組織開発の概論
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リモートワーク時代に
おける組織開発南山大学
中村 和彦氏経歴
- 南山大学 人文学部心理人間学科 教授/
NPO 法人OD Network Japan 代表理事 - 名古屋大学大学院教育学研究科教育心理学専攻後期博士課程満期退学。米国NTL Institute 組織開発CertificateProgram修了。専門は組織開発、人間関係トレーニング、グループ・ダイナミックス。組織開発実践者の養成や、様々な現場における実践に携わるとともに、実践と研究のリンクを目指したアクションリサーチに取り組む。著書に『入門 組織開発』(光文社)、『マンガでやさしくわかる組織開発』(JMAM)など。
- 南山大学 人文学部心理人間学科 教授/
課題
なぜ、組織開発(OD)がうまく進まないことが多いのか?
現場の社員も参画して進めることが多い組織開発の取り組みですが、
活動プロセスでさまざまな課題が生じ、現場の変革や関係性強化に結びつかないことがあります。
以下では一般的に組織開発がうまく進めない理由としてあげられる課題をお伝えします。
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現場の“本質的”な問題が、わからない
- ・問題を単純化して共通化してしまう
- ・現場と問題を話し合う場がつくれない
- ・問題が大きくならないとエスカレーションされない
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研修/OD Projectのイベント化、やりっぱなし
- ・現場への負担を必要以上に気にしてしまう
- ・研修、ワークショップ‘だけ’で、なんとかしようとしてしまう
- ・ODプロジェクトをおこなっても、その後の変化にまでは、かかわれていない
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複雑な問題を扱うための意欲、知見、技術、
仕組みを持っていない- ・現場からエスカレーションされても、処方がつくれず放置
- ・機能、役割による分断を、みずから起こしている
- ・現場の変革支援に対してコミットしきれていない
方向性
組織開発(OD)これからの方向性
これからの「組織開発」は、組織・グループが改善につなげられる “よい” ふりかえり の機会を
デジタルツールも活用しながら意図的につくり出し、組織の発達と人の成長の同時達成を
めざすことが重要となります。
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現場で起きている
問題解決現場で起こる問題に対して、
第3者が介在して当事者同士の
振り返りを促す -
仕組みとしての
全社展開ラインマネジャーがメンバー
との対話を通じて、
良い振り返りを定常化させる -
自己組織化を
支える仕組み組織で起こる諸問題を
当事者同士が語り合い、
より良い方向性を探求する
「場」の変化
「組織開発(OD)×オンライン」による変化
組織開発は、現場の声をテーブルの上に出し、関係者どうして徹底的に話し合い、どうしていきたいのかを
意思決定していくことであり、複雑系の人や組織の問題を扱うための問題解決手法として有効です。
一方で、オンラインは、時間や場所の制約を外したり、リアルよりも多人数での対話を
デザインできたりする強みがあります。
この2つのツールは対極にあるように思われますが、実は親和性が高く、組織開発にオンラインを組み込むことで、
制約条件を外すことができる可能性があります。
Onlineのチカラ
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- 顔は見えるが、相手の“圧”は受けない
- 他のチームの影響を受けずに探求の対話に集中できる
- 会話のレベルが「内省的」「生成的」対話レベルに近づく
- 手軽に録画、シェアできるので、同じ情報で探求が可能
- 場づくりが、Realとは比にならないほど機動的になる
OD&HRDの成功循環サイクル
OD&HRDの成功循環サイクルを実現するV字モデル
「役割」の役割
コアとなるファシリテーターの役割
これからの組織開発において重要になるのは、その場を動かすファシリテーターの存在です。
また「オンライン」と「リアル」ではそれぞれ異なる役割も多く、
その場の違いに適した関わり方をすることが重要です。
Realのファシリテーター | Onlineのファシリテーター | |
---|---|---|
場の特徴 | 相手を身体的に拘束(基本、場が共有) | 相手の状況が見えない(それぞれの場から参加) |
進め方 | ある種の権限(ランク)をもって場を進行する | メンバーを信頼することで場を進行する |
スタンス | 身体的な拘束をするため、議論や対話に集中できるように進める | 自主性を尊重し、そこで起きる出来事や創造的なアイデア・気づきが成果となるように進める |
メンバーへの コミュニケーション |
ファシリテーターのプレゼンと投げかけ | メンバーに対し効果的な語りかけ・問いかけ |
求められる成果に対する適切な活動を促す | 自主性を尊重し、内省的な思考と気づき・学びを促す | |
コンフリクト への対処 |
態度や表情にあらわれる違和感などを対面で対処 | 異なる状況を尊重し、メインとサブのファシリテーターが補完しあいながら適切に対処 |
学びの共有 | 学びを視覚的化して全体で共有 (ホワイトボード、模造紙など) |
ITツールを活用して、メンバーそれぞれが学びを記述・記録して共有 (必要に応じて対話の場を記録・録画する) |
プロセス | ファシリテーターの役割<Real/Online共通> |
---|---|
組織に揺らぎを起こす | 「洞察による問いかけ」によって、その組織における暗黙知を引き出す |
組織が発達する | 「テーマを構造的に見立て、問題を対処する |
人に揺らぎを起こす | 「コンフリクト・マネジメント」と「創造的なコンセンサス」を通じて人の内面にある欲求を引き出す |
お役立ちコンテンツ
「1on1ミーティング」のポイントをまとめています。無料でダウンロードいただけます。
メンバーの自律を促し生産性を上げる!
1on1 ミーティングによる対話する組織づくり
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主な内容
- 1.
なぜいま「1on1ミーティング」なのか - 2.
1on1ミーティングの効果 - 3.
1on1ミーティングにはコツがある
- 1.
プログラム
JMAMにおける組織開発(OD)サービスマップ
主要プロセスにもとづくJMAMの各種サービスをご紹介します。
参考情報
関連ページの紹介
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組織開発の概論
リモートワーク時代における組織開発の
ポイントを紹介南山大学 人文学部心理人間学科 教授
中村 和彦氏
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解説
オンラインの教育技術に詳しい人や企業事例を紹介
組織開発や人材開発の取り組みに際して、オンラインの教育技術によるアプローチなどを
おこなっている実践者の取り組み事例を紹介します。
組織開発とは何か
南山大学 人文学部心理人間学科 教授
中村 和彦氏
組織開発が機能する要因
南山大学 人文学部心理人間学科 教授
中村 和彦氏
オンラインによる人材育成・
組織開発の新たな価値創造
「トオラス(旧:与贈工房)」代表
田原 真人氏