多様化しており、相手に合わせた柔軟な指導が必要です。OJTを機能させ、職場ぐるみで横断的な指導・育成が求められます。

3.振り返る習慣
OJTには「短いサイクル」と「長いサイクル」での振り返りが重要です。短いサイクルとは日々の「指導」で、OJTの指導担当者がその役割を担います。日々の成長は、技術・技能をはじめ、社会人としての立ち居振る舞いも含みます。長いサイクルは「育成」の側面で、期待する状態まで意識や行動を引き上げていくことが肝要です。ある程度の期間や働きかけを要するため、仕事を監督する立場の上司が担うことがお勧めです。

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【報道関係 お問合せ先】
株式会社日本能率協会マネジメントセンター 広報担当
E-mail: PR@jmam.co.jp