コラム「コンサルタントの現場から」

萩原正英 × ビジネスリーダー[Ⅰ] 変革を先導できる思考力 ビジネスリーダー研修による高い視座と多次元の視点の習得

パートナー・コンサルタント 萩原 正英

Ⅰ.変革の要件:視座と視点

ビジネスリーダーに託された未来

ビジネスリーダー研修の講師を担当するようになって、10年ほどたった。この10年間で、様々な業界でのビジネスリーダー研修を50コースほど担当してきた。1年間で終了した会社もあれば、10年を超えて継続している会社もある。

ビジネスリーダー研修の受講者には、魅力的な人材が多い。同世代の中で、選抜される能力を持っている人であり、選抜されたという自負心を背負っているからだろう。こうした人材の中から、近い将来の幹部が現れると思うと、講師としてもしっかり対応しようと気合の入るものである。

時流と全体感から考える変革の方向

ビジネスリーダー研修の基本は、受講者が会社や事業の変革の構想づくりを体験することと考えている。普段の仕事における目先の問題を解決することではなく、会社全体を視野に入れて、変革の方向を探ることを求めている。

そのためには、事業を取り巻く環境、そしてその将来動向を考察することが不可欠である。しかし、40歳代であっても、日頃はプレイングマネージャーとして担当業務に忙殺され、環境認識や会社全体を考えるという機会に巡り合えていないのが実情のようである。

知識習得、スキル習得、そして変革マインド醸成

事業の変革の方向を構想するために、戦略的な発想や構想をシミュレーションするアカウンティングの知識、並びにその実現のための組織づくりなどの知見を身につけてもらうことになる。近年では、ビジネスリーダーの最終発表の場で、受講者が幹部へプレゼンする内容がほとんどの場合、了承、賞賛される。

しかし、その一方で、主体のない寂しさを感じることも多い。革新的な構想を上手に整理することはできるようになっても、それを自らがやる、あるいはやりたいと進言する人材が現れないのである。

Ⅱ.視座を上げて、視野を広げる

視座を上げれば、視野は広がる

ビジネスリーダー研修の受講者は、開講時点においては会社全体から考えるという機会を持ったことのないというケースが多い。会社全体を視野に入れて、変革の方向を考えようにも、まさに手も足も出ない状態であると言える。事業環境や事業全体、本社のあり方など、広い範囲から考えなければならないのだが、それができないのである。

こうした受講者に対して、いかにして視野を広げるかという点が最初の関門である。視野を広げようと言ってみても、広がるものではない。しかし、視座を上げさせれば、時間の経過とともに、視野は広がっていく。ここが指導のポイントと考えている。

経営者の目線から考える習慣

視野を広げるために、視座を高めるとは、どういうことなのだろうか。それは、自分の職位の2~3階層上位の目線で考えるということである。つまり、受講者が課長であれば、「本部長や部長なら、どう考えるだろうか」というスタンスで発想するのである。

ビジネスリーダー研修においては、常に社長の立場に成り代わって考えることを要求している。つまり、「社長のつもりで考える」、「社長ならどう考えるか」という視点で考えることを要求するのである。
そのためには、経営全般の知識を踏まえて考えることが必要になり、マネジメント知識を習得することの必要性も深く理解してもらえる。

経営者の目線から考えるために、経営者を知る

経営者の経験のない受講者が、経営者の目線で考えるということは、難しいことである。しかし、経営者を疑似体験する方法はある。それは、経営者が半生を語った文献を精読することと経営者との対話の機会を増やすことである。

企業情報に関する新聞記事についても、読み方を変えれば、経営者の目線を鍛える訓練になる。記事の内容を理解するだけでなく、なぜそのような行動をとったのか、さらに、その先に意図している行動は何であるかという点を常に考えるのである。これを毎日やっていれば、3ヶ月で目線は変わる。

Ⅲ.非連続に発想する視点

変革の成功要件である非連続の発想

多くの業界が成熟期を迎えている。成熟期においては、従来の延長線上の発想では、価格競争の呪縛から逃れることはできず、利益率低下を招いてしまう。成長期の市場にいても、競争企業が存在する場合には、新たなる着眼を打ち出すことが求められる。

市場ライフサイクルのどの段階にあっても、従来の発想とは非連続な発想を打ち出すことが求められている。しかし、人間の脳は、過去の記憶を呼び起こすことが基本機能であるがゆえに、非連続の発想と言うのは簡単でも、実際に非連続の発想を打ち出すことは難しい。

非連続のモデルと非連続の発想手法

5ヶ月間から10ヶ月間というビジネスリーダー研修において、受講者が非連続な発想をできるようにすることが、研修講師に求められている点である。非連続な革新事例の研究と非連続な発想学習の試行を繰り返した結果、非連続な発想は、スキルであるということが分かってきた。

変革の対象について、変革を考えるための視点を習得してもらうのである。その視点とは、「広げる」、「伸ばす」、「絞る」などの思考方向にはじまり、現在の事象を抽象化して、対極方向に振り子のように逆発想するなどの着眼である。こうしたモデルと手法を体感してもらうと、受講者は非連続に発想するようになる。

強制的継続による考える習慣づくり

非連続な発想を生み出す力を身につけるために、身近の素材を題材にする方法がある。世にあふれる新商品から非連続の発想を学ぶのである。市場を見渡すと、新商品があふれかえっている。様々な業界で、企業が売上を拡大するために、市場に新商品を投入している。

商品開発や広告宣伝などの投資を経て、市場に投入された新商品には、従来商品とは異なる着眼が織り込まれているものである。こうした市場にあふれる新商品を手にして、その斬新性を解釈するということを、毎日続けていれば、開発者たちの斬新な発想の着眼を吸収することができる。

Ⅳ.受講者が変わる瞬間から考える研修設計

五感による習得から考える研修設計

受講者の発想を変えるために、どうすればよいのか。発想の起点である受講者の脳を、いかにしたら変えられるのか。研修で大切なことは、見る、聞く、話す、といった五感を多用することだと考えている。長期にわたるビジネスリーダー研修では、次回までの期間に、いかに五感を使い続けるかが研修の成果を左右する。具体的には、課題を与え続けるのである。最初は、考えざるを得ない場をつくる。徐々に、考えることの意義を理解し、考えることの喜びを感じるようになれば、考えることが習慣化する。

学ぶことと、自分を知ることの両輪

弱いところを強化することと、強いところを伸ばすという育成方針が対極の概念として語られることがある。ビジネスリーダー研修に選抜される受講者においては、双方を同時に狙うことが必要と考えている。なぜならば、ビジネスリーダー研修の受講者は、基礎能力が高く、成長意欲も高い人材だからである。

受講者の能力を論理思考力や発想力、構想力、さらに対人関係構築力など、様々な視点で評価することが大切である。どこが弱いのかを認識して、その上で、どこを伸ばすかを考える場を持ってもらうのである。70歳になっても学習する経営者もいる。たかが40歳程度で、学習を放棄するのはあり得ないことである。

受講者の成長を信じた厳しさの有用性

海外出張から帰ったばかりで時差ボケ、トラブルで徹夜だったなど、大変な状況で研修に参加する人がいる。どんな状況であっても、果たしたことの責任を全うすることを要求するようにしている。経営者は、どんな状況であっても、経営実務を怠ることはできない。甘えは許されないからである。

言い訳や例外を許容すると、受講者に甘えが生じてしまう。経営者には、甘えは一切許されない。だから、受講者の成長と変革を信じて、強く要求し続けることが大切である。ビジネスリーダー研修に選抜される人材は、有能で超多忙だが、こうした状況下でことを成し遂げることを通じて、経営者としての器を作っていくものと信じている。

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