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お知らせ

「シニア社員の実態調査」 意識調査発表

ニュースリリース

シニア社員の実態調査 ~非シニア社員との比較から~
活躍するシニアは「仕事の楽しさ・上司の倫理」重視
一方、非シニアは「給料・上司の気づかい」重視

 株式会社日本能率協会マネジメントセンター(代表取締役社長:長谷川隆、東京都中央区、以下JMAM[ジェイマム])は武蔵野大学経済学部の宍戸拓人准教授と共同で、日本企業で働く正規社員(非役職者)の中から50歳以上のシニア社員238名、30代の非シニア社員232名に対し、自身の働き方に関するアンケート調査を実施しました。このたび調査結果を取りまとめましたので、その内容を一部抜粋してお知らせします。
 少子高齢化で生産年齢人口が減少する日本では、シニア人材の活用は焦眉の課題です。加えて、年功序列が崩れ年上の部下を持つ機会も珍しくない現状では、シニア社員に対する適切な理解を得ることが求められています。そこでJMAMではシニア社員の特徴や傾向を探り、企業がどのようにシニア社員をマネジメントし組織の発展に生かしていけるかのヒントを探るため、今回の調査を実施しました。

※シニア人材の活躍について詳細はこちら
http://www.jmam.co.jp/hrm/training/senior.html

<調査結果概要(一部抜粋)>

■シニア社員は「きちんとしていること」を好むほど仕事に精力的
シニア社員は、きちんとしていることを好むほど仕事も精力的に取り組み、いい加減な状況を許容するほど仕事も精力的に取り組まない傾向。一方、非シニア社員はきちんとしていることを好むかどうかは、仕事に精力的であるかとは関連性が低い。

■シニア社員は「楽しさ・興味」重視、非シニア社員は「給料・雇用保障」重視
シニア社員は内発的動機(仕事の楽しさ・興味)を持つほど、自身の職務を全うし周囲へ手助けする傾向。一方、非シニア社員は外発的動機(給料・雇用保障)を持つほど、役割を遂行し周囲へのサポートを行う傾向。

■シニア社員は「上司の誠実性、道徳的基準」重視、非シニア社員は「上司の気づかい・相談」重視
上司の倫理的行動(誠実性、道徳的基準)はシニア社員に対して好影響である一方、上司の感情的配慮(気づかい、相談)は非シニア社員に対して好ましい影響を与える。

<調査概要>

調査方法: インターネット調査
調査地域: 全国
有効回答: 470名 内シニア社員:238名(平均年齢55.6歳)、非シニア社員:232名(平均年齢34.6歳)
調査期間: 2017年3月

<調査結果(一部抜粋)>

シニア社員、非シニア社員へのアンケート(n=470)

活躍するシニア社員は「仕事の楽しさや興味・上司の倫理観」重視
【図1】「きちんとしていることを好む程度→エンゲージメント」の関係

 まず、仕事に対して「物事がきちんとしていることを好む」傾向が「エンゲージメント」に対して与える影響を調査しました(図1) 。「物事がきちんとしていることを好む」とは、「いつまでに何をすべきかを知りたいと常に思っている」「明確な計画をたてることが非常に重要」など秩序性、詳細性、綿密性を示し、「エンゲージメント」とは、「仕事をしている時、活力に満ちあふれている」「仕事に没頭している」など仕事に対して精力的、献身的、熱心であることを示します。
 その結果、きちんとしていることを好むシニア社員ほどエンゲージメントが高く、いい加減な状況を許容するシニア社員ほどエンゲージメントが低いことが確認されました。一方、非シニア社員は、きちんとしていることを好むと好まざるとに関わらず、エンゲージメントは同水準となりました。
 世の中には「最近の若者はだらしないから、しっかりと指導すべき」という声もありますが、30代社員がきちんとしていることを好むかどうかはエンゲージメントへの影響が少ないようです。むしろ、きちんとしていることを好むシニア社員を増やす方が、職場の活性化に貢献すると推察されます。

【図2】「内発的動機→役割内行動・手助け」の関係

【図3】「外発的動機(給料・雇用)→役割内行動・手助け」の関係

次に、仕事に対する「モチベーション」が「役割内行動・手助け」に対して与える影響を調査しました(図2、3)。本調査では「モチベーション」を以下の通り、①「内発的動機」、②「外発的動機(給料・雇用)」に区別しました。
①「内発的動機」:楽しさや興味などを感じるから仕事をすること
②「外発的動機(給料・雇用)」:給料や雇用保障のために仕事をすること
(実際の調査では、上記に ③「外発的動機(尊敬・評価)」も加えて実施 。本リリースでは③について割愛)
 その結果、シニア社員は「内発的動機(仕事の楽しさ・興味)」を持つほど、役割内行動・手助けを行う傾向がありました。一方、非シニア社員では外発的動機(給料・雇用保障)を持たないと、役割内行動・手助けを行わなくなる傾向にあり、両者の違いが顕著となりました。
 以上から、シニア社員が仕事に楽しさや興味を感じることは自身と周囲に好影響を与えるため、シニア社員に雑務や単純作業のみを仕事として任せることは問題と言わざるを得ません。シニア社員が興味や楽しさを感じることを考慮した上で、仕事を任せることが求められます。

【図4】「倫理的行動→エンゲージメント/後輩成長サポート」の関係

【図5】「感情的配慮→エンゲージメント/後輩成長サポート」の関係

最後に、上司の「倫理的行動」と「感情的配慮」が、自身の「エンゲージメント」と「後輩の成長サポート」に与える影響を調査しました(図4、5)。「倫理的行動」は誠実性、道徳性など上司が倫理観を持つかを示し、「感情的配慮」は「私が落ち込んでいる時、私に確かめなくとも、そのことに気づいている」など上司から感情的な配慮があることを示します。「後輩の成長サポート」は、「後輩が強みをさらに伸ばすことを支援している」など後輩に成長機会を積極的に与えていることを表します。
 結果、上司の「倫理的行動」はシニア社員に好ましい影響を与え、非シニア社員に対しては大きな影響を与えないことがわかりました。一方、上司の「感情的配慮」は非シニア社員に好ましい影響を与え、シニア社員に対しては大きな影響を与えないことが明らかになりました。
 非シニア社員は、上司に気に掛けてもらいたい、相談に乗ってもらいたいという気持ちが強いゆえ、自身の悩みや感情に気を留めない上司の下では仕事に熱意が持てず、後輩指導を行わない傾向にあるようです。一方、非シニア社員にとって上司が倫理的・道徳的かどうかは、大きな問題ではありません。上司の倫理観や道徳心はむしろシニア社員にとって重要であり、道徳や倫理を重視する上司の下でシニア社員はエンゲージメントを高め、後進の成長サポートを積極的に行うようになります。

総括

結果からわかるように、シニア社員と非シニア社員では傾向や仕事への意識は異なるため、相互に異なる人材としてのマネジメントが必要です。人間は青年期から、壮年期、中年期、高年期と人生のステージがあがるにつれ様々な変化が生じます。中にはパフォーマンスに貢献しうる変化もあれば、阻害する変化も存在します。前者の変化を効果的に活用し、後者の好ましくない影響を抑えるマネジメントを行うことで、シニア社員は若手社員が持ち得ない強みを持つ人材として活躍できるのです。
 本調査を踏まえ、JMAMでは活躍するシニア人材養成のための研修プログラムを新たに開発します。新コースは、①仕事への熱意を持ち、役割の遂行、周囲への手助け、後輩の成長支援を行う「活躍するシニア人材モデル」に基づくコース設計、②調査で明らかになった学習項目、③上司のシニアマネジメント力も高める仕掛け、以上3つの特徴を踏まえた内容です。JMAMではシニア人材の活躍が現在と将来の組織パフォーマンス向上につながると考え、今後も総合的に企業の人材育成を支援してまいります。

※シニア人材の活躍について詳細はこちら
http://www.jmam.co.jp/hrm/training/senior.html

JMAMについて

日本能率協会(JMA)グループの中核企業として1991年に設立されました。通信教育・研修・アセスメント・eラーニングを柱とした人材育成支援事業、能率手帳の新生ブランド『NOLTY』や『PAGEM』を代表とする手帳事業、ビジネス書籍の発行を中心とした出版事業を通じて、「成長したいと願うすべての人」を支援し続けていきます。

http://www.jmam.co.jp

本件に関するお問合せ先

【報道関係 お問合せ先】
株式会社日本能率協会マネジメントセンター 広報担当
E-mail: PR@jmam.co.jp