VUCA時代に求められるリーダーシップの新たなカタチ






資料請求


VUCA時代とは?
VUCA(ブーカ)とは、変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)の4つのワードを省略した造語です。現在のビジネス環境は、これら4つの要因により、新たな突破口を拓くための「正解」が非常に見通しにくい状況になっています。VUCAというキーワードは、もともとは1990年代にアメリカの陸軍学校で、冷戦後の複雑な国家間の関係を表現する言葉として使われ始めましたが、2010年頃から現在のビジネス環境をあらわす言葉としても頻繁にもちいられるようになりました。世界の要人が集まるダボス会議では、「VUCA時代に必要なリーダーのあり方」や「人材の能力」などに関し、いくつものセッションが設けられるようになってきています。
リーダーシップ研究の新潮流
リーダーシップ研究の変遷
これまでのリーダーシップ研究は、大きくは5つの流れに区分することができます。5つの流れとは、「①特性理論」「②行動理論」「③条件適合理論」「④交換理論」「⑤変革型リーダーシップ理論」です。
そして、今、VUCA時代に即した新たなリーダーシップ研究の潮流が芽生え始めています。
詳しい解説は、こちらから無料ダウンロードできます。
① 特性理論

リーダーの「特性」に着目
② ⾏動理論

リーダーの「⾏動」に着⽬
③ 条件適合理論

リーダーを取り巻く「状況」に着⽬
④ 交換理論

メンバーとリーダーの「交換関係」に着⽬
⑤ 変⾰型
リーダーシップ理論

経営トップの
カリスマ性や
強力なビジョンに着目
世界的トップ機関の研究最前線
VUCA時代のリーダーシップのあり方を探るため、世界的に評価の高いリーダーシップ教育機関を訪ね、リーダーシップの最新動向を探りました。

C O M I N G S O O N
リーダーシップの新潮流
私たちは、新たな時代に即したリーダーシップのあり方を探るため、ハーバード・ビジネス・スクールを始め、世界的に著名な複数のリーダーシップ教育機関への取材を行いました。その結果、新時代に即したリーダーシップのあり方は、かつてのものとは一線を画するものであることがわかりました。
背景として、組織がめざすゴールが変わってきたことが挙げられます。多くの企業は、現在、利潤の追求だけではなく、社会課題解決と事業性の両立を志向する方向にシフトしつつあります。これは、企業姿勢のモラル面が見直されるようになってきたという側面と、既存のビジネス領域がすでに飽和状態にあり、社会課題を解決する領域に新たなビジネスチャンスがあるという側面の両面が影響しています。
変化が激しいVUCA時代に社会課題解決と事業性の両輪で成功していくためには、これまでのように経営トップ個人によるカリスマ型の強力なリーダーシップだけでは太刀打ちできなくなっています。イノベーションを継続して生み出している多くの企業では、経営層や管理者だけではなく、全員がリーダーシップを発揮できる環境が整えられつつあります。
経営者や管理者は、かつてのように自らが前面に出るリーダーシップではなく、メンバー一人ひとりがリーダーシップを発揮できる環境をつくるという側面でのリーダーシップ発揮が求められるようになっています。またメンバー一人ひとりは、フォロアーシップの発揮だけではなく、自らが権限によらないリーダーシップを発揮することが求められています。
そして、変化が激しいVUCA時代においては、どちらのリーダーシップのあり方も、あるべき像を一度学べばよいというものではなく、経験・体験を通じて学び続けていくことが重要となっています。
ゴール
のあり方
の役割
のあり方
出典:堀尾志保・舘野泰一(2020)『これからのリーダーシップ』日本能率協会マネジメントセンター
調査結果
インフォーマル・リーダーシップ調査(権限によらないリーダーシップ)
インタビュー事例集インフォーマル・リーダーシップの担い手たち
公式の発令がないなかで、インフォーマル・リーダーシップを発揮し、価値ある新たな取組を実現する人材には、どのような共通項があるのか。またどうしたらそうした人材を育むことができるのか。それを探るため、日本企業において公式の発令がない中でインフォーマル・リーダーシップを発揮し活躍している人材へのインタビューを行いました。
※本インタビューでの社名・肩書・内容等は、すべて取材当時のものです。
インフォーマル・リーダーシップを
涵養
する”6つの提言”
調査結果から得られたヒントを基に、組織の中に、インフォーマル・リーダーシップを育むための仕掛けを提言します。
JMAMリーダーシップ・プロジェクト
調査アドバイス

立教大学 経営学部
プロジェクト・リーダー

JMAM
ラーニングデベロップメント本部
Director/ Leadership Development
日本大学非常勤講師
本調査報告書が、新たな取組を推進したいとお考えの方々、組織の至るところにリーダーシップを発揮できる人材を育みたいとお考えの企業の方々に、わずかでもお役にたてば、これほどうれしいことはありません。
提言1
リーダーシップの効能を示す
インフォーマル・リーダーシップ発揮事例を共有し、喜びを先取りさせる
公式の発令がない中で、リーダーシップを発揮することをためらう人は少なくない。その理由の一つには、リーダーシップを発揮することによる「面倒さ」「大変さ」というマイナス面に先に目が向き、プラス面に十分目が向いていないことが挙げられる。リーダーシップを発揮することは、周囲にとっての喜びや、自らの成長など、必ずプラスの影響をもたらす。そうしたプラス面に光を当てることで、リーダーシップ発揮をポジティブに捉える雰囲気を職場に醸成していくことが必要だ。
提言2
人事が働きかけてトップから全社員に
リーダーシップ発揮への期待を発信する
インフォーマル・リーダーシップ発揮事例が歓迎される風土をつくる
日本企業では、やるべきことは上司が考え、それに異を唱えず粛々と業務を遂行するのが優れたメンバーだと見なされる向きがまだある。しかし、現在は、変化が激しく、人々のニーズは多様化し、扱う情報量は膨大化している。そんな中、少数の公式リーダーだけのリーダーシップに依存していては、策が限定され、組織そのものの存在が危うくなりかねない。こうした危機感を、人事部が主導してトップと共有し、トップから「メンバー全員のリーダーシップ発揮への期待」を公式の場で何度も発信してもらえるよう働きかけよう。
提言3
仕事のポリシー、自分を取り巻く環境の
ありたい状態を言葉にする「場」をつくる
一人一人の想いを育む
組織のメンバー一人一人が、若い時期から、組織、職場、地域、社会など、自分たちを取り巻く環境のありたい状態、そして自分が大事にしたい仕事のポリシーを言葉にして表現する「場」を設けることを提案したい。「自分は、仕事をする上で何を大事にしたいのか」「自分を取り巻く環境はどうあったらワクワクするのか」「ありたい状態を実現するために自分はどのように貢献したいのか」といったことを、皆が問われ、考え、表現する時間をつくる。一人一人が自分や周囲に対して想いを抱くことが、インフォーマル・リーダーシップ発動の第一歩となる。
提言4
自分や他者の強みを
把握するレンズを複数提示する
他者との連携を複数の視点から検討できる目を養う
リーダーシップの要の一つは、一人でコトを為そうとするのではなく、他者との連携を開拓し、仲間とともにゴールを目指すことだ。自分や他者の強みを把握するためのレンズを複数有していると、何かに取り組もうとする際に必要な力を見極めやすく、またその資質を有する人物も見つけやすくなる。レンズを増やしていくには、それぞれの強みを分析し合う場を設けたり、多様なアセスメントツールを折に触れて利用したりすることが有効だ。想いを抱き、新たな取組を推進したいと考えたときに、必要な動きや強みをすばやく把握し、効果的なチーム創りができる目を養っておきたい。
提言5
リーダーシップの発揮機会を
「選抜」の場にしない
リーダーシップの担い手を少数の人に固定化させない
リーダーシップも練習の機会がなければ、それ以上、磨きがかかることはない。そこで、全ての人材が、継続的にリーダーシップの練習機会に恵まれるアサインの仕組みを取り入れたい。難易度が高過ぎて失敗した場合には、一段易しいリーダーシップ発揮機会を選択できるようにするといった配慮も重要だ。たとえ失敗することがあっても、同レベルのリーダーシップ発揮に再チャレンジできる環境が当たり前のようにある組織だったら、メンバー一人一人が成長実感を積み重ねていけることだろう。
提言6
経験からよりよく学ぶ仕掛けを
複数用意する
「成長を振り返る時間」「成長を見守る人」を確保する
リーダーシップを発揮する業務機会においては、節目ごとに、成長を振り返り、周囲からフィードバックを受けられる時間を確保したい。フィードバックを受ける側も、与える側も、節目ごとにリーダーシップについて考える時間が確保されることで、自然とその発揮に向け意識が高まっていく。自分の成長を見守ってくれる存在、そして、自分が成長を見守る存在がいる職場では、周囲への関心も高まりやすく、成長や課題解決に向けた相互支援の雰囲気もおのずと高まっていくことだろう。