コラム「コンサルタントの現場から」

萩原正英 × ビジネスリーダー[Ⅱ] 変革を先導できる人材の開発 ビジネスリーダー研修による芯の強いリーダー養成への挑戦

パートナー・コンサルタント 萩原 正英

Ⅰ.変革を先導するビジネスリーダー

森の生活と海の生活~新しいドメイン~

経営環境が変化する中で、企業が存続していくためには、変化する環境に対応することが求められます。現在の事業が収益を生んでいるときに、将来を見据えて、新たなる事業基盤を創り出していくことが必要です。次代を見据えて、新しい事業基盤を創り出すことが、ビジネスリーダーに求められていると言えます。

新しい事業基盤を創るとは、言うのは簡単ですが、実に難しいことです。例えて言うなら、森の生活をしているときに海の生活を模索することです。つまり、森にいては、体験できない海での生活をできるようにすることです。泳ぐ必要のない森の中で、海の中で泳げるように訓練するということなので、その挑戦が難しいということに加えて、そこに賛同する人も少ないのが実情です。

新天地を見つけ出す

組織の中では、現経営者の思いを実現することが求められます。経営構想の中で、実績を作った人が、組織の中でキーマンとして位置付けられます。当たり前の文脈なのですが、現在組織の中で活躍している人は、現在の事業ドメインの中で実力を発揮している人であると言えます。

路線便から撤退して宅配便に特化した運送会社、人による販売からWebによる販売へ切り替えた証券会社、コンビニに重点を置いたスーパーなど、持続的成長の裏側には、既存事業の水平面とは異なる新天地を見つけ出した人物が存在しているようです。

新しい世界を切り開く

多くの市場が成熟しつつある日本においては、持続的な成長とは新たなる市場を創り出すことと言えます。次代の成長を約束する新しいドメインを見つけ出すこと、それがビジネスリーダーに求められる役割です。

ビジネスリーダーに求められる役割を果たすためには、二つの不可欠な要件があります。それは、『対立への挑戦』と『天命への意識』です。

Ⅱ.対立への挑戦

変革とは、現状の否定的構想

変革を志向すると、現在の取り組みを否定しなければならないことが多くなります。変革の総論が賛成されていても、個々の事象においては、反対意見が散見される状態に陥るのです。また、戦略とは「やることを決める」という側面と「やらないことを決める」という側面の双方が求められます。新たに「やることを決める」時点では、賛成を得られても、「やらないことを決める」ときには、反対者が現れる、これが組織の実態と認識することが大切です。

組織の中では、現在の事業を推進することと新しい事業へ挑戦することを同時に進めていくことが求められます。しかし、組織に中では、人材や資金に限りがありますので、新しいことをやるためには、既存の取り組みの人材を新たな取り組みに配置転換することや、限られた資金を新たな取り組みに振り向けていくことが求められます。ここに、限りある資源の分配をめぐった対立が生まれるのです。

変革のジレンマ

新しいドメインをめざすと、変革の方向性や総論の段階では、賛成者が多くても、変革の方法や各論の段階に入ると、反対者が多くなる傾向があります。尖がった変革方向を模索しているときには、変革を提案する自分以外は、全員が反対するという状況も珍しくありません。

新たな挑戦に対して、採否を問う場合に、民主的に多数決を行うケースがありますが、この意思決定の方法は要注意です。大いなる変革の事例を調べてみると、その多くは、全員反対の中から抜け出していったものが多いからです。賛同者を増やすために、変革方向を軌道修正すると、構想案が骨抜きになってしまい、大きな変革を実現しにくくなるからです。

全員反対の中で立ち向かう勇気

意義ある変革であれば、「反対者がいる」という前提を持つこと、際立った変革であれば、「提案する自分以外は全員が反対する」という前提を持つこと、この前提の持ち方が大切です。既存の事業の中で、指示されたことを推進している場合は、自分の行動に対して、周囲の支援を得られることも多いでしょう。しかし、変革を先導すると、周囲から支援を得られるどころか、周囲から牽制や阻止を受けることもあるでしょう。

こうした中で、変革の方向を信じて、反対者の意見に立ち向かう勇気を持つことが重要です。

Ⅲ.天命としての意識

自分を支える使命感

変革に向けて、よき構想案を作り上げることは必須なのですが、次の2点が大切です。一つは、その変革の構想が、組織にとって絶対的に必要なものであるという点です。もう一つは、その変革を推進することこそが、自分の役割と認識できる点です。

変革の構想案が、組織にとって有効なものであったとしても、周囲に理解してもらい、納得してもらえる説得力を高めることが求められます。変革の方向に対して、論拠と論拠を裏付ける事実を整理するのです。なぜその変革をする必要があるかという論拠については、組織の損得勘定だけではなく、組織の理念や社会的使命に裏付けられた論拠を整備することが大切です。

また、変革方向に対する否定意見や代替案を想定して、さらに否定意見を論じる人の論拠を想定して、否定論論者の論拠を打ち消す事実を準備することが大切です。加えて、想定される代替案についても、代替案を主張する人が論拠としそうなことを打ち消す事実を準備することが大切です。

天命としての意識

自分が目指す変革方向に対して、その変革を推進することこそが、自分の役割だと思えるでしょうか。その変革を担うために、この組織に入ったと言えるでしょうか。この変革を推進するために生まれてきたと言えるでしょうか。変革を天命と感じられるでしょうか。

変革に対して、不退転の決意を持ち、変革の実行に覚悟を持つ。そして、変革を天命として意識できるようになれば、その人は強くなるでしょう。反対論者は、次第に、それほど本気ならと言って、心を開いてくれるかもしれません。

Ⅳ.潜在化する変革マインドの発掘

身に宿る変革マインド

選抜研修であるビジネスリーダー研修で、これまでに千人を超える受講者と会ってきました。お会いした受講者の多くの方は、過去に何かを成し遂げた実績を持っておられると感じます。幼少期の成功体験であったり、職場での小さな変革実績である場合もあります。どんな体験であっても、過去に成し遂げた変革の実績に立ち返ることが大切です。

過去の変革の体験を呼び起こして、その時の思いを、目の前の変革に注ぎ込むのです。誰もが持っている変革の芽を、組織の変革につなげること、それが大切と日々感じます。こうした変革のマインドは、個々人の中に宿っているものです。本人が、自分の身に宿る変革マインドに気付き、それを磨き上げていく機会、それがビジネスリーダー研修であると考えています。

自分を信じ続ける力

ビジネスリーダーが直面する変革は、過去の体験と比べて、大いなる変革であることが多いでしょう。その変革を成し遂げることによって、大きな自信をつかむことができ、さらに大きな変革に挑戦しようという意識につながると信じています。

変革者の要件

最後に、ビジネスリーダーに期待されることを、変革を先導する人材の要件として整理します。

  1. 言われなくてもやる

    誰かに指示されるのではなく、自らが変革の必要性を感じて、変革の方向を模索できることが大切です。
  2. 反対されてもやる

    変革の構想は、現状否定を伴うことが多いために、反対者が多くなるものです。反対されても実行しようという強い意識を持つことが大切です。
  3. 失敗しても再挑戦する

    変革に向けた取り組みは、未知なる取り組みと言えます。そのため、思うように進まないことも多いでしょう。目指す方向を守りつつも、目先の方法論は、軌道を修正させつつ、推進することが大切です。そして、うまくいかず、たとえ失敗しても、再挑戦し続ける強さを持つことが大切です。
  4. 長期にわたって、思いを持続できる

    大いなる変革の取り組みは、長期にわたります。数年にわたる道のりになることも多いでしょう。長期にわたって、自分の挑戦心を持続できることも大切です。

資料請求

商品・サービスに関する資料はこちらからご請求いただけます。

お問い合わせ

導入・購入のご相談、見積もりのご依頼など、お気軽にお問い合わせください。

お電話でのお問い合わせ先はこちら